フォルクスワーゲン 記事一覧

TEXT:TET 編集部
「ゴジラ×コング 新たなる帝国」にフォルクスワーゲン「ID.4」が登場! コラボを記念したフェアをディーラーにて開催

コラボを記念したイベントも開催! フォルクスワーゲン ジャパンは、2024年4月26日(金)に公開予定のシリーズ最新映画「ゴジラ×コング 新たなる帝国」の劇中に、フル電動SUV「ID.4」が登場することを発表した。 劇中だけでなく、全国71劇場では「ID.4」×「ゴジラ」×「コング」のショートムービーを公開。レジェンダリー・ピクチャーズが日本向けにVFXを駆使して製作したもので、「ID.4」の特徴を3本のストーリーでユーモアたっぷりに紹介する。 またこのコラボレーションを記念して、2024年4月20日(土)〜29日(月・祝)には、全国のフォルクスワーゲン正規販売店で、「ゴジラxコング 新たなる帝国」の特製ギフトをプレゼントするフェアを行う。 クルマ好きも映画好きもぜひ注目してみてほしい!

TAG: #VW #ゴジラ #映画
TEXT:TET 編集部
1年間「ID.4」に乗れる「365 DAYS OWNER」の応募受付を開始

「ID.4」のある生活を体感できる フォルクスワーゲン ジャパンは、ブランド初のフル電動SUV「ID.4」の1年間に渡る長期オーナー体験「365 DAYS OWNER」の応募受付を開始した。 応募期間は2023年12月25日(月)から2024年1月31日(水)まで。当選者1名は1年間「ID.4」に試乗することができる。 「ID.4」は2022年の導入直後から、充実した装備、スペックに加え、価格設定、独自の充電網や販売ネットワーク体制などが評価されているという。 100%電気自動車専用として新開発された「MEB」プラットフォームを採用し、WLTCモードで618km(Pro)の巡航距離を実現。90kWの急速充電器なら約40分で80%までの充電が可能だ。 フォルクスワーゲングループ(フォルクスワーゲン・アウディ・ポルシェ)が提供し、全国270拠点以上の正規ディーラーに設置されているプレミアム チャージング アライアンス(PCA)急速充電器を利用することができる。 「365 DAYS OWNER」の応募はこちらから また、「365 DAYS OWNER」に限らず、フォルクスワーゲンでは「ID.4」のディーラー試乗や、24時間オーナー体験などの特別プログラムも用意している。ぜひ「ID.4」の魅力を体感してみてほしい。

TAG: #ID.4 #試乗
フィアット・500e(photo=ステランティス)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
「アバルト・500e」最終選考へ……日本カー・オブ・ザ・イヤーの「10ベストカー」決まる[2023.11.08]

