ジープ 記事一覧

TEXT:佐橋健太郎
人気の「4xe」グレードをベースにしたジープ・グランドチェロキーの限定車「30thアニバーサリーエディション」が登場

日本未導入グレードのスタイリングを踏襲した魅力的な限定車 ステランティス ジャパンは、ジープ・ブランドのハイエンドモデルであるラグジュアリーSUV、グランドチェロキーの誕生30周年を記念した限定車「グランドチェロキー 30thアニバーサリー エディション」を設定。 グランドチェロキー 30thアニバーサリー エディションは、グランドチェロキーのプラグインハイブリッドモデルとして人気の高い、「Limited 4xe 2.0L」がベースとなっている。 フロントおよびリヤのデザインは、オフロード性能をさらに意識した日本未発売のグレード「Overland」を踏襲しており、フロントグリル、ルーフレールおよびホイールにブラックをあしらった、独創的で力強いイメージを主張している。 また、グランドチェロキー 30thアニバーサリー エディションでは、上級グレードである「サミットリザーブ」のみに装備されているデジタルリアビュールームミラーや、ワイヤレスチャージングパッド、さらにウインドウシェードを標準装備とすることで、利便性を高めた。 リヤゲートには、1993年に誕生した初代グランドチェロキーと現行モデルのシルエットが向かい合わせになった、限定車ならではの専用エンブレムが装着される。 ボディカラーは、グランドチェロキーの力強さを象徴するダイヤモンドブラッククリスタルを採用することで精悍なイメージを引き立てている。 パワートレインは、V6エンジン並みのパワーを発揮しながら低燃費を実現する2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンを組み合わせた4xeプラグインハイブリッドシステムを搭載。また、14.87kWhリチウムイオンバッテリーがパワフルなドライビングを生み出し、「e-SAVEモード」など、3つのドライブモードが選択可能となっている。 さらに、8速オートマチックトランスミッションと組み合わせることで、力強い出足や滑らかなハイウェイクルージングを実現した。 グランドチェロキー 30thアニバーサリー エディションには、伝統の走破性を生み出すクォドラトラックII 4×4システム、エレクトロニックスタビリティコントロールなど、先進のセーフティおよびセキュリティシステムが搭載されている。 そのほか、ParkSenseフロント・リアパークアシスト、サラウンドビューカメラに加え、アダプティブクルーズコントロール、アクティブレーンマネージメントなど、安全運転をサポートする様々な運転支援機能を装備する。 限定車「グランドチェロキー 30thアニバーサリー エディション」は、2023年12月2日(土)より、全国のジープ正規ディーラーにて発売する。90台限定で、メーカー希望小売価格は、1049万円となる。

TAG: #PHEV #SUV #アメ車 #輸入車
TEXT:嶋田 智之
自動車ライター嶋田智之さんのイベントリポート、EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA 2023、その2

