三菱 記事一覧

TEXT:TET 編集部
日本のEV普及に大貢献! 軽EVの「三菱ekクロスEV」と「日産サクラ」が約2年5か月で生産累計10万台を販売

日本の脱炭素時代の理想的モビリティ 三菱自動車は、2024年9月27日、同社の水島製作所で生産している軽乗用EV「三菱eKクロスEV」と「日産サクラ」を合算した生産累計台数が10万台に達したと発表。 軽乗用車規格のBEVである「三菱eKクロスEV」と「日産サクラ」は、日産と三菱自動車の合弁会社NMKVの企画・開発マネジメントにより生み出され、2022年5月の生産開始から約2年5か月で生産累計台数10万台を達成した。 「三菱ekクロスEV」と「日産サクラ」は、ともに2022年5月20日の発表と同時に先行受注を開始した。それから約3週間後に両社が発表した受注台数は、「三菱ekクロスEV」が850台の月販売目標に対しおよそ4倍となる約3400台を受注。 一方の「日産サクラ」も約1万1400台を受注するなど、同年6月16日の販売開始を前に好調な出だしをみせた。その後は半導体不足による納期長期化の影響からか、やや受注のスピードは鈍化したものの、「日産サクラ」は発売から約1年1か月で受注5万台を突破。 それからさらに約1年4か月の時を経て、2024年9月27日に両モデルの合算生産累計台数が10万台に達したのだから、「三菱ekクロスEV」と「日産サクラ」の人気は不動のものといえるだろう。 国内自動車メーカーのなかでも、早くからBEV/PHEVのプロダクト化を進めてきた三菱自動車と日産。その知見が結集された「三菱eKクロスEV」と「日産サクラ」は、2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーの受賞をはじめ数々の自動車賞典を受賞し高い評価を受けている。 それに加えて、日本が脱炭素時代に向けて歩みを進めるうえで、両モデルは理想的なモビリティであるとの市場評価を受けていることが、人気の理由ではないかと三菱自動車は分析している。 三菱自動車は生産台数累計10万台を達成したことを受け、「日産とのパートナーシップの象徴的モデルである『三菱eKクロスEV』と『日産サクラ』のさらなる生産品質向上に取り組み、より多くのお客様にお届けしてまいります」とコメント。 現実的なライバル不在の軽乗用EVにあって、当面この2モデルの人気は衰えることがなさそうだ。

TAG: #eKクロス EV #サクラ #三菱自動車 #日産 #軽EV
TEXT:TET 編集部
ミニキャブEVを日本郵便から3000台の大量受注! 郵便配達を支え続けた11年の三菱の実績が実る

先代「ミニキャブミーブ」の納入実績は驚異の5000台以上 2024年7月8日、三菱自動車が日本郵便から集配用の車両として、同社のワンボックスタイプ軽商用電気自動車「ミニキャブEV」を3000台受注し、2024年秋から順次納入を開始すると発表した。 日本郵便には「ミニキャブEV」の先代モデルである「ミニキャブミーブ」を、2013年から5000台以上納入してきた実績がある。そのミニキャブミーブは、2023年12月に新型の「ミニキャブEV」に進化を遂げ、駆動用バッテリーは電池容量を旧型比で25%向上させたほか、モーターとインバーターを一体化構造にするなど、効率向上を図って航続距離を35%向上させている。 今回の新型ミニキャブEVの大量受注に至った背景には、これまで約11年にわたって従来型のミニキャブミーブを使用してきた実績と、それに基づいた性能向上が盛り込まれたモデルチェンジが為されていること、この2点が大きく影響しているはずだ。 何せ先代ミニキャブミーブは12年間で約1万3000台が製造され、そのうち5000台以上が日本郵便に納入されているのだから、三菱自動車が大口顧客にとって使いやすいクルマに仕上げ、再度受注を狙ってくるのは当然のことであろう。 「ミニキャブEV」は、ルート配送に十分な航続距離180km(WLTCモード)を実現している。大容量の荷室空間をもち、重い荷物を積載した場合でも、滑らかで力強いモータードライブでキビキビと走行することができる。 さらに、CO2を含めたガスをまったく排出しない環境性能だけでなく、閑静な住宅街での集配でも音を気にする必要のない静粛性の高さや業務時間内の給油の手間を省ける利便性などが、日本郵便では好評を博しているという。ラストワンマイルの課題解決に貢献するとともに、温室効果ガス排出量の削減を目指す日本郵便の環境マネジメントの推進にも寄与するという。 三菱自動車の加藤隆雄社長は、日本郵便へのミニキャブEV大量納入にあたって、次のようにコメントしている。 「現在、世界中で急速に進んでいる脱炭素社会にむけた取り組みへの対応を求められています。この度、日本郵便さまより新たに3000台のご契約をいただいたことは、長年ご使用されるなかで高い評価をいただけた結果と認識しており、大変ありがたく思います。今後も当社は、電動車の開発・生産・販売を行うだけでなく、電動車への共感を広げる活動を通じて普及活動に取り組み、持続可能な社会の構築に貢献していきたいと考えております」 日本郵便では集配用車両の電動化だけでなく、日頃、各家庭に郵便配達を行うバイクの電動化も急速に進めている。住宅街でひっきりなしにストップアンドゴーを繰り返すバイクの音は、少々耳障りに感じる面もあったが、電動化により劇的に騒音が改善されたと感じている。ルート配送の集配車両であっても、全国津々浦々に郵便局を構える日本郵便だけに、EVによる騒音低減は我々の住環境にとって非常に効果的でありがたい。 業界に先駆けEVの軽商用車を設定した三菱自動車と、それを今日も変わらず採用を続ける日本郵便の姿勢を評価したい。

