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試乗 試乗
TEXT:生方 聡
進化は他にも!「最新が最良」のリチャージ シングルモーター [ボルボC40/XC40リチャージ試乗記]

モーターのレイアウト以外にもさまざまな部分に手が加えられた「ボルボC40/XC40リチャージ」。「最新が最良」という言葉は、このクルマにもあてはまるようだ。 One Pedal Driveが進化 C40/XC40リチャージでは、走行中にアクセルペダルを緩めたときに働く“回生ブレーキ”の度合いを、設定変更することが可能である。具体的には、ドライビング設定の「One Pedal Drive」メニューで好みの動きを選べるのだ。選択肢は、従来からの“On”、“Off”に加えて、この2024年モデルからは“Auto”が加わった。 まずはOnを選ぶと、いわゆる“ワンペダルドライブ”が利用できる。アクセルペダルを緩めると強めの回生ブレーキが利き、アクセルペダルに載せた右足の動きだけで、ほぼ速度調整が可能だ。アクセルペダルから足を完全に離せば、クルマは停止に至る。一方、Offでは、アクセルペダルを緩めても回生ブレーキは利かない。一方、停止した状態でブレーキペダルから足を離すと、ゆっくり動く“クリープ”があるため、車庫入れなどの場面ではこのほうが便利かもしれない。 Autoは、レーダーなどのセンサーにより先行車との距離を監視しながら、自動的に回生ブレーキの強さを調節してくれる優れた機能だ。とくに比較的交通量の多い高速道路などでは車間距離の調整が楽になるので重宝する。ただ、先行車がいない状況ではコースティング(惰力走行)するため、単独で走行中にコーナーで減速したいときや、一般道の赤信号で停まりたいときなどには注意が必要だ。個人的にはAutoとOnを切り替えて使うのが便利だと思うが、そのたびにドライビング設定画面を表示させるのは少し面倒である。

TEXT:生方 聡
性格変わった? [ボルボC40/XC40リチャージ試乗記]

「C40/XC40リチャージ」の2024年モデルは、見た目は変わらないのに、走りの印象が大きく変わっていた。 スタイリッシュなプレミアムコンパクトSUV 日本でも人気の高いコンパクトSUVの「XC40」。そのEV版である「XC40リチャージ」と、EV専用モデルの「C40リチャージ」は、フロントグリルにボディ同色カバーが施されることで、エンジン車との違いは一目瞭然だ。さらに、今回試乗したC40リチャージは、クーペスタイルのルーフラインや大きなルーフスポイラーなどにより、スポーティで個性的なデザインに仕上げられているのも魅力のひとつである。 室内に目を移すと、仕立ての良いコクピットや縦型のセンターディスプレイなど、基本的にはガソリンモデルのXC40と同様のデザインを採用し、プレミアムコンパクトと呼ぶにふさわしい心地よい空間。一方、ダッシュボードとフロントドアの装飾パネルは、バックライトにより等高線をイメージした模様が浮き上がって見える凝ったデザインが採用され、夜間のコックピットに花を添えてくれる。 レザーフリーのインテリアを採用するのは従来どおり。ステアリングホイールは人工皮革で覆われるが、知らなければそうとは気づかないくらい違和感がない。オレフォス社製クリスタイルシフトノブとウールブレンドシートはリチャージ アルティメットにセットオプションとして設定されており、C40リチャージの上質さを際だたせている。

TAG: #C40 #XC40 #ボルボ
TEXT:生方 聡
パワーも航続距離も前年比プラス! [ボルボC40/XC40リチャージ試乗記]