竹岡 圭さんが案内する各ブランド・イチオシのEVたち 僕がイベントにお邪魔した18日の土曜日は、モータージャーナリストの竹岡 圭さんが会場を訪れていて、マイクを持って各ブースを回るという催しも行われた。圭さんがフィアットのブランドマネージャーである熊崎陽子さん、ジープのブランドマネージャーである新海宏樹さん、プジョーのプロダクトマネージャーである八木亮祐さんというマーケティング部のお三方それぞれに質問をし、マーケティング部の方々が答えていくというかたちでトークが進められた。 が、興味深い内容は多々あれど、それを連ねはじめると絵巻物のような長文になってしまう。ここではそれぞれについて圭さんからコメントをいただいたので、そちらを紹介することにしよう。 フィアット 500e 「フィアット500eは、パッと見だとこれまでの500のガソリンエンジンを電気モーターにすげ替えただけのクルマに思えるという人も多いと思うけど、実はイチからちゃんと設計もデザインもしていて、95%くらい違う部品でできているんですよね。なのに、スタイリングから受ける雰囲気も乗り味も、エンジンの500とほとんど同じ。そこがすごいと思います。展示されていたのはオープンモデルなんですけど、オープンカーはトップを開けると見えちゃうから、インテリアもエクステリアのようなもの。そこにもものすごくこだわって作っているところがまた素晴らしい。顔がチコちゃんみたいで(笑)、名前をつけたいくなるくらいかわいいです。“かわいい”は正義、でしょう? そのかわいさを活かしつつ、500に乗ったときの独特の楽しさを、低重心による安定感とともに再現しているんですよね。とってもよくできていると思います。EVがどうっていう以前に、クルマとして楽しいですよね」 ジープ・ラングラー・ルビコン4×e 「実はラングラーのPHEVは未試乗なんです。なので、最初にジープのPHEVとして日本に入ってきたレネゲード4×eのお話になっちゃうんですけど、電気モーターってすごく細かく制御ができるので、岩場とかの悪路であと1cm動かしたいようなときに、そういうことができちゃうんですよ。悪路を走るジープと電気モーターの組み合わせは、ものすごく相性がいいと思うんですよ。でも完全なBEVだと、山の奥とか砂漠とかでは充電できないから、そうなるとお手上げ。PHEVというのは、最良の選択でもあるんです。それに重いバッテリーを積んでいるから、その分だけ乗り味にしっとり感が出る。普段使いの乗り味もいいんですよ。おそらくラングラーもそういうクルマに仕上がっていると思います。しかもルビコンといえば、階段登れちゃうヤツ(笑)でしょ。それがモーター駆動になったのだから、さらにパフォーマンスが上がっていることが期待できますね。アドベンチャーなところでぜひ乗ってみたいです」 プジョー e-208 「e-208だけに限ったことじゃないんですけど、プジョーのBEVやPHEVは、同じモデルのガソリン車とかディーゼル車とかほかのパワートレーンンのクルマと並べても、それどころか乗り換えても、違和感がないのがいいところだと思うんですよ。BEVって普通は乗り味が独特でしょう? 同じモデルでパワートレーンがいくつか用意されている場合、BEVはわざとBEVっぽくして乗り味を変えているメーカーが多いんだけど、プジョーはそうしていないんですよ。そこが独特というか、乗り味というものへの考え方に1本しっかり筋が通っている感じ。そうなると、うちは充電できるからBEVにしようとか、うちはダメだからガソリンかなという感じで、ルックスと使い勝手が好きなモデルの中から選んでいける。自分のライフスタイルに合わせてパワートレインを選べるのって、なかなかないですよ。プジョーが提唱している“パワー・オブ・チョイス”って、非常によいと思います。もちろんe-208も、ほかの208と同じような乗り味で、そこにBEVならではのよさが加わっているから、1台のコンパクトハッチとしてはかなり素晴らしいクルマになっていますよ」 今回ここで紹介したのはわずか3モデルだけど、語られていることはそれぞれまったく違っていて、ときどきまことしやかにいわれる“電気自動車なんて何に乗ってもほとんど似たようなもの”というのは、真実なんかじゃないことがおわかりいただけるだろう。 内燃エンジンのクルマがそうであるように、ブランドによって、車種によって、乗り味も個性もまったく違っている。今や自分のライフスタイルに合わせて、クルマの原動力をチョイスできるどころか、その中から乗り味や個性だって選べるわけだ。何とも充実した時代になったものだな、と感じた1日だった。

TAG: #EVイベント
TEXT:嶋田 智之
自動車ライター嶋田智之さんのイベントリポート、EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA 2023、その1