去年のイヤーカー「日産・サクラ」とは趣向の違う趣味系EV ノミネートEV自体は全7台だが日本車がない 【THE 視点】日本カー・オブ・ザ・イヤー(JCOTY)実行委員会は11月3日、一次選考の結果として「10ベストカー」を発表した。今回発表された車両は、2022年11月1日〜2023年10月31日の間に発表・発売されたノミネート車両34台から、10台に絞り込んだもの。選考委員60名が選出した。 選ばれた10台は以下の通り。 ・「スバル・クロストレック」 ・「トヨタ・アルファード/ヴェルファイア」 ・「トヨタ・プリウス」 ・「日産・セレナ」 ・「ホンダ・ZR-V」 ・「三菱・デリカミニ」 ・「アバルト・500e」 ・「BMW・X1」 ・「マセラティ・グレカーレ」 ・「フォルクスワーゲン・ID.4」 この10台の中にEV(PHEVを除く)は、「アバルト・500e」と「フォルクスワーゲン・ID.4」の2車種となる。「アバルト・500e」は10月28日に発表されたばかりのモデルで、「フォルクスワーゲン・ID.4」は、2022年11月22日の発売からおよそ1年が経ち街中でも見かけるようになった。本媒体執筆陣の一人である生方氏の愛車でもある。 昨年は「日産・サクラ」および「三菱・eKクロスEV」が「日本カー・オブ・ザ・イヤー」「K CARオブ・ザ・イヤー」を受賞し、EVも一台のクルマとして評価が得られることを証明した。今年もEVの受賞を期待するが、電動車系ではHV・PHEVの両方をラインナップに持つエコカーの元祖「プリウス」や、シリーズハイブリッドモデル「e-POWER」を用意する「セレナ」などがノミネートされており、最終選考までは蓋を開けてみなければわからない。 ちなみにノミネート車両34台の中には以下の5台のEVもあった。 ・「アウディ・Q4 e-tron」 ・「BYD・アット3」 ・「BYD・ドルフィン」 ・「メルセデス・ベンツ・EQE SUV」 ・「メルセデス・ベンツ・EQS SUV」 日本製のEVがリストにないことは残念である。しかし、上記5台のEVを差し置いて発表されたばかりの「500e」が「10ベストカー」に残ったことは興味深い。昨年の「サクラ」は庶民派のEVであることが評価されたわけだが、「500e」はその対局にある趣味系のEVと言える。それだけ選考委員の心を打ち抜くパッケージングの魅力と楽しい走行性能を持ち合わせているということなのだろう。いずれにせよ、昨年に続きEVが評価されていることは嬉しい限り。ちなみに「ID.4」がどんなモデルであるかは、生方氏の連載をぜひ確認してほしい[詳細はこちら<click>]。 「カー・オブ・ザ・イヤー」系のものは、他にも日本自動車殿堂が主催する「2023-2024日本自動車殿堂カーオブザイヤー」と、日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)主催の「第33回RJCカーオブザイヤー」もある。こちらでもEVが受賞することを期待したい。 日本カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考会は12月7日に開催され今年の1台が発表される。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★「空飛ぶクルマ」専用の充電設備を開発 ……「空飛ぶクルマ」のスカイドライブと関西電力は、「大阪・関西万博」で運用する機体向けの充電設備を共同開発する。高電圧・大電流の超急速充電設備となるとのこと。 ★半分電動のピックアップトラック「ラム1500リチャージャー」登場 ……ステランティスは、ピックアップトラックの「ラム1500」の新型を発表した。V6ガソリンエンジンを発電専用とし、電気モーターで前後輪を駆動する「シリーズハイブリッド」方式を採用した。プラットフォームは、ステランティスのEV用の「STLA」を使用している。 ★新築マンションへのEV充電器設置を加速 ……テラモーターズとエネチェンジは、それぞれ大東建託と連携し、賃貸向けにEV充電器の設置を推進する。大東建託は、都市部向け「個別設置型」EV充電器を販売開始。マンションのオーナーに充電器の導入を提案する。 ★澁澤倉庫、引っ越し業務にEVバン導入 ……グループ会社の澁澤陸運が、BYDのEVバンを引っ越し業務に投入した。梱包資材の配送・回収用として活用している。 ★駅伝中継車にFCEVバス ……CBCテレビは、「第63回中部・第53回北陸実業団対抗駅伝競走大会」<11月12日(日)開催>に燃料電池中継車(FCEV)を使用すると発表した。車両は小型バス「トヨタ・コースター」を改造したもの。 ★テラモーターズ、インド事業を強化 ……子会社のテラモーターズ・インドと、現地のタクシー業界の車両管理サービスを展開するSNM Cabsが業務提携した。SNM Cabs専用の充電ハブを開発し、ドライバーと利用者双方の利便性の向上を目指す。 ★ガソリンが値上がり ……EV充電スタンド情報のゴーゴーラボは、11月6日(月)時点でのレギュラーガソリン価格(全国平均)が169.2円となったと発表した。先週に比べて0.3円、9週間ぶりに値上がりとなったという。なお、ハイオクは180.2円、軽油は147.4円。 ★「フィアット・500e」の購入を50万円サポート ……ステランティス・ジャパンは、「ブラックフライデー」に合わせたキャンペーンの第1弾として、合計286名に最大150万円分の新車購入クーポンを進呈する。応募は11月8日(水)〜10日(金)の期間。「フィアット・500e」も対象で、50万円分のサポートを受けられる。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.08]

TAG: #THE視点 #国内ビジネス #日本カーオブザイヤー
TEXT:加藤ヒロト
中国車が世界を席巻する理由:老舗メーカーによる新ブランド戦略 中国車の優位性②