TAG: #ミニキャブ・ミーブ #ミニキャブEV #三菱 #日本郵便 #軽商用EV
TEXT:TET 編集部
SUVルックの軽EVは唯一無二の存在! 三菱「eKクロスEV」が一部改良で魅力マシマシに

主な変更点は「利便性」と「安全性」の向上 三菱の軽自動車のなかでも、トール系の「スペース」にハイト系の「ワゴン」、さらにクロスオーバーモデルの「クロス」まで幅広いライアンナップを誇るeKシリーズ。そのなかで唯一のEVモデル、「eKクロスEV」が、利便性や安全性を向上するなど一部改良を施し、2024年5月16日から全国の系列販売会社で販売を開始した。 「docomo in Car Connect」採用でスマホからドアロック/解錠が可能 今回の改良により、定額制の車内Wi-Fiのインターネット接続が可能となった。これは「MITSUBISHI CONNECT」に登録の上、別途NTTドコモが展開する自動車向けインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」に加入契約することで利用できるようになるもの。これによりデータ通信量を気にすることなく、車内でオンライン動画や音楽ストリーミング、ゲームなどを楽しむことができる。 このWi-Fiには同乗者も同時に接続できるため、例えば家族でドライブに出かけた際に子どもたちはゲーム端末やタブレットを、助手席の同乗者は出先のグルメ情報を検索し、その日に撮ったばかりのムービーを移動中にストレージへアップロードするなんていう使い方ができる優れものだ。 また、「MITSUBISHI CONNECT」自体の機能向上も見逃せない。スマートフォンアプリを使って遠隔でさまざまな操作が可能な三菱独自のコネクティッドサービスだが、新たにリモートドアロック/アンロック機能が追加され、それまでのリモートエアコン(遠隔でのエアコンのオン/オフ)や駐車位置確認などの機能と併せて、日常での使い勝手が一層向上している。 急ブレーキでストップランプが高速点滅! 次に安全性の向上についてみていこう。 運転支援機能「三菱e-Assist」を搭載し、サポカーSワイドに対応している「ekクロスEV」の安全機能をさらに強化し、エマージェンシーストップシグナルシステムを新たに採用した。これは、急ブレーキをかけたときやABSが作動したときに、自動的にストップランプが高速で点滅するもので、後続車に対する注意喚起に効果的な機能だ。 そのほか、マルチアラウンドモニターをPグレードに、リヤビューモニター付きルームミラーをGグレードに標準装備し、車両後方の視認性が向上しているのも改良ポイント。 一部改良モデルの常で、ボディ色の追加も行われている。新色として、2トーンのアッシュグリーンメタリックとホワイトソリッドの組み合わせ(有料色/税込み8万2500円)、ライラックピンクとブラックマイカの組み合わせ(有料色/税込み6万500円)、さらにモノトーンのアッシュグリーンメタリック(有料色/税込み3万3000円)が追加された。これにより「ekクロスEV」のボディカラーは既存のものと合わせて、2トーンとモノトーンが各5色の計10色展開となった。 補助金を含めたら実質約200万円は魅力的 これらの改良が加えられた「e KクロスEV」の車両本体価格は、Pグレードが税込み313万1700円、Gグレードが税込み256万8500円となる。令和5年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の対象になっているので、55万円の補助金を受けた場合の実質的な車両本体価格は、Pグレードで税込み258万1700円、Gグレードは201万8500円になる。地域によっては自治体からの補助金を活用することで、さらに安く購入することができるかもしれないので、エンジン車の軽自動車と総額で比較検討してみることをお勧めしたい。 なお、今回の改良ではEVとしての基本性能は据え置かれており、1回の充電で走行できる距離は180km(WLTCモード)と変わらない。だが、三菱によれば軽自動車およびコンパクトカーユーザーの約8割は、1日当たりの走行距離が50km以下であることから、一見180kmという短めに感じる航続距離であったとしても、大半のユーザーは2日間充電せずに走行できる想定となり、自宅充電さえ整備されていれば大変リーズナブルに所有することができるのだ。 クリーンになりがちなEVのデザインにあって、「eKクロスEV」は軽自動車であることに加えアウトドアテイストも感じさせるSUVルック。唯一無二の存在なだけに、今回の改良でさらなる登録台数の増加に期待したい。

