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フィアット・500e(photo=ステランティス)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
「アバルト・500e」最終選考へ……日本カー・オブ・ザ・イヤーの「10ベストカー」決まる[2023.11.08]

去年のイヤーカー「日産・サクラ」とは趣向の違う趣味系EV ノミネートEV自体は全7台だが日本車がない 【THE 視点】日本カー・オブ・ザ・イヤー(JCOTY)実行委員会は11月3日、一次選考の結果として「10ベストカー」を発表した。今回発表された車両は、2022年11月1日〜2023年10月31日の間に発表・発売されたノミネート車両34台から、10台に絞り込んだもの。選考委員60名が選出した。 選ばれた10台は以下の通り。 ・「スバル・クロストレック」 ・「トヨタ・アルファード/ヴェルファイア」 ・「トヨタ・プリウス」 ・「日産・セレナ」 ・「ホンダ・ZR-V」 ・「三菱・デリカミニ」 ・「アバルト・500e」 ・「BMW・X1」 ・「マセラティ・グレカーレ」 ・「フォルクスワーゲン・ID.4」 この10台の中にEV(PHEVを除く)は、「アバルト・500e」と「フォルクスワーゲン・ID.4」の2車種となる。「アバルト・500e」は10月28日に発表されたばかりのモデルで、「フォルクスワーゲン・ID.4」は、2022年11月22日の発売からおよそ1年が経ち街中でも見かけるようになった。本媒体執筆陣の一人である生方氏の愛車でもある。 昨年は「日産・サクラ」および「三菱・eKクロスEV」が「日本カー・オブ・ザ・イヤー」「K CARオブ・ザ・イヤー」を受賞し、EVも一台のクルマとして評価が得られることを証明した。今年もEVの受賞を期待するが、電動車系ではHV・PHEVの両方をラインナップに持つエコカーの元祖「プリウス」や、シリーズハイブリッドモデル「e-POWER」を用意する「セレナ」などがノミネートされており、最終選考までは蓋を開けてみなければわからない。 ちなみにノミネート車両34台の中には以下の5台のEVもあった。 ・「アウディ・Q4 e-tron」 ・「BYD・アット3」 ・「BYD・ドルフィン」 ・「メルセデス・ベンツ・EQE SUV」 ・「メルセデス・ベンツ・EQS SUV」 日本製のEVがリストにないことは残念である。しかし、上記5台のEVを差し置いて発表されたばかりの「500e」が「10ベストカー」に残ったことは興味深い。昨年の「サクラ」は庶民派のEVであることが評価されたわけだが、「500e」はその対局にある趣味系のEVと言える。それだけ選考委員の心を打ち抜くパッケージングの魅力と楽しい走行性能を持ち合わせているということなのだろう。いずれにせよ、昨年に続きEVが評価されていることは嬉しい限り。ちなみに「ID.4」がどんなモデルであるかは、生方氏の連載をぜひ確認してほしい[詳細はこちら<click>]。 「カー・オブ・ザ・イヤー」系のものは、他にも日本自動車殿堂が主催する「2023-2024日本自動車殿堂カーオブザイヤー」と、日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)主催の「第33回RJCカーオブザイヤー」もある。こちらでもEVが受賞することを期待したい。 日本カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考会は12月7日に開催され今年の1台が発表される。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★「空飛ぶクルマ」専用の充電設備を開発 ……「空飛ぶクルマ」のスカイドライブと関西電力は、「大阪・関西万博」で運用する機体向けの充電設備を共同開発する。高電圧・大電流の超急速充電設備となるとのこと。 ★半分電動のピックアップトラック「ラム1500リチャージャー」登場 ……ステランティスは、ピックアップトラックの「ラム1500」の新型を発表した。V6ガソリンエンジンを発電専用とし、電気モーターで前後輪を駆動する「シリーズハイブリッド」方式を採用した。プラットフォームは、ステランティスのEV用の「STLA」を使用している。 ★新築マンションへのEV充電器設置を加速 ……テラモーターズとエネチェンジは、それぞれ大東建託と連携し、賃貸向けにEV充電器の設置を推進する。大東建託は、都市部向け「個別設置型」EV充電器を販売開始。マンションのオーナーに充電器の導入を提案する。 ★澁澤倉庫、引っ越し業務にEVバン導入 ……グループ会社の澁澤陸運が、BYDのEVバンを引っ越し業務に投入した。梱包資材の配送・回収用として活用している。 ★駅伝中継車にFCEVバス ……CBCテレビは、「第63回中部・第53回北陸実業団対抗駅伝競走大会」<11月12日(日)開催>に燃料電池中継車(FCEV)を使用すると発表した。車両は小型バス「トヨタ・コースター」を改造したもの。 ★テラモーターズ、インド事業を強化 ……子会社のテラモーターズ・インドと、現地のタクシー業界の車両管理サービスを展開するSNM Cabsが業務提携した。SNM Cabs専用の充電ハブを開発し、ドライバーと利用者双方の利便性の向上を目指す。 ★ガソリンが値上がり ……EV充電スタンド情報のゴーゴーラボは、11月6日(月)時点でのレギュラーガソリン価格(全国平均)が169.2円となったと発表した。先週に比べて0.3円、9週間ぶりに値上がりとなったという。なお、ハイオクは180.2円、軽油は147.4円。 ★「フィアット・500e」の購入を50万円サポート ……ステランティス・ジャパンは、「ブラックフライデー」に合わせたキャンペーンの第1弾として、合計286名に最大150万円分の新車購入クーポンを進呈する。応募は11月8日(水)〜10日(金)の期間。「フィアット・500e」も対象で、50万円分のサポートを受けられる。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.08]

