ホンダ 記事一覧

TEXT:高橋 優
ソニーホンダのEV「アフィーラ1」は値段とスペックを見ると厳しくない!? テスラやライバルとの単純比較ではぶっちゃけ不安

2種類のグレードを用意 ソニーホンダが初の量産車であるアフィーラ1を正式発表しました。そしてアフィーラ1のEV性能から判明した日本メーカーの現状を分析します。 まず、ソニーとホンダが合弁して立ち上げたソニーホンダモビリティは、すでにアフィーラと名付けられたコンセプトモデルのEVを発表しています。テスラの充電規格であるNACS規格を採用するなど、市販車バージョンのEV性能に注目が集まっていました。 そして、1月のCESにおいて正式発表されたアフィーラ1について、車両サイズや主要EV性能、そしてソニーが手がける自動運転システムやソフトウェアの一部機能が公開されました。競争力を競合のEVと徹底比較していきましょう。 まず、アフィーラ1は、エントリーグレードのOriginと上級グレードのSignatureという2グレード展開となります。Signatureグレードでは専用の内外装カラーを選択できたり、21インチホイールや後席用12.9インチタッチスクリーンがふたつ搭載されるなど、装備内容がより充実しています。 また、納車が優先されるのはSignatureであり、北米においては2026年中旬に納車がスタート。日本国内でも2026年末までに納車がスタートします。対するOriginの納車スタートは2027年にずれ込んでしまいます。 さらに、北米市場でアフィーラ1を購入できるのは、当初カリフォルニア州に在住しているユーザーに限定されることも発表されました。順次それ以外の州でも発売を予定していると発表されたものの、実際の反響であったり需要を見極めてからという流れになりそうです。 次に、EV性能について、91kWhのバッテリーを搭載して前後にそれぞれモーターを搭載したAWDグレードを標準設定。そして、EPA基準で航続距離483kmを確保しました。また、充電性能は最大150kW級の急速充電に対応し、北米仕様・日本仕様ともにテスラのNACS規格を採用することで、テスラスーパーチャージャーを充電アダプターなしに使用可能となります。 それでは、このアフィーラ1の直接の競合車種となるであろうテスラ・モデルSおよびエグゼクティブセダンとして競合関係となるLucid Airとを詳細に比較分析していきたいと思います。 まずバッテリー容量について、アフィーラ1の91kWhというバッテリー容量はいたって標準的なバッテリー容量です。Lucid Air Touringは92kWhとほぼ同等のバッテリー容量であり、テスラ・モデルSにも100kWhが搭載されています。 そして、航続距離と電費性能という点について、Air Touringの場合、92kWhバッテリーでEPA基準653kmを確保しています。つまり、アフィーラ1はAirとほとんど同じような電池容量を搭載しているにもかかわらず、EPA基準で170kmも航続距離が短く、電費性能でまったく勝負になっていないのです。 さらに懸念するべきは充電性能です。確かにNACS規格を採用しているという点は、北米と日本でEVを販売する上で重要であるものの、その充電出力は最高でも150kWと、モデルSやAir Touringの250kWと比較すると劣ります。 おそらくアフィーラ1に採用されるプラットフォームやバッテリー、BMS、およびパワートレインの多くが、アキュラZDXと共有しているのではないかと推測しています。というのも、ZDXには102kWhというバッテリー容量が採用されており、ホンダのオハイオ工場で生産されることを加味すると、バッテリーに関連するプラットフォームはZDXなどと共通化し、そのバッテリーセルの数を調整しているだけなのではないかと考えられるからです。 さらに、ZDXのAWDグレードでは、前後モーターによって得られる最高出力は360kWと、じつはアフィーラ1とまったく同じスペックです。よってアフィーラ1は、EVの主要コンポーネントを、GMと共同開発したアキュラZDXと多くを共有しているのではないかと推測可能なわけです。

TAG: #AFEELA 1 #ソニーホンダ
TEXT:TET 編集部
ASIMOがOSになって帰ってきた! ついにお披露目された「Honda 0シリーズ」が掲げる壮大な未来とは