3月18日〜19日に開催されたBEVとPHEVのみの展示イベントを訪れた、自動車ジャーナリストの嶋田智之さんが抱いた実感とは。 徐々に浸透してきたBEVの存在 日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会のデータを基に日本自動車会議所が取りまとめた数値によると、2022年に新車として販売された乗用車の中でマイルドハイブリッドやFCEVを含めた電動化モデルが占めた割合は、45.4%だった。ところがモーター駆動もしくはモーター駆動がメインとなるBEVやPHEVは合わせても、その中の2.8%を担っているに過ぎない。販売面ではまだまだ少数派なのだ。 けれど、あくまでも感覚的なものではあるものの、近頃では電気自動車という乗り物が普通に受け入れられるようになってきている。まだ購入には至っていないし、ためらいもあれば迷いもあるのかもしれないが、展示されているクルマたちを眺める人々の視線がうがった感じではなく、何だかとっても自然だったのだ。3月18日〜19日に開催された『EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA 2023』の会場で、僕はそんなふうに感じていた。 このイベントは自動車雑誌『LE VOLANT』が2021年から開催している、BEVにPHEVというモーター駆動もしくはモーター駆動をメインとして走行するクルマのみを集めて展示する催しだ。東京・世田谷区の二子玉川ライズショッピングセンターの真ん中を貫く通路や広場に国内外の17ブランドのクルマがズラリと並べられて、買い物に来たり映画を見に来たりした人たちも、間近でクルマを見たり実車に触れたりすることができるのが、まず素晴らしい。 発売前のプロトタイプや導入が期待されている国内未導入のクルマなどもいくつか並べられ、事情通のクルマ好きたちの期待にも応えていた。 また古いフィアット500やフォルクスワーゲン・ビートルなどの歴史的名車をBEVにコンバートしたクルマが並ぶコーナーが用意されていたり、給電機能のあるBEVのバッテリーを利用して電子ピアノのライヴが行われたり、会場に面した蔦屋家電の協力で家電製品を使ったキャンプを提案するコーナーが作られていたりと見どころも多かった。 ただ環境意識に訴えかけるのではなく、EVがある暮らしはこんなふうに明るく楽しいという提案がそこここにあって、EVという古くて新しい乗り物に対する精神的な距離感を上手に縮めてくれていた。一般の人にとってはショールームにEVを見に行く、試乗しに行くというのは、ちょっとばかり特別なこと。その敷居を上手に下げていた印象だ。 特に人気のあったステランティスの3台 会場のどのブランドのブースでもお客さんが楽しそうな笑顔でクルマのそばにいるのを見ることができた中で、最も印象的だったひとつがステランティスのブースだった。 なかなか手に入れることがむずかしいノベルティがもらえるキャンペーンを展開していたこともあるのだけど、やっぱり大きいのは展示されていたクルマたちだろう。 キャラクターがはっきりとしていて人目を引くモデルが3台、それらを前にクルマの説明を受けている人や室内に乗り込んで細かなところをチェックしたりする人が後を絶たなかったのだ。 女性やお子さん、それに意外や40〜50代の男性などに人気が高かったのが、「フィアット500e」。ブランド初の量産BEVモデルで、1957年に誕生した歴史的な名車、ヌォーヴァ500が持つ独特の世界観を、電動化時代を前に新たに解釈しなおしてゼロから設計・開発したモデルだ。 古くから知られた500ならではの明るさと楽しさ、それにEVならではのメリットや味わいが無理なく融合したクルマである。ちなみに展示されていたのは目下のところBEVでは世界で唯一のオープントップモデルだ。 20代から50代と幅広い年齢層の男性が取り囲んでいたのは、「ジープ・ラングラー・ルビコン4×e」。こちらはBEVではなくPHEVの4WDモデルだが、モーターだけで42kmの距離を走行することができる。 ルビコンのネーミングが与えられていることからも想像できるとおり、緻密な電子制御と相性が抜群なモーター駆動を武器に、シリーズ最強=ジープ・ブランド最強の悪路走破性を誇っている。大自然が生み出す美しい音と静寂を耳で楽しみながら道なき道を走ることもできる、というわけだ。 お洒落なカップルやファッショニスタたちに注目されていたのは、「プジョーe-208」。パリジャン&パリジェンヌそのものといった小粋な雰囲気を醸し出すルックスは、ディテールを除くと内燃エンジン搭載モデルとほぼ一緒。その埋もれることはないけれど決して悪目立ちもしないさりげなさこそが、大きな魅力といえる小粋な5ドアハッチバックだ。とはいえ乗り味は非凡で、スポーティなハンドリングも上質な乗り心地も、もちろん力強さも、BEVモデルの方が一枚上手と評価する人も少なくない。