FWD(前輪駆動)からRWD(後輪駆動)に生まれ変わった2024年モデルのボルボC40/XC40リチャージ。気になるスペックも進化していた。 2024年モデルは2WDのみに ボルボのEVには、SUVクーペスタイルでEV専用モデルの「C40リチャージ」と、SUVらしいデザインの「XC40リチャージ」のふたつが現在販売されている。この2台は基本設計を共有し、グレード展開も同じである。 2023年モデルとしては、2モーターで4WDの「リチャージ・ツインモーター」と1モーターでFWDの「リチャージ・シングルモーター」の2タイプが販売されていたが、2024年モデルではRWDのリチャージ・シングルモーターだけになり、代わりに装備が違う「リチャージ プラス シングルモーター」と「リチャージ アルティメット シングルモーター」の2本立てに変わっている。後者は装備充実仕様で、ピクセルLEDヘッドライト、ハーマンカードン プレミアムサウンド、20インチアルミホイールなどが標準で装着される。 価格は次のとおり。 C40リチャージ プラス シングルモーター……699万円 C40リチャージ アルティメット シングルモーター……739万円 XC40リチャージ プラス シングルモーター……679万円 XC40リチャージ アルティメット シングルモーター……719万円 アルティメットはプラスの40万円高。C40はXC40の20万円高ということになる。 なお、4WDのリチャージ・ツインモーターはヨーロッパでは販売されているが、日本ではさしあたり需要の多い2WD(2輪駆動)モデルのみが販売される。ボルボ/カー・ジャパンとしては、市場の動きを見ながら日本への再導入を検討しているようだ。

TAG: #C40 #XC40 #ボルボ
TEXT:生方 聡
FWDからRWDに変わるなんてある!? [ボルボC40/XC40リチャージ試乗記]

ついに日本に上陸した2024年モデルの「ボルボC40/XC40リチャージ」。見た目の印象は変わらないが、その中身は大きく変わっていた。 常識を超えた年次改良 ご存じのとおり、スウェーデンの自動車ブランドであるボルボは、2030年までにEV専業メーカーになることを目指している。直近の目標としては2025年までに販売台数の半数(日本は45%)をEVとしたい考えで、その第一歩として市場に投入されたが、コンパクトSUVのXC40をEVに仕立てた「C40リチャージ」と「XC40リチャージ」である。 XC40シリーズの日本での販売は好調で、ボルボ・カー・ジャパンによれば、2023年上半期のプレミアムSUVセグメントにおける販売台数はXC40が2位、C40が13位。一方、プレミアムEVセグメントではXC40リチャージが「テスラY」「テスラ3」に次ぐ3位。C40リチャージも9位と、ともにベスト10入りを果たす勢いである。 そんなC40/XC40リチャージの2024年モデルが日本に上陸。ヨーロッパやアメリカの自動車ブランドでは、いわゆるフルモデルチェンジやマイナーチェンジ以外のタイミングでも、年ごとに改良を加える“モデルイヤー制”を採用することが多く、ボルボも例外ではない。このC40/XC40リチャージの2024年モデルもあくまで年次改良版という位置づけなのだが、その変貌ぶりは耳を疑うレベルだ。なんと、2024年モデルではFWDがRWDに変更! エンジン車では、到底ありえない話だ。

TAG: #C40 #XC40 #ボルボ
ロールス・ロイス スペクターのフロントビュー
TEXT:小川フミオ
ロールス・ロイスのEV第1弾は国内価格4800万円から。スペクター海外試乗記