量産第1弾はSUVを2026年から北米へ ホンダがまったく新しいEVシリーズである「Honda 0(ゼロ)シリーズ」を2026年から市場投入することを明言したのは、いまからちょうど1年前のCESでのことだった。既成概念を無視したかのような斬新なデザインを身にまとったコンセプトカーは、所詮0シリーズの方向性を示唆するコンセプトデザインであると勘ぐってはいたものの、それから1年を経てCES2025で発表された2台のコンセプトカーは、奇抜なデザインもそのままに進化して登場した。 また、この新型EVシリーズのビークルOSとして、ホンダのロボティクス技術の象徴である「ASIMO(アシモ)」の名前が用いられたのが非常に印象深い。CES2025で発表された「Honda 0シリーズ」に関して項目ごとに報告したい。 「ASIMO OS」がHonda 0シリーズの要 Honda 0シリーズは、「Thin, Light, and Wise.(薄い、軽い、賢い)」を開発アプローチに掲げている。その「Wise(賢い)」の要となるのがホンダが独自に開発したビークルOS「ASIMO OS」だ。 ASIMOの名はクルマ好きでなくとも広く一般的に知られているところで、かつてのホンダのCMにも登場し、その愛くるしい姿とやや前傾姿勢で自律歩行するさまは、最新テクノロジーを有しながらも親しみやすさを感じさせられたロボットだった。 そのASIMOの名をホンダは「世界中の皆様に驚きと感動を与え、次世代EVの象徴となることを目指す」ものとして、Honda 0シリーズを司るビークルOSの名称に起用した。 ASIMO OSはソフトウェアプラットフォームとして、AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)やIVI(In-Vehicle Infotainment:車載インフォテイメント)などのクルマのシステムを制御するECUを統合的にコントロールする。 そして、ASIMO OSを基盤として車載ソフトウェアを常にアップデートすることで、移動に楽しさや快適性をもたらす空間価値やデジタルUX、人車一体の操る喜びを司るホンダ独自のダイナミクス統合制御などの機能やサービスを、車両を販売した後もOTA(Over The Air)を通じてユーザーの嗜好やニーズに合わせて進化させていくとしている。 このASIMO OSを搭載するのがHonda 0シリーズであり、今回その第1弾として発表されたのがHonda 0 SUVだ。そしてHonda 0シリーズのフラッグシップにあたるのがHonda 0 SALOONである。 Honda 0シリーズの第1弾「Honda 0 SUV」 Honda 0 SUVは、Honda 0シリーズの第1弾となる中型SUVだ。今回お披露目されたのはプロトタイプであり、昨年のCES2024で公開された「ホンダが将来のEVで実現したい空間価値の考え方」を示すコンセプトモデル「SPACE-HUB(スペース ハブ)」の考え方を踏襲しているという。 また、開発アプローチの「Thin, Light, and Wise」をSUVに適用することで、空間の広さを一層拡張し、開放的な視界と自由度の高い広々とした居住空間を実現している。 SUVらしく、4つのタイヤが大地を踏みしめるかのような力強いプロポーションでありながら、薄くクリーンに仕立てたフロントマスクに、大胆に削ぎ落されたテールデザインは、ほかに似ているクルマを探すのが難しいほどの独創的なフォルムを描いている。 車両オーナーは、ASIMO OSがユーザーひとりひとりに“超・個人最適化”することで、進化し続ける空間価値やデジタルUXを享受できるのだという。さらには、ホンダ独自のロボティクス技術で培った、3次元ジャイロセンサーを用いた高精度の姿勢推定と安定化制御などで、さまざまな路面環境において安心で意のままのダイナミクスを実現するとホンダは説明している。 Honda 0 SUVの量産モデルは、2026年前半に北米市場へ投入され、その後日本や欧州などグローバル各地域へ展開されるという。 Honda 0シリーズのフラグシップ「Honda 0 SALOON」 […]

TAG: #CES2025 #Honda 0 series #ホンダ
TEXT:小鮒康一
リーフやi-MiEV以前にも量産EVはあった! じつは長〜い国産EVの歴代モデルを振り返る!!