TAG: #EVイベント
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ジープ初のEV「アベンジャー」が欧州でデビュー……デイリーEVヘッドライン[2023.04.18]

パワーユニットはニデック(旧日本電産)との共同開発 日本発売も予定だが納期は最大1年の見通し 【THE 視点】ステランティス傘下のジープは4月17日、ブランド初のEV「アベンジャー」をヨーロッパで公開した。 「アベンジャー」の外見はコンパクトだが、室内空間はできる限り広く仕上げ、乗員はもちろん様々なものを積み込めるようにスペースを確保し、ダイナミックさと扱いやすさを持つSUVに仕上げられているという。 大きなトピックのひとつは、ニデック(旧社名:日本電産)とステランティスとの合弁会社である 「eMotors」が開発したパワーユニットが初搭載されていることだろう。最高出力115kW (156ps)/最大トルク260Nm(26.5kgm)を発生する。 搭載されるリチウムイオン・バッテリーは、ニッケル/マンガン/コバルトが主成分の正極材(NMC)を採用したもので、最大容量は54kWh(使用可能容量51kWh)。400Vの電動パワートレインと組み合わされ、最大航続距離はWLTP値で400km、市街地走行で最大550kmだという。 「アベンジャー」は、2023年の「欧州カー・オブ・ザ・イヤー」とともに、同年の「ウィメンズ・ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(WWCOTY)」の「カー・オブ・ザ・イヤー2023」および「ベスト・ファミリーSUV」を受賞した期待のEVである。 全長4m程度のコンパクトなSUV型EV「アベンジャー」は欧州での発売は既にアナウンスされ、日本でも今年の2月にメディア向けに公開されている。発売は来年になるようだが、半導体問題などがあり納車は半年〜1年ほどの見通しだ。購入希望者はディーラーへの問い合わせを急ぐことをお勧めしたい。そうすれば無駄な遅延がなく「アベンジャー」に乗ることができるだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★EVモーターズジャパン、シダックスグループの大新東に大型EV路線バスを納車……金沢文庫駅〜大規模分譲マンション「レイディアントシティ横濱ル・グランブルー」間にて4月19日(水)より運行 ★★フォルクスワーゲン・グループのElli、欧州での充電ポイントが50万ヵ所に……直近4ヵ月で10万ヵ所を追加[詳細はこちら<click>] ★フィアット、「500e」をパリのカーシェアリングに提供……「Free2move」のサービスで利用可能 ★エマルションフローテクノロジーズと大平洋金属、リチウムイオン・バッテリーのリサイクル技術を共同開発へ……レアメタル回収技術の確立を目指す ★EVバイクシェアリングサービスのシェアロ、ステーション設置数が500ヵ所……4月30日(日)に東京プリンスホテル屋外駐車場(東京都港区)にて安全講習会を開催(参加費無料) ★フォード、「マスタング・マッハE」をオーストラリアと台湾でも発売……世界39ヵ国での販売車種に、生産台数が2年で15万台目前 ★BYD、試乗企画「eモビリティ パートナープログラム」体験者による「アット3」の感想を公開……「運転がしやすい」との声多数

TAG: #THE視点 #アベンジャー #ニューモデル
ジープ ラングラー マグニトー 3.0 コンセプトのサイドビュー
TEXT:小川フミオ
ジープのピュアEVコンセプトに試乗!まさかのMTを採用する「らしい」理由とは?