TAG: #THE視点 #国内ビジネス #日本カーオブザイヤー
新型となったステランティスの商用EVバン(photo=ステランティス)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
7家族13兄弟が一斉に刷新……ステランティス、傘下に展開する商用EVバンが第2世代に[2023.11.01]

大型・中型・小型の商用EVバンが各ブランドにフルラインアップ 日本の大手メーカーはなぜ電動化に手を出さない 【THE 視点】ステランティスは10月23日、傘下のブランドに展開する第2世代の商用EVバンを公開した。小型から大型までの各サイズを用意し、大型の最高クラスには最大容量110kWhのバッテリーを搭載。最大420kmの航続距離となる。充電は最高出力150kWの急速に対応する。 今回の発表は、合計7ブランド・13車種を一気に新型とする大規模なものだ。各ブランドに小型・中型・大型の商用EV版が揃うことになる(ラムは大型のみ)。各ブランドと車種は以下となる。 シトロエン:「ベルランゴ」「ジャンピー」「ジャンパー」 フィアット:「ドブロ」「スクード」「デュカト」 オペル/ボグゾール:「コンボ」「ヴィヴァーロ」「モヴァーノ」 プジョー:「パートナー」「エキスパート」「ボクサー」 ラム:「プロマスターEV」 これほどのブランドと車種を一気に刷新するのは、ステランティスとして初ということだ。 性能面を詳しく紹介すると、小型では最大330km、中型EVバンは最大350km、冒頭でも紹介した大型バンは最大420kmの航続距離となる。最高出力150kWの急速充電を使用すると、大型バンでは1時間以内に0〜80%まで回復する事ができる。e-PTO (電動パワーテイクオフ:架装用に動力を取り出せる装置) の装備もあるようで、様々な用途に応用ができるだろう。さらに2024年にはFCEVバン(燃料電池車)もラインアップに加わるという。 トヨタで言えば、「ライトエース」「ハイエース」「グランエース」が一気にEV化されるというイメージである。バッテリー式に加えてFCEVも用意されるとのことで、欧州の商用車のカーボンニュートラル化が一気に進むことになる。 こういった展開ができるのは、世界規模のグループ故の芸当であろう。プラットフォーム/バッテリー・E-アクスルなどが共用できるので、コストも抑えることができるはずだ。 欧州では大メーカーが商用EVに大きく舵を切ったわけだが、日本の大手が鈍いのは残念である。「トヨタ・ハイエース」は、「ジャパン・モビリティ・ショー」でEVコンセプトが出たものの、それどまり。「日産・e-NV200」は生産終了してしまい、欧州ではその後継「タウンスター」が発表されているが、国内市場では音沙汰がない。 大手の代わりに新興系の商用EVが存在感を高め物流企業への導入が進んでいるが、大手が動き出さないのはどこかいびつである。「カーボンニュートラル」を声高々に叫ぶのであれば、“毎日走ってナンボ”の商用車を無視してはならない。 ステランティスグループ傘下のブランドには日本法人もあるため、今回発表のあったEVバンが日本に導入される可能性もないとは言えない。そうなると、ますます日本勢は苦しくなるのではないか。 航続距離や耐久性などいろいろな問題もあろう。しかし、三菱ふそうやいすゞはEVトラックを登場させた。「ハイエース」と「キャラバン」のEV化も、具体的に進めるべきであろう。特に「ハイエース」については、トヨタが長年育て上げているFCEV技術で先行を許してよいものだろうか。