「2022年に、中国新車販売に占めるBEV(バッテリー電気自動車)のシェアは20%に達し、その販売台数は500万台を超え、世界最大のBEV市場になった」中国でのBEV関連のニュースを見るたびにその普及の勢いに圧倒される。そんな中国で販売されているBEVはどんなクルマに仕上がっているのだろうか。今回は昨年発売された「トヨタbZ3」について、中国自動車業界に精通する加藤博人氏よりレポートを寄せてもらった。
拡大するトヨタのBEV政策
トヨタは2021年4月、上海モーターショー2021にてBEVサブブランド「bZ」と、初のモデルである「bZ4X」を発表した。よく勘違いされるが、これはトヨタにとって初めての電気自動車(BEV)ではない。
1990年代には少量ながらも「タウンエース バン EV」や「クラウンマジェスタ EV」、そして「RAV4 EV」などを世に送り出してきた。世界に「ハイブリッド」というものを知らしめた初代プリウスが1997年に登場してからしばらくはハイブリッド車(HEV)の普及に向けて尽力するかたわら、燃料電池車(FCEV)の研究開発にも勤しむようになる。
2019年には久々のBEVである「C-HR EV」「イゾア EV」を発表、中国現地で製造・販売をおこなっている。乗用車以外にも、歩行領域や超小型モビリティにおけるトヨタの取り組みは目立っており、ひとつの選択肢に拘らない、幅広いゾーンをカバーすることに注力している。
ここ数年は中国市場を特に見据えたBEV展開に積極的だ。2022年にはbZシリーズ第二弾の「bZ3」を発売した。ついこの間開催された上海モーターショー2023ではbZシリーズから2台のコンセプトカー「bZ Sport Crossover Concept」「bZ FlexSpace Concept」を発表、中国市場において2024年中の販売開始を目標にしている。
これ以外にも多くのBEVを中国に導入するとしており、多くの新ブランド・新車種が日々誕生する中国市場でトヨタがいかにプレゼンスを発揮し続けるかが焦点だ。