ジープファンがこぞって集まる恒例イベント、「イースター・ジープ・サファリ」が2023年4月に米国ユタ州で実施された。そこで自動車ジャーナリスト・小川フミオ氏が試乗したのが、ラングラー・ルビコンベースのピュアEVコンセプト「ラングラー マグニトー 3.0」。電気のチカラでオフロードを走破する新感覚のドライブとは、一体どのようなものなのだろうか。 オフロードの“野獣” ジープ乗りの大祭典ともいえる「イースター・ジープ・サファリ(EJS)」が、2023年4月1日から9日にかけて開催。そこで一般にお披露目された「ジープ・ラングラー・マグニトー3.0」が注目を集めていた。 2023年で57回を数えるEJS。舞台は、米国ユタ州モアブのキャニオンランズ国立公園。 レッドロックと呼ばれる鉱物を大量に含んだ岩で知られ、木がほとんど生えていない岩場が、急斜面を構成。トレッカーやバイク乗り、そしてもちろん4WDファンに人気の場所だ。 毎回、EJSのタイミングでコンセプトモデルをどっと並べるのが好例になったジープ。驚くのは、見せるだけでなく、ジャーナリストに試乗の機会を提供してくれることだ。 既報のマグニトー3.0も例外でない。「オフロードビースト」なんてジープが紹介するBEVのコンセプトモデルで、私はキャニオンランズの岩場をがんがん走れたのだ。すごいトルクに汗かいた。 最大トルクは1,220Nm! マグニトーのおさらいを簡単にしておこう。 「1.0」の登場は2020年。ピュア電動のドライブトレインを持ち、「環境適合性とオフロード性能を追求した」と、ジープブランドのヘッドを務めるジム・モリスン氏が説明してくれた。 ベースは、ラングラー・ルビコン。3010mmのホイールベースも変えていないというが、マグニトーはコンパクトに見える。「キャビンのデザインと大径タイヤのせいでしょう」とデザイナー。 パワーのあがった「2.0」は2021年に登場。635hpの最高出力と1,152Nm(!)の最大トルクを持ち、ロッククライミング性能の高さを誇っていた。 そして、2023年には「3.0」が登場した。最高出力は285hpで、最大トルクは370Nm。ダッシュボード上のスイッチによって、650hpと1,220Nmへと切り替えが可能だ。 スタイリングイメージは、2.0から引き継いでいるものの、グリルをはじめ、ボディはより薄くなったイメージ。Bピラーのデザインも変更されて躍動感が増した印象だ。

TAG: #MT #マグニトー #ラングラー
ジープ ラングラー マグニトー 3.0 コンセプトのフロントビュー
TEXT:小川フミオ
ジープはEV時代をどう生き抜く?電気のチカラは4×4に変革をもたらすか