TAG: #eKクロスEV #マイナーチェンジ #三菱 #軽EV
TEXT:TET 編集部
三菱が新型軽商用EV「ミニキャブEV」を2023年12月に発売

新型は「ミニキャブEV」と名を改めて登場! 三菱自動車工業は、2023年12月21日(木)より新型「ミニキャブEV」の販売を開始する。 「ミニキャブEV」はワンボックスタイプの軽商用EV。12年間で約1万3000台(2023年10月末時点)の販売実績を持つ「ミニキャブ・ミーブ」がベースとなっている。 駆動用バッテリーは電池容量を約25%向上。また、モーターとインバーターを一体化構造とするなどモーター効率を向上、航続距離を約35%向上させ180km(WLTCモード)とした。 AC200V(15A)での普通充電では約7.5時間で満充電となる。急速充電の場合、約42分で80%までの充電が可能だ。 新採用のモーターによって、走り出しから最大トルクの195N・mを発生。荷物を積んで重くなった状態でも、電気自動車ならではのスムーズかつ力強い走りでストレスなくキビキビと走行することができる。 また、新型モーター・インバーターを採用するとともに一体化構造とすることで、先代モデルよりさらに高い静粛性を実現。 前後ショックアブソーバーについては減衰力特性を見直し、乗員の乗り心地の向上とともに、キャビンの揺れを抑制して荷物への負担を軽減。 さらに、回生ブレーキを積極的に活用するBポジション時の回生力を強めることで、実用電費を向上させた。 安全機能も充実。衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM]や車線逸脱警報システム[LDW]、オートマチックハイビーム[AHB]、誤発進抑制機能(前進時)[UMS]などの予防安全技術「三菱e-Assist」を採用し、サポカーSワイドに対応した。 また、急な坂道で発進時の後退を防止するヒルスタートアシスト[HSA]も追加。 機能装備は、電気を車両からいつでも取り出せるアクセサリーコンセント(AC100V、最大1500W)をフロアコンソール背面に設定。 インストルメントパネルには、充電用USBポートのタイプCとタイプAをメーカーオプション設定した。スマホトレイが併設されているのもうれしい。 車両価格は2シーターが税込み243万1000円、4シーターが248万6000円。 航続距離の向上や安全装備・機能装備の拡充を図りながら、価格は先代モデルと同等に抑えられた。

TAG: #ミニキャブEV #商用車
TEXT:西川昇吾
災害に強いクルマは「PHEV+SUV+4WD」! 特務機関NERVがアウトランダーPHEVを選ぶ当然の理由

ジャパンモビリティショーにNERVのアウトランダーPHEVが登場 ジャパンモビリティショーの三菱ブースにはさまざまな電動車が並べられていた。そこには現行のプラグインハイブリッドモデル、アウトランダーPHEVの姿もあった。そのうちの1台が特務機関NERV災害対策車両だ。代表の石森氏曰く、災害対策車両としてプラグインハイブリッドは最適な選択だと語る。 特務機関NERVとは? そもそも、特務機関NERVと災害対策車両の役割とは何なのか? もともとX(旧Twitter)アカウントで地震情報などを発信していた特務機関NERVだが、現在の活動はXでの情報発信に留まっていない。一般向けにリリースされている自社開発の防災アプリの運用や法人企業向けの災害情報の二次配信など、防災、災害に関する情報発信を行っている。さらにキキクル通知サービス協力事業者として認められていたり、政府の災害対策委員会などにも参入していたりする。その必要性は、一般人はもちろん行政も認めている存在なのだ。彼らは災害時に必要なライフラインと言える存在であろう。 