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★テスラ、新型「モデル3」の試乗を開始 ……11月3日(金)よりストア試乗を開始する。試乗受付は公式WEBから。また、新型の航続距離も公表した。国土交通省審査値で706km(ロングレンジAWD)となる。 ★★東電系のJERA、EVのリユースバッテリーを活用 ……東京電力フュエル&パワーと中部電力の合弁企業JERAは、EVのリユースバッテリーを活用した大規模蓄電システムの実証実験を始めた。トヨタの技術協力のもの、特別高圧の送電系統に連携可能なシステムの構築を目指す。 ★★EVフォークリフトのバッテリーで蓄電設備 ……豊田自動織機とトヨタL&Fカンパニーは、フォークリフト用のリチウムイオンバッテリーをリユースした定置型蓄電システム「メガロア」を開発した。豊田市と共同で電力使用量の平準化などの実証実験を行なう。 ★ダイムラートラック、北米でEVトラックの量産を開始 ……傘下のフレイトライナー名義でEVトラック「eM2」の量産を開始した。「eM2」はボンネット形状を持ったアメリカンスタイルを持つEV。最大容量291kWのバッテリーを搭載し、航続距離は最大400kmとなる。 ★アウディ、EVの販売が増進 ……2023年1月〜9月期の業績を発表した。EVの販売は12万3,000台以上で、前年同時期比60%増となった。9月単月では17万5,000台超えで、こちらも前年同月比24%増となっている。 ★ステランティス、EVの販売が好調 ……2023年6月〜9月期の業績を発表した。前年同時期比37%増という結果となった模様。「ジープ・アヴェンジャー」「シトロエン・アミ」「プジョー・E-208」「フィアット500e」などが増進に貢献したという。 ★岐阜県高山市のリゾートホテルがEVバスを導入 ……完全会員制のリゾートホテル「サンクチュアリコート高山」がホテルと最寄駅を結ぶ送迎バスに導入した。車両はEVモーターズ・ジャパンのコミュニティバス型となる。 ★テラモーターズ、北海道の賃貸に充電器を整備 ……北海道札幌市を拠点とする賃貸業のビッグと業務提携した。2030年までにビッグの管理物件に、充電器5,000基の設置を目指すという。 ★岩手県にEV充電器の設置が加速するか ……エネチェンジと岩手銀行が協力を発表した。2024年1月までに岩手/青森/宮城の複数の施設に充電を導入する。まずは岩手県矢巾町役場と宮城県仙台市の飲食店「かに政宗」への設置が発表された。 ★鳥取県日吉津村にEV充電器が導入 ……テラモーターズが連携協定を結んだ。同村役場庁舎と公共施設「ヴィレスひえづ」に、6kWタイプの普通充電器を3基ずつ設置する。 ★元テスラの技術者が東北大発のベンチャーに ……テスラ/アップル/ノースボルトなどを渡り歩いたバッテリーの技術者ケンゾー・ナガイ氏が、東北大学発のベンチャー企業3DCのアドバイザーに就任した。3DCはバッテリー向けの次世代カーボン素材の開発を行なっている。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.01]

TAG: #THE視点 #商用EV #海外ビジネス
「E-GAP」が導入した「フィアット・プロフェッショナル・E-スクード」(photo=ステランティス)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
フィアットの商用EVバン「E-スクード」60台が欧州 の“電気の救急車”部隊に導入[2023.07.28]

