日産 記事一覧

TEXT:TET 編集部
日産がフォーミュラEサウンドをモチーフにしたサウンドトラック「エレクトリック・レガシィ」を公開

レース現場の「音」が組み込まれた曲 2024年4月11日、日産自動車株式会社は日産フォーミュラEチームとドイツの現代作曲家マティアス レーフェルトのコラボレーションによるサウンドトラック「エレクトリック・レガシィ」を公開した。 「エレクトリック・レガシィ」は、人工知能(AI)がレースから拾った音源を電子シンセサイザーやインストゥルメンタルのメロディーと組み合わせることで作曲した、EVモータースポーツのための曲。 日産フォーミュラEチームのドライバーとピットクルーとの間で交わされた実際のラジオ音源をサウンドトラックに織り込むことで、リアリティーのある曲に仕上げている。 今回の音楽を作曲したマティアス レーフェルトは、「フォーミュラEは、最先端のテクノロジー、サステナビリティ、そして電気によってシビれる競争の融合であり、これらのすべての音楽を通じて実現したことは素晴らしい経験でした。この曲は、世界中のファンとつながり、フォーミュラEの世界開催を祝うとともに、フォーミュラE車両の先進性をアピールすることを目的としています。日産の電気自動車としてのパイオニア精神に則り、ファンがモータースポーツを見ているときに感じる興奮と感覚を呼び起こすようなトラックを作りたいと思いました」と説明した。 今回、「エレクトリック・レガシィ」のシリーズの一環としてフォーミュラEのシーズン10の開催地をモチーフにしたエディションを配信。東京、ミサノ、モナコ、ベルリン、ロンドンなどの主要都市を対象に、それぞれの都市の文化的特徴、ファンの特性やスピリットを曲に反映させる。 3月の東京大会のために作成された「東京エディション」、4月のイタリア・ミサノ大会をモチーフにした「ミサノ・エディション」は、それぞれ日本やイタリアの文化と雰囲気を反映させたアレンジを加えている。 「この取り組みは、音楽とレースを融合させるという、今までにない手法で新しいファンの皆さまにフォーミュラEの魅力を感じてもらうことを目指しています。フォーミュラEはハイレベルの電気技術の集合体であるとともに、モビリティの未来を切り開くものであり、多くの可能性に満ちています。レーフェルトはそれらのイノベーションと情熱をこの曲で表現しています。ローランドとフェネストラズは、ミサノのレース前にこの曲を聞いて集中力と気持ちを高めると思います」と、日産フォーミュラEのゼネラルマネージャー兼日産フォーミュラEチームのマネージングダイレクター トマソ ヴォルペは語った。 日産は持続可能なモータースポーツとして世界的に人気が高まっているフォーミュラEの魅力やレース車両に活用されるイノベーションを、音楽を通して若い世代に広く訴求することを目指す。 シーズン10のサウンドトラック「エレクトリック・レガシィ」はこちら

TAG: #フォーミュラE #レース
TEXT:高橋 優
日産が発表した中期経営戦略! 2026年に100万台の販売増加を打ち出した「The Arc」に立ちはだかるハードル

中国での20万台販売増と安いLFPバッテリー導入を目指す「The Arc」への懸念 日産が新たな中期経営戦略である「The Arc」を発表しました。2026年度までにグローバルで100万台の販売台数増加を目指しながら、安価なLFPバッテリーの導入、全固体電池によるEVテクノロジーの革新など、さらなるEVシフトの詳細を発表した一方で、この日産の経営戦略において指摘しなければならない、日産の大きな問題点について解説します。 それでは、今回の日産の中期経営戦略であるThe Arcの内容に関して、個人的に懸念せざるを得ないポイントをいくつか指摘していきたいと思います。 第一に、やはり販売台数を増加させるという点で、とくに中国市場の販売台数を20万台も増加させるのは不可能に近いという点です。 まずこのグラフは、グローバル全体の日産の販売台数を中国BYDの販売台数と比較したものです。日産の販売台数というのは、2020年シーズンの400万台という規模と比較しても、2023年シーズンは337万台とさらに落ち込んでしまっています。 もちろんこれは、短期的な収益性を確保するために、生産台数の損益分岐点を引き下げたことによるものという見方が可能であり、ここから販売台数を増加させていくという可能性は残されています。 他方で、中国市場における主要な自動車ブランドの年間販売台数の変遷を見てみると、紫で示された日産については、なんと2019年シーズンと比較して、2023年シーズンは50万台も販売台数を落としてしまっている状況です。 これを3年後に20万台も増やすというのは、さすがに中国市場における見通しが甘すぎやしないかということなのです。 中国市場の事実上の販売戦略となっているシルフィ一本足打法についても、BYDの大幅値下げ戦略によって大きな悪影響が出始めている可能性が高い状況です。 むしろ3年後に販売規模をキープできていれば、それはもう御の字であり、むしろ販売台数を大きく増やそうというのは無理筋なのではないかと感じます。いずれにしても、この中国市場における楽観的な見通しそのものが、中国市場の最新動向を、経営陣がどこまで把握できているのか首を傾げざるを得ないわけです。