そんな彼らがあらゆる状況下でも、多くの人にとってのライフラインである情報発信を確実に行うために用意された車両がこの災害対策車両なのだ。この災害対策車両は「防災情報配信サービスの継続」と「近隣自治体への支援」を目的とした車両。彼らは東京に本拠地を置くが、もしも関東大震災のような大きな災害が東京で起きた場合でも、安全な場所に移動して情報発信という彼らの社会的任務に務め続ける。そんな動く災害情報発信局がこの災害対策車両なのだ。 災害対策車両に適した三菱のプラグインハイブリッド なぜ災害対策車両に導入したのがアウトランダーPHEVだったのだろうか? その最大の理由はプラグインハイブリッドにあったと石森氏は語る。 「当初は防災対策を施した建物に移転することなども考えたのですが、それだと予算的にもかなりハードルが高かったんです。そこで、移動しながら電源を確保できるプラグインハイブリッドに目を付けました。電気とガソリン、両方のエネルギーでライフラインが復旧する一定時間までの電源をプラグインハイブリッドならば確保できる。この点が大きかったですね。そして三菱自動車の四輪駆動車ということ、これは災害時に移動ルートが不安定な状況でも、高い悪路走破性を有しているのは心強いポイントです」。 アウトランダーPHEVには総電力20kWというバッテリーが備わっている。このバッテリーを活用すればガソリン満タンで一般家庭の最大約10日分(V2H機器を介さない場合)の電力の供給が可能だ。そこに高い悪路走破性が備わっている。災害時に電源と機動性を確保できる車両としてこれ以上の選択肢はないだろう。 2019年に先代アウトランダーPHEVを災害対策車両の初号機、弐号機として導入した。現在は車両が入れ替えられており参号機のエクリプスクロスPHEVと四号機の現行アウトランダーPHEVという2台体制になっている。 災害対策車両は動く災害情報発信局 ジャパンモビリティショーには四号機となるアウトランダーPHEVが展示されていた。参号機のエクリプスクロスPHEVが展示されてないのは会期中のもしもの災害に備えるためだ。大幅な改造は施していないが、ラゲッジスペースに搭載されている装備は災害時を考えたものばかりだ。 ラゲッジスペースには内閣府準天頂衛星システム戦略室から貸与された衛星安否確認サービス「Q-ANPI」や、スターリンク衛星を利用したインターネットシステムなどが搭載されている。これにより、地上で電源が失われ携帯電話の通信ができなくなるなどのオンライン環境が途絶えた状態などでも通信環境を確保することが可能となっていて、情報の受信と送信が出来るような備えがされているのだ。 また、情報発信業務を行う職員たちの食料なども用意されている。この災害対策車両は、あらゆる状況でも情報発信をし続けるような対策がハード面、ソフト面、両方で施されているのだ。 災害対策車両を参考にする団体も現在ではこの災害対策車両を参考にして、災害時にライフラインや機動力の確保する車両を導入する動きが道路公団や各地方自治体で始まっているという。 実際に自治体での防災訓練などにもこの災害対策車両は参加しているとのこと。アウトランダーPHEVは約600万円と決して安くはない価格だが、「特務機関NERVが導入しているならアウトランダーPHEVという選択は予算の無駄遣いではない」そんな理由で市民や組織の理解が得やすいといった例もあるようだ。それは特務機関NERVが世間的に認められている証拠の一つと言えるだろう。 高い悪路走破性、ライフラインが断絶しても長期間電源を確保できるプラグインハイブリッドシステム、災害に備える上で、これ以上に最適なクルマはない。自然災害は年々脅威となりつつあるが、万が一の場合に備えて、この災害対策車両を参考にするのは今後の防災のトレンドとなり得るかもしれない。