移動式充電サービスは電動化社会にとって重要なインフラ 商用EVが出揃いつつある日本国内でも開発・普及を 【THE 視点】ステランティス・グループのフィアット・プロフェッショナルは7月24日、イタリアの移動充電サービス企業「E-GAP」に60台のEVバン「E-スクード」を納入したと発表した。フィアット・プロフェッショナルは、「E-GAP」を「E-スクード」とともにサポートしていくという。 「E-GAP」は、都市部における移動式の急速充電サービス。電欠の救援・救急サービスと理解して良いだろう。利用希望の場合は、同社が展開するスマートフォンアプリを介して予約を行う。アプリに自分のいる場所等を入力すれば給電車両が駆けつけてくれ、料金はオンラインにて支払う仕組みとなっている。 本サービスは現在、イタリア(ローマ・ミラノ・ボローニャ・トリノ・ヴェローナ・ブレシア・トレント)、フランス(パリ)、スペイン(マドリッド)、ドイツ (ミュンヘン)にて提供されており、今後、欧州の各国各都市へサービスを拡大する予定だという。 「E-スクード」は、最高出力100kW(136ps)・最大トルク260Nm(26.5kgm)のモーターを搭載。バッテリー容量は最大75kWhまで用意があり、最大航続距離は330km(WLTP値)となっている。最高出力11kWの普通充電を使用すると45分で80%の充電ができ、100kWの急速充電にも対応している。 日本でもEVによる移動式の充電サービスは展開されており、筆者が知るのは「日産サクラ」をベースに、容量3.35kWhのバッテリーを3基搭載した車両。およそ10kWhの電気の救急車である。 対して「E-スクード」は、少なくとも車両自体に最大75kWhのバッテリーが載っている。充電サービス専用車ともなれば、さらに大容量の給電専用バッテリーを積んでいるのではないだろうか。 現在の日本には、このような大容量の移動式充電サービスがないのが残念である。ただ、パワーエックスが大型蓄電池式の超急速EV用充電器を導入する計画があり、それらを応用すれば、すぐにでも移動式充電サービスを展開できそうだ。車両はEVトラックを使用すれば良い。「三菱ふそう・eキャンター」や「いすゞ・エルフEV」といったおあつらえの素材が日本にはある。 移動式の充電サービスは、今後のEVの普及とともに日本でも必要なインフラとなるはず。是非とも国内に普及してほしいサービスだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★自動車メーカー7社が北米にEV充電インフラの合弁会社を設立……メルセデス・ベンツ/BMW/GM/ヒョンデ/キア/ステランティス/ホンダが参画、2024年夏に第1号ステーションがオープン予定 ★★新電元、商用EV向けの急速充電器「BC-Pro.モデル」を発売……最高出力60kW、熱に強く16時間の連続運転が可能 ★★MINI、直径240mmのOLED(有機EL)ディスプレイをEVモデルに搭載……運転モードに合わせた擬似エンジン音も制作 ★ホンダ、小型船向けの電動推進機のプロトタイプを実証実験……島根県松江市の「堀川遊覧船」に搭載し営業運行 ★パーク24、東京都大田区所有の事業用地にてEVのカーシェアリングを展開……蒲田5-44の土地にEVステーション、並びに「日産リーフ」2台を配備 ★EMデバイス、EVに対応した車載充電器用ACリレーを開発……従来品よりも50%コストダウン ★テラモーターズ、山梨県上野原市にEV用充電器を設置……市役所本庁舎など計7ヵ所の公共施設に ★WHILL、「那須高原りんどう湖ファミリー牧場」<栃木県那須町>に低速走行の四輪スクーター「モデルS」を導入……2,000円/日でレンタル ★旭化成、独自開発の「リチウムイオンキャパシタ」(LiC)の製造技術のライセンス活動を開始……リチウムイオン・バッテリーと同様の汎用部材が使用可能 ★BASF、バッテリー用の正極材工場にリサイクルセンターを併設……欧州における資源循環型バッテリー・バリューチェーンのモデルに ★フォーミュラE第15・16最終戦ロンドン、今週末29日・30日に開催……ポイント・リーダーはジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ) デイリーEVヘッドライン[2023.07.28]

TAG: #THE視点 #充電インフラ #商用EV
TEXT:TET 編集部
伊フィアット、新型EV「600e」を発表。BセグメントのコンパクトSUVで航続距離400km以上を達成