TAG: #日産 #経営戦略
TEXT:高橋 優
日産は電動車シフトに突き進む! 中期経営戦略「The Arc」の中身

2026年度までに16車種の電動車の新型車を市場投入 日産が新たな中期経営戦略である「The Arc」を発表しました。2026年度までにグローバルで100万台の販売台数増加を目指しながら、安価なLFPバッテリーの導入、全固体電池によるEVテクノロジーの革新など、さらなるEVシフトの詳細を発表した「The Arc」を解説します。 まず、カルロス・ゴーン時代からの復活を目標に日産のトップに就任した現在の内田社長については、2020年度から2023年度までの中期経営戦略である「Nissan Next」を打ち出して、ようやくそのNissan Nextの期間が終了。営業赤字が続いていた日産の業績は、そのNissan Nextのおかげもあってか、2023年4月から12月までの営業利益率は5.2%と、数年前までの赤字経営と比較すれば、収益性を戻してきた格好であり、構造改革という観点で一定の成果を上げたと言えます。 そして、2024年度から2026年度までの中期経営戦略として発表されたのが、The Arcです。日産については、2030年までの長期戦略である「Nissan Ambition 2030」も発表しており、そのNissan Ambition 2030の間を繋ぐ戦略となります。 とくに注目されている点が、内燃機関車とハイブリッド車、そしてEVをどのような塩梅で推進していくのか、および、Nissan Nextにおける構造改革によって、販売台数が大幅に低下してしまった2023年シーズン以降、どれほど販売規模を拡大させることができるのかという点です。 まず初めに、2026年度までに投入する新型車について、日産は新型車攻勢を強める方針を表明しました。具体的には、2026年度までに、グローバルで15車種の内燃機関車を投入することで、グローバルモデルの60%が刷新、もしくはフルモデルチェンジを迎えることになります。 さらに電動車という観点についても、2026年度までに16車種の新型車を投入。具体的には、2024年度中にバッテリーEVを2車種、2026年度中にバッテリーEV4車種、PHEV3車種、e-POWER3車種をグローバルで投入する方針です。 e-POWERについては、すでに新型ノートから第二世代が採用され始めているものの、現在第三世代の開発を進めており、出力20%アップ、燃費10%改善、そして20%のコスト削減を可能とし、2026年度までに投入される予定です。とくにアメリカ市場には、この第三世代からe-POWERを投入し、電動化を進める方針です。 そして、第三世代の採用によって、2026年度までにハイブリッドであるe-POWERと内燃機関車のコストが同等となることで、電動化と収益性の両立を目指すことが可能となる見込みです。 また、日産については、2車種目となるPHEVを導入する方針です。すでに中国市場においてVenuciaブランドからPHEVを導入済みです。 おそらく、アライアンス別のパワートレイン比率については、Dongfeng日産の電動車3車種はすべてPHEVになるはずであり、すると、2026年度までに投入予定のPHEV4車種のうちの1車種というのが、日産が開発を主導するモデルとして、アメリカ市場に投入されることになります。 ちなみに2024年度中に投入されるバッテリーEV2車種についてはすでに判明済みです。まずは、ルノーのコンパクトEVとして発表されているルノー5の兄弟車、マイクラEVです。 また、2024年中に投入予定とアナウンスされている、中国市場専売となる見込みのバッテリーEVについては、いまだに詳細情報が公開されていないものの、4月中に開催される北京オートショーにおいて初お披露目される見通しです。

TAG: #国産車 #戦略 #日産
TEXT:TET編集部
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた

レース直前の日産ピットに潜入! 3月30日、東京都心の公道を封鎖して行われるビッグイベント「FIA フォーミュラE世界選手権 2024“東京 E-Prix”」が大盛り上がりのなか、無事に閉幕した。 このレースは世界選手権なので、世界各国からさまざまな自動車メーカーが参戦しており、なかでもポルシェやジャガー、マセラティといった日本でも馴染みのあるメーカー(チーム)が揃うことも特徴。また先日、ヤマハ発動機が来シーズンから参戦することも発表され、これも大きな話題となった。 そんななかで今回もっとも注目されたのが、日本が世界に誇る自動車メーカーの日産だ。同社はフォーミュラE世界選手権にシーズン5(2018年/19年)から、日本の自動車メーカーとしては唯一参戦している企業でもあるのだ。このときのマシンがGen2と呼ばれるモノであった。 今回は、そんなフォーミュラEの決勝レース直前の「日産フォーミュラEチーム」のテントに特別に潜入することが許されたので、少しその様子をレポートしたい。 まず、日産のチームテント内には、オリバー・ローランド選手が担当する22号車と、日本のスーパーGTでお馴染みだった、サッシャ・フェネストラズ選手が操るエース車両、23号車が2台収まるようになっているほか、テント内にはエンジニアたちが作戦会議などを行う会議スペースが設けられている。 ちなみに、環境に配慮し、無駄な資源は極力使わないサスティナブルなレースというのがこのフォーミュラEの特徴。 世界で行われるレースに帯同するチームのテントはどの会場に行っても全チーム、テントのサイズや使用する面積が決まっている。さらに、持ち込める総機材量も7トンまでとレギュレーションで決まっているそうだ。また、移動も船便などがメイン。移動時に発生する無駄なCO2を削減するのがその狙いだ。 また、今回は担当エンジニアからマシンの詳細も少し聞くことができた。 現在使われているのは、Gen3と呼ばれる第3世代のマシンとなっており、2022‐23年シーズンから導入されたモノだ。日産のスタンスとしては、”市販車技術の応用”という点に重点を置いて参加しているとのこと。マシンの出力は350kW(470馬力)となっており、車重は850kg程度。これはリーフの半分くらいの重量。なお、0-100km/h加速は2.5秒、最高速度は320km/hという数値を叩き出す。 充電はテント内にある充電器から行うことになっており、コネクターはCCS2形式を使用する。なお、このレースはほとんどワンメイクとなっており、車体の90%は全チーム同じスペックなのもポイント。主な例を挙げると、「シャシー」、「エアロ」、「ボディ」、「前後サスペンション」、「タイヤ(ハンコック製の全天候型タイヤ)」、フロントに搭載される250kWの回生用ジェネレーターは全車統一となる。 「ここまで一緒なら各メーカーは何で争ってるんだ?」となるだろう。しかしご安心を。フォーミュラEでは、リヤに搭載される最大350kWの出力までが許されるパワートレインだけは、各社のオリジナルユニットとなっている。ただし、ここはブラックボックスで、トップシークレットとなっているため撮影NGであったので写真はご勘弁を。 なお、日産では、レース中に発生した回生エネルギーのデータをフィードバックして市販車開発に活かしているとのこと。 そして、このフォーミュラEでは、先述した”回生”が大きなキーとなっており、いかにこの回生でどれだけ電力を蓄えられるかが勝負の鍵だ。フォーミュラEでは、約1時間のレースで使われるエネルギーのうちの60%ほどをエネルギー回生によって回収できるそう。これがまさに、回生で得たエネルギーを効率よく使っているという何よりの証拠だ。 また、レーシングカーではお馴染みの、ステアリングからさまざまな情報を確認する機能を持つ。とくに特徴的なのが、回生ブレーキのレベルやブレーキバランス、EVならではの機能としてバッテリー量の調整など、マシンをドライバーが細かく操作できる点だ。 さらに、フォーミュラEで使われる車両はエンジンを使わないので、練習走行や予選のフィーリングを会議して、場合によってはプログラムを介してその場でマシンをアップデートできるのもEVならでは。 フォーミュラEは、まさにリアルタイムで変化する走る実験室なのだ。

TAG: #EV #フォーミュラE #モータースポーツ
TEXT:TET 編集部
日産が2030年までのフォーミュラE継続参戦を発表! 日本初の本格的公道レース無事終了で注目度爆上がり