ロールス・ロイスの最新EV、「Spectre」(スペクター)は、パンテオングリルやスピリット・オブ・エクスタシーといったアイコンを継承している。とはいえ、0.25というCD値を達成するべく、空力を重視した造形へと進化しているという。守るべきは守り、変えるべきは変える。どんな時代にあってもベスト・オブ・ベストをユーザーへ提供するという彼らの姿勢が、スペクターにも明確に現れているようだ。 フライングレディも“空力仕様”に ロールス・ロイスはこれまで、ローマの神殿を模した「パンテオングリル」を大きく掲げたフロントマスクを特徴としてきた。「スペクター」は、過去最大のワイドさというパンテオングリルを備えるが、空力設計がなされている。 なにしろ、最終的に目標となった空気抵抗値は0.25(実現できた)。そのため、パンテオングリルも徹底的に空力的に考え抜かれた。縦のバーはすべて閉じられ、パンテオンの屋根にあたる部分は面とりをして、空気の剥離も追求されている。 室内のボタンで格納が操作できるラジエターマスコット、スピリット・オブ・エクスタシーの造型も、空力を考えてやり直されている。 「とにかく重要なのは、トリニティ(三位一体の意)。スピリット・オブ・エクスタシーと、バッジ・オブ・オナー(RRのエンブレム)と、パンテオングリル。ロールス・ロイスはこれだけはずっと守っていきます」 デザインディレクターのデンマーク人、アンダース・ワーミング氏の言葉だ。 「ロールス・ロイスのデザインにおいて、もうひとつ重要なのは、ディスティンクティブであること。つまり、他と違っていて、誰が見ても、ロールス・ロイスとわかるかたちです」 その一方で、ワーミング氏のチームは、「ファントム・クーペ」のような過去のクーペモデルに通じるプロポーションをなぞっている。車体と車輪の位置関係、短いフロントオーバーハング、長めのリアオーバーハング。ずっと続くテーマが今回も採用されているのだ。 日本での販売価格は4,800万円から オーナーのためにはビスポーク(特別注文)プログラムが用意されていて、1台と同じロールス・ロイスは路上にない、とまで言われるほど、オーナーは思い思いの仕様を注文することができる。 並行して、スペクターには、「スターライトドア」なる新しいオプションが用意された。ロールス・ロイスのオプションとしてこれまで、天井に星座をLEDで表現する「スターライト・ヘッドライナー」が採用されているが、さらに追加で車内を宇宙空間のようにすることができる。 身長180cmでも余裕で座っていられる後席空間が、上記の「星座」を楽しむ最適の場所だ。 700kgに及ぶ重量の大容量バッテリーのおかげで、航続距離は530kmを実現する。スペクターで長距離ドライブをしながら、暗くなってきたら車内でも星座が楽しめる。新しいかたちのインカー(車内)・エンタテインメントだ。 日本での価格は4,800万円から。さきに触れたとおり、ビスポークプログラムの内容は豊富なようなので、それを楽しむ手もある。BEV化しても、ロールス・ロイスは変わっていない。改めて思い知らせてくれるのだった。 <完> ロールス・ロイス スペクター 全長:5,475mm 全幅:2,144mm 全高:1,573mm ホイールベース:3,210mm 車両重量:2,890kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:23.6-22.2kWh/100km(WLTCモード) 一充電走行距離:530km(WLTCモード) 最高出力:430kW(585ps) 最大トルク:900Nm(91.8kgm) バッテリー総電力量:102kWh モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD 車両本体価格:4,800万円

TAG: #EV #スペクター #ロールス・ロイス #試乗 #電気自動車
ロールス・ロイス スペクターのフロントビュー。ドア開
TEXT:小川フミオ
ロールス・ロイスの最新EVはゴーストを思わせる乗り味。「スペクター」海外試乗記