ジープは2023年4月に、ファンに向けた恒例の大イベント「イースター・ジープ・サファリ」を米国ユタ州モアブで開催した。ラングラーのピュアEV化コンセプトである「マグニトー」の最新進化形をはじめ、プラグインハイブリッド機構を搭載したコンセプトカー陣を出展。EV時代を見据えた「オフロードの雄」の可能性を大々的にアピールしてみせた。同イベントで、自動車ジャーナリスト・小川フミオ氏がジープの電動化戦略について開発者へインタビューした。 ラングラーの将来はピュアEVに? BEVだ水素だeフューエルだと、代替燃料の未来がやや混沌としている。しかし、いまは正解が見えないからと、従来の内燃機関にこだわっていては、競争で何周も遅れてしまう。 ジープも、例外でなく、電動車に熱心に取り組んでいる。 電動化戦略第1弾として市販された4×e(フォーバイイー)なる同社のプラグインハイブリッドシステムは、日本でも「レネゲード」「ラングラー」「グランドチェロキー」で紹介ずみ。 2023年4月の「イースター・ジープ・サファリ」では、「ラングラー・ルビコン4×e 20周年記念モデル」を運転する機会をジャーナリストに提供。オフロード性能の高さをアピールした。 同時に、ピュアEVの「ジープ ラングラー マグニトー 3.0 コンセプト」も、このとき登場。ラングラー・ルビコン4×eの試乗会場になったキャニオンランズ国立公園で話題を集めた。 電気で「4×4の限界をさらに超える」 マグニトー3.0は、ジープによれば「ラングラーの将来に向けてのコンセプト」。2021年の「マグニトー1.0」、2022年の「マグニトー2.0」の、いってみれば進化形だ。 1.0から3.0へと段階的に変わっていくなかで、出力がどんどん上がっている。3.0のトルクはなんと1,000Nmを超過。「4×4の限界をさらに超える」ことが開発テーマと、ジープではしている。 「イースター・ジープ・サファリに集まるジープの熱狂的なファンにお披露目して、彼らがどう思うか、もらったフィードバックを製品に活かしたい」 ジープの副社長であり、北米の事業をひきいるジム・モリスン氏は、キャニオンランズで、私たちにマグニトー3.0のドライブの機会を提供するにあたって、こう述べた。 「ここは、試験場みたいなものです。今年(2023年)のサファリへの出品車(マグニトーを含めたプロトタイプ)の核は、電動化と高い動力性能にあります。それを体験していただきたい」 4×eは米国で一番売れているPHEV ジープが用意した資料にも、下記のように書かれている。 「大地を走破し、岩場を駆け上がる性能という、四輪駆動のポテンシャルにおいては、ジープに比肩しうるクルマはないと証明するのがコンセプトモデルです」 オフロード性能の強化や、車高のリフトアップ、ファットなタイヤの採用による、いわばマッスル化は、いまもジープのファンが期待するもの、とジープでは理解。 いっぽう、自動車界にはフル電動化の波が押し寄せてきている。ジープがこれを無視していられないのも事実。 ジープは、たとえば、ピュアEV化したラングラーを、2024年に北米市場に投入するとホームページに記している。 「私たちの4×eは、米国においても最も売れているPHEVです。これ(4×e)はジープが向かう方向へのステッピングストーンです」 モアブで出会った、ピート・マイロ氏はそう教えてくれた。このひとは、ラングラーと、ピックアップ版であるグラディエーターの開発責任者(ヘッド・オブ・ビークルデベロップメント)。

TAG: #マグニトー
TEXT:TET 編集部
650馬力・6速MTのEVオフローダー。ジープ「ラングラー マグニトー3.0コンセプト」を初公開

ステランティス傘下のジープブランドは、新たなEVオフロードカーのコンセプトモデル「ジープ ラングラー マグニトー3.0」を発表した。最高出力650hp、最大トルク1,220Nmを6速MTで操るというモンスターEVはどんな特徴を持っているのか。その内容に迫ってみたい。 巨大タイヤを駆動する高出力電動ユニット まず、マグニトー3.0のネーミングにピンと来た向きは、かなりのジープ通。今回のコンセプトは2021年の「マグニトー」、2022年の「マグニトー2.0」に続くマグニトーシリーズ第3弾だ。スパルタンなラングラーの2ドアモデルをベースに両サイドのドアを取り払い、過激なリフトアップを施した外観は最新型でも踏襲され、マグニトー3.0のリフト高は3インチ(約7.5cm)。その高められた車高に合わせ、20インチ・オフロードホイールと40インチ・マッドテレーンタイヤを装着し、迫力の佇まいを生み出している。 ロールバーがむき出しとなるリアエンドの処理やEVらしいブルーを基調としたボディカラーについても、シリーズのアイデンティティとしてマグニトー3.0へとキャリーオーバーされている。一方、2.0でブラックアウトされ迫力が増したフロントグリルは、3.0ではさらに小型化されボディ構造むき出しの部分が増えたことで、より強そうな雰囲気を見せる。 このほか外観では、ドア開口部が乗降に配慮した形状に変更されたほか、Bピラーも6cm後方に移動された。サイドビューがチョップトルーフの雰囲気をさらに強めたのも特徴で、これはフロントフェンダー後端を約5cm延長し、フロントガラスを12度傾斜させたことが強く効いているようだ。 マグニトー3.0の発表の場は、米国ミシガン州オーバーン・ヒルズで毎年開催されるファンイベント「イースター・ジープ・サファリ」。57回目となる本年は4月1~9日の日程で開催される。 >>>次ページ MTの電気自動車の先駆け