第4世代のフォーミュラE参戦に初名乗り 電気自動車レースの最高峰「フォーミュラE」が日本に初上陸したことに加え、国内では初となる一般公道を使用した本格的な四輪レースの開催とあって、先ごろのABB FIA フォーミュラE世界選手権第5戦、2024東京E-Prixは大きな盛り上がりを見せた。 2018-19年のシーズン5から日本の自動車メーカーとして唯一参戦する日産自動車は、初の地元凱旋レースを前に、今シーズンは第3戦のサウジアラビア・ディルイーヤE-Prixで22号車をドライブするオリバー・ローランド選手が3位表彰台を獲得したのを皮切りに、ブラジル・サンパウロで行われた第4戦でも同じく22号車が3位を獲得し好調だ。また、日産がパワートレインを供給するNEOMマクラーレン・フォーミュラEチームのサム・バード選手が同レースで優勝し、チームに参戦開始以来の初優勝をもたらすなど、日産はまさに勢いに乗った状態で東京へ凱旋した。 2024年3月30日の決勝を前に、日産は数々のプロモーションイベントを実施し、それまで決して知名度が高いとはいえなかったフォーミュラE、そして日産の参戦をアピールし盛り上げを行った。その一連のイベントのトリとなったのが、3月28日に行われた2030年までフォーミュラE世界選手権に参戦を継続するという発表だ。 すでに日産は2018-19年のシーズン5から2025-26年のシーズン12までフォーミュラEに参戦することを示していたが、使用マシンの変更が見込まれる2026-27年のシーズン13から2029-30年のシーズン16まで、じつに11シーズン12年間にわたる長期的なシリーズ参戦を表明した形となった。これは即ち、日産はフォーミュラEを通じて電動化技術をさらに前進させていくというメーカー自身の方針を表した格好ともいえる。 同時にこの発表は、現在シリーズに参戦しているコンストラクター(パワートレイン製造者)のなかでは、もっとも早く次期型マシン「ジェネレーション4(GEN4)」を使用するシーズンに参戦を表明したことにもなる。 日産自動車社長兼最高経営責任者の内田 誠氏は、継続参戦にあたり次のように語っている。 「フォーミュラEへ2030年まで継続して参戦することを大変嬉しく思います。フォーミュラEへの参戦は、ファンの皆さまにサーキットでの興奮とワクワクをお届けするだけでなく、Nissan Ambition 2030で掲げた電動化の目標達成に大きく貢献する重要な活動のひとつでもあります。レースで磨いた電動化の技術や知見は、将来のより良いクルマづくりにおいて大きな意味を持ちます。日産はワクワクするEVレースの未来とともに、持続可能な社会の実現を目指した取り組みを推進していきます」 記者会見では日産フォーミュラEのゼネラルマネージャー兼日産フォーミュラEチームのマネージングダイレクターであるトマソ・ヴォルペが、、FIA のシニア サーキット スポーツディレクターであるマレク・ナワレツキ、フォーミュラEの最高経営責任者であるジェフ・ドッズとともに、FIAフォーミュラE世界選手権のシーズン13から16までの公式登録書に署名した。 発表に際しトマス・ヴォルペは次のように語っている。 「フォーミュラEへの長期的な参戦を表明できたこと、2030年まで契約を結ぶ最初のメーカーとなったことを誇りに思います。Nissan Ambition 2030の実現を目指す日産にとって、フォーミュラEは最先端の電動化技術を開発し、常に成長し続けるための重要なプラットフォームです。チームは順調に成長し続けており、2023年に移転した私たちの拠点は、将来のシーズンに向けたマシンに適した最新設備が整っており、今後のさらなる成長に大きく貢献すると確信しています。フォーミュラEとFIAのサポートに感謝し、これからもともに協力し合えることを楽しみにしています」 これを受けてジェフ・トッズ氏は「日産と私たちは、グローバルに持続可能性を追求し、電動化を通じてクルマの最高の性能を実現するという価値観を共有しています。日産のようなグローバルなブランドがシリーズ開催国やその他の国において、大きな存在感を示すことは、より多くの観客にシリーズをアピールできるだけでなく、電動化技術の世界的な普及にも大きく貢献すると確信しています」と、日産に対する期待感を述べている。 それはFIAのマレク・ナワレツキ氏も同様だ。 「フォーミュラEに関する技術は驚くべきスピードで発展しており、この選手権も同様に急成長していることを誇りに思います。電動化技術のパイオニアとして、日産がフォーミュラEの次の時代へと歩みを進めることに驚きはありません。私たちの関係が今後も繁栄し続けることにワクワクしています」