加藤ヒロト氏による「中国車の優位性」を考える2回シリーズ。前回は装備品の先進性を軸に考察した。今回はメーカー内の別ブランド戦略について考える。 なぜ、中国の老舗メーカーはやたらとEV向けの新ブランドを立ち上げるのか? クルマの装備だけではない。自動車ブランドという存在にも「先進性」が求められており、昔からある中国メーカーは古臭いイメージを払拭させるべく幾多もの新しいブランドを立ち上げている。 例えばジーリー(吉利汽車)なんかは傘下に収めたボルボやロータス以外にも、自主ブランドをここ数年の間に8つほどローンチさせている。 2010年代後半以降に誕生したNIO(蔚来)やシャオペン(小鵬)、理想といった“新興メーカー”は、元から新鮮なイメージが持たれているため、新たなブランドを設立する必要がない。 一方でグレートウォール(長城汽車)やジーリー、広州汽車、上海汽車、北京汽車など、20世紀から存在する旧来の老舗メーカーでは新ブランドの立ち上げが顕著だ。 これらのメーカーは今までの「粗末な中国車」イメージを作り上げてきた張本人でもあり、今日ではそのクオリティが日本車や欧州車と遜色ないものに成長していたとしても、消費者からは昔のイメージのまま評価されてしまう面がある。こういった事情もあり、老舗メーカーたちは新ブランド立ち上げに躍起になっているのだ。 では、中国メーカーのように簡単に新たなブランドを立ち上げるわけにはいかない諸外国のメーカーはどうするべきなのか。 その鍵となるのが中国メーカーとの提携の強化だ。最近ではフォルクスワーゲンがシャオペンやリープモーター(領跑)といった新興メーカーとの提携を発表して大きな話題を呼んだ。 シャオペンに対して700万ドル以上の資金で株式の6.85%を取得しただけでなく、シャオペンの大型SUV「G9」のプラットフォームや搭載技術も買収したとしている。これを用い、2026年までに2車種のBEVを中国で投入する計画だ。 先進国のメーカーも頼る中国車の最新技術 一方でリープモーターとの提携では、フォルクスワーゲンの中国向けブランド「ジェッタ」に対してリープモーターのプラットフォームや電動化技術がライセンス提供される見込みだ。 ジェッタは2019年より展開されている若者向け廉価ブランドで、元はフォルクスワーゲンのいち車種「ジェッタ」から派生した経緯を持つ。 だが、ジェッタのモデルはどれもフォルクスワーゲングループですでに展開されている車種を安っぽく仕立て上げたものであり、商品力の面で言えば他のブランドより大幅に劣っている。 新モデルの投入スピードも遅く、起死回生の策としてリープモーターと提携することを選んだと考えられる。リープモーターは車体の設計・製造だけでなく、搭載ソフトウェアや自動運転技術、根幹のエレクトロニクスも一貫して自社内で研究開発をおこなっており、そこにフォルクスワーゲンは目をつけたのだろう。 また、アウディも上海汽車との連携をより密にすると発表している。フォルクスワーゲングループでは以前より上海汽車との合弁会社「上汽フォルクスワーゲン」を設立していたが、両者の関係はフォルクスワーゲンやアウディ、シュコダ車の現地生産と販売にとどまっていた。 それが、今回の新たな提携では開発設計段階より上海汽車が関与し、上海汽車の電動ブランド「IM」が開発した新世代の電動プラットフォームを採用したアウディのBEVが投入される見込みだ。 今までの外国メーカーと中国メーカーの提携では単なる現地生産と販売を担うパターンが一般的だった。 だが、これからはフォルクスワーゲンのように技術開発や設計の部分でも中国メーカーに助けを求める外国メーカーが増えていくかもしれない。そう考えると、2019年にBYDと共同で中国向けBEV開発をおこなうと発表したトヨタはやはり、なかなか先見の明があると言える。 「クルマの高速消費」がものすごいスピードで進行する中国市場において、外国メーカーが生き残るためには中国メーカーとの提携がカギとなってくるだろう。

TAG: #ジーリー #中国車 #新興メーカー
TEXT:生方 聡
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