TAG: #PHEV
TEXT:御堀 直嗣
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

TAG: #i-MiEV #リーフ #三菱 #日産
バッテリキューブ(photo=日立製作所)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
トレーラー型の緊急用バッテリー登場……三菱・日立、使用済みバッテリーの再活用を事業化へ[2023.09.29]

EVで10年使用したバッテリーはその後20年間の使用が可能 V2X用のバッテリーに移動機能を加えれば活用方法が拡大 【THE 視点】三菱自動車と日立製作所は、電動車の使用済みリチウムイオン・バッテリーを活用した可動式蓄電池「バッテリキューブ」の共同実証を9月25日より開始した。「アウトランダーPHEV」に搭載されていたバッテリーを「バッテリキューブ」に搭載し、その実用性を検証する。 検証内容は、広域災害等による停電を想定し、日立ビルシステムのV2Xシステムと「バッテリキューブ」を「CHAdeMO」に対応したV2Hコネクタを介して接続し、日立標準型エレベーター「アーバンエース HF」を駆動するというもの。実績のあるV2H機能搭載の電動車からの給電に加え、バッテリキューブからの給電を組み合わせることで、災害時の継続的なバックアップ電源の確保を目指す。 三菱と日立はそれぞれ、電動車のバッテリーのリユースと「バッテリキューブ」を2024年度に事業化することを目指しており、双方が連携して企業や自治体などへの導入を推進していく。 また、再生可能エネルギーの有効活用に向けて、電動車や「バッテリキューブ」と太陽光パネルなどを連動させるエネルギーマネジメントの共同実証も行なう予定。さらに、電動車バッテリーを再利用するだけでなく、その後の再資源化も検討し、電動車のバッテリーのサーキュラーエコノミーの実現をめざす。 三菱はこれまでも、電動車バッテリーの寿命を延ばすことに加え、リユースバッテリの活用を進めてきた。2023年4月からは岡崎製作所(愛知県岡崎市)に「アウトランダーPHEV」の使用済みバッテリーを活用した自律型街路灯を設置し、実証実験を行なっている。 日立は、株式会社日立ハイテクとともに「バッテリキューブ」の事業化の検討を進めている。2023年6月にはセブンイレブン・ジャパンと連携し、バッテリキューブを「セブンイレブン三郷彦成2丁目店」に設置し、実証実験を開始している。また、日産の「サクラ」「リーフ」の電源でエレベーターを稼働させる実証実験も実施しており、緊急電源としてのEVの活用を模索している[関連記事はこちら<click>]。 今回登場した「バッテリキューブ」は、キャンピングカーのように牽引式なのが特徴。実証はエレベーターで行なうが、企業のオフィスや医療機関、そしてEVの“電欠のお助け隊”やイベント時の電源として、電気を必要とするあらゆる場面での活用が可能だろう。 このようなシステムが普及すれば、建物には「V2Xシステム」だけを備えれば定置型を持たずに済むことになる。必要に応じて「バッテリキューブ」に頼れば良いのだ。 複数の建物を所有する企業でも、これ1台さえ備えておけば建物ごとに低置型を設置する必要がなくなるのではないだろうか。V2Xに不可欠な蓄電池として備えておいても、緊急時にバッテリーだけを運び出せるメリットは大きいだろう。 リチウムイオンバッテリーの自動車での寿命はおよそ10年と聞くが、二次利用時にはそこから20年使えるという。このように自動車としての寿命を迎えたバッテリーが再利用できる用途は今後どんどん増えていくと思われる。先日のデイリーでも伝えたが、用済みでも生きているのだ[関連記事はこちら<click>]。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ホンダ、「N-VAN e:」をWEBで公開 ……「N-VAN」のEVモデルを公式WEBで先行公開した。助手席までフルフラット化できる室内の機能性を保持した上でフル電動化。最高出力6kWの普通充電に対応し、外部給電機能も持つ。発売は2024年春の予定。 ★★オムロン、マルチV2Xシステム「KPEP-Aシリーズ」を改良 ……2023年5月に発売した本製品の機能を向上した。太陽光発電や蓄電システムを備えている住宅に併設することで、EV・蓄電池・太陽光発電を統合的に運用することができる。 ★★メルセデス・ベンツ、自動運転レベル3がアメリカで承認 ……米カリフォルニア州/ネバダ州から認定を受けた。レベル3の自動運転に対応した「ドライブ・パイロット」機能を持つ「EQSセダン」を、2023年後半に発売するという。 ★富士吉田市で自動運転EVバスの実証実験 ……山梨県・富士吉田市で、ボードリーの小型自動運転EVバスの実証実験を行なう。走行ルートは富士急行下吉田駅〜旧外川家住宅で、期間は10月21日(土)〜11月10日(金)。 ★小型EVのベクトリクスと東京海上が協業へ ……ベクトリクス・ジャパンが10月1日に発売する三輪の商用EVバイク「I-カーゴ」のサポート体制を東京海上日動火災保険と構築する。整備ネットワークの拡充や専用の保険商品の開発などを行なっていく。 ★中部電力とアークエルテクノロジーズ、商用EVの充電マネジメントサービスを開始 ……EVの路線バスや配送トラックの運行計画や位置情報、電池残量などをリアルタイムで収集し、最適な充電プランを自動で組み立てるシステム「オプチャット」を開発した。急速充電の最適な活用による車両稼働率の上昇が期待できるという。 ★生協、福岡西支部の配送者を全EV化 ……一般社団法人グリーンコープ共同体に所属するグリーンコープ生活協同組合ふくおかは、福岡西支部の車両全48台をEVに置き換える。同支部はすでに、配送用のトラック36台と移動販売車1台をEVに置き換えている。 ★エネチェンジ、EVの充電時間を指定する社会実験を実施 ……電力シェアリング/サイバー総研と共同で実施する。エネチェンジのユーザーに指定時間帯での充電を促すことで、太陽光発電の余剰電力を活用し電力の安定化を図る実験となる。事前登録制で、9月28日(水)〜10月22日(日)の期間で1,000人を募集する。 ★テスラ、「モデルY」の特別試乗施策を実施 ……SUVの「モデルY」を2日間無料で貸出す試乗キャンペーン「ドライブ・ウィズ・テスラ」を実施する。応募帰還は9月27日(水)〜10月23日(月)で2組分を用意。宿泊先は「ホテル・ヴィソン」<三重県多気町>となる。  ▶︎リコール◀︎「日産・アリア」 ……駆動用モーターを制御するインバータに異常。警告メッセージの誤表示とともに走行不能になるおそれ。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.29]

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三菱ふそう・eキャンター(photo=三菱ふそうトラック・バス)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
900台が実戦配備……ヤマト運輸、「三菱ふそう・eキャンター」を導入し電動化も一歩前へ[2023.09.20]