TAG: #フォーミュラE #モータースポーツ #日産
TEXT:TET 編集部
日産「電気自動車を活用したサステナブルツーリズムへの取組み」がソーシャルプロダクツ・アワード2024「生活者審査員賞」を受賞

日産のEV優遇策が高評価を得た 日産自動車の「電気自動車(EV)を活用したサステナブルツーリズムへの取組み」が、一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会が主催するソーシャルプロダクツ・アワード2024において、生活者審査員賞を受賞した。 ソーシャルプロダクツ・アワードとは、持続可能な社会の実現につながる優れたソーシャルプロダクツに光をあて、社会性と商品性の両面を評価する表彰制度。2012年に始まり、今回で11回目となる。 今回受賞した「電気自動車を活用したサステナブルツーリズムへの取組み」は、走行中の排出ガスゼロの環境に配慮したEV普及促進による脱炭素化や観光の活性化等を目的とし、観光地にEVで訪れた際に駐車場の無料化やさまざまな観光施設や有料道路代金での割引、記念品贈答等の特典が受けられるEV優遇策。 現在、阿蘇市、佐世保市、環境省のゼロドラ対象公園の駐車場、日本観光自動車道協会の道路、千葉県南房総エリア、相模原市で利用可能だ。 日産自動車は2010年にグローバルな量産型EV、リーフを発売して以降、EVならではの新たな価値やワクワクを提供し続けるとともに、2018年5月よりEVの普及を通じて、脱炭素、災害対策、エネルギーマネジメント、エコな観光、地方での交通課題などの地域課題解決を目指す、日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」を全国の自治体や企業、販売会社とともに推進している。 今後もさまざまな自治体や団体と連携しながら、EVを活用したエコツーリズム実現と観光活性化に取り組んでいく。 なお審査員の評価コメントは以下のとおり。 EVの普及は欧米や欧州と比較して進んでいない我が国において、自動車メーカーが積極的に普及を進めることは大きな意義がある。また、大企業による本格的な取り組みは生活者啓発の上で効果が高く、環境意識の高い先進的な観光地のブランド力向上にも貢献する点でも評価できる。自治体や自動車道との連携、EV優遇策と地域活性化を連動させた仕組みの構築や、多角的な情報発信によりさまざまな場面でCO2ゼロのツーリズムを実感させる素晴らしい取り組みである。

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TEXT:TET 編集部
来日するライバルチームを日本流でおもてなし! 日産フォーミュラEチームが東京大会に参戦する全チームに特注の着物を提供

チームカラーから着想を得たデザインが魅力的 日産自動車は、ABB FIAフォーミュラE世界選手権の東京大会の開催を記念して、特別に制作した11着の着物を公開。 着物は参戦する全11チームをイメージしたデザインが採用されている。 デザインを担当したのは、ロンドンファッションウィークなどでも活躍するファッションデザイナーの中村淳氏。 中村氏は11着の着物を日本の職人たちと一点一点、すべて手作業で制作。一反の生地を無駄なく使用して作られる着物は、持続可能なレースを目指すフォーミュラE世界選手権の思いとも一致している。 中村氏は「着物は日本の文化にとって非常に重要なものです。今回、日産のような日本を代表するブランドから着物のデザインを依頼されたことは、とても刺激的な経験となりました。このコレクションでは、日本のホスピタリティを表現することを目指し、チームカラーやクルマから着想を得た着物をデザインしました」と語った。 日産フォーミュラEのゼネラルマネージャー兼日産フォーミュラEチームのマネージングダイレクターであるトマソ ヴォルペは「中村氏のような優れたファッションデザイナーとのコラボレーションが実現したことを嬉しく思います。初のホームレースはチームにとって非常に重要な一戦です。ライバルチームを歓迎しつつ、レースではしっかり勝利を手にしたいと思います」とコメント。 なお、11着の着物は東京大会のレース当日に、会場で展示される。 日産はフォーミュラEに参戦する唯一の日本の自動車メーカーとして、来日するライバルチームを日本ならではのおもてなしの心で歓迎する。

TAG: #フォーミュラE #着物
TEXT:高橋 優
EV推進の急先鋒日産が欧州でリーフの販売を終了! BYDが勢いを増すなか欧州市場の戦略はどうなる?