ロールス・ロイスが送り出した最新のピュアEV、「Spectre」(スペクター)は、ゴーストの運転感覚に近い。米ナパバレーで開かれた試乗会に参加した著者はそう評する。電気で走るようになっても、グッドウッド流の巧みな“しつけ”により、ベスト・オブ・ベストな乗車体験をもたらす、まごうことなきロールス・ロイスに仕上がっているようだ。 ワンペダル走行も可能 ロールス・ロイスは、「スペクター」について、面白いことを言っている。「BEVを作ろうと思って開発したのでなく、ロールス・ロイスの新型車を作ろうと思ったのが、順番です」 トルステン・ミュラー=エトヴェシュCEOの言葉だ。 ただし、読者の方もご存知と思うけれど、ロールス・ロイスといっても、いまはモデルレンジが広い。ショファードリブンの「ファントム エクステンデッドホイールベース」もあれば、SUVの「カリナン」も。 スペクターの運転感覚が近いかなと思ったのは、「ゴースト」だ。サスペンション設計においては、見えない一点から車両が吊り下げられているイメージで設定するスカイフック理論が、ゴースト同様、「プラナー」サスペンションをフロントに持つスペクターに採用されている。 ドライビングする感覚は(車重はスペクターのほうが300kg以上重いが)ゴーストを思い出させた。大きさに関係なくカーブを曲がっていくのも、意外なほど楽しいのだ。 米国とはいえ、山岳路はわりと幅が狭く、車体全幅が2,144mmのスペクターだとやや緊張する。けれど、後輪操舵も適度に作用してくれているのだろう、すぐに操縦感覚は自分の手のものになる。 軽い操舵感覚だけれど、エンジニアリング統括のドクター・アヨウビが「路面からの情報はしっかり伝わるようにした」と言うとおり、どんな道でも不安はまったくなかった。 変速機には回生ブレーキを使ってワンペダル走行ができる「Brakeモード」ボタンが設けられている。ぱっとアクセルペダルを離すと、かなり強めの効きを示す。 カーブが連続する道ではBrakeモードは使いやすい場面もある。アクセルペダルをどれだけ戻して回生ブレーキを効かせるかは、慣れるしかない。下り坂では車重ゆえの慣性重量もあって、最初はやや緊張した。が、それもすぐ慣れた。 プリズム型バッテリーを採用 走行中の電気のフロー、つまり電力が前後モーターにどれぐらい振り分けられているかを、車内モニターでチェックできるかということについて、試乗のとき英国から来ていたロールス・ロイスのスタッフに確認したが、どうもうまく行かず(「見られない」という回答だった)。全輪駆動システムの視認はできなかった。 使っているバッテリーは、プリズムタイプ。四角柱を敷き詰めてある。セルをモジュール化してパックにいれ、それをシャシーに載せるという設計は、従来と同じだ。 プリズムタイプは、「BMW i7」と同様。BMWでは、発売を計画中のBEVプラットフォーム「ノイエクラッセ」(昔の1500シリーズのとき使われた名称を復活させた)において、円筒形タイプを使うとしている。 なぜ、円筒形とプリズムの両方? それをドクター・アヨウビに確認すると、「スペースの関係で」という答えだった。 「スペクターは、フロア高がうんと低いというのが設計要件だったし、側面衝突の安全性を考慮すると、一定のスペースが必要となるため、プリズム型を採用したのです。将来のことを今は言えません。ソリッドステートバッテリーを含めて、どれが最適か、市場で見ていくことになるでしょう」 Vol. 4へ続く ロールス・ロイス スペクター 全長:5,475mm 全幅:2,144mm 全高:1,573mm ホイールベース:3,210mm 車両重量:2,890kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:23.6-22.2kWh/100km(WLTCモード) 一充電走行距離:530km(WLTCモード) 最高出力:430kW(585ps) 最大トルク:900Nm(91.8kgm) バッテリー総電力量:102kWh モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD 車両本体価格:4,800万円

TAG: #EV #スペクター #ロールス・ロイス #試乗 #電気自動車
ロールス・ロイス スペクターのフロント
TEXT:小川フミオ
ロールス・ロイスはEVになってもロールス・ロイス。「スペクター」海外試乗記