三菱ふそう側も前例のない大規模導入で業界への影響は必至 その数字が物語るのは「eキャンター」の完成度の高さか 【THE 視点】三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は、EVトラック「eキャンター」をヤマト運輸に900台納入すると発表した。新型の「eキャンター」としては初導入となる。 ヤマト運輸は、2017年に従来型の「eキャンター」を25台を導入し、宅急便などの集配業務で活用してきた。それらの実績を踏まえ、今年3月9日に発売した第3世代目の新型「eキャンター」の大規模導入を決定した[関連記事はこちら<click>]。9月より全国に順次導入していく。 導入車両は、ドライ・冷蔵・冷凍機能の3室を備えた「標準キャブ仕様」で、電池容量は同社の仕様の中で最小の41kWhとなる。 新型で新たに追加した「標準キャブ仕様」は、キャブ幅が最も狭く小回りが利くため、街中での配送に適している。最高出力110kW(150ps)・最大トルク430Nm(43.9kgm)で、最高速度89km/h、急速充電の使用で最短40分で90%まで回復でき、普通充電(最高出力6kW)は8時間で満充電にできる。航続距離は116km(国土交通省審査値)。 またMFTBCは、新型「eキャンター」の専用リースプラン「FUSOグリーンリース」の提供も開始した。車両本体の費用/コネクテッドサービス「トラックコネクト」/フルカバーメンテナンスサービス/充電器と充電器設置費用/任意保険料がプランに含まれる。 フルカバーメンテナンスサービスでは、車両のメンテナンスに加え、ロードサービス費用/電欠時の代替輸送費用の補償サービス/充電管理システムも利用できる。今回のヤマトの導入はこのプランを利用しての導入となる。 「eキャンター」は、2017年の発売以降世界各国で450台程度販売されたと伝えられている。今回は、その数を大きく上回る台数がヤマト運輸に納入されることになる。 ヤマト運輸は、これまでにもドイツ・ストリートスクーター社のEVバンを500台導入したり、「日野・デュトロZ EV」を導入してきた経緯がある。 しかし今回の900台という数字は、実験という意味合いはなく本格的な実践配備と理解できる数字である。「eキャンター」自体の使いやすさや信頼性、高い完成度がなければ、このような台数を決断できないだろう。筆者はまだ「eキャンター」に乗ったことはないが、相当のクオリティを持つEVトラックとなっていると想像できる。 今回のヤマト運輸の決断は、同業他社のEVトラック導入に拍車をかけると予想している。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★トヨタ、EVの開発現場を公開 ……「ものづくりワークショップ」でEV関連の製造設備を持つ工場を公開した。貞宝工場に製造設備をもち、2028年までの実用化を目指している全固体電池は、量産工法の最終段階だという。元町工場では「BEVハーフ構想」の具体例を示した。車体をフロント/センター/リヤに分けて組みつけることで、生産設備もより単純化できるという。明知工場のギガキャスト設備を公開した。 ★★フィアット、SUVの新型EV「600e」を本国で発売 ……Bセグメントに分類される小型SUV。航続距離はWLTP値で400km以上、都市サイクルでは600km以上となる。従来よりも静粛性を50%高めた新型モーターを採用。「スポーツモード」を選択可能なパワーモード選択機能も備えている。 ★★ブリヂストン、再生可能タイヤをソーラーカーレースに投入 ……再生資源・再生可能資源比率63%の「ENLITEN」技術を採用したタイヤを、ソーラーカーレース「2023ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」に投入する。モータースポーツへの投入は初めてだという。 ★ノースボルト、トラックメーカーのスカニア向けバッテリー生産工場を開設 ……両社が共同開発した大型商用EV向けの高性能バッテリー製造工場をスウェーデン・セーダーテリエに建てた。車両製造ラインに隣接した設備で、EVトラックの生産効率を高めることができる。毎秒1つのバッテリーセルを製造できるという。 ★アウディ、ダカールラリー用のEVでヨーロッパを巡業 ……ダカールラリーに出場予定のバギー型EV「RS Q e-tron」のPRで、スペイン・マドリード/フランス・パリ/ドイツ・ストックホルムを巡業した。市街地を実際に走行しドリフトなどのデモを行なった。 ★ヒョンデ、Jネットレンタカーの店舗で納車が可能に ……同店舗でヒョンデのEVの試乗と納車が可能になる。サービス開始は9月22日から。対象店舗は「越谷レイクタウン店」「所沢店」「沼津店」「浜松和田店」「イオンタウン四日市泊店」の計5店舗。 ★エネチェンジ、スーパーの平和堂グループにEV用充電器を設置 ……平和堂の40店舗に加えてグループの飲食店2店舗に6kWタイプの普通充電器を導入した。一般的な充電器よりも倍速で充電が可能。 ★ボードリー、北海道苫小牧市で自動運転バスを実証実験 ……「苫小牧駅」〜「道の駅ぷらっとみなと市場」間を実証運行する。期間は9月20日(水)〜10月15日(日)。1日5便ずつの運行となり、無料で利用が可能。 ★メルセデス・ベンツ、CO2を削減したリサイクル鋼をEVモデルに使用 ……米アラバマ州のタスカルーサ工場で年間5万トン以上のCO2削減鋼を米SDI社から調達する。同工場では「EQS SUV」と「EQE SUV」を製造。リサイクル素材を70%含有したSDIの鋼を既に使用しており、早けれは今年9月からCO2削減リサイクル鋼を使用するという。 ★MKタクシーの専用充電ステーションにEV用超急速充電器を設置 ……パワーエックスは、エムケイ<京都市>のEVタクシー・ハイヤー専用充電ステーションに、蓄電池型のEV用超急速充電器「ハイパーチャージャー」を導入するという。最高出力150kWの充電器で、車両の稼働ロスを減らすことが期待できる。 ★ダイムラー・トラック、「三菱ふそう・eキャンター」の販売トレーニングを欧州で実施 ……ヨーロッパ全土のディーラーでEVトラック「eキャンター」の販売トレーニングを行なう。その中には運転訓練も含まれている。 ★東洋テクニカ、バッテリーの検査評価機器を発売 ……中国のリチウムイオンバッテリー評価装置メーカーIEST社と代理店契約を結び、評価機器の輸入・販売を行なう。製造過程での様々な測定項目を一元的に評価できる機器となる。 ★米ジョビー・アビエイションの「空飛ぶクルマ」に日の丸技術 ……航空産業のタマディックが、試作機生産および量産検証に用いられる最終組み立て用治具などの設計製作を2021年6月に受注。現在は量産試作機の生産に使用されている。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.20]