TAG: #ID.4 #VW
TEXT:小川 フミオ
電気自動車で自由に旅できる世界を目指して。シュルーターさんと「ID.BUZZ」の旅物語

前回に引き続き小川フミオ氏によるシュルーター氏へのインタビューをお届けする。彼と「ID.BUZZ」の夢はヨーロッパを飛び出していた。 くつろげる“家”との楽しい旅 消費電力は、平均で、100km走るのに22.5kWh。503km走って、メーター読みでまだ25km走れると出ていたこともあったそうだ。 今回のID.TREFFENでは、ルーフトップテントとともに、カラーフィルムをボディに貼って、ID.BUZZと同じカラースキームにしたトレーラーを引っ張ってきていた。 Knaus Tabbert社が手がける「T@B」なるモデルで、「タイムレスクラシック」、いってみれば、古典的な形態だけれどいつまでも使えるエバーグリーン的な商品、なる意味がこめられている。 リビングルームというかベッドルームというか、くつろげ“家”とともに旅をするのも、もうひとつの楽しさだろう。これも、ID.BUZZの魅力といえる。 クリスチャン・シュルーター氏は、ここで紹介したID.BUZZでの旅の記録を「Europa elektrisch – Vanlife im ID. Buzz: 33 Länder, 55.000 Kilometer, 120 Nächte」なる本にまとめている。 実物を見せてもらったが、きれいな写真と楽しそうな旅についての文章で構成されていて、日本でもアマゾンで注文できる。ドイツ語で書かれているのが、私には残念だった。 アジアやアメリカにも、広がる夢 このさき、アジアにも行ってみたいそうだ。もし陸路なら、シルクロードとか、クルマ好きには有名なシトロエンによる1931年の「黄色い巡洋艦隊」なんて自動車の旅が過去にもあった。 「1931年4月4日、パミール隊がシリア(現レバノン)のベイルートを出発。それからイラク、ペルシャ(現イラン)、アフガニスタン、カシミールのスリナガル(首都)まで、81日間、5545キロの行程です」(ナショナルジオグラフィックのウェブサイトより) シトロエンも大変だったろうけれど、ID.BUZZで陸路を行くとしたら、充電状況などを含めて、ぜひリポートを読みたいし、日本まで足を延ばしてくれたら、おおいに歓迎したいところだ。 「かりに米国を走る回るなら、ID.BUZZの規格と合った充電池(ソケットの形状や充電能力)を見つけなければならないなど、いくつかのハードルが想像されます」 範囲がアジアとなると、そこの部分も冒険的といえる旅になるかもしれない。でも「将来はそんな心配もなくなることを期待します」というシュルーター氏だけに、BEVの親善大使として、キュートなルックスのID.BUZZで世界中を走り回ってもらいたいものだ。 シュルーター氏、ところで、仕事はなにをやっているのだろう。 「仕事している場所は、ドイツのハノーファー。VWコマーシャルビークルズ(商用車部門)でプレス担当をしています」 欧州各地を回っていたのは、発売前のID.BUZZの宣伝活動も兼ねてのことだったというわけ。でも仕事とはいえ、クルマで寝泊まりしながら、1年間も知らない土地を走り回るって大変そう。 「2022年5月から23年4月までが旅の期間。その前に、#BULLILOVEstoriesなるSNS上のサイトで、Bulli(ブリ=バス&デリバリーバンのドイツ語“Bus und Lieferwagen“を縮めた愛称)のオーナーたちを紹介していたので、そのひとに会いに行くのは、たいへん楽しい経験でした。半分は仕事だけれど、残り半分は自分の楽しみ」 シュルーター氏は、笑顔でそう言った。こういうひとに会うのも、オーナーズミーティングの楽しみだと、改めて思って次第だ。 <了>

TAG: #ID. MEETING #ID.Buzz #フォルクスワーゲン
TEXT:小川 フミオ
フォルクスワーゲン「ID.BUZZ」は人や荷物だけでなく笑顔もはこぶクルマ