1990年代にもEVが量産されていた いまでは日常的に見かけることも増えてきたEVたち。その普及の第一歩といえるのが、2010年に市販モデルがリリースされた三菱i-MiEVと日産リーフによるところが大きいといえる。 ただ、それ以前にも量産されたEVは存在していた。今回はそんな黎明期に登場した量産EVを何台かピックアップしてご紹介しよう。 トヨタRAV4 EV 現在はPHEVモデルもラインアップするトヨタのミドルクラスSUVのRAV4。ただ、EVモデルはなんと初代モデルの時代にすでに存在していたのだ。 1996年7月に発表、同年9月に発売を開始したRAV4 EVは、初代RAV4の3ドアモデルをベースとし、駆動用バッテリーを床下に収納したもの。駆動方式は前輪駆動となり、最高出力は45kW/165N・mと現代のEVに比べるとかなりマイルドなものとなっていた。 搭載されていたバッテリーはニッケル水素バッテリーで、満充電の航続可能距離は10・15モードで215kmとなっており、4人分の座席とヒートポンプ式エアコンを装備して実用にも十分に耐えうるものとなっていた点も特筆すべきポイント。 ただ、メーカーの希望小売価格は495万円と高額で、ユーザーのほとんどが官公庁などのリース契約となっており、結局328台をリリースするに留まっている。 ホンダEVプラス 現在、電動化を推し進めているホンダも1990年代にEVをリリースしていたメーカーのひとつで、1997年9月にEVプラスというハッチバックモデルのリース販売をスタートさせている。 このEVプラスは、一見すると当時のコンパクトカーであるロゴに似たスタイルをもっており、ロゴをベースとしたEVと勘違いされることもあるが、全長は4045mmとロゴよりも30cm近く長く、全幅も1750mmの3ナンバーサイズとなっていることからもわかるように、EV専用に開発されたオリジナルボディだったのだ。 EVプラスは今後のEVの開発にフィードバックを行う目的で実際の走行・使用状況のデータを収集可能な記録装置を備えており、リース販売が終了後はすべてホンダが車両を回収していた。 10・15モードの航続可能距離は210kmとなっており、最高速度は130km/h以上と日常使いには十分な性能をもっていたが、本格的なホンダの量産EVは2020年に登場したHonda eまで待たねばならなかった。

TAG: #名車 #量産 #電気自動車
TEXT:TET 編集部
ホンダの新世代EV「e:NP2」と「イエ」シリーズはここから生まれる! 中国合弁会社「広汽ホンダ」の新工場が広州市に誕生

高効率・スマート・低炭素な生産体制を目指して建設 ホンダの中国における四輪生産販売合弁会社である広汽本田汽車有限公司(以下、広汽ホンダ)が、2024年12月23日から、中国広東省広州市に新設した「開発区新エネルギー車工場」と呼ばれる新工場の稼働開始を発表した。 ホンダは、中国国内に四輪車の生産販売合弁会社をグループ内に2社保有している。ひとつは東風本田汽車有限公司(以下、東風ホンダ)であり、もうひとつが今回新工場が稼働した広汽ホンダである。 前者の東風ホンダは、湖北省武漢市で2004年4月に第1工場を稼働させたのを皮切りに、2019年に第3工場の稼働を開始。それぞれ年間24万台の生産能力を誇る。そして直近の2024年9月からは、全世界のホンダの生産工場でも初の試みとなる、電気自動車(EV)専用の生産工場「新エネルギー車工場」を年間12万台の生産能力で稼働させている。 後者の広汽ホンダは、広東省広州市に拠点を構え、第1工場である黄埔工場を1999年3月に稼働させて以降、増城工場と呼ばれる第2・第3工場を2015年までに順次稼働を開始させている。3つの工場はそれぞれ年間24万台の生産能力を備えている。 その広汽ホンダの新工場「開発区新エネルギー工場」は、約34.9億元(日本円にして約750億円)もの金額が投じられ、高効率・スマート・低炭素な生産体制を目指して建設された。プレス・溶接工程においては、部品搬送の自動化により物流要員のゼロ化を実現し、AIによる溶接強度検査をホンダとして初採用。組立工程では、工程全体の約30%を自動化することで、高効率な生産ラインを実現しているとされている。 環境面では、工場敷地内に合計22メガワットの太陽光発電システムを設置し、再生可能エネルギーを活用することで、中国政府によるCO2排出に関する基準に対し、年間約1.3万tのCO2排出低減を見込んでいるという。 また、新開発した低VOC(揮発性有機化合物)塗料の採用や、工場排水に含まれる有害物質を100%処理できる設備の導入により、環境負荷の低減を図っている。工場からのVOC排出量は大気汚染への影響を最小限とするため、広東省の基準限度に対してさらに70%以上の削減を目指すとしている。 ホンダは「2050年にホンダが関わるすべての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現」というグローバル目標に向けて動いている。 中国においては、2022年に販売を開始したEV「e:N(イーエヌ)」シリーズに加え、2024年度に販売開始を予定している新世代EVシリーズ「烨(yè:イエ)」もあわせて、2027年までに10機種のホンダブランドのEV投入を予定している。 それらにより、ホンダは2035年までに中国でのEV販売比率を100%にまで押し上げる計画だ。 新工場「開発区新エネルギー車工場」は、その計画の要となる「e:NP2」と「イエ」シリーズの生産が予定され、年産12万台の生産能力を備える。まさにホンダが掲げる目標達成の道筋においては、重要なピースであるといえるだろう。