ロールス・ロイス 「Spectre」(スペクター)は、5.5mの巨大なボディに102kWhのバッテリー、430kW/900Nmの2モーターを搭載するクーペEV。V12エンジンを積まなくとも、ロールス・ロイスらしさは健在なのか、否か。米ナパバレーで開催された試乗会で、その完成度を吟味した。 ロールス・ロイス流のEVの“しつけ方” 巨軀にかかわらず、静止から時速100kmまでを4.5秒で加速するスペクターを、ロールス・ロイスでは「ウルトラ・ラグジュアリー・エレクトリック・スーパー・クーペ」と呼ぶ。 これまでロールス・ロイス車を特徴づけていたのは、“粛々と”回るV型12気筒エンジンで、たとえば「ゴースト」の6.7Lエンジンは、1,600rpmで850Nmものトルクを発生する。 ほとんどアクセルペダルを踏み込まなくても、いやそれゆえに、というべきか、静かに、しかし力強く走れるのが、ロールス・ロイス車の身上だった。 「エフォートレス」(力がいらない)とか、「マジックカーペットライド」(空飛ぶじゅうたんのような乗り心地)は、ずっとロールス・ロイスがクルマづくりにおける身上としてきたもの。 スペクターにおいても、これら(水上を滑るように走る「ワフタビリティ」を加えて3つ)を守るのが開発の基本だったそうだ。 「静粛性は最大の贅沢だ、というのが、当時、ミスター・ロールス(ことチャールズ・スチュアート・ロールズ)が言っていたことで、ゆえに、電動化へのレールはずっと前から敷かれていたのです」 ここ10年のあいだにも、ロールス・ロイスではBEVのプロトタイプを手がけてきたと、ドクター・アヨウビは言う。 「開発にあたっての最大のポイントは、走るマナー。電気自動車はバッテリー容量を大きくしてモータートルクを増やすと、どうしても、どんっと、乗員がのけぞるような発進になりがちです」 それではロールス・ロイスではない、というのが経営陣の判断。そこで、「見えない巨人の手が後ろから車体をぐーっと押しだしてくれるような加速感を目指しました」(ドクター・アヨウビ)。 そのうちのひとつが、アクセルペダルのトラベル(踏み込み量)を長くしたこと。踏み込み量に応じて、ゆるやかにトルクが増していくような設定にしているのだ。 なるほど、私がナパバレー周辺の道でドライブしたときは、そのとおり、ゆるやか、だけど、力強い、そんな言葉で表現できる加速感が味わえた。 半年以上かけて「EVの音」を開発 そもそも、発進時や加速時は車重などまったく意識させない。BEVになっても「エフォートレス」という言葉どおりだ。 操舵の重さを感じさせない大径ハンドルに手をあてながら、アクセルペダルを踏み込んでみると、面白いぐらい、自分の感覚に忠実にクルマが前へと出ていく。 少しだけ踏み込めば、5.5mになんなんとする全長をもつ車体がそろっと進む。そこから踏み込んでいくと、目が回るような感覚で速度が上がっていくのだ。 このとき、サウンドデザインチームは、加速と減速を表現する音を用意している。高音、中音、低音の帯域を組み合わせたもので、踏み込む速度もパラメターにしながら、ドライバーの気持に沿った、いってみればドライビングの効果音を楽しめる。 最近は、加速にともなう音づくりを音楽家に依頼するケース(ルノーやマセラティ)があるが、ロールス・ロイスは社内で手掛けたようだ。 そのときは、小さいながら立派な機材のそろったホームスタジオまで持つほど、音楽が大好きなデザインディレクターのアンダース・ワーミング氏が、いろいろ意見したとのこと。 「ドライバーの感情を表現したくって、半年以上かけて、私たちが“これだ”と納得できる音を作りましたよ」(ワーミング氏) はたして、その音は、たしかに強めの加速のときはボリュームも上がり、低音と高音が混ざりあって気分を昂揚させる効果がありそうだった。ただ爆発的な高まりでなく、連続性が強調されている。 エンジンサウンドを模したものでもなく、モーターの音を強調したものでもない、とワーミング氏。ここにも手間をかけているのが、ロールス・ロイスなのです、という言葉を付け加えるのだった。 Vol. 3へ続く ロールス・ロイス スペクター 全長:5,475mm 全幅:2,144mm 全高:1,573mm ホイールベース:3,210mm 車両重量:2,890kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:23.6-22.2kWh/100km(WLTCモード) 一充電走行距離:530km(WLTCモード) 最高出力:430kW(585ps) 最大トルク:900Nm(91.8kgm) バッテリー総電力量:102kWh モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD 車両本体価格:4800万円