ステランティス・グループに属する伊フィアットは7月4日、新型電動コンパクトSUV「600e」をワールドプレミアした。先に登場する500eの兄弟分にあたるこのモデル、サイズアップに併せ、デザインも差別化が図られている。詳しく見ていこう。 EVに加え、ハイブリッドも設定予定 今回デビューした600eは、日本国内でも販売されている「500e」の兄貴分(ちなみにフィアットでは“姉貴分”と表現している)にあたるBセグメントSUV。全長は4.17m で、500eに比べて50cmほど長い。こうしたサイズ感でピンと来た方もいると思うが、この600eは現行「500X」の事実上の後継モデルといえるだろう。もっとも、全長が4,295mmある500Xに比べると、600eは若干コンパクトになっている。 600eの発売時に用意されるのは54kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載したバッテリー電気自動車(BEV)仕様。フィアットによれば、600eはWLTP都市サイクルで600km以上、複合サイクルで400km以上の航続距離を持ち、100kW級の急速充電にも対応する。バッテリーを0%から80%までチャージするのに30分以下で済むという。 また、モーターの最高出力は115kW(約156ps)、0-100km/h加速は9.0秒とアナウンスされており、500eの87kW(約118ps)に比べ出力は強化されているが、ボディの大型化等により0-100km/h加速はまったく同じ値となる。なお、600eは500eと異なりBEV専用車ではなく、2024年半ばまでにハイブリッド(HV)仕様も追加されるというから、現行500Xからの乗り換え組も安心だ。 600eのエクステリアは、500eをそのまま大きくして5ドア化したようなスタイリングで、半開きの目を想像させるヘッドライト周囲の処理や、フロントノーズの大きなモデルロゴなどもフィアットの新世代EVとして500eと共通のデザインになっている。ただし、よく見ると、500eではリング状のフォグランプが、600eでは上下に分割された形状とされ、500eではフラットなドアハンドルが600eではグリップ式になるなど細かな違いは多い。また、ハイブリッドが設定されるため、600eのフロントグリルには開口部が設けられていることも目立つ差異となる。 >>>次ページ 快適装備や先進安全機能が充実

TAG: #600e #フィアット #発売前モデル
TEXT:岡崎 宏司
岡崎宏司の「EVは楽しい!」第14回:フィアット 500eは気になる存在です

フィアット 500eのドライブでは『ローマの休日』へ岡崎さんは思いを馳せたそう。上質で知的な印象の一台に、そうとう心が動かされたご様子です。 e-208GTに満足する一方で 何度も繰り返しているが、現在の愛車、プジョー e-208GTには満足している。 デザイン、ブランド、サイズ、走り味……みんな気に入っている。不満があるのは不整路面での乗り心地くらいのもの。 わが家に来てから2年半経つが、他車に買い替えたいと思ったことはない。車検を取って乗り続けようとさえ思っている。 けっこう移り気!?で、車検を取って乗り続けるなど滅多にない僕には、かなり珍しいこと……なのだが、どうもそうなりそうだ。 まぁ、今までのところ、コンパクトサイズBEVの選択肢が少ないこともあるのだが。 500eには、心動かされる その少ない選択肢の中で、心を動かされたクルマが1台だけある。僕の好みを知る人なら、たぶん言い当てるだろうが……そう、フィアット 500eには心を動かされた。 ちょっぴりヤンチャでチャーミングな500のルックスは基本的に受け継ぎ、サイズを一回り大きくして、上質さ、プレミアム度をグンと高めたデザインは見事だ。 そう……上質さ、プレミアム度という点では、わがプジョー e-208GTを大きく上回っている。内外装ともに……。 「電動開閉式ソフトトップ」があることにも心を動かされた。全開にすると、ほとんどフルオープンに近い開放感が得られる。 それでいながら、すべてを周囲に晒してしまうことがない。スモークの入った窓ガラスを閉めれば、ほぼプライバシーは保たれる。 風の巻き込みもよく抑えられている。少なくとも80km/h 辺りまでなら、「髪の乱れ」も気にならない。女性には喜ばれるはずだ。 走行中のソフトトップからの音も低い。精度の高い造り込みの証といっていい。 そんなことで、フィアット500e コンバーチブルの日常性は非常に高い。大きなチャームポイントのひとつといっていい。

TAG: #500e #e-208GT #EVは楽しい!
TEXT:嶋田 智之
「らしさ」に溢れるフィアットの走りは健在![フィアット500e試乗記:その5(最終回)]

