BYD 記事一覧

TEXT:桃田健史
なぜBYDは軽EVを日本に導入するのか? 現在じゃなく未来を見据えた周到な戦略とは

中国BYDがさまざまな戦略を日本市場で打つ理由 中国BYDの日本市場での動きが活発化している。日本専用の車両規格である軽自動車を、BYDが日本向けに設計して発売する。コンセプトモデルが、ジャパンモビリティショー2025(一般公開10月31日〜11月9日)に登場した。 また、驚いたのは朝日新聞が10月21日にオンラインで配信した「イオン、中国EVのセールへ BYD車を実質で200万円前後から」という記事だ。このニュースに対してはYahooニュースでもトップ記事で掲載され5000を超えるコメントが寄せられるなど、世間の注目が高いことが分かる。 だが、その2日後にBYDジャパンは報道にある「BYDの販売拠点をイオンモール内に約30拠点設置する」という事実はない、と記事の内容を全面的に否定している。BYDは、2023年1月から日本国内で乗用車販売を本格的に開始し、2025年までに全国で100拠点を設けるという目標を公表している。その方針には変更はない。 ここから先は、筆者の私見を述べる。BYDが日本市場へ参入し、さらに日本特有の軽EVまで仕立てるという戦略の背景には、大きくふたつのポイントがあると思う。 ひとつ目は、日本EV市場での主導権を得ること。日本でのEV普及率は、乗用車では2%程度ととても低い。2010年代初頭に三菱「i-MiEV」と日産「リーフ」が登場して以来、国や自治体で多様な補助金制度を活用するなどして、日系メーカー各社はEV普及を推し進めてきたが、欧米や中国と比べて日本でのEVシフトの速度は遅い。 日系メーカー各社は、中長期戦略としてEV普及は進むと見ているものの、現時点ではEV市場の「地盤固め」が先決という姿勢だ。 そんな日本で、すでに中国EV市場で主導権を得ているBYDは、独自の技術力と量産効果によるコストメリットを有効に活用して、日本EV市場でも主導権を狙っているように感じる。BYD軽EVは極めて重要な役割を担っている。 ふたつ目のポイントは、ひとつ目のポイントで示した日本での事業実績をタイなどアジア圏での事業におけるマーケティングツールとして活用することが考えられる。アジア圏は日本ブランド車の市場占有率が高く、そのため「日本でBYDのEVが売れる」ことがアジア圏でのBYDブランドに対する信頼度を上げる効果があるはずだ。 BYDが今後、どのような日本市場向け戦略を描いてくるのか。その動向を注意深くウォッチしていきたい。

TAG: #日本市場 #軽自動車
TEXT:山崎元裕
現時点のEVの頂点ってどのクルマ? パフォーマンスのTOP10を並べたら2000馬力だの400km/hだのインフレがヤバすぎた!!

これまでの常識を超えた運動性能 BEV(電気自動車)にとってもっとも重要なスペックとは、はたしてなんなのだろうか。搭載されるバッテリーの容量やその性能は、航続距離や充電時間に直接影響するものであるし、またこれからBEVを購入しようと考えるユーザー予備軍にとっては、価格もまず気になるところではある。だがその一方で、BEVの世界にはいま、これまでの常識では考えられないほどに驚異的な運動性能をスペックシートに掲げるモデルが続々と誕生しているという現実もある。 今回は最高速のデータをもとに、ハイパフォーマンスBEVのベスト10を紹介していこう。 まず第10位にランクされたのは、アメリカのテスラが「モデルS」にラインアップしている、高性能版の「プラッド」だ。3モーターで1020馬力の最高出力を発揮するこのモデルが可能とする最高速は322km/h。0-100km/h加速は2.1秒というから、そのパフォーマンスはスーパースポーツのレベルにあるといってもよいだろう。 第9位は325km/hの最高速と2.7秒の0-100km/h加速を実現したマセラティの「グラントゥーリズモ・フォルゴーレ」。ちなみにフォルゴーレとはイタリア語で稲妻を意味する言葉で、パワーシステムはこちらも3モーターの構成。最高出力は760馬力と「比較的常識的な」数字だ。 3モーターで1234馬力の最高出力を実現し、最高速では328km/hを、そして0-100km/hを1.89秒という数字を主張するのは、第8位となるルシードの「エア サファイア」。ちなみに同社のエアシリーズには4モデルが用意されており、もっともベーシックなものはシングルモーターの430馬力仕様。これでもその運動性能は十分に魅力的だ。 このルシード・エア サファイアの最高速を超える329.4km/hを記録したのが、アメリカのドラコモータースが2019年に発表した「ドラコGTE」だ。4モーター方式で1200馬力の最高出力を誇り、前後輪のパワー配分を自由にセッティングできるほか、路面状況に応じて6タイプのドライブモードを選択することが可能だ。 ちなみにこのドラコからは「ドラゴン」と呼ばれるSUVタイプのBEVも発表されており、こちらは2000馬力の最高出力で320km/h以上の最高速を可能にするという。 第6位にはロータスの「エヴァイヤ」がランクされた。1基あたり500馬力のモーターを4基搭載し、2000馬力の最高出力を発揮。カーボンファイバー製のモノコックを採用したことなどで車重は1680kgに抑えられ、結果0-100km/hは3秒以下、最高速では346km/hを達成した。