TAG: #EV #クーペ #スペクター #ロールス・ロイス #試乗 #電気自動車
TEXT:生方 聡
eKクロスEVは街乗りベスト!? [三菱eKクロスEV試乗記]

人気の軽ハイトワゴンをEVに仕立てあげたeKクロスEVは、日常の移動手段としてベストな一台といえるだろうか? 取り回しの良さが自慢だが、乗り心地には注文も 航続距離を長くするためには、駆動用バッテリーをたくさん積むのが手っ取り早い。それに適したボディとして、全長が4.5mを超えるSUVスタイルのEVがいま主流となっている。この流れに逆行するように、20kWhという必要最小限のバッテリーをコンパクトなボディに搭載するeKクロスEV。航続距離はたったの180kmだが、ふだん「フォルクスワーゲンID.4」を愛用する身には、eKクロスEVの小ささは実に魅力的だ。比較的細い生活道路も余裕をもって通り抜けられるし、狭い駐車場でも楽に駐められる。この手軽さ、運転するときのストレスの少なさはうらやましいかぎりである。 それでいて、これまでの軽自動車とは一線を画する上質な走りは、EV化の恩恵である。eKクロスEVは床下にバッテリーを搭載して低重心化を図ったことで、全高が1,670mmと高いわりに前後や左右のボディの揺れはよく抑えられており、カーブを曲がるときのロールも穏やか。一般道だけでなく高速走行時もおおむね落ち着いた動きを見せ、直進安定性も良好である。 ただ、路面が荒れてくると細かいショックを拾いがちで、サスペンションの動きにしなやかさが足りないのが惜しいところ。それでも乗り心地は十分に快適なレベルであるが、さらなる進化に期待したい。

TAG: #eKクロスEV #三菱
ロールス・ロイス スペクターのフロントビュー
TEXT:小川フミオ
ロールス・ロイスが提案する電気時代の高級車とは。「スペクター」海外試乗記