前回に続く、フィアット500eの試乗記もいよいよ最終回。’70年式のチンクエチェントを普段アシとして乗っているモータージャーナリスト嶋田智之氏は、500eにも連綿と受け継がれるfunな乗り味を感じるという。 70年代のチンクエチェントから受け継ぐ乗り味 ここまであれこれ書き連ねておいて何だが、僕は日頃、1970年式フィアット500L、つまり2代目500をアシにしている。そのクルマもそうなのだけど、2代目500はステアリングを操作して前輪が反応した瞬間に後輪まで反応して、全身で旋回に入っていくかのような、曲がる楽しさを持っている。タイヤは糸のように細いしサスペンションもヤワといえばヤワだから、コツを要するのも確かだけど、とにかく楽しい。普通の感覚からすれば目が醒めるほど遅いのだけど、意外やスポーティなところがあるのだ。 そのおもしろさは3代目500、つまり現行の内燃エンジンの500にもちゃんと受け継がれていて、エンジンの搭載位置も駆動レイアウトもサスペンション形式も変わっているにも関わらず、さらに爽快なコーナリングを楽しむことができる。いうまでもなく現代的に進化してるしコツを要するクセなども綺麗に払拭されてるから、それを誰もが味わえる。 BEV版の500eもその3代目と同じように、長きにわたって愛された2代目500のテイストをちゃんと受け継いでいるのだ。それも、さらにいいかたちで。ここが鈍いと“らしさ”に欠けるよな、なんて500ファンの一人として思っていたのだけど、いやいや、とんでもない。最初にコーナーを曲がった瞬間からその“らしさ”がちゃんと感じられて、思わずニンマリした。 しかもバッテリーをフロアに敷いたことによる重心の低さがしっかり活かされていて、そのコーナリングの感覚、コーナリングスピードともに間違いなく歴代ナンバーワン、と断言してもいいくらい。BEVであることが、ここでも大きなメリットになってるのである。そういえば直進安定性も乗り心地のよさもエンジン版をしのいでると感じられたものだが、それはエンジン版より300kg+α余分に重いことを見事に活かしたシャシーのチューニングが行われてるからにほかならない。 >>>次ページ 充電環境さえあれば真剣に欲しい

TAG: #500e #BEV #フィアット
TEXT:嶋田 智之
気持ちいい。速さで攻めるのでなく、情感に訴える走りっぷり。[フィアット500e試乗記:その4]

前回までで500eのデザインや歴代から受け継いだヘリテージなどを紹介したが、このクルマの最大の魅力は走りかもしれない。驚くような速さではないのに、運転がとても楽しいのだ。モータージャーナリスト嶋田智之氏がレポート。 ボディが小さく、何より軽い 見てニンマリ、室内に収まってみてニンマリ。だけど走り出してみると、もっとニンマリしてしまう。フィアット500eは、2代目や3代目と同じく、そういうキャラクターを持ったバッテリーEV(BEV)だった。 このクルマは御先祖さまが庶民の日常を支えるシティカーとしての要素が強いクルマであったように、僕たちのような“普通の人”の新しい日常を見据えて作られたクルマなのだと思う。それは成り立ちからも一目瞭然だ。車体をもっとググッと大きく設計してバッテリーの搭載スペースを広く採れば航続距離もさらに稼げるだろうけど、それをしてはいない。 42kWhのバッテリーをフロア下に敷きつめ、118ps(87kW)と220Nmを発揮するモーターでフロントタイヤを駆動するレイアウトだが、機構図を見ると、この車体にシステム全体を収めるのはそう容易なことじゃなかったということが察せられる。 全長3630mm×全幅1685mm×全高1530mm。姉妹ブランドとなったプジョーのe-208よりも、キャラクターが近いといえば近いホンダeよりもコンパクトなのだ。サイズには徹底的にこだわってる。それに500eは軽い。プジョーe-208が1490〜1510kg、ホンダeが1540kg。対する500eはクローズドルーフが1320〜1330kg、オープントップで1360kgに過ぎないのだ。 その小ささと軽さは、あらゆる場面で活きてくる。走りはじめた直後から“楽しいな”、“気持ちいいな”と感じられるのだ。BEVによくあるいきなりドーン! とトルクを立ち上げるような制御はしてないようだが、ゼロ発進から高速道路の巡航まで、パワーとトルクのデリバリーが絶妙に行き届いていて、微速域でも高速域でも扱いやすい。いかなるときも滑らかだし、反応も素直。そして何よりクルマが伝えてくるフィーリングが、軽やかでとってもいい。 おもしろいのは走行モードを切り換えることで、クルマが激変といえるくらい変わること。「ノーマル」モードでは内燃エンジン版の現行チンクエチェントを走らせてるのと同じように、加減速も含めてとても自然な感覚で走れる。アクセルペダルをオフにしても、BEVっぽい減速感はほとんどやってこない。BEVっぽさが苦手な人にはこのモードはものすごく有効だし、高速道路などをクルーズするときにはこれを選ぶ方が疲れも少ないだろう。 「レンジ」モードに切り換えると、アクセルペダルだけで発進から停止までをまかなえるようになる。より強力な回生を得ることができるようになり、一気に“BEVに乗ってる”という感覚が強くなる。慣れてしまうとペダルひとつ、右足ひとつで走るこのモードが楽しくなって、こればかりを多用するようになる人が多いようだ。何人かの500eオーナーさんに訊ねてみたが、皆一様に同じ見解を語ってくださった。僕も高速巡航以外はずっとレンジモードに入れっぱなしだった。内燃エンジンのクルマでは決して味わうことのできない、BEVならではのドライビングプレジャーといっていいだろう。 >>>次ページ 0-100km/h加速は歴代チンクチェントで最速