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富士山の麓で行われた、三菱「スターキャンプ」。朝のヨガ体験の様子。筆者撮影
TEXT:桃田 健史
キャンプでPHEV・EVが大活躍! 給電機能で野外シアターやかき氷屋、車載1500W電源も

三菱自動車工業(以下、三菱)が主催するファンミーティング「スターキャンプ」が静岡県朝霧高原で今年も開催された。三菱の各モデル試乗体験のほか、スぺシャルライブ、モノづくりワークショップなど多彩なプログラムが用意されていた。PHEV(プラグインハイブリッド車)とBEV(バッテリー電気自動車)のアウトドア・ユースにおける可能性がそこには広がっていた。 富士山の麓に三菱ユーザー300組が終結 三菱が2023年9月9日~10日、富士山の麓に位置する朝霧高原で今年も「スターキャンプ」を開催した。 スターキャンプは、1991年に始まった三菱本社が主催するファンミーティングのひとつだ。 1997年で一旦終了するも、2007年に復活して現在に至っている。 近年は、三菱本社のほかに、全国各地の三菱販売店が主導するスターキャンプが並存するなど、三菱ユーザーから高い支持を得ているイベントだ。 今回のスターキャンプの参加者は、事前の抽選によって選ばれた300組が全国から朝霧高原にやってきた。 参加者のクルマを見ると、やはり多いのは「デリカD:5」。 本格的なオフロード走行ができるミニバンという、唯一無二の存在から長年に渡る人気車だ。往年の「パジェロ」が生産終了後、三菱のアウトドアイメージを牽引してきた、三菱にとって日本市場では欠かせない1台である。

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エネオス・NEC・日本通運の3社は、EVトラックの普及拡大に向けた経路充電の実証実験を9月5日より福岡県内で開始した(photo=日本電気)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
商用車にも公共のEV充電器を……エネオス・NEC・日通がEVトラックの経路充電を実証実験[2023.09.11]