TAG: #マグニトー #ラングラー
TEXT:曽宮 岳大
ジープからEVが続々。ステランティス、2022年はEVを29万台弱販売。2023年に登場するSUVのニューモデル3台

米ジープや伊フィアット、仏プジョーなど15のブランドを展開する自動車大手ステランティス・グループ。2022年には、前年比26%増の168億ユーロ(約2兆4175億円)の純利益をあげた。拡大市場の電気自動車(EV)は、2022年に前年比41%増の28万8000台を販売し、台数を急増させた。2023年はさらに9車種のEVを投入すると意気込む。なかでも注目はジープ。2023年には3モデルが登場する予定だ。 次なる狙いは米市場 ステランティスの発表によると、2022年の自動車販売は純利益と調整後営業利益で過去最高を達成した。同グループは、2030年までに純利益を2021年比で倍増させ、10年間連続で2桁台の利益率を上げるという野心的な戦略を掲げているが、2022年はその目標をクリアした格好だ。 成長市場のEVについては、現在23台をラインナップしており、グローバルで28万8000台を販売した。EU加盟国内で商用車のEV販売で首位、EV全体では2位となったほか、イタリアでは「フィアット ニュー500(日本名:500e)」が首位、フランスでは「プジョー e-208」が販売ナンバー1を獲得している。ステランティスは2030年までにCO2排出量を半減(2021年比)させる目標を掲げており、2022年は11%の削減を達成した。 ステランティス・グループのEV攻勢は今後も続く。現在23台のEVラインナップを2024年末までには47台に増やす計画だ。その勢いを強力に加速させるのがジープ。2022年末に欧州で披露された「アベンジャー(Avenger)」のほか、北米では2023年中に「リーコン(Recon)」と「ワゴニアS(Wagoneer S)」の発表が予定されている。 ジープが海外向けに展開するコンパクトSUV「アベンジャー」 ジープ初のバッテリーEV(BEV)として登場したアベンジャーは、Bセグメントに位置する全長4.08mのコンパクトSUV。欧州をはじめとする海外市場向けに用意するモデルだ。航続距離は400km(WLTPモード)を達成し、急速充電を使用すれば3分の充電で30kmの走行が可能という。アベンジャーは日本にも導入される見通しだ。 ルビコントレイルを横断できる走破性と航続距離「リーコン」 アベンジャーが欧州など海外向けであるのに対し、リーコンは、北米を主戦場とするEV。完全新設計となるEV専用モデルで、4×4モデルが展開される。ジープでは、過酷なオフロードコース「ルビコントレイル」を走破した、卓越したオフロード性能を持つモデルに「Trail Rated」という特別な称号を与えているが、リーコンはルビコントレイルを横断し、街まで戻ってこられるだけの航続距離を確保するとのこと。2023年前半に北米で受注が開始され、2024年に北米での生産開始が予定されている。 航続距離640km級のプレミアムSUV「 ワゴニアS」  ジープが2021年に発表した大型SUV「ワゴニア」にもEVの設定が計画されている。コードネーム「ワゴニアS」と呼ばれるそのモデルは、1充電あたりの航続距離は640km、最高出力は440kW(600ps)、0-96km/h加速は3.5秒を誇る、高性能プレミアムSUVだ。先進技術と充実した豪華装備が与えられる模様で、ラインナップの中でも存在感を放つモデルとなりそう。こちらも2023年前半に受注が開始され、2024年の生産開始が計画されている。 EV化の波は欧州で急速に進んでいるが、北米市場でも電動モデルの発表が相次いでいる。ステランティスのような大手が人気ブランドからEVを発表すると、その勢いにさらに弾みがつくだろう。 ジープでは2030年までにEVのフルラインナップを完成させ、モデル数や販売台数の面でSUVナンバーワンを目指すとしている。今後の動向を楽しみに見守りたい。