TAG: #スーパーカー #ハイパーカー #動力性能
TEXT:TET 編集部
軽自動車市場参入を表明したBYDの軽EVはスライドドアのスーパーハイトワゴン!? 注目モデルが目白押しなジャパンモビリティショー2025のBYDブースは要注目

BYD乗用車部門はワールドプレミア1台にジャパンプレミア3台 10月31日(金)から一般公開される「ジャパンモビリティショー2025」の開催に先駆けて、自動車メーカーを中心に続々と出展内容が発表され、盛り上がりを見せ始めている。 そんななかBYDは、ジャパンモビリティショー2025の目玉のひとつ、BYDが日本の軽自動車規格に合わせて初めて開発した「軽EVプロトタイプ」を世界初公開する予定だ。むろん軽自動車であっても、BYDの看板アイテム「ブレードバッテリー」は搭載されているようで、技術面でも見どころのある1台と言えよう。 国内新車販売で軽自動車はボリュームゾーンであり、日産サクラを見ればわかる通り一定数の需要がある。完成度は未知数ながら、BYDの軽EVは小さな巨人、黒船襲来となるかもしれない。 また、もう1台注目すべきは、BYDのハイエンドブランド「仰望(ヤンワン)」の高性能BEVスポーツカー「YANGWANG U9」を日本で初めてお披露目することだろう。 今年9月にチューニングモデルがEV世界最速記録をマークしたほか、ニュルブルクリンク北コースで1周7分切りを達成するなど、BEVスーパーカーとしての新境地を拡大している話題の車両だ。 独自のサスペンション制御技術を磨き上げたことで、その場でジャンプすることも可能なYANGWANG U9の特性を生かし、ジャパンモビリティショー会期中は毎日3回ダンスステージが開催される。 さらに、11月1日(土)・8日(土)には、ダブルダッチパフォーマーHARIBOWとコラボしたパフォーマンスステージが両日とも2ステージ開催される。その類稀なサスペンションの動きに注目したい。。 ほかにも、BYDの乗用車が日本で販売されるようになった2023年1月当初からラインアップされているミドルサイズe-SUV「ATTO 3(アット3)」について、今年の上海モーターショーで披露されたマイナーチェンジ版を国内初公開する。 そして、今年のBYD事業方針発表会で公表された通り、プラグインハイブリッドEV(PHEV)モデルがこのタイミングで日本初上陸を果たす。公開されるモデルは「SEALION 6 DM-i」で、1.5リッター自然吸気エンジンと高効率バッテリーおよびモーターの組み合わせから成る、BYD独自のDM-i(Dual Motor Intelligence)システムを搭載。日本では馴染みがないものの、BYDは2008年からPHEVを量産しており、品質や信頼性は十分。BYDの国内販売台数増へ大いに貢献しそうなモデルだ。 現在販売中のドルフィン、シール、シーライオン7といったEVラインアップについても一堂に展示されるほか、商用車部門では日本市場での使用を考慮して開発された世界初公開の新型EVトラック「T35」や、路線EVバスなどが展示される。乗用・商用あわせて13台もの車両が展示されるBYDグループのブースは、東5ホールと東6ホールに設置される。

TAG: #BYD #JMS2025 #PHEV #YANGWANG #軽EV
TEXT:大内明彦
ガソリン給油と同じ速度で充電可能! 中国のBYDが発表した「スーパーeプラットフォーム」が凄すぎる!!

