THE EV TIMES

試乗 記事一覧

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TEXT:生方 聡
レベルの高い走り 乗り心地には要改善点も [日産アリア試乗記:その4]

EV専用プラットフォームを採用するアリアの走りをチェック。総じてレベルは高いが、改善すべきポイントも見えてきた。 低重心化のメリット EVの場合、背の高いSUVスタイルであっても、床下に重量のかさむバッテリーを搭載することで低重心化が図られ、走行時の安定性が確保されることが多い。アリアも例外ではなく、低重心化のメリットが見て取れる。 たとえば、SUVでは目立ちがちなロールやピッチングといった走行時の揺れは、このアリアではよく抑えられており、挙動は比較的落ち着いている。高速走行時の直進安定性も高く、目地段差を越えるときのショックも、さほど気にならない。ワインディングロードでは弱めのアンダーステアのおかげで、スポーティなドライビングが楽しめた。 ただし、荒れた路面を通過するような場面では、細かい上下動を伝えがちで、とくにリアからの軽いショックは気になるレベルだった。許容できる範囲ではあるが、今後のランニングチェンジで解消してほしいものだ。

TAG: #アリア
TEXT:栁 蒼太
電気自動車の商用車「フォロフライ」EV F1 VANを試乗

オートアフターマーケットの活性化を目的とした商談型の展示会「第20回国際オートアフターマーケットEXPO 2023」が、3月7〜9日の3日間、東京国際展示場(東京ビッグサイト)西3・4ホールにて開催された。 記念すべき20回目となる今回は、西4ホール横の屋上展示場にて、丸紅オートモーティブが販売するフォロフライ社製EV商用車「F1 Van」の無料試乗会が開催された。 フォロフライ社とは?丸紅オートモーティブとの関係性は フォロフライ社は、ラストマイル配送に特化した商用EVを開発、中国大手自動車OEMの1社である東風小康汽車に生産委託するファブレス生産し、大手物流会社を中心とした顧客への販売を行う電気自動車ベンチャーだ。資本提携する物流大手のSBSホールディングス(株)が同車両を1万台導入すると発表し注目を集めていた(2023年3月より本格導入の予定)。 また、丸紅オートモーティブは2022年にフォロフライが商用EVの販売を開始した当初より、国内法人顧客へのフォロフライの商用EV導入、充電インフラ提供、アフターサービス体制作りを支援していた。そして、2023年1月末に行われた資本業務提携により、丸紅オートモーティブが取扱う、先進運転支援システム(ADAS)、充電器、アフターマーケット部品といった関連商材と併せてEV導入のソリューションとして提供されている。 フォロフライ社製EV商用車「F1 Van」とは EV F1 VANは、ミニバンサイズの小型バンで積載量が950kgを誇る。LFPバッテリーの容量はおよそ40kWh。航続距離は300km。2023年4月以降、チャデモ規格が導入され急速充電にも対応する。なお、試乗した車両は、デモカーのため、欧州CCS規格のままであった。 デジタルとアナログが混在した操作系 乗ってみると、通常の乗用車と見慣れた運転席周りの光景が目に入ってくる。その一方で、ボタンやウインカー操作、ドアの開閉などをしてみると、全体的に作りが大雑把な感じがした。また、操作にデジタルとアナログが混在していることに慣れない感覚があった。具体的には、エンジン始動やサイドブレーキはアナログな方式にも関わらず、シフト選択は電子制御のダイヤル式になっていたことだ。そして、そのシフト選択には、パーキングレンジがなく、その点も腑に落ちなかった(パーキングレンジは、日本で導入モデルには搭載予定のようだ)。

TAG: #F1 Van
TEXT:生方 聡
「アリア」のベースグレードを買っても後悔しない? [日産アリア試乗記:その3]