ロールス・ロイス初のピュアEV「Spectre(スペクター)」にいよいよ試乗する機会が到来。テストの舞台となったのは米ナパバレーだ。電気で走っても、ロールス・ロイスはロールス・ロイスたりえるのか。グッドウッドが生んだ最新電気自動車の実力に迫る。 創業者が見つめていた電気の可能性 ロールス・ロイス・モーター・カーズが、同社初の量産BEV「Spectre(スペクター)」を発表したのは、2022年10月。 そのとき私も、英グッドウッドにある本社で、世界各地からやってきたジャーナリストたちといっしょに、堂々たる雰囲気のクーペボディを見る機会があった。 なめらかなルーフラインをもつファストバックボディと、巨大なフロントグリルと、それに、もうすこしで派手すぎになるぎりぎりの華やかな内装の仕上げに感心したものだ。 「(ロールス・ロイス創始者のひとりである)ヘンリー・ロイスは、父が電気エンジニアの家庭に育ち、自身、電気で走るキャリッジ(クルマ)の可能性について、つねに言及していました」 発表会の場で、同社のトルステン・ミュラー=エトヴェシュCEOは、そう語った。 EU委員会をはじめとする各国の排ガス規制や、地球環境保全(サステナビリティ)をうんぬんする以前から、ロールス・ロイスは、自社の製品のパワートレインとして電気モーターがふさわしいと考えていたといわんばかりだった。 BMW i7とは「まったく違うクルマ」 はたして、2023年7月に、米西海岸のナパバレーで、ついに実車の試乗がかなった。 サンフランシスコの空港から送迎用のゴーストで2時間かけて走っただけでも、ぜいたくなドライブだが、着いたホテルに並べられていたスペクターの姿はさらに圧倒的だった。 スペクターは、全長5,475mmのボディを3,210mmのホイールベースをもつシャシーに載せている。102kWhのリチウムイオンバッテリーに、2つのモーターを組み合わせた全輪駆動だ。 おなじBMWグループから、さきに発表された「BMW i7」(2022年4月)との関連性は、常にさまざまなメディアから質問されるようだ。 「靴を履くとかジャケットを着るとかいっても、10人いれば10人が違うように装うのと同じで、まったく違うクルマです」 開発のトップを務めるドクター・ミヒア・アヨウビは言うのだった。 もうすこしちゃんと説明すると……と、ドクター・アヨウビは続ける。 「シャシーがまったく違います。i7はモノコックですが、スペクターは、私たちが“アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー”と名づけたアルミニウムの押し出し材を使ったスペースフレームですから」 じゃあ、どっちが優れたクルマかというと……ドクター・アヨウビは、私が質問してもいないことについても言及する。 「たしかにi7は、私の意見では、現在世界中の競合車種のなかでもっともよく出来た、優れたBEVです。じゃ、スペクターはその下かというと、こちらももっとも優れている。ただし2車は別の次元に存在するのです」 せっかくだから、「BMW i7 xDrive60」の概略を比較すると以下のようになる。ボディはそもそも4ドアのセダン。全長5,391mm(スペクターが84mm長い)でホイールベースは3,215mm(同5mm短い)。 パワートレインの出力は、スペクターが最高出力430kW、最大トルク900Nmであるのに対して、i7は400kW、745Nm。静止から時速100kmまでの加速は、i7が4.7秒、対するスペクターは(車重が2890kgあるけれど)4.5秒である。 Vol. 2へ続く ロールス・ロイス スペクター 全長:5,475mm 全幅:2,144mm 全高:1,573mm ホイールベース:3,210mm 車両重量:2,890kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:23.6-22.2kWh/100km(WLTCモード) 一充電走行距離:530km(WLTCモード) 最高出力:430kW(585ps) 最大トルク:900Nm(91.8kgm) バッテリー総電力量:102kWh モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD 車両本体価格:4800万円

TAG: #クーペ #スペクター #ロールス・ロイス
TEXT:生方 聡
軽の枠からはみだしたeKクロスEVのパフォーマンス [三菱eKクロスEV試乗記]

660ccのガソリンエンジンに代えて、最高出力47kWの交流同期モーターを手に入れたeKクロスEVの走りにはどんな特徴があるだろうか。 パワートレインが変わるだけで、車はここまで高級になる 「eKクロスEV」に搭載される交流同期モーターは、最高出力47kW、最大トルク195Nmの実力を誇る。ガソリンエンジンの「eKクロス T」の660ccターボが47kW、100Nmだから、最高出力こそ同じ数字だが、最大トルクはほぼ倍である。しかも、eKクロスEVのモーターはその最大トルクを0rpmから発揮できるのが強みなのだ。 eKクロスEVには3つの走行モードが用意され、標準的な「NORMAL」に加えて、電費重視の「ECO」と、力強い加速が自慢の「SPORT」を選ぶことができる。このうち、もっとも穏やかなECOを選んでも、発進加速には余裕が感じられ、パワートレインのスムーズさや静かさも手伝って、高級車顔負けの気持ちよさを味わうことができる。 しかも、エンジン車と違って、アクセルペダルを踏む右足の動きに即座に反応するからストレスとは無縁であるし、アクセルペダルを踏み込んで素早い加速をする場面でも室内にエンジンノイズが響きわたらないEVは、常に心地よくドライブできるのがうれしいところだ。60km/hを超えたあたりから多少加速が鈍るものの、高速道路の合流などでもたつくことはなかった。 走行モードをNORMALやSPORTに切り替えると加速はさらに力強くなるが、ふだん運転するうえではECOだけで十分だった。

TAG: #eKクロスEV #三菱

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