BYDが発表した新技術の中身 EVを生産するBYDという中国企業をご存じだろうか。自動車メーカーとしての歩みはまだ20年、企業としても創業30年と歴史の浅いメーカーで、2次電池(携帯電話用)の生産で起業している。 現在の業務内容は自動車(EV、PHV)、バッテリー(2次電池)、エレクトロニック(スマートフォンなどの電子機器)などの生産、エネルギー産業(太陽光発電、蓄電システム)、鉄道輸送(モノレール、地下鉄)などを手掛けている。ちなみに社名のBYDは「Build Your Dream」の頭文字をとったもので、近未来に向かっての歩みを意味している。 こうした業務内容のなかで、自動車については新エネルギー車にカテゴリーわけされるEVとPHVの生産を行っている。とくに将来への可能性を大きく秘めたEVの開発、普及に関しては積極的な取り組み姿勢を見せている。そのBYD社、2025年3月に「スーパーeプラットフォーム」と名付けられた新たな充電システムを開発、発表している。 このシステム、「プラットフォーム」の名が示すように、なにかのベース、土台となる技術であることが推察できる。問題は、その前にある「スーパーe」の意味するものだが、技術の内容から考えると超急速充電システムと理解してよいだろう。メーカーの表現を借りると「油電同速」ということで、充電時間とガソリン(液体燃料)の補給時間が同じ(になる)ことを意味している。 環境性能に関しては文句なく優れるEVだが、充電設備、充電時間などが大きな問題として取り組まれてきた。解決するには、数多くの充電スタンド、短時間での充電が必要になるわけで、これが可能になれば内燃機関車(ガソリン、ディーゼル)と同等の実用性を得ることができる、というユーザーニーズに対する回答である。 BYDは、この充電時間に関して燃料補給と同等の時間で完了できる「スーパーeプラットフォーム」と名付けた超急速充電システムを開発。画期的な内容で、1秒あたり2kmの走行距離に相当する充電を行い、5分弱で400km走行に相当する充電を可能にする「フラッシュ充電」方式を開発した。 ただし、既存のEVに対応したシステムではなく、短時間による急速充電を可能にするには車両側、充電側(ステーション)の両者で専用の方式を使うことが条件となるようだ。

TAG: #テクノロジー #バッテリー #プラットフォーム
TEXT:桃田健史
テスラを抜き世界最大のEVメーカーになったBYD! それでも株価が低迷するワケ

いまや世界最大のEVメーカーとなったBYD 中国BYDの株価が5月後半から一気に下落し、その後も低迷が続いている。 BYDといえば、米テスラを抜いて世界最大のEVメーカーとなったことが話題となった。日本市場では、各種モデルを導入して国内販売網を拡充しており、近年中には軽規格EVを仕立てることが決定している。そのため、スズキ、ダイハツ、ホンダ、三菱(及び生産委託している日産)は、軽EV市場拡大へのプラス効果として捉えているところだ。 さらに、中国政府による外貨獲得に対する積極的な施策によって、中国国外に向けた新車輸出や、東南アジアや欧州での新車現地生産についてもBYDの存在がクローズアップされてきた。 一方で、中国国内自動車販売における競争環境は激化の一途を辿っている。そうしたなかで衝撃的だったのが、BYDによる22モデルを対象とした大幅値引きだ。なかには3割を超える値引き率に達しており、こうした状況にライバル企業も大幅値下げを決断せざるを得ない状況に陥った。 中国における新車価格の大幅値引きは、数年前から自動車産業界での大きな問題とされてきたが、5月のBYDによる大幅値引きは、ある種の末期症状とも思える印象があり、これに対して株式市場が反応したものと考えられる。 5月23日のBYD株価は、135.00CNYだったが1週間後の5月30日には.117.43CNYへと約13%下落した。それから何度か買い戻しが入ったものの、8月上旬には104CNY台まで下がっている。本稿執筆時点の9月中旬では107〜109CNYのレベルで推移しているところだ。 では、今後のBYD株価はどのように推移するのだろうか。技術面でいえば、BYDのポテンシャルはまだ高いものと考えられる。具体的にいえば、BYDはEVにおけるコストでもっとも大きな影響があるバッテリーを自前で開発・生産しているため、EV全体でのコスト競争力が高い。また、直近では、1000V・1000A・1000kW超という大出力型急速充電システムを市場導入するなど、グローバルEV市場に対する影響力が強いことは確かだ。 ただし、営業面で見れば少なくとも中国国内では5月の大幅値下げを実施せざるを得なくなったように、需要と供給のバランスが大きく崩れており、生産体制を含めた事業方針の転換が必要な時期なのかもしれない。 そうとはいえ、課題はBYD個社の業績や収益性だけではないように思う。なぜならば、中国の自動車産業全体の抜本的な構造変革が必須だからだ。当然のことだが、今後のBYDの株価変化については、EVのみならず中国自動車市場全体の動きを注視する必要がある。