TAG: #ホンダ #中国 #生産
TEXT:高橋 優
日本勢のEVの売れ行きをチェック! トヨタ・ホンダに比べて日産は先行きに不安アリ

トヨタ・ホンダ・日産の状況を比較! トヨタ、ホンダ、日産の2024年10月最新のEV販売動向が判明しました。それぞれどれほどEVシフトを進めることができているのか。気になる販売車種の内訳なども含めて、EVシフトが遅れているといわれている日本勢の最新EVシフト動向を分析します。 まず、トヨタのEVシフト動向を確認しましょう。トヨタは世界戦略車としてbZシリーズ第一弾のbZ4Xを2022年5月に発売しながら、さらに2023年の3月から中国市場限定のbZ3の発売をスタートしており、ここからBEV販売台数が伸びています。一方で、直近の2024年10月度のBEV販売台数は1万505台と、前年同月比で12.2%の増加であるものの、販売の伸びは鈍化しているように見えます。 この成長の鈍化傾向は、トヨタの予想外の動きであるといえそうです。というのも、トヨタはその年度の初めにBEVやPHEVの販売台数予測を発表していますが、たとえば2023年度のBEV販売台数目標を年度初めは20.2万台と予測していました。しかし、年度途中に12.3万台に販売目標が下方修正されています。そして実際の販売台数実績は11.66万台と、大幅下方修正の目標値にすら届いていなかったのです。 しかも、2024年度のBEV販売台数目標を年度当初は17.1万台と発表していたものの、最新の決算発表内で16万台へと下方修正を行っています。いずれにしても一連の流れを見るに、当初にトヨタが想定していたようなBEV販売台数を達成しているとは到底いえないというのが現状なのです。 また、トヨタは2025年シーズンにEVのラインアップを大幅に拡充する方針です。とくに中国市場ではbZ3XとbZ3Cを2025年初頭に発売します。 これら2車種には中国の自動運転スタートアップとしてトヨタも出資を行うMomentaの最新テクノロジーを搭載し、End to Endにおける自動運転システムを実現。しかも、BYDのバッテリーとモーターを搭載するbZ3Cは、2025年中に欧州市場においても出荷される見通しです。 次に、EVのパイオニアである日産のEVシフト動向を分析しましょう。2024年10月単体のBEVシェア率は2.9%と、この数年間で最低水準のシェア率に留まっています。2022年10月は5%、2023年10月は3.74%だったことから、日産のEVシフトは後退局面を迎えてしまっているわけです。 EVシフト後退に大きな要因であると考えられるのがアリアの販売不調という観点です。10月のアリアのグローバル販売台数は3152台と前年同月比19.5%ものマイナス成長。アリアの販売台数は生産体制の増強に制約があることが理由であると一部報道でいわれていたこともあり、2024年以降は販売台数がさらに増加すると思われていたわけです。 ところがアリアの販売台数は2023年9月以降ほとんど伸びておらず、つまり生産体制に問題があるのではなく、単にグローバル全体で需要が低いことが要因であると推測できるのです。とくにアリアは、欧・米・中国市場で値下げが行われています。なかでも日本円で120万円級の大幅値下げが行われている中国市場では、10月単体でたったの19台しか売れていません。

TAG: #EVシフト #新車販売 #日本車
TEXT:TET 編集部
2026年の市場投入が待たれる「Honda 0シリーズ」! 1月開催のCES2025でプロタイプカーと搭載OSなどを公開予定

ついにホンダの新EVシリーズが動き出す ホンダが2026年からグローバル市場へ投入することを明言している新型EV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」について、米国現地時間の2025年1月7日(火)から10日(金)まで、米国ネバダ州ラスベガスで開催される「CES 2025」の場で、プロトタイプ2車種を世界に向けて初公開すると、そのシルエットとともに発表した。また、Honda 0シリーズに搭載を予定している、独自のビークルOSについても発表する予定だという。 ホンダは2024年1月に行われたCES 2024において、新たなEVシリーズである「Honda 0シリーズ」を開発し、2026年から北米市場を皮切りに順次グローバル市場に向けて投入していくこと、そして「Thin, Light, and Wise(薄い、軽い、賢い)」という3つの開発アプローチテーマをもとに開発を行っていることを発表している。 そこから1年の時を経て、今回のCES 2025では、現地時間の1月7日にプレスカンファレンスを開催し、「Thin, Light, and Wise」のなかでもとくに「Wise(賢い)」という部分にフォーカスしたプレゼンテーションを行う予定であることを明らかにした。 その内容は、Honda 0シリーズに搭載する独自のビークルOSや、自動運転技術がもたらす提供価値、ソフトウェアデファインドビークル(SDV)としての価値を支えるSoC(System on Chip)半導体の概要について触れる予定だという。 また、カーボンニュートラルの実現に向け、Honda 0シリーズとともに展開する新たなエネルギーサービスについても紹介する予定であると事前告知された。 すでに技術的な内容については一部が報道向けに公開されており、関連記事(もはや思考停止寸前なほどホンダの新型EVは新技術盛りだくさん! 2026年に発売予定の「Honda 0シリーズ」技術発表会を開催)にもある通り、徐々に全容が明らかとなってきたHonda 0シリーズではあるものの、まだまだ未知数な部分は多い。 今後を占う意味でも重要なこのプレスカンファレンス。その模様は、日本時間2025年1月8日(水)午前3時30分から、Youtubeでも生配信されるので、ぜひ注目いただきたい。

