試乗
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佐川急便とASFが共同開発した軽商用EV「ASF2.0」に乗った! 走りは要改善も将来性を感じる中身


TEXT:西川昇吾 PHOTO:宮本賢二
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佐川急便と共同開発した軽商用EV

自動車メディアでは毎年恒例となっている日本自動車輸入組合(JAIA)主催のメディア向け試乗会。この試乗会に若手自動車ライターの筆者も参加させて頂いた。多くの輸入車に触れたが、今回はEVベンチャー企業「株式会社ASF」が手がけた軽商用バンであるASF2.0をリポートしていく。

ASF2.0のフロントスタイリング

■ASF2.0ってどんなクルマ?

ASFという会社に関してピンと来ない人もいるかもしれないので、簡単に紹介する。ASFは2020年に設立された日本の企業で、日本での電気自動車普及促進を図るためファブレスメーカーとして設立された。ファブレスメーカーとは自社での製造設備を持たない会社のことを指し、ASFはEV車の企画や設計、販売、リースなどを含めたユーザー展開などEVモビリティ事業を基軸としている。

ASF2.0のエンブレム

今回試乗したASF2.0は佐川急便と共同開発した軽商用バンで、配送ドライバーの意見をフィードバックした車両となっているそうだ。なお、ASFは中国EVと思われがちだが、正確には違う。既存のEVをASFが輸入しているのではなく、ASFが日本市場を考えて一から企画、設計されたEVで製造は中国のメーカーが行っている形になる。

ASF2.0のリヤスタイリング

日本市場を考えている面としては右ハンドルなのはもちろんだが、右側にウインカーが設置されているのも日本市場を強く意識していると感じるポイントだ。気になる航続距離は243kmとされていて、これは現在国内で展開されている軽自動車のBEVのなかでも最長とのことだ。

■軽バンながら新鮮な灯火類

エクステリアを見てみると商用軽バンでありながら、LEDなどを使った灯火類が新鮮な印象だ。日本の商用軽バンはまだまだウインカーはバルブ灯だし、ライトはハロゲンだったりすることも多い。消耗品の寿命を考えると、ビジネスユースならばコチラのほうがいいのかもしれない。12インチ145幅というタイヤサイズは乗用車では見かけなくなったが、まだまだ軽トラックや軽バンでは純正採用されているサイズだ。安くてスグにタイヤが手に入るというのもビジネスユースには重要なポイントと言える。

ASF2.0のタイヤ

インテリアを見てみると小物入れの収納が多いのが印象的だ。オーバヘッドコンソールが備わっているのには驚かされた。しかもちゃんと蓋が付いている。この辺りは現場の声を取り入れた結果と言えるだろう。

ASF2.0のオーバーヘッドコンソールボックス

■動力性能は不満なし

実際に試乗してみると、正直「快適性」という面ではあまり印象は良くない。モーター音をワザと発生させているとは思うが、25km/hくらいまで音がうるさいと感じるし、スロットル操作の初期に騒音が大きい。また、パワステのアシストが遅れて安定するような感じで不自然だし、ブレーキも初期のタッチが不自然で荷物を安定させるのに適していない印象を受ける(荷物を積めばまた違った印象になるかもしれない)。

ASF2.0の走行シーン

また、不安に感じた面としてはヒルホールド機能が弱いことだ。最初は装備されていないのかと思ったほど、こちらは安全面にも関わるので改善を望みたい。

しかし、動力性能に関して不満はない。バイパスへもスムースに合流が出来たし、上り坂でも不満を感じることはなかった。また、シフトにはドライブの下にEと書かれたエコモードが存在するが、エコモード時であっても加速で不満を感じることはなかった。荷物を運ぶ商用と考えれば十分と言えるかもしれない。

ASF2.0を運転するリポーターの西川氏

ASF2.0は現在リース販売のみの展開になっているとのこと。今後はどのような展開や進化を見せるのか? まだまだな部分はあるかもしれないが、ベンチャーEVの歴史は始まったばかり、今後の展開に注目していきたいところだ。

ASF2.0の諸元表

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