TAG: #値下げ #輸入車
TEXT:高橋 優
EVがますます加速する中国市場! ただし「人気車」はかなりの変化アリ

順調にNEV車が伸びている中国市場 中国市場における最新の2025年8月のEV販売動向の詳細が判明しました。EV先進国中国のEVシフトの現状を、人気車種の売れ行きや注目の新型EVの展望を含めて解説します。 まず、中国市場における8月のBEVとPHEVの合計を示した新エネルギー車の販売台数は110.1万台と、前年同月比+7.5%の販売増加を記録しました。また、新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率は55.14%と史上最高のシェア率を更新しました。すでに過半数が新エネルギー車に置きかわっている状況です。 次に、その新エネルギー車のなかでもBEVとPHEV、EREVそれぞれの販売割合を確認しましょう。2022年8月時点での新エネルギー車全体に占めるBEVのシェア率は75%と、BEVが圧倒的なシェア率を示していたものの、直近の2025年8月単体では62.36%とBEVシェア率が減少している状況です。とはいえ、2024年8月の57.23%と比較すると、むしろNEV全体に占めるBEVの割合は増加傾向にあります。 8月単体のPHEVとEREVの販売台数は41.4万台だったものの、これは前年比でマイナス成長です。このPHEV販売の減速というトレンドは、ごく短期的な中国市場の動向を見極める上で重要な視点でしょう。 さらに、BEVに絞った販売シェア率は34.39%と、史上最高のシェア率を更新しました。いずれにしても中国市場はEVシフト減速と無縁の世界線である様子が見て取れます。 それでは人気車種動向を確認しましょう。 はじめに、8月単体の内燃機関車も含めたすべての販売ランキングトップ30では、新エネルギー車が15車種ランクイン。トップ10に絞ると7車種が新エネルギー車です。 新エネルギー車に絞った販売ランキングトップ30で注目するべきは、海外メーカー勢がテスラ・モデルYとモデル3しかランクインできていないという点です。新エネルギー車といえば中国製であると広く認知されてしまっているのです。 また、BYDが13車種を席巻しており、圧倒的な存在感を感じさせます。さらに、ファーウェイのAITO M8が9位にランクインしており、日本円で800万円級にも及ぶファーウェイの高級EVが非常に人気となっている様子も見てとれます。 そして、BEVに絞った販売ランキングトップ30での注目は、発売開始から半年程度しか経っていない最新BEVが続々とランクインしている点でしょう。 第30位:Xpeng G7 第29位:Leapmotor B10 第22位:BYD Fang Cheng Bao Tai 3 第20位:BYD Seal 06 EV 第17位:BYD Sealion 05 EV 第16位:Leapmotor B01 第9位:シャオミYU7 第8位:BYD Sealion 06 EV このように、旧モデルを最新モデルが追い抜いて新陳代謝を促しているという点こそ、中国市場の競争の激しさを物語っていると思います。 第25位:トヨタbZ3X 第18位:日産N7 という日本メーカーの健闘にも注目です。とくにN7は1万148台と絶好調です。