アリアに用意される4グレードのうち、最もベーシックなB6 2WDでも動力性能は十分なのか。街中、そして高速道路で、その実力を試してみる。 シングルモーターでも十分な動力性能 ただしFFの弱点も 運転席に戻って、さっそく試乗を開始する。最近ではシートベルトを締め、ブレーキペダルを踏み、シフトレバーを操作するだけで運転の準備が整うEVが増えているが、このアリアはブレーキペダルを踏みながらスタートボタンを押す儀式が必要だ。 長年染みついた手順のあと、まずは「STANDARD」モードで走り出すことにする。アリアの場合、センターコンソールのタッチスイッチでドライブモードを切り替えることができるが、手元に視線を落とす必要があるので、走行中の操作は難しい。見やすい位置にスイッチを移動するか、あるいは物理スイッチを用意してほしいと思った。 クリープ走行ができるようオートブレーキホールドを解除してからブレーキペダルから足を離すと、アリアはゆっくりと動き出した。ここから軽くアクセルペダルを踏むと、EVらしさを前面に出さずに、比較的穏やかに動き出した。それでも加速にはスムーズで余裕が感じられ、そこからさらに踏み込むと、速度の上昇とともに伸びやかに加速するのが実に爽快である。一方、発進時にアクセルペダルを深く踏みすぎると、路面によっては前輪がホイールスピンすることも。高トルクのFF車にはよくあることで、滑りやすい路面では要注意だ。 ドライブモードを「SPORT」に変更すると、アクセルペダルに対するモーターの反応が素早くなり、ワインディンロードなどで積極的に運転するには好都合だ。一方、「ECO」を選ぶとSTANDARDと比較して反応は穏やかになるが、それでもまわりの流れに後れを取ることはない。

TAG: #アリア
TEXT:生方 聡
「アリア」のデザインに見る電気自動車らしさ [日産アリア試乗記:その2]

EV専用プラットフォームを用いるアリアには、これまでのクルマとは異なるデザインが採り入れられている。アリアを魅力的に彩るエクステリアとインテリアとは? クリーンさが際だつエクステリア かぎられたサイズのボディに、広い室内空間の確保と大容量バッテリーの搭載を両立させるため、EVの多くが背の高いSUVスタイルを採用している。アリアもその一例であるが、さらにEV専用プラットフォームを採用することで、パッケージの効率を高めている。 エンジンに比べてコンパクトなモーターを搭載するEVのアリアは、フロントオーバーハングを切り詰めることで、広い居住空間を確保した。また、エンジンルームの冷却が不要になるため、フロントマスクからラジエターグリルが省かれ、代わりに“シールド”と呼ばれるブラックのパネルを手に入れた。 さらに、クーペのようなルーフラインや張りのあるボディパネル、くっきりと浮かび上がるウェストラインなどにより、アリアのエクステリアは力強い印象に仕上げられている。強い個性を放ちながらクリーンさが際だつアリアは、“日産の新しい扉を開く”のにまさにふさわしいデザインの持ち主といえる。 居心地の良い室内 アリアのインテリアも実に個性的だ。運転席に座り、まず目を奪われたのがダッシュボードを横切るブラックの木目調パネル。その中央部分には空調のスイッチが浮かび上がり、面白いなと思う反面、操作性はどうなのかと少し不安になる。しかし、運転席から見やすく、手が届きやすい位置にあるため、使いにくいのではないかという心配はすぐに解消された。 ドライバーの前には2つの大型ディスプレイが配置されるが、直線的ではなく、S字状に連結されているのがユニークだ。ダッシュボード中央部のタッチパネルがドライバーに近づくぶん、操作性に優れるのがうれしいところだ。 モダンですっきりとしたデザインやソフトパッドにステッチが施されたダッシュボードなどにより、アリアのコックピットは上質さが感じられるとともに、居心地の良い空間に仕上がっている。

TAG: #アリア #デザイン
TEXT:生方 聡
「アリア」が挑むのは電気自動車の激戦区 [日産アリア試乗記:その1]

日産のクロスオーバーEV「アリア」のなかから、エントリーグレードのB6 2WDに試乗。“日産の新しい扉を開く”アリアとは、どんなEVなのだろうか。 一番ホットな市場へ いまやその姿を見ない日はないというくらい、ポピュラーなEVが日産リーフ。2010年に初代モデルが発売され、2017年には現行型の2代目に進化。このリーフが日本のEVの普及と充電インフラ整備を牽引してきたことは、誰の目にも明らかだろう。 そんなリーフの10年にわたる経験をもとに、2020年7月、“新時代の100%電気自動車”としてワールドプレミアを果たしたのが、クロスオーバーEVのアリアである。全長4,595×全幅1,850×全高1,655mmのアリアは、いわゆる“Cセグメント”のSUVであり、トヨタbZ4Xやスバル・ソルテラといった日本勢に加えて、ボルボC40/XC40リチャージ、メルセデス・ベンツEQB、アウディQ4 e-tron、フォルクスワーゲンID.4などの輸入車勢など、いま最もホットな市場に戦いを挑むことになった。 EVの激戦区に打って出るにあたり、日産はEV専用のプラットフォームを開発。2,775mmの余裕あるホイールベースと切り詰めた前後オーバーハングにより、他のライバル同様、塊感のあるフォルムを手に入れている。

TAG: #アリア

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