擬似エンジン音を聴くことができるEVが登場! 純粋なガソリンエンジンの音は、疾走感やエモーショナルな高揚感、自分とクルマとの一体感などを高めてくれるものとして、大きな役割を果たしてくれました。古くから「名機」と愛されたエンジンには、やはりその音が好きだというファンも多かったように思います。 R32こと日産スカイラインGT-Rに搭載されたRB26DETT。究極の自然吸気エンジンとの呼び声高い、ホンダS2000に搭載されたF20C型直列4気筒DOHC・VTEC。世界初の量産ロータリーエンジンの独特な音色が響く、マツダRX-7に搭載の13B-REW型などなど。人それぞれお気に入りの音があることでしょう。 しかし、電動化車両、とくに100%ピュアEVともなると、「静かさ」を魅力のひとつとして強調しているモデルがほとんど。エンジンの音がなくなったことで、風切り音やロードノイズ、モーターの音などが目立つようになり、それさえも室内から排除しようとあの手この手で防音対策が取られています。 そうした音のない世界で「走っている」という実感やリニア感を感じるには、加速Gや減速Gがもっとも大きな要素となっているのではないでしょうか。モーターで無段階にスルスルと加速していくなかでも、自分のペダル操作でそれらのGを作り出し、「自分はいま、このクルマと一緒に走っているんだ」と思い込むことができる環境を作ろうとしているのかもしれません。 そんななか、近ごろではEVなのに擬似エンジン音を聴くことができるモデルが登場しています。しかも、メーカーが率先して音にこだわり、魅力のひとつとして打ち出しているのです。代表的なモデルでは、アバルト500eやヒョンデIONIQ 5 N。 まずアバルト500eは、何も知らずにシステムをONにするとギョッとしてしまうくらい、地響きかと思うようなド派手な音が轟きます。深夜の住宅街や地下駐車場なんかだったら、きっと周囲の目が気になることでしょう。