TAG: #セールス #中国市場 #販売台数
TEXT:高橋 優
いまBYDが激安購入できる! 9月中なら適用される「BYD補助金」の恐るべき中身

最大100万円を超える驚愕の値引き BYDが国内で発売中の全モデルに対する値引き措置を実施しました。とくにシールAWDには最大117万円という大幅値引きを実施するなど、EVのお買い得情報について解説します。 BYDは日本国内に対してアット3、ドルフィン、シール、シーライオン7という4車種を投入済みです。販売台数は月間数百台とまだまだ規模は小さいものの、販売ネットワークを整備しながら、じっくりと販売シェアを拡大するものと思われていました。 その一方で、BYDは日本国内に対してPHEVを追加で導入する方針を表明していますし、2026年後半には軽自動車セグメントのEVを投入する方針も正式表明済みです。BEVだけでなくPHEVをラインアップするという新たな試みも始まっていました。 そして、そのBYDについて新たに判明した最新動向が、9月中における新たな販売プロモーションとして、BYD補助金と題した一律値引き措置を断行してきたという点です。ただしBYD補助金について重要な前提条件が、9月中に成約、なおかつ車両登録を済ませることが条件であるため、すぐに購入を決断する必要があります。 まずインパクトが大きいのがドルフィンのエントリーグレード「Baseline」の存在です。現在299万円2000円で発売中ですが、さらにBYD補助金50万円分の値引きが適用されて249万2000円で購入可能です。さらに政府からのEV購入補助金が35万円適用できることから、それを含めると、なんとドルフィンBaselineは実質214万2000円から購入することができます。 さらにドルフィンBaselineの競合となるヒョンデ・インスターや、軽EVの日産サクラ、ホンダN-ONE e:と比較してみると、インスターと比較してドルフィンのほうが60万円も安価に購入することが可能となります。しかも日産サクラXグレードとも実質の購入金額では大差がありません。サクラと比較しても倍以上の電池容量、航続距離、充電性能を実現していることを踏まえると、やはりドルフィンのコスト競争力の高さは明らかでしょう。 またドルフィンロングレンジに対しても64万円のBYD補助金が適用できるため、実質275万円で購入することが可能です。 アット3については、70万円ものBYD補助金が適用可能であるため、35万円のCEV補助金を含めて、実質313万円から購入することができるようになりました。アット3には58.56kWhのLFPバッテリーが搭載され、85kWの急速充電に対応。コンパクトSUVながら後席にゆとりをもって座れるだけでなく、トランクの収納スペースも440リットルを確保しているなど、ファミリーSUVとしての車内空間の広さも十分です。この電動SUVが実質313万円で購入できるとイメージしてみると、まさにガソリン車と同等以上のコスト競争力といえるはずです。 ちなみに、直近においてヒョンデはコナに対して98.3万円もの値下げを実施中です。廉価グレードVoyageの場合、CEV補助金を含めて実質286.3万円から購入可能であり、アット3の購入を検討する場合はコナを比較検討するのもありだと思います。 シールもRWDグレードに86万円のBYD補助金を適用することで、CEV補助金を含めて実質364万円で購入できるようになりました。さらに4WDグレードに対しては117万円のBYD補助金が適用可能となり、実質420万円から購入可能です。0-100km/h加速3.8秒を実現し、日本車にあるような装備内容はほぼすべて標準搭載。このスポーツセダンが実質420万円で購入可能とイメージしてみると、やはりコスト競争力の高さが光ります。 そして最新モデルであるシーライオン7にもBYD補助金が適用可能です。RWDもAWDも揃って73万円という値引き幅であり、CEV補助金の35万円を含めて、RWDが実質387万円、AWDが実質464万円で購入可能となりました。

TAG: #中国車 #新車販売
TEXT:高橋 優
世界のBEV覇権争いの主役はテスラからBYDに! テスラはロボタクシーで巻き返しなるか?

テスラの販売台数は13.5%減 テスラとBYDの2025年第2四半期の販売台数が判明しました。テスラが大幅に販売台数を落としたことで、2025年の年間EV王者がBYDとなる可能性が確定的となりました。上半期における両社の現状と見通しを比較します。 まず取り上げていきたいのがテスラの最新販売動向です。テスラは2024年シーズンに178.9万台と、2023年比でマイナス成長に留まってしまっていたという背景が存在します。その上で、2025年Q2におけるグローバル全体の納車台数は38万4122台と、2024年Q2と比較して-13.5%と販売減少を記録しました。車種別の販売台数について、モデル3とモデルYの販売台数の合計は37万3728台と、2年連続で販売台数が低下しています。とくにQ2は新型モデルYの販売のピークを迎えていたものの、それでも販売減少に歯止めがかからなかった格好です。 さらに懸念するべきは、モデルS、モデルX、そしてサイバートラックの販売台数の合計でしょう。Q2単体で1万394台と、前年同四半期比で-51.8%と半減してしまっています。とくに懸念視するべきはサイバートラックです。現時点では販売台数の内訳は公開されていないものの、多く見積もったとしてもサイバートラックは5000台程度だったと推測可能です。すると、サイバートラックの年間販売台数は2万台規模と概算可能です。そして、現状のサイバートラックの生産能力は12.5万台以上であることから、生産ラインの稼働率は16%程度と低迷していると推測できます。まったく同様にモデルSとモデルXのフリーモント工場の生産ラインの稼働率も約20%と推測可能であり、収益性の圧迫要因といえそうです。この収益性については7月23日の決算発表に注視する必要があります。 いずれにしても、テスラが年初に掲げていた20〜30%の販売台数増加目標の達成は絶望的になったといえます。とはいえ、すでに商業運行をスタートしているロボタクシー事業には期待がもてます。現在はテキサス中心部の一部区画でのみ展開しているものの、今後どれほどのスピード感で展開が加速していくのか。この1、2年では目立った収益への貢献は期待できないものの、中長期的なテスラの新たな収益モデルとして期待せずにはいられません。