スイス・ロカルノで行われたID. MEETINGで、小川フミオ氏は印象的なID.BUZZオーナーと出会う。 ID.BUZZと1年間を過ごした旅の物語 北イタリアとスイスのあいだに横たわる巨大なマジョーレ湖。湖畔のロカルノで、2023年9月5日から9日にかけて開催されたのが、フォルクスワーゲンのBEV、ID.シリーズのミーティングだ。 「ID.TREFFEN」(ID. MEETING)には興味ぶかいひとたちが大勢集まった。 そのなかでも”お、あれは??”と興味を惹かれたのが、ライムイエローとホワイトの2トーン塗装のミニバンタイプのBEV、ID.BUZZ。 米国式にいうとオーバーランダー的なルーフトップテントを載せ、さらに、同じ塗り分けのキュートなキャンピングトレーラーを牽引していた。 そして車体には「55,000 km 120 nights 33 countries」の文字。 あのーすみません、どういう意味ですか? まるでテレビの旅番組のノリで、つい話しかけてしまった。 すると、ライムイエローのID.BUZZのわきにいたひとは、「自分がこのクルマで走った距離、車内で寝た日数、訪れた国の数です」と教えてくれた。 そのひとの名はクリスチャン・シュルーター氏(48歳)。ID.BUZZの発売とともに、2022年5月に旅を開始し、23年4月にドイツに最終的に戻ってきた。 「ID.BUZZは、むかしのタイプ2(初代が1950年に登場したVWのミニバン)を思わせるモデルで、1960年代はタイプ2は北米のヒッピーたちにも愛されました。ひととひととをつなぐ力あるクルマといえ、それを精神的な後継車ともいえるID.BUZZでもういちど、といろんなひとに乗ってもらうべく旅に出たんです」 シュルーター氏は言う。 なにか目標を設定しましたか、と訊ねると「ひとつは訪問国の数です」という答えが返ってきた。 「かつてタイプ2でもって、1年で26カ国を訪問したベルギーのひとがいたのを知っていたので、自分は少なくとも27カ国にしようと思いました」 笑いとともに答えてくれた。 クルマでの移動なので、旅はゆっくりしたものとなる。アイスランドに出かけたときはデンマークから3日間かけて船による移動となった。美しい光景が見られて行ってよかった、とのことだ。 アイスランドには、筆者も行ったことが何度かある。レイキャビクなどの市外に出ると美しいコケが一面を覆っていて、そこに足を踏み入れると多額の罰金をとられると注意された。ドライブは幻想的な景色だ。 時代を超えて共鳴した環境への想い ユニークなひととの出合いもあったそうだ。 たとえば、イングランドではT2(タイプ2の2世代目のトランスポーター)に乗っている男性(78歳)と、シュルーター氏は会った。海岸に散乱しているPETボトルを拾い集めていて、「環境問題に強く関心を持っている」と言っていたとのこと。 さらにそのひとがユニークだったのは……と氏は続ける。 「排ガスの問題も大きな関心事で、エンジンを改造して、ガソリンでなく、食用油を使えるようにしていたことです。英国名物のフィッシュ&チップスの廃油で、そのひとのT2は走るんです」 電気でないが、カーボンニュートラルを実現したいという思いは、最新のBEVであるID.BUZZの開発コンセプトと、どこかでつながっているということか。 ID.BUZZのいいところはどこだったか、訊ねると、シュルーター氏は2つ挙げた。 「ひとつは、クルマの中で寝られること。やっぱり疲れるし、どこでもホテルが見つかるわけでないので。もうひとつは、知らない街へ行っても、周囲のひとが笑顔で手を振ってくれること。デザインの力ですね」 Vol.3へ続く

TAG: #ID. MEETING #ID.Buzz #フォルクスワーゲン
TEXT:小川 フミオ
VWの電気自動車「ID.」シリーズの高性能モデルも登場!? ID.オーナーミーティング取材リポート

IAAでの取材を終えた小川フミオ氏は、スイスで行われるID.シリーズのオーナーたちの集まりに向かった。そこではフォルクスワーゲンが開発したコンセプトモデルも公開されていた。 3回目のID. MEETING フォルクスワーゲンのBEV(バッテリー電気自動車)「ID.」シリーズのオーナーが、スイスのイタリア語圏ロカルノでミーティングを開いた。楽しそうな、その様子を見てきたリポートをお送りします。 同時にもうひとつ、このときの話題はID.シリーズのスペシャルモデルのお披露目。フォルクスワーゲン本社のエンジニア有志による「ID.X(アイディーエックス)パフォーマンス」モデルが公開された。 通常、ブランドがファンをつなぎとめるのに、もっともいい方法のひとつが、オーナーズミーティングともいわれる。 世界的に有名なものは、ゴルフGTIオーナーによるオーストリアのベルターゼー(Wolthersee)という湖の湖畔で行われてきた。1982年に始まり、メーカーまで巻き込んで毎年20万人を超えるひとが集まる大イベントに成長した。 ベルターゼーのイベントは、あいにく、あまりにひとが集まりすぎて、要するにオーバーツーリズム状態となり、現地から開催を見合わせてほしいという要望が出されるまでに。フォルクスワーゲンでは、24年から独ウォルフスブルクの本社での開催を発表している。 2023年9月に第3回めを迎える「ID.TREFFEN」(英語だとID. MEETING)。スイス・チューリッヒ出身のダニエル・オット氏(48歳)氏の呼びかけで、マジョーレ湖畔の街ロカルノで開催された。 オット氏は、ゴルフGTIやゴルフRなど歴代のスポーツゴルフに乗ってきて、いまは「ID.3」の車高を落としたモデルに乗る。妻は「ID.5」に乗っているそう。 「SNSで呼びかけて、100台の参加申込みがありました。じっさいは、120台ぐらいの参加になりそうです」 ウェブデザイナーを職業とするオット氏は、取材に対して、そう説明してくれた。 このミーティングに集まったのは、ID.ドライバーズクラブのメンバーが中心。スイスからのゲストが多いが、ドイツやオランダのナンバープレートもちらほら。  