TAG: #CES2025 #Honda 0 series #ホンダ
TEXT:TET 編集部
ホンダから似て非なる2台の電動2輪「ACTIVA e:」&「QC1」がデビュー! 2030年までに30車種投入するうちの12・13車種目の注目ポイントとは

インドに最適化された電動二輪「Activa e:」と「QC1」 2040年代にはすべての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することを目標にしているホンダが、新たな電動二輪車を発表した。 今回登場したのは「ACTIVA e:」と「QC1」の2車種で、二輪車の需要が旺盛なインド市場に向け、現地のユーザー嗜好を取り入れ、インド国内で生産されるインド専用の電動二輪パーソナルコミューターだという。2車種はパッと見の印象こそ同じように見えるが、モーターの形式も違っていれば、搭載バッテリーそのものもまったく異なる。この似て非なるふたつの電動二輪についてみていこう。 バッテリーシェアリングサービスも受けられる「ACTIVA e:」 まずは「ACTIVA e:」から。ベースとなった「ACTIVA」は、インド市場全体のみならず、ホンダの二輪車全体を見渡してみてももっとも売れているモデルで、年間約250万台も販売されているという。その人気モデルのボディフレームをベースに新規開発された電動二輪が「ACTIVA e:」だ。。交換式バッテリーの「Honda Mobile Power Pack e:」を動力源として2個搭載しているのが特徴で、車格としては排気量110㏄のバイクに相当する電動コミューターモデルとなっている。 ホンダが独自開発した自社製のホイールサイドモーターを採用し、定格出力は4.2kW、最大出力は6.0kWを発揮する。一充電航続距離は102kmだ。 バイクとスマートフォンをBluetoothで接続することで、通話やナビゲーション機能などが利用できる「Honda RoadSync Duo」を装備したタイプも設定されている。 また、インドの主要都市、ベンガルール、デリー首都圏、ムンバイの3都市では、Honda Mobile Power Pack e:を用いたバッテリーシェアリングサービス「Honda e:Swap」を提供することにより、ユーザーがバッテリー切れの不安や充電の待ち時間から解放され、移動の効率化が図られる。 日常使いの足に最適な「QC1」 一方の「QC1」は、通学や日常の近距離移動に最適な動力性能をもち、経済性重視のユーザーにとって理想的な1台として開発されたモペットだ。よくよく見れば、フロントディスクブレーキの有無や、シート下の充電口がQC1には付くなど、ACTIVA e:とは異なる電動二輪であることがディテールからもよくわかる。 動力用電源は1.5kWhの固定式バッテリーを採用し、専用充電器により家庭での充電が可能になっている。後輪にコンパクトなインホイールモーターを搭載し、定格出力は1.2kW、最大出力は1.8kWを発揮する。一充電航続距離は80kmだ。 5インチの液晶メーターを採用したほか、フロント部の内側にはUSB Type-Cソケットを標準装備する点が目新しい。 ホンダは2024年を「電動二輪車のグローバル展開元年」と位置付けている。インドネシアに2車種投入したのを皮切りに、今回のインド専用モデル2車種で早くも12・13機種目になるという。ホンダが2023年11月29日に行った電動二輪事業説明会の場で公表した「2030年までに、グローバルで電動モデルを30機種投入」するという目標に対し、約1年で折り返し間近まで達してしまう急ピッチな展開には脱帽するしかない。 ホンダ全体で2050年のカーボンニュートラル実現に向けて動くなかでも、二輪の動きは四輪に比べても活発だ。それも我々が想像する以上のペースで電動化が進んでいる印象で、バッテリーシェアリングサービスを含めたホンダの電動二輪事業の動きは、今後も要注目だ。

TAG: #EVバイク #ホンダ #電動バイク
TEXT:遠藤正賢
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない

「Honda 0シリーズ」の最新技術を覗いた 2024年1月のCES 2024で世界初公開され、2026年より世界各国での市販化が予定されている、ホンダの新たなBEV「Honda 0(ホンダ・ゼロ)」シリーズ。 同シリーズで掲げられている開発アプローチ「Thin, Light, and Wise」(薄い、軽い、賢い)を具現化する技術の数々が10月初旬、ホンダの四輪/BEV開発センター栃木および隣接する四輪生産本部で開催された技術説明会「Honda 0 Tech MTG 2024」で公開された。 そのなかで、新型CR-Vの内外装に「0」シリーズの技術を組み合わせた試作車に試乗することができたので、インプレッションをお届けしたい。 さて、「Thin, Light, and Wise」の具現化技術は、今回公開されただけでも極めて多岐にわたるため、かいつまんで説明すると、「thick and heavy」=「厚くて重い」というBEVの制約を根本から覆すものといえる。その要となるのは、やはりバッテリーだ。 そんなバッテリーを「薄く軽く」作るため、ホンダは型締め力6000tクラスの「メガキャスト」(大型鋳造機)と、「3D FSW」(三次元摩擦攪拌接合)を導入。これによりバッテリーケースの部品点数を従来の60点以上から5点へと大幅に減らすとともに、ウォータージャケットを薄型化して、バッテリーパック全体の高さを従来より約6%、実寸法にして約8mm下げることに成功した。 また、側面衝突時の荷重をより効率よく分散する構造とすることで、バッテリーの搭載効率を約6%アップ。加えて約500万台に及ぶ電動車の市場ビッグデータをもとにバッテリー劣化モデルを構築、診断・予測技術を確立することで、製造10年後のバッテリー劣化率10%以下を目指すとしている。 パワーユニットに関しては、モーター、ギヤボックス、インバーターを一体化させたeAxleを、メインユニットとなる180kWタイプと、サブユニットとなる50kWタイプの2種類設定。かつインバーターを他社比で40%小型化し、eAxleの上ではなく横への配置を可能とすることで、eAxle全体の高さを下げ、室内空間を30mm拡大することに成功した。 これはボディ骨格にも良い影響を与えている。eAxleの小型化により前後の衝突ストロークが拡大するうえ、とくにフロントではサイドメンバー上部中央に板状の部材を追加できるようになった。 これにより、スモールオーバーラップ衝突時の入力を回転方向に変え、横方向に逃がすことで、キャビンへの入力を低減。他社比で10%のオーバーハング短縮と合わせて軽量化も図っている。 さらに、引っ張り強度が2.0GPa(ギガパスカル)級と極めて高いホットスタンプ(熱間成形)材を、ホイールベース間のフロア骨格に用いることで、衝突時にキャビンやバッテリーの変形を抑えるとともに、断面高さを28mmにまで下げ、全高1400mm以下の低全高パッケージに対応しつつ、乗降性の改善も図っている。 そして、旋回時に外輪を押すようボディを敢えてしならせることで、外輪タイヤの接地荷重を高め、軽量化と軽快な走りを両立させることを目指すという、「操安剛性マネジメント」を導入。これによりストラットタワーバーのようなサスペンション取付部などへの補剛部材を不要し、従来のホンダ車に対し約10%の軽量化を実現するとしている。 シャシーにおいてはステア・バイ・ワイヤを採用し、サスペンションやブレーキなどほかのバイワイヤデバイスとも統合制御。さらに、3次元ジャイロセンサーを用いた姿勢推定&安定化制御、モーターならではの緻密なトルク制御を組み合わせることで、荒れた路面でも舵角や挙動が乱れにくく、またタイトなコーナーでも少ない舵角で旋回することを可能にしている。 なお、展示されていたベアシャシーのサスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リヤがマルチリンク式。前後ともエアサスペンションとなっていたが、市販モデルではコイルスプリングと電子制御式油圧ダンパーとの組み合わせも計画されているようだ。

TAG: #Honda 0 series #コンセプトカー #先進技術
TEXT:TET 編集部
悲願の「全固体電池」が実現間近! ホンダが2020年代後半の量産開始を目標にしたパイロットラインを初公開