TAG: #500e #BEV #フィアット
TEXT:加納亨介
フィアットの新しい超小型EVシティコミューターは、その名も「トポリーノ」

フィアットは5月31日、超小型のEVシティコミューター「トポリーノ」を発表した。ハツカネズミを意味するこのネーミングは、初代フィアット500の愛称を継承したものだ。1936年から1955年まで販売された初代“トポリーノ”は、小さいながらも発売当時としては先進的なメカニズムを持ち、大きな商業的成功を収めたモデルだった。新しい超小型EVに与える名としてこれに勝るものもないだろう。 一方で顔つきは、今も世界中にファンの多い2代目フィアット500をオマージュしている。発売前から成功を約束された生まれつきといえる。 公式発表では触れられていないが、同じステランティスグループの一員であるシトロエンの「アミ」やオペルの「ロックスe」の兄弟車と思われる。参考までにアミのスペックを拾うと、全長2,410mm、全幅1,390mm、全高1,520mm、ホイールベース1,728mmで乗車定員は2名。日本の軽自動車と比べて全長で約1m短く、全幅も約10cm狭い(軽自動車規格:全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下)。2人乗りシティコミューターとして思い出すスズキ・ツインと比べても30cm以上短い。 (シトロエン・アミ) 車量485kgを走らせるモーターは最高出力8.2hp、リチウムイオン・バッテリーの容量は5.5kWhで航続距離は75kmとされる。充電は交流の普通充電のみで、欧州規格の220Vのコンセントを用いてほぼ空の状態から約4時間で満充電となる。おそらくトポリーノもこれに準ずるはずだ。 欧州のクワドリシクル規格 石材主体の街並みは戦禍に強く、中世そのままのような細い街路が多く残ることと関係しているのだろう、欧州ではこうした超小型車のジャンルが確立されており「クワドリシクル」という規格も定められている。彼の地には小さなクルマを道路の進行方向と直角に駐車する習慣があるが、その主役たちである。クワドリシクルはフランスなら14歳以上、他のヨーロッパの多くの国でも16歳以上(77歳以下)であれば運転免許を必要としないない(講習は必要)。ただし最高速度は45km/h以下と規定され、高速道路を走ることはできない。必然的にこのジャンルのクルマは若者が主なターゲットとなり、シトロエン・アミでもスマートフォンとの連携が強化されている。 気になる価格は発表されていないが、ステランティス製クワドリシクル兄弟の価格はエントリーグレードでおおむね1万ユーロがスタートライン。昨今の円安のせいもあるが邦貨だと150万円に迫り、激安というわけではない。それでもアミは2020年4月の発売以来、欧州11ヵ国で販売されており、この3年ほどで3万5000台以上を販売しているという。 日本でも便利なはずだが…… フィアットはトポリーノについて「新鮮なモビリティ・ソリューションを求める人々に最適で、誰もが利用できる都市型の持続可能なモビリティ・ソリューションを提供する」と表現する。エアコン装着可否など懸念点はあるが、日本市場への導入も期待したいところだ。 最小回転半径3.6mの取り回し性は街中で魅力的だし、そもそも世の自動車の多くは1人で乗られ、平均乗車人数は2人に遠く及ばないという集計もある。2人乗り超小型シティコミューターは、地球環境保護が叫ばれる現代にとても有望なジャンルと思われる。 しかしこれが、日本においてはテイクオフしそうでしない。2003年に登場したスズキ・ツインは3年余りで約1万台の販売に留まり、後継モデルは出なかった。近年ではトヨタC+podがあるが、企業・自治体向け限定ということもあり見かけることは少ない。 規格体系のほうはすでに出来ている。国土交通省は「超小型モビリティ」の規格を制定済みで、少なくともサイズやパワー、最高速度の限りにおいてフィアット・トポリーノは合致している。果たしてその日は来るだろうか。やっぱり高速に乗れないとダメだろうか。

TAG: #コンパクトカー #トポリーノ
TEXT:嶋田 智之
モダンでありながら、ノスタルジーをくすぐるディテール。老若男女を問わない500eはインテリアがいい[フィアット500e試乗記:その3]