日産EVを牽引してきたリーフの欧州販売が終了 日産が欧州市場において、リーフの生産を完全に終了し、販売も打ち切る方針を表明しました。また、リーフの後継モデルの存在とともに、欧州市場において日産が投入するマイクラEVの兄弟車、ルノー5の詳細なスペックが判明するなど、日産の欧州市場におけるEVシフト動向について解説します。 まず、欧州市場における日産のEV戦略については、あと6年後である2030年までに新車として発売するすべての車種についてをバッテリーEVのみにするという、完全EVシフトを宣言しているという点が重要です。よって、現在日産が欧州でラインアップしている売れ筋のジュークやキャッシュカイといった内燃機関車も、バッテリーEVとしてリブートされることが決定しています。 他方で、足もとの電動化の進展状況という観点では、想定よりも進んでいないというのが現状です。 このグラフは、2020年以降の欧州市場における車種別のバッテリーEVの販売台数とシェア率を示したものです。日産については、欧州限定でラインアップしている、e-NV200の後継モデル、タウンスターのバッテリーEVバージョンの販売台数を公開していないため、実際にはもう少しEV販売台数が多いはずですが、それでも2020年シーズンと比較して、直近の2023年シーズンの販売台数は、むしろ減少している状況です。 とくに、緑で示されたリーフの販売台数は、2021年シーズンは3.5万台以上であったのに対して、2023年シーズンは2万台を割り込むという深刻な販売減少に直面しています。 よって、2023年シーズン全体でのバッテリーEVのシェア率は8.77%と、タウンスターのバッテリーEVバージョンを含めたとしても、まず一桁台であることは間違いありません。つまり、日産はあと7年間でこの比率を100%にまで持っていく必要があるわけであり、極めて挑戦的な目標であるということが見て取れるわけです。 そして、その欧州における日産の最新動向として新たに判明したのが、現在欧州でもっとも人気のEVであるリーフの現地生産を、すでに完全終了していたという驚きの動向です。現在、欧州域内唯一の工場であるイギリスのサンダーランド工場については、2013年からリーフの生産をスタートしており、それから10年間ほどで累計で27万台以上のリーフを生産してきたものの、ついにリーフの生産をすでに終了していると、日産側が公式に発表してきた格好となります。 すでに生産済みの車両に関しては、在庫車両として2024年中までは発売が継続されるものの、その在庫車両が捌けた段階で、欧州におけるリーフの販売が完全終了する方針も表明されました。 この生産と販売終了の理由については、積極的なモデルチェンジを行わなかったことによる、コスト競争力のなさという点が挙げられます。というのも、現在リーフの該当する大衆ファミリーハッチバックセグメントには、2020年から導入されているフォルクスワーゲンID.3やルノー・メガーヌE-Tech Electricなどという、EV専用プラットフォームを採用している本格EVのラインアップが拡大しています。 さらにそれ以上に、よりコスト競争力の高いMG4やドルフィンといった中国製EVが発売されていることによって、EV専用プラットフォームでもないリーフは、あらゆる観点で競争力を失ってしまっていたわけです。 そして日産は、リーフに変わる後継モデルを追加設定する方針も表明済みです。それが、すでにコンセプトモデルを発表している、Chill Outベースのコンパクトクロスオーバーの存在です。こちらは欧州だけでなく、グローバルモデルとなる見込みであることから、日本市場でも、リーフの後継モデルとして発売されることに期待できます。 他方で、このリーフの後継モデルに関して残念な点というのが、その発売は2026年中が予定されているという点です。現在、イギリス・サンダーランド工場については、20億ポンド、日本円で3800億円規模の投資を行うことによって、EV生産のハブとなるように大幅改修が行われている状況です。 よって、その改修後のEV生産工場でリーフの後継モデルが生産されるまでに、日産がどのようにして欧州の電動化を進めるのかに注目が集まっているわけです。

TAG: #コスパ #日本車 #販売終了
TEXT:TET 編集部
声援を電力にかえて応援できる! NISSAN CROSSINGで「NISSAN FORMULA E PARK」が開催