夢のようなバッテリー「全固体電池」が現実になろうとしている 「EVの普及には全固体電池の実現なくしてはありえない」という意見を目にしたことはないだろうか。 全固体電池には従来のバッテリーに内蔵されているような液体電解液が無い。代わりに正極(+)と負極(ー)の間には固体電解質が挟み込まれるように設置されることにより、それがセパレーターの役割を担って従来のバッテリーよりも高い温度域での安定性に優れる。さらに、高いエネルギー密度による省スペース化や大容量化が期待できることから、EVの航続距離や充電時間に対する抜本的改善策として、早期の実用化が期待されているからだ。 よって、全固体電池の実用化、そして量産化が、真の意味でのEV普及を後押しすると考えられ、自動車メーカー各社がいま鎬を削るようにして開発を進めている。 ホンダが量産前に製造工程を確認するパイロットラインを初公開 その全固体電池の量産化に向けて独自に研究開発を進めているホンダが、先ごろ栃木県さくら市の本田技術研究所(栃木Sakura)の敷地内に建設したパイロットラインを初公開した。 このパイロットラインは、量産で必要な一連の生産工程を再現したもの。延床面積は約2万7400平方メートルの広大なもので、投資額は約430億円にのぼるという。電極材の秤量・混練から、塗工、ロールプレス、セルの組み立て、化成、モジュールの組み立てまでの各工程の検証が可能な設備を備えている。 ラインは2025年1月から稼働を開始し、バッテリーセルの仕様開発と並行しながら、各工程の量産技術や量産コストなどの検証を行うことが発表された。 本田技術研究所の代表取締役社長である大津氏は「全固体電池は、EV時代におけるゲームチェンジャーとなる革新的な技術です。これまでクルマの進化を支えてきたエンジンに代わり、電動化のキーファクターとなるのがバッテリーであり、その進化こそがHondaの変革のドライバーになると考えています」と全固体電池の重要性を説く。 続けて、「全固体電池パイロットラインの稼働にめどがついたことは、日本およびHondaにとって重要なマイルストーンであるといえます。Hondaは、全固体電池を搭載したモビリティを早期に世に出し新たな価値をお客さまに提供するべく、引き続きチャレンジを続けていきます」と、このパイロットラインが自社だけでなく日本の自動車産業にとって大きな一歩であることを強調している。 効率性とコスト競争力を追求した生産プロセス ホンダがパイロットラインで行う全固体電池の生産プロセスは次の通りだ。 従来の液体リチウムイオン電池の製造プロセスをベースにしながら、全固体電池特有の工程となる固体電解質層の緻密化に寄与し、連続加工が可能なロールプレス方式を採用する。これにより電極界面との密着性を高め、生産性の向上を目指すとしている。 さらに、正極と負極の一体化を含む一連の組み立てプロセスを集約し、高速化を図ることにより、1セルあたりの製造時間の大幅な短縮も並行して進められる。また、作業の安全性や電池性能の確保に必要な、低露点環境を最小化する生産管理技術を構築するなど、使用電力をはじめとした間接コストの低減にも取り組んでいるという。これらにより、高効率な生産プロセスを構築することで、コスト競争力を高めるとしている。 また、ホンダの場合は全固体電池を四輪車に用いるだけでなく、二輪車や航空機など自社が手がけるさまざまなモビリティに適用を広げることで、そのスケールメリットを生かしたさらなるコストの低減が期待できる。すなわち、高効率かつ安全性の高い全固体電池を搭載したモビリティを、現実的な価格帯で我々が享受できる可能性が高まるということだ。 ホンダはこのパイロットラインで量産に向けた製造検証を重ね、2020年代後半の量産開始を目指すとしている。そう聞くとあと数年内に本当に夢のバッテリーともいわれた全固体電池が、そのような短期間で生産プロセスまで確立できるのかと疑いたくもなる。 しかし、ホンダは電池の材料や仕様を決定する以前から生産技術部門が開発に参画することで、車両への搭載に適した構造や材料、製造方法などを定め、スピーディかつ効率的に意思決定がなされているという。これにより、早期にパイロットラインの立ち上げを実現できたほか、材料の選定などを効率的に進めているのだ。それには、これまでにも太陽電池や燃料電池など、新たな技術を量産につなげてきた知見と実績が活きているのだとか。 それならば、2020年代後半の量産開始も実現可能な目標と思えてくる。なにしろホンダは2040年までにEVとFCEVの販売比率をグローバルで100%としたうえで、2050年までにすべての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルの実現を目指しているのだから、待ったなしで速度感のある開発が求められている。 ホンダ自身がいう通り、この全固体電池の量産に向けたパイロットラインの稼働開始は、変革中の自動車産業にあって大きな意味を持つマイルストーンだ。トヨタや日産も2027~28年頃の量産開始を目標として、こうした設備を設置していることがすでに明らかにされているが、ホンダも公開したことでいよいよ全固体電池の量産化が目前にまで迫ってきたと感じられる。 今後ますます全固体電池の実現に向けた動きから目が離せない。

TAG: #ホンダ #全固体電池 #本田技術研究所
TEXT:高橋 優
ホンダが中国で厳しい販売台数の落ち込み! 新EVの「Lingxi L」で巻き返しなるか?