フィアット500eは、親しみ感のある外観に負けないほど、インテリアもいい。ただオシャレなだけでなく、’50年代に誕生した2代目500を知る人をも納得させる、チンクエチェントらしいデザインが採用されているのだ。 2代目を知る人ならピンとくるデザイン 500eのインテリアは、これもまた歴史的名車のイメージを巧みに織り込みながら、完全に新しくデザインされている。過去の作品を再解釈したところはあっても、コピーしたところはない。 例えば水平方向に長い楕円を描き中央下側にトレイを配したダッシュパネルのアウトラインや、単眼の丸いメーターナセル。これらは2代目500の鉄板剝き出しのダッシュパネルのまろやかな形状とその下に設けられた棚方のトレイ、目覚まし時計のような独立型スピードメーターの雰囲気を象徴的に描き出したものといえるだろう。またフロントシート間のアームレストの先端には2つのローラー式スイッチが平行に並べられているが、2代目500はそこにスターターとチョークのレバーが配されていた。 では、同じ場所に配される500eのオーディオボリュームスイッチやEVモードセレクターは、2代目の時代には存在しなかった現代ならではのもの。丸いメーターナセル内の7インチフルデジタル式メーターには、スピードのほかパワー/チャージ、バッテリー残量、航続可能距離、ADASのカメラが読み取った道路標識の情報などが表示される。 ダッシュ中央には横に長い10.25インチのディスプレイが配置され、ナビやオーディオなどがタッチ操作できる。その下のトレイは、上位グレードではスマートフォンの非接触型充電を行うための場所。その上部にはエアコン類の物理スイッチ、その下には左からP、R、N、Dのシフトセレクターボタンがレイアウトされている。 実際に使ってみた印象では、メーター類の視認性はいいし、情報量も少なすぎず過剰でもなく、ちょうどいい。スイッチ類はよく使うものが、慣れればブラインドタッチできる物理スイッチとされていて、操作性も良好。インターフェイスはよく考えられてるな、と感じた。 >>>次ページ 細部にまでこだわったクオリティ

TAG: #500e #BEV #フィアット
TEXT:嶋田 智之
コピー&ペーストじゃないのに従来モデルにソックリ。スタイリングは芸術の極み[フィアット500e試乗記:その2]

フィアット500eの大きな魅力はそのデザイン。1950年代のチンクエチェントから続くフォルムを踏襲しながら、コピーは一切なしの新規に描かれたスタイリングをまとう。フィアット・チェントロ・スティーレの卓越したデザインノウハウを、モータージャーナリスト嶋田智之氏が解説。 96%が新設計のブランニューEV 現在のフィアット500のラインナップには、バッテリーEV(BEV)であるこの500eと並んで、内燃エンジンを積む500が存在している。歴史上では3代目となる内燃エンジンの方の500は、2007年のデビュー。トリノで行われたその発表会と試乗会で、2代目500の持つキャラクターや世界観を根本的なところから解釈しなおして時代にマッチした新世代のフィアット500像を入念に創造した、と聞かされた。そして15年以上が経過して今でもフルモデルチェンジなしに生産され、世界中で愛されている。 内燃エンジン版の500とBEVの500eのスタイリングは、たしかによく似てる。なので内燃エンジン版をベースに開発されたBEVモデルだと見られることもあるようだが、それはぜんぜん違う。3代目のときと同じように、1950年代の当時まで遡って、長く愛される新たなBEV版フィアット500というものを模索した結果、生まれてきたクルマだ。 なので、500eはほとんどすべてが新しい。パワートレインはもちろんのこと、プラットフォームもこのために旧FCA時代から着々と開発が進められてきたものだ。全体の96%が新規設計されたもので構成されている。もちろんスタイリングデザインもゼロから線を引き直したもので、フィアット500以外には思えないというのに、かつての名車からそのままコピーしたところはひとつたりとも存在しない。クルマのデザインに従事してる人に訊ねるとほとんどクチを揃えるように似た答えが返ってくるのだが、実はそれ、デザインとしては極めて高度なスキルを要求されるものだったりするそうだ。 全体的にまろやかさを感じられる角のいっさいないフォルム。正面や真後ろから見るとちょっとオニギリっぽい台形のシルエット。1本のラインで車体全体が上下に分割される線構成。どこか笑ってるような顔つき。そのあたりは2代目500も3代目500も、それにこの500eも共通している。 >>>次ページ BEV用プラットフォームだから実現できたデザイン

TAG: #500e #BEV #フィアット
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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