TAG: #2025年 #販売台数
TEXT:TET 編集部
2025年はBYD Auto Japanの設立3周年記念! お買い得な限定車「ATTO 3 Black Style」を 全国50台限定で発売

ブラックの専用外装パーツでより都会的に 日本におけるBYDの乗用車販売を担うBYD Auto Japanが設立されて3周年を迎えるのを記念して、ミドルサイズ電気自動車のSUV「BYD ATTO 3」にブラックの専用エクステリアパーツを装着した「BYD ATTO 3 Black Style」が、全国限定50台で2025年7月1日から全国のBYD正規ディーラーにて販売される。 2色設定されたボディカラーとその内訳台数は、スキーホワイトが30台、ボルダーグレーが20台となっており、全国メーカー希望小売価格はスキーホワイトが税込424万6000円、ボルダーグレーが税込418万円となっている。 2025年7月21日に設立から3周年を迎えるBYD Auto Japanでは、コンパクトEVのドルフィンをベースにBYDの創業30周年を記念した特別限定車「BYD DOLPHIN Grateful PINK」を6月3日から販売している。今回のATTO 3 Black Styleは、それに続く特別限定車の第2弾だ。 ベースとなったATTO 3は、2023年1月のBYD日本上陸当初からラインアップされているミドルサイズe-SUVで、日本の路上でも取りまわしがしやすいボディサイズに、充実した装備などで人気を獲得しているモデルだ。特別限定車「ATTO 3 Black Style」には、光沢のあるグロスブラック仕上げのエクステリアパーツなどを装着することで、もともとのスポーティな印象に都会的なクールさが加えられている。 また、通常はディーラーオプション扱いとなるフロントボンネット内収納ボックスに加え、ETC車載器とドライブレコーダーも特別装備され、買い得度を増している。2022年のユーロNCAP安全性評価では、最高評価の5つ星を獲得しているATTO 3だけに、安全性は折り紙付きだから、経済性や日常での使いやすさ、それに安全性を求める向きには、まさに狙い目の1台と言えそうだ。 ■「BYD ATTO 3 Black Style」の主な特別装備 ・グロスブラック仕上げの専用エクステリアパーツ – ブラックエンブレム(BYDフロント/リヤエンブレム、リヤのATTO 3とEVのロゴエンブレム) – フロントフォグランプトリムカバー – フロントBYDエンブレムのベースプレート – 左右ヘッドライト上部のトリム ・フロントボンネット内収納ボックス ・ETC車載器 ・ドライブレコーダー

TAG: #ATTO 3 #BYD #特別仕様車 #限定車
TEXT:TET 編集部
42番目の正規ディーラーは初の千葉県! 「BYD AUTO 船橋」がオープン

42店舗目のBYD正規ディーラーが誕生 千葉県では初となるBYDの正規ディーラー「BYD AUTO 船橋」が、2025年6月27日(金)13時にオープンする。 この全国42店舗目のBYD AUTOを運営するのはBY Motorsだ。千葉県内でも有数のカーディーラー街である「市場通り」に位置し、東関東自動車道の「湾岸習志野IC」からクルマで約10分、JR総武線の東船橋駅からも徒歩圏内と、アクセスに優れた立地にBYD AUTO 船橋は店舗を構える。 ほかのBYD AUTOと同様に、白を基調にした清潔感とゆとりを感じさせる心地よいショールームには、BYDに関する幅広い専門知識を持ち、来店者のサポートや試乗・購入に関する相談を行うセールス・スタッフが常駐。併設された専用のサービス工場には、BYD Academyで高度なトレーニングを受けたサービス・スタッフが配置されるので、購入後のアフターサービス体制もバッチリだ。 店内には、4月に発売されたクロスオーバーe-SUVの新型車「シーライオン7」をはじめ、シール、アット3、ドルフィンというお馴染みのEVラインアップが展示される予定だという。千葉県内だけでなく、東京都東部からもアクセスしやすい場所なので、ぜひBYDの実車確認に足を運んでみてほしい。 ■BYD AUTO 船橋 所在地:〒273-0001 千葉県船橋市市場4-20-8 開業日:2025年6月27日(金)13:00~ 営業時間:10:00~18:00 定休日:火曜日・水曜日 電話番号:047-448-6666

TAG: #BYD #BYD AUTO #ディーラー
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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