フォーミュラEに関するコンテンツが楽しめる ABB FIAフォーミュラE世界選手権は、世界各地の市街地に特設されたサーキットやモータースポーツ専用常設サーキットで行われる電気自動車のレースシリーズ。2023-2024年のシーズン10には11チームが参戦する。 日産は日系メーカーとして初めて、シーズン5(2018-2019)から参戦。Gen3マシンが導入されたシーズン9(2022-2023)からシーズン12(2025- 2026)まで継続して参戦することを発表している。 日産はレースカーと市販車から得られる知識や技術を相互に活かし、より良いEVを提供することを目指しているという。 2024年3月30日に開催されるFormula E Tokyo E-prixに向けて、日産は東京都・銀座のブランド発信拠点NISSAN CROSSINGで「NISSAN FORMULA E PARK」を開催中。 2024年3月7日(木)より声援を電力にかえてチームに届けるメインコンテンツ、「VOICE CHARGE」を設置。集められた電力はオリバー ローランド選手やサッシャ フェネストラズ選手をはじめとしたNissan Formula E Teamへ届けられる。 「VOICE CHARGE」のやり方としてはまず、言語を日本語、英語、中国語の3つから選択し、ニックネームを入力。 次にマイクに向かって応援メッセージを発声する。 すると声の量に応じて左右のゲージが上下し、その後結果を表示。 最後にデジタル証明書が二次元コードで発行される。 「VOICE CHARGE」は2024年4月24日(水)まで、各日午前10時から午後8時まで実施。 2024年3月11日(月)からは、NISSAN CROSSINGエントランス正面に位置するシリンダー型ショーケースにて、Nissan Formula E Gen3を展示する「FASTEST CYLINDER」を設置。 2024年3月中旬には2階窓面のデジタルサイネージで、Formula E Tokyo E-prix用にデザインした映像を公開する。 また「NISSAN FORMULA E PARK」内で撮影した写真・動画にハッシュタグ(#NissanFormulaE #NISSANCROSSING #Playground)を付けてSNSで投稿すると、NISSAN CROSSING 2FのCROSSING CAFEで利用できる特典がゲットできる。 「NISSAN FORMULA E PARK」の開催は2024年4月24日(水)まで。ぜひフォーミュラEに関するさまざまなコンテンツに触れてみてほしい!

TAG: #フォーミュラE #レース
TEXT:TET 編集部
日産がフォーミュラE「Tokyo E-Prix」開催前スペシャルイベントを開催! 六本木ヒルズアリーナに1夜限りのサーキットが出現

EVレースの迫力を体感できる! 2024年3月30日(土)に日本で初開催となる、フォーミュラE世界選手権「Tokyo E-Prix」。日産自動車は大会を支援するとともに、国内自動車メーカーとして唯一レースに挑む。 そして、レースまで残り9日となる2024年3月21日(木)に、本大会をさらに盛り上げるべくスペシャルイベントを開催する。 東京都・六本木ヒルズアリーナに、全長110メートルのオーバル型特設サーキット「NISSAN FORMULA E ROPPONGI CIRCUIT」を設置。EVの加速感を表現した音楽、ダンスパフォーマンスとともに、フォーミュラEマシンが颯爽と駆け抜ける。 パフォーマーは11人組のダンスアーティスト「GANMI」と、4人組管楽器ガールズグループ「MOS」で、19:30~20:00の30分間は、サーキット内周の特別観覧エリアからスペシャルパフォーマンスを見ることができるという。なおパフォーマンスのようすはYouTubeでもライブ配信される。 また、特設ステージには小池百合子都知事と日産自動車 星野朝子副社長が登壇。タレントの白石麻衣さんも「NISSAN FORMULA E ROPPONGI CIRCUIT」のスペシャルゲストとして応援に駆けつける。 特設ステージでトークセッションを行うほか、小池都知事と白石麻衣さんが声の力で電力を起こして集まったエネルギーを日産フォーミュラEチームへ届ける「VOICE CHARGE」を体験するそうだ。 さらに、会場では日産のEVラインアップを展示するほか、フォトスポットも用意。 お近くの方はぜひ足を運び、一夜限りのスペシャルな空間を楽しんでほしい! ■開催概要 場所:六本木ヒルズアリーナ 期間:2024年3月21日(木) トークイベント:18:30〜19:30 体験イベント:19:30〜20:00 費用:無料 特設サイトURL(https://www2.nissan.co.jp/SP/FORMULA-E/2024) ライブ配信URL(https://www.youtube.com/watch?v=luCNndQBfr4)  

TAG: #イベント #フォーミュラE #レース
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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