TAG: #VW #フォルクスワーゲン #ユーザーミーティング
TEXT:小川フミオ
VWのリアリティ。製品開発責任者は量産ブランドのやるべきことが見えていた

EV時代に求められるのは、走行距離でもパワーでもない。エネルギーは、E-FUELでも水素でもない。電動化へ向かう現代に、VWは現実的な選択をしていくという。 カスタマーが求めているのは、短い充電時間 ーー今回の取材では、あたらしいOSを搭載したID.4に乗る機会がありました。ドライブフィールはたいへん好ましかったのですが、モデル改良における状況を教えてください。BEVにおいては、パワーを上げる方向なのか、走行距離を伸ばす方向なのか、どっちの要望が強いんですか? 「走行距離でもパワーでもないですね。カスタマーが求めているのは、短い充電時間です。急速充電ではご存知のように、2つの重要な要素があります。車両とチャージャー、ともに、できるだけ速い速度での大容量の充電が求められています」 ーー具体的に聞かせてください。 「私たちのターゲットは15分などで充電という短時間充電です。リロードのための時間が短いのは、メーカーに課せられたタスクと思っています。いっぽう、充電インフラは、政治的な判断になりますので、思うようにはいきません」 ーーメーカーは、あたらしいBEVを市場に投入するとき、高出力を喧伝しがちなような気がします。 「それがいちばん技術的に実現しやすいという事実があります。しかし実際の顧客の声を聞いていると、急速充電がもっと効率よくできたら、何百キロも走れるよ、と言われます。それは認識しています」 私たちはBEVに注力 ーーグループでE-FUELを研究されていると思いますが、VWブランドでも使う可能性はありますか。 「グループぜんたいが、将来的には、BEVですが、過渡的な燃料として、可能性のある燃料と考えられます。ただし、ご指摘があったように、コストの高い燃料です。なので、過渡的に使うのは、より価値の高いブランド、つまり、ポルシェやアウディにおいてでしょう。量産ブランドでは、おそらくPHEVを過渡的に使い、最終的には全モデルがBEVの方向にいくと私は思っております」 ーー水素の活用はどうでしょうか。 「私たちはBEVに注力しています、水素燃料は高すぎるので、プライベートセクターにおける利用というのは、現実的でないと思います。たとえば、スチールやプラスチック、航空、海運、化学などの分野では、水素エネルギーも考えられます。プライベートセクターにおいては、我々としてはBEV化だと思っています」 ーー自社でギガファクトリーなるバッテリー工場を作って世界各地で展開する計画が着々と進んでいますね。ドイツ、バレンシア、カナダなど進行中ですね。同時に、クルマからの給電、つまりV2HやV2Lが出来るようになれば、エネルギープロバイダーにもなれるのではないですか。 「エネルギープロバイダになるという計画は一切ありません。もちろんバッテリーを橋渡し的に使うといえばいいのか。クルマから電気を外部に供給したり、回生など使って車両に貯めた電気をほかの目的で使うことで、お金がセーブできたなどとよろこんでくださるユーザーもいらっしゃるかもしれません。そこまでなら技術的に可能ですが、それを拡大していって、積極的にエネルギーを外部に供給していく計画はありません」 <了>

