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75年の時を超えて現代に蘇りし「ワーゲンバス」
いまから75年前というはるか昔のデビューながら、いまだ根強い人気を誇っているフォルクスワーゲンのアイコニック的存在、フォルクスワーゲンType2。ニックネームの「ワーゲンバス」のほうが多くの方にとっては思い浮かべやすいだろうか。
100年に1度の転換期と呼ばれる現代において、そのワーゲンバスがBEVのフルサイズミニバン「ID.Buzz」に生まれ変わって日本へ上陸した。
と大上段に構えたものの、その源流となるコンセプトカーが登場したのは2017年。そしてフォルクスワーゲンの母国ドイツで生産車が発売されたのは2022年11月のことだから、日本へ正式に導入されるまでずいぶんと待たされたというのが本音だ。
発表会では、舞台上にご先祖様であるType2が鎮座し、その隣へ末裔のID.Buzzが迎え入れられる格好で登場した。
ホイールベースの異なるふたつのグレードが設定され、装備はもちろん、価格もバッテリー容量も異なることから、それぞれのグレードについて豊富な内外装の画像とともにお伝えしていきたい。
見た目はポップに中身は真面目に
晴れて日本の地を踏んだID.Buzzは、ドイツのハノーバーにあるフォルクスワーゲン商用車部門の工場で生産され、現時点で日本市場で購入可能な唯一のミニバンタイプの電気自動車だ。「MEB(モジュラー・エレクリックドライブ・マトリクス」を土台に設計されたID.Buzzは、2022年11月に日本へ導入された電動SUV「ID.4」に続く、フォルクスワーゲンのEV第2弾で、フォルクスワーゲンのeモビリティ戦略を推進する重要な役割を担っていくという。
エクステリアデザインは、先祖にあたるワーゲンバスの要素がふんだんに取り入れられている。切り詰められたフロントオーバーハングに、フロントマスクに鎮座する巨大なVWロゴ、ワーゲンバスではV字型に塗分けられたフロント部分をID.Buzzではボディパネルで表現するなど、安全基準が大きく異なる現代においてよくぞここまでワーゲンバスの要素をデザインに落とし込んだものだと感心する。
インテリアは、フォルクスワーゲンらしく質実剛健な造形のなかにポップな印象を与える色味やパネルを用いているが、外見ほどのユーモアさはなく、むしろ真面目に作られている印象を受ける。
6人乗りのノーマルホイールベース仕様(NWB)は2列目にキャプテンシートを採用し、センターウォークスルーを可能にしている。一方の7人乗りロングホイールベース仕様(LWB)は、2列目がベンチシートタイプになっている。
シートは厚みのあるクッションで構成され造りもガッシリとしており、ドイツのミニバンらしさを感じるポイントだ。その分シートアレンジに多少力を必要とする部分もあるが、それゆえのガッシリ感なのだからトレードオフの関係性と考えたい。
運転席と助手席の間には「ID.Buzzボックス」と呼ばれる脱着可能な収納ケースが装備されている。
取り外すと6人乗りのNWB仕様の場合、1列目から3列目までウォークスルーが可能になる。使用目的に応じて臨機応変にアレンジしたいところだ。
両手が塞がった状態でもドアを開け閉めすることができるイージー・オープン&クローズ機能を搭載したテールゲートを開けると、実用的な荷室空間が広がっており、3列目を畳めば荷室のアッパーボードからフラットな空間を作り出すことができる。
なお、LWB仕様の場合は3列目シートを脱着することで、荷室積載量を最大2469リットルまで拡大することが可能だ。