市中にある充電器は乗用EV向けで大型車は近寄れない EVトラック専用の充電器の拡充があってこその普及 【THE 視点】エネオス・NEC・日本通運の3社は、EVトラックの普及拡大に向けた経路充電の実証実験を9月5日より福岡県内で開始した。 EVトラックは、EV全体の中でもCO2の排出削減に大きく貢献できるとされている。しかし、EVトラックに対応した充電設備を持つステーションは場所が限られているため、普及の足枷となっている。そこで、エネオスをはじめ3社合同でEVトラックの経路充電の有効性の確認・運用方法の確立を目指して実証実験を行なう。 実証期間は9月5日より1ヵ月。エネオスの 「Dr.Drive セルフ水城店」<福岡県太宰府市>に設置された急速充電器を用いる。実施車両は「日本通運・福岡支店」<福岡市>に導入されている EVトラック「三菱ふそう・e-キャンター」1台となる。 検証・確認項目は以下。 ・EVトラックの長距離輸送における経路充電の有効性 ・EV運用支援アプリの必要機能・有効性 ・出発地から配送先へのルート検索や電気消費量シミュレーション ・シミュレーションを踏まえた充電ステーションの検索 ・ドライバーへのバッテリー切れリスクの通知 この実証を通じて、NECは日本通運のEVトラックの実運行データを活用して開発したEV運用支援アプリケーションの価値向上を目指す。エネオスは、EVトラックユーザーの充電ニーズに応じた経路充電ネットワークの拡充を図る。日本通運は、EVトラックの運行データを活用して環境配慮車両の導入を積極的に進め、サプライチェーン全体を通じて環境負荷の少ない物流を提案していく構えだ。 商用車はその車体が大きいことから、立ち寄った休憩場所にEV用充電器があってもその機器にアクセスできないという問題がある。この実証実験を通じて、EVトラックの普及の上で欠かせない運用支援アプリケーションや充電ネットワーク、運送業者のEVトラック導入のハードルといった課題が具体的に見えてくるだろう。 1社のみの奮闘ではEVトラックの普及はできない。参画企業がそれぞれの技術を持ち寄り、現場での情報を共有しフィードバックすることが、普及拡大のためには必要な手順である。 今年は、EVトラック元年ともいえる。三菱ふそうからは第二世代の「e-キャンター」が発売され、いすゞからも「エルフEV」が発表された。商用EVはまだ普及の初期段階にある。この実証を将来に繋げてほしい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ホンダ、北米で充電規格を採用 ……テスラが展開する充電規格「NACS」を北米向けのEVに採用する。2025年中にNACSに対応したEVを発売するという。ホンダは、欧州などのメーカーとともに北米に充電インフラの合弁会社を設立し、「NACS」への対応を進めている。 ★★フォード、新型EV「マスタング・マッハ-E・ラリー」を発表 ……EVの「マスタング・マッハ-E」のオフロードモデルをアメリカ本国で発表した。悪路を本気で走れる仕様となっているのが特徴。足回りやホイールは専用品を設定。駆動方式は前後2モーター式のAWDで、ラリー専用の走行モードも備えている。 ★★パナソニックとゼンリンがEVビジネスで協業 ……EVのエネルギーマネジメントを共同開発する。まずは、EV用充電器メーカーやEV用充電器の管理・運用を行なう企業向けに「EVチャージ需要マップ」の提供を開始した。 ★ベルエナジー、現場充電サービスの実証をレクサスユーザーなどを対象に開始 ……EVユーザーの希望場所・時間にEV用急速充電器を積んだサービスカーを派遣し、30分間の充電を行なう実証実験を開始する。対象は「トヨタ・bZ4X」「レクサスUX300e」「RZ450e」を所有するユーザーで、100名を抽選するという。対象エリアは愛知県全域となる。 ★中国新興シャオペン、ドイツに進出 ……2024年にドイツ市場に正式に参入する。進出の皮切に、スポーツセダンの「P7」、SUVの「G9」の2機種を導入する。 ★ステランティス、イタリアにバッテリーテクノロジーセンターを開設 ……今後、ステランティスのEVに搭載するバッテリーの開発・試験を行なう施設となる。8,000m2の敷地に32の気候テストセルを備えている。ステランティスは、本施設に4,000万ユーロ(約64億円)を投じている。 ★フォード、家庭でのEV充電コストを抑えるプランをテスト運用 ……アメリカ本国で導入。デュークエナジー社との共同施策で、充電時間の最適化や再生可能エネルギー由来の電力を使用。料金を月額固定とし充電コストを抑えるという。 ★ポルシェ、EVユーザー向けコネクトサービス「ポルシェ・コネクト・パートナー・サービス」を欧州と米国で展開 ……電力ピーク時を避けた充電量・料金の調整・最適化や充電コストの提供、EV向けのルート作成、確定申告に使用できる経費書類の作成代行などが利用できるという。 ★F1ウィリアムズの子会社WAE、高性能FCEV用プラットフォームを発表 ……FCEV向けのプラットフォーム「EVRh」を開発した。最高出力585psのパワートレインに対応し、車重1,990kg以下で航続距離600km、0-100km/h加速は2.5秒未満の性能を実現できるという。 ★アイモバイル、EV充電事業を開始 ……宿泊施設などで利用可能な「ふるなびEVスタンド」を開始した。「ふるなびトラベル」と提携する宿泊施設等にEV用充電器を導入。ふるさと納税サイト「ふるなび」の返礼品として用意する旅行プランなどに活用するという。 ★コンチネンタル、高効率のエコタイヤを公開 ……新タイヤ「ウルトラコンタクトNXT」を「IAAモビリティ」にて発表した。再生可能素材とリサイクル素材などを65%配合。転がり抵抗・ウェットブレーキ・車外ノイズにおいて、EVタイヤラベルの最高ランク「A」を獲得した。全19サイズを用意。 ★パーク24、EVに対するアンケート結果を公表 ……毎月9日に実施したアンケートにてEVに対する調査を公表した。EVの運転経験が「ある」の回答は21%。EVの購入を希望するタイミングは「価格が手頃になったら」が最多(25%)で、次いで「EVステーションが増えたら」(18%)という結果だった。 ★トヨタ、アメリカ・カリフォルニアでグリーン水素を生成 ……グリーン水素の生成施設「トライジェン」を、カリフォルニア・ロングビーチ港に竣工した。フューエル・セル・エナジー社との共同事業で、運営も同社が行なう。施設には、2.3MWの発電能力を持つFC発電所および水素ステーションも併設した。 ★電動キックボードシェアリングのループ、CO2フリーの電気100%で稼働へ ……使用電力を再生可能エネルギーに変更し、J-クレジットも取得したことで、稼働電力を実質CO2フリーとした。 ★スズキ、本社工場をCO2フリー電力で稼働 ……静岡県内で稼働する本社を含む工場に再生可能エネルギー由来の電力「静岡Greenでんき」を導入した。中部電力グループ所有の水力発電所の電力を使用している。 ★イベント「みんなでつくろう!再生エネの日!」開催 […]

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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