TEXT:小川フミオ
VWはBEVとICEを両立? 中長期的なラインナップを製品開発責任者が語る

BEV(バッテリー電気自動車)化が進むなかで、VWは、IAAでは新型「パサート」でICE(内燃機関)用プラットフォームも発表した。インタビューのなかでは「MEBプラス」というBEVプラットフォームの計画もあるいう。ライナップとパワートレインのプランニングは、どうなっていくのか。 ICE用プラットフォームは、8〜10年は改良をかさねる ーーモデル計画についてうかがいます。この先ラインナップの数は増えますか? あるいは、減っていきますか? 「いま現在、私たちは、ICEとBEVと、パワートレインをみても、非常に多くのラインナップを持っております。ID.シリーズと名付けたBEVのモデル数は、ご存知のとおり、まだ限られていますけれど。ICEの生産をすぐ止めるかというと、ごくさいきん、MQBエボというICE用のプラットフォームを発表したばかりです」 ーーMQBエボは、23年のIAAモビリティで発表された新型パサートにも使われるプラットフォームですね。 「MQBエボは、このさき、最低でも8年から10年ぐらいは使用していく予定です。ただし、今回開発して、これで完成、あとは何もしないというわけではないです。約2年ごとに、新しい技術や新しい機能を投入していくつもりです」 ーーでは、ICEモデルの数は維持していくのですか。 「欧州においてはICEモデルを減らしていくのは間違いないです。他の市場に関しては事情は違う場合がありますが、欧州では、26年ぐらいからBEVを増やしていきます」 ーーいまのID.シリーズも、やはり改良を重ねていきますか。 「はい、明確なプランをもっています、MEBプラスというプラットフォームです。MQBエボと同じように、つねに最適化をしていくというアイディアをベースに開発するものです。いまのMEBの進化形ですね」 ーーID.2 allや、ID.GTIコンセプトは、いまのID.シリーズと違い、モーターをフロントに持ってきて、前輪を駆動するといいますね。なぜ、わざわざ180度、変えるんでしょうか。 「端的に理由を言うと、コストです。ドライブトレインをフロントに集めたほうが、コスト節約になるのです。(たとえばBEVでは電気配線に使うハーネスのコストが高く、ID.2allなどではそれを短くすることでコストダウンが図れる、とインタビューに同席していたVWの広報担当者が説明してくれた)。あともうひとつ、ターゲット顧客が前輪駆動車の運転に慣れていることも考慮しています」 sameではないけど、similarになる ーードライブフィールはどうでしょう。ICEのゴルフGTIとID.GTIコンセプトと比べた場合、ドライブフィールも同じようにしようと考えていますか。 「ゴルフGTIの本質は、俊敏であり、正確な操作性が魅力になっています。ステアリングやダンパーも、非常にきびきびとした走りを目的とした設定です。同時に、スムーズであり、乗っていて快適でなくてはなりません。街乗りや遠出を含めて、すべての点でICEのゴルフGTIは、完璧な回答だと思っています」 ーーそれがめざすところですか。 「電動化にあたっても、このように幅広い使い方に対応しなくてはならないと認識しています。ゴルフGTIのDNAをいかにBEVで実現していくか。ただし、ICEとBEVとでは、完全におなじクルマにはならないです。パワートレインの特性が、ICEとBEVとではちがってきます。それでも、いわゆるsameではないけど、similarになるのではないでしょうか」 有言不実行よりは不言実行 ーーID.GTIコンセプトの資料を読むと、ゴルフGTIクラブスポーツのようなフロントディファンレシャルロックも採用されるとありますね。 「導入を決めています、えっと、これをなんて呼ぶか。じつは1時間前に、フロントアクスル・ロックにしようと決まったんです。なかなかすんなりとおぼえられないんですが(笑)。ドライビングエクスペリエンスマネージャーを搭載し、ダンパーの設定など、非常に俊敏で、正確なドライビングフィールをめざします」 ーーパワーは。ID.2allと、ID.GTIコンセプトで、どれぐらい違いますか。 「ドライブフィールとパワーにおいて、2車の差別化を図っていきます。ID.GTIコンセプトは、(全輪駆動の)ゴルフRの未来形ではないことも、ここで申し上げておきます。数字に関しては、1年後には言えるかもしれませんけど、今日は言えないです。有言不実行よりは不言実行の方がいいと思っています(笑)。いま高い数値を出して、あとで、実現できませんでしたというよりは、ちゃんとしたことを申し上げたほうがいいですよね」 <Vol.3へ続く>

TAG: #EV #VW #戦略
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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