「N Line」はドレスアップがメイン
ヒョンデといえば韓国の自動車メーカーとして世界的に知られている。とくに欧州では人気が高く、日本メーカー各社をシェアで大きく上まわっている地域もある。
近年はとくにモータースポーツ活動を活発に行なっていて、トヨタ自動車も参戦しているWRC(世界ラリー選手権)やTCRワールドツアー(旧世界ツーリングカー選手権)などにも積極的に参戦。トヨタやホンダ、フォード、アウディに伍して好成績を収めている。2024シーズンは国内のTCR ジャパン戦にワークス参戦。韓国人ドライバーを擁してシリーズを席巻している。
そのヒョンデが同社の旗艦EV車であるアイオニック5をベースにハイパフォーマンスグレードとしてNモデルを仕立て、圧倒的な走行性能を披露して我々を驚かせたのも記憶に新しい。
今回、さらにコンパクトSUVである「コナ」をベースに「N Line」を追加設定して登場させたというので早速試乗してきた。
アイオニック5は「N」だがコナは「N Line」とネーミングしていることには訳があった。N Lineはパフォーマンスを徹底的に磨き上げた「N」ではなく、Nのスポーツフィールにフィーチャーしたスポーツイメージが与えられた仕様となっているのだ。メルセデスAMGのイメージを継承したメルセデス・ベンツの「AMGライン」やBMWの「M」モデルをイメージさせるBMW「Mスポーツ」などと類似している。
コナ N Lineはドレスアップチューニングがメインであり、パワートレインやサスペンションなどの機能部分はベースのコナを踏襲している。動力性能やドライバビリティ、電費などもコナのベース車と同じというわけだ。
しかし、実車を眼前にしてみると、ベースのコナとは随分とイメージが変化していることがわかる。
ベースのコナは、どちらかといえば地味なデザインで、あまりカッコいいと思わせるスタイルではなかった。ヒョンデには欧州系デザイナーが大勢いて、クルマ好きウケするスタイリッシュなデザインのモデルが多いが、コナはあえて目立たない大衆向けとしてデザインされているかのようだった。
それがN Lineとなると街なかで人を振り向かせるほどの存在感を纏わされている。細かなディテールを見てみると、フロント部はバンパー・グリルデザインが一新され、まるで別のクルマであるかのごとくイメージが変化した。ラジエターグリルのなかにも凝った加飾が施され、遠目にも見栄えがいい。
ボディサイドはサイドモールディングがボディカラーと同色となり、サイドシル部にはブラック塗装のスポイラーが装着された。また、コナの特徴だったベルトラインのシルバーモールディングもマットブラックに塗装され、スポーティさを醸し出しつつスポーツSUVを名乗るに相応しい無骨な逞しさも体現している。また、タイヤ&ホイールが19インチと大径化されたのもインパクトがある。
リヤビューではルーフスポイラーが大型化され、かつ左右分割のマルチスポークマウント方式を取り入れ、まるでWRCラリーマシンを彷彿させるかのような出で立ち。リヤバンパー下部もブラック塗装にアップスイープ形状を施した形状で迫力がある。
一見、コナのベース車よりひとまわり以上に大きくなったように見えるが、ボディディメンションは全長が30mm長くなっただけだという。