TEXT:烏山 大輔
新型Jeep Avenger(ジープ・アベンジャー)、ステランティスのティヒ工場で生産開始

「2023年欧州カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した「新型Jeep Avenger (ジープ・アベンジャー)」がポーランドのティヒ工場で2月6日より生産開始された。同車は、ジープ・ブランド初のバッテリー電気自動車(BEV)だ。 ヨーロッパに適したコンパクトサイズでBEVラインナップの先陣を切る。ゼロエミッション SUV の世界的リーダーを目指すジープのグローバル電動化戦略における重要なモデルとなる。 ジープのICEと同じように、路面状況によって走行モードを選択できるSelec-Terrain(セレクテレイン)とヒルディセントコントロールを標準装備。アプローチアングル、デパーチャーアングル、地上高とも、このセグメントとしては余裕がある水準だ。 パワートレインは、最高出力115kW(156ps)、最大トルク260Nmの新型電気モーターと54kWhの新型バッテリーパックを組み合わせた新世代の400ボルト電動システムを搭載している。 2022年のパリ・モーターショーで公開されたジープ・アベンジャーは、2022年12月1日のファーストエディション、2023年1月11日のフルラインナップの受注開始後、10,000台以上を受注した。専門家からの高い評価を、欧州でのこの販売実績が裏付けている。 もし日本に導入されれば、BMW「iX1」やBYD「ATTO 3」、ヒョンデ「IONIQ 5」に加え、DSオートモビル「DS 3 CROSSBACK E-TENSE」、プジョー「e-2008」とコンパクトBEV対決が繰り広げられるかもしれない。

TAG: #ジープ
TEXT:生方 聡
ジープ・アベンジャーが欧州カー・オブ・ザ・イヤー2023を受賞

欧州カー・オブ・ザ・イヤー組織委員会は、1月13日、ベルギーで開催中のブリュッセル・モーターショーにおいて授賞式を開き、ジープ・アベンジャーが欧州カー・オブ・ザ・イヤー2023を受賞した。 今年60回目を迎えた欧州カー・オブ・ザ・イヤー(以下、欧州COTY)には、27台がノミネートし、ジープ・アベンジャー、日産アリア、ルノー・オーストラル、フォルクスワーゲンID.Buzz、起亜ニロ、プジョー408、スバル・ソルテラ/トヨタbZ4Xの7台が最終審査に残った。 23ヵ国、59名の自動車評論家の投票で決まる欧州COTY2023は、21名の審査員が1位票を投じたジープ・アベンジャーが328ポイントを獲得し、堂々の1位に輝いた。ジープが欧州COTYを獲得するのはこれがはじめて。 コンパクトSUVのアベンジャーはジープ初のバッテリーEVであり、115kWの電気モーターと54kWのバッテリーによりWLTPモードで400kmの航続距離を達成する。 2位は“ワーゲンバス”の再来といわれるフォルクスワーゲンID.Buzz、3位は日産アリアとなった。 投票の結果は次のとおり。 1位 328点 ジープ・アベンジャー 2位 241点 フォルクスワーゲンID.Buzz 3位 211点 日産アリア 4位 200点 起亜ニロ 5位 163点 ルノー・オーストラル 6位 149点 プジョー408 7位 133点 スバル・ソルテラ/トヨタbZ4X  

連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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