ホンダ「Lingxi L」の使命とは? ホンダが新型EVシリーズとしてLingxiシリーズを中国で立ち上げ、EVセダンのLingxi Lの正式発売をスタートしました。現在、中国市場におけるホンダの厳しい販売動向とともに、そのLingxi LのEV性能から見えるホンダのEVシフトの現状を考察します。 まず初めに、現時点におけるホンダの中国市場における販売動向を改めて確認しましょう。 このグラフは、中国市場における大衆ブランドの月間販売台数を示したものです。現在、大衆ブランドで大きなシェアを有しているのがトヨタ・ホンダ・日産という日本メーカー勢、およびフォルクスワーゲン、そして中国BYDです。黄色で示されているBYDが、この数年間で急速に販売台数を拡大しており、直近の8月単体の販売台数は36.4万台を実現し、前年同月比較で58.3%もの急成長を実現しています。 その一方で、販売台数を大きく落としているのが、残りの大衆ブランドです。とくに日本勢として、トヨタは13.5万台と前年同月比で13.2%ものマイナス成長。日産も4.2万台と前年同月比で24.7%ものマイナス成長。そして今回のホンダは、8月に5.7万台の販売台数を実現したものの、前年同月比で44.2%ものマイナス成長を記録しています。ほんの1年前と比較して半分近い販売台数の落ち込みを記録していると考えると、現在ホンダは危機的な状況にあるといえます。 そして、このホンダはすでにEV専用シリーズであるeNシリーズを立ち上げており、2022年にe:NS1とe:NP1というコンパクトSUVの発売をスタート。さらに2024年4月からは、eNシリーズ第二弾であるミッドサイズSUVの、e:NS2、およびe:NP2の発売もスタートさせました。 その上、eNシリーズとは別に、「Ye(イエ)」シリーズというEV専用シリーズも立ち上げて、2024年度中にも、S7というミッドサイズSUVの発売をスタートする予定です。しかもS7の兄弟車であるP7、さらにはGTと名付けられた、クーペタイプのEVを2025年中に投入する計画です。 したがって、2027年までに10車種ものEVを投入する方針を発表しており、2035年までの完全バッテリーEV100%に向けて、ラインアップを急ピッチで拡充しようとしています。 そのホンダの新型EVの販売動向を見てみましょう。日本メーカーで唯一販売台数を稼ぐことができているのは、トヨタの大衆セダンのbZ3のみであり、ホンダのeNシリーズは、第一弾も第二弾も現状、まったく販売台数を伸ばすことができていない状況です。 そして、そのような背景においてホンダが中国市場に追加で投入してきた新型EVというのが、Lingxi Lというミッドサイズセダンです。じつはホンダは、eNシリーズとイエシリーズと並行して、さらに追加のEV専門シリーズとしてLingxiシリーズを立ち上げていたという背景が存在します。そしてようやく第一弾であるLingxi Lの正式発売をスタートさせてきた格好です。 このLingxiシリーズは、とくに若者世代をターゲットに据えて、最新テクノロジーを盛り込むことを意識したシリーズという立ち位置です。まず、エクステリアデザインが極めて斬新です。一部では過剰であると指摘されているデザイン言語が、中国の若者にどれほど受け入れられるのかが気になるところでしょう。 さらに、インテリアデザインは、インストルメントクラスターとともに、12.3インチのセンターディスプレイと、助手席用のディスプレイ。さらに7インチのデジタルサイドミラーのディスプレイという配置は、日本国内で発売されていたHonda eのデザインと酷似しています。 確かに現在、中国市場における主流のデザイン言語というのは、大型のタッチスクリーンを複数搭載するような場合が多いものの、やはりそれ以上に重要なのは、そのディスプレイがどれほどレスポンシブに動作するのか、そしてディスプレイを通じて何ができるのかという点です。したがって、中国の若者がこのインテリアデザインに対してどれだけ受け入れられ、その操作性の高さをアピールすることができるのかが問われることになるでしょう。 他方で、個人的に注目しているのがEV性能です。とくに直近において、この大衆EVセダンで爆発的人気を獲得しているのが、XpengのMONA M03です。すでに発売開始48時間の段階で3万台以上の確定注文を獲得しており、いまだにその勢いは止まらない状況です。よって現在、中国市場における大衆セダンEVの新たなベンチマークとなっているXpeng MONA M03と比較して、今回のLingxi Lがどれほどの競争力を有しているのかを比較していきましょう。

TAG: #Lingxi L #Lingxiシリーズ #中国
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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