試乗 記事一覧

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TEXT:小川 フミオ
ボルボの新型電気自動車「EX30」のインテリアは、華美すぎず趣味性が高い。

バルセロナで「EX30」に再会した小川フミオ氏は、改めてインテリアに感銘を受けたようだ。“クラシックボルボ”から受け継がれる同ブランドのインテリアの秘訣も語ってもらった。 趣味性の高い内装 ボルボの最新モデル、BEVとして設計された「EX30」について、私がおおいに興味を持っていたのは、インテリアデザインだ。 そもそもボルボのプロダクトは、内装の趣味性の高さが、大きな魅力のひとつだった。100シリーズ(1966年~)、200シリーズ(74年~)、700シリーズ(82年~)、それに850(91年~)など、どれもデザイン性が高かった。 EX30のインテリアは、上記のクラシックボルボに対して、とうぜん先に進んでいる。最大の特徴は、デジタライゼーションが進んでいること。XC40やXC60といったモデルで大々的に採用した液晶パネルによる操作性をさらに拡大しているのだ。 液晶パネルのなかに機能を集約していった結果、物理的なスイッチ類の数が大幅に減っている。ウィンドウ開閉とドアの解錠と施錠ぐらいしかない。 ただしレバーは2本残されている。ワイパーやライトのオンオフやウインカーはレバーで行う。これもスイッチにカウントするなら、テスラよりは物理的な操作類が多い。 お気に入りの「ミスト」コンセプト これはボルボ車の“伝統”とはいえないが、相変わらず”いいなあ”と思える点がある。室内の造型と、落ち着いた色使いと、シートだ。 「私たちはBEVを脱炭素とを結びつけて開発しているので、エネルギーをたくさん使って作る素材を排除しました」 THE EV TIMESでも紹介した、ボルボでインテリアデザインを統括するデザイナー、リサ・リーブス氏による、コンセプトだ。 たとえばシート表皮もリサイクル材を使った素材。「ブリーズ」と名付けられたパッケージに含まれるシート地は「ピクセルニット・ノルディコ・コンビネーション」なるもの。 「リサイクル素材を使用したピクセルニットに、パインオイルを原料に取り入れたなめらかな触感のノルディコ(人工皮革)を組み合わせました」とボルボでは説明。 もうひとつの内装は「ミスト」。ウール30パーセントをポリエステルとブレンドしたファブリックだ。「寒いときには暖かく、暑いときには涼しい」と、ウールの魅力を活かした素材と説明される。 からだが滑りにくいうえに、布のような感触になじみが持てるため、私にはより好感度が高かった。

TAG: #EX30 #コンパクトカー #ボルボ
TEXT:小川 フミオ
日々の生活の相棒としてBYDのコンパクトEV「シーガル」は最適な1台かもしれない

日本円換算で150万円から180万円の価格で、305kmから405kmも走れるBYDの電気自動車「シーガル」。短時間だが走りを確かめた小川フミオ氏は、価格から想像する以上の良いフィーリングを得たようだ。 けっして安物ではない BYDが23年に(本国で)ローンチした、日本の軽自動車より30cmほど長いだけの全長3,780mmのコンパクト4ドア「シーガル」。乗ると、けっして安物ではない印象を受けた。 BYDは、モデルラインナップの拡充で、市場のニーズを先取りしていこうという製品戦略のようで、大から小まで、手がけるモデルのサイズを拡げている。 大は、「ジャパンモビリティショー2023」に出展した電動スーパーSUV「Yangwang(ヤンワン) U8」や、アルファードより長い車体の「Denza(デンザ) D9」。小はたとえばこのシーガル。 シーガルは、「ドルフィン」や「シール」などのBEVと共通の「eプラットフォーム3.0」を使用。ホイールベースは2,500mmと、全長に対して比較的長い。BEVならではのパッケージングだ。 乗りこんだ時の印象は、まずシートクッションが予想以上に厚くて、しっかりからだを受け止めてくれるのが嬉しかった。 私が乗ったのはおそらく上級グレードだったはずで、室内は落ち着いたグレーとトルコブルーというのか、くすんだ水色との2トーン。ハンドルリムもブルーで巻いてあって、視覚的な質感も高い。 モニタースクリーンは、ドライバー前に小型なものと、ダッシュボード中央に10.1インチの、やはりドルフィンなど上級車種よりすこし小ぶりのものがそなわる。私は試す時間がなかったが、これもボタンで90度回転して縦型になるという。 中国のクルマで感心するのは、すべてスマートフォンを使うこと前提の設定。そのひとつが、かならずといっていいほど装備されているワイヤレス充電器だ。 上級車は2台並べて置けるけど、スペースが限られてしまうシーガルでは1台ぶんのみ。それでも通勤用途がメインなら、十分だろう。

TAG: #BYD #シーガル
TEXT:小川 フミオ
これぞコスパ最強の電気自動車!180万円で400km走れるBYD「シーガル」に試乗した!

BYD「シール」の試乗会に参加した小川フミオ氏は同社の「シーガル」にも乗る機会があった。日本円にすると約150万円からと価格破壊的なEVはどんなクルマだったのだろうか。 シティ派ユーザーに響くEV BYDのプロダクト戦略はおもしろい。BYDジャパンの劉学亮(Liu Xueliang)社長は、市場の嗜好が変化していく速度は従来と比較にならないほど速い、と語っていた。 2023年4月に発表された「シーガル Seagull」も、いまっぽいプロダクトだ。 全長3,780mm、全幅1,715mm、全高1,540mmと、都会的というのか、シティユースに適した外寸を持つボディ。 大小、サイズ的に広くカバーしようというBYDの市場戦略の一翼を担うモデルともいえるし、日本でいうと日産サクラ/三菱ekクロスEVなどを考えているシティ派ユーザーに響きそう。 日本でも発売されているドルフィンは、本国では働く女のひとが通勤用に購入する場合が多い(BYD本社の広報担当談)そうで、ひょっとしたら、同様の市場において、価格的にさらに買いやすいモデルを求めるひとがターゲットなのかもしれない。 私が、限られた時間だけれど、シーガルに乗れたのは、深圳のBYD本社において。広い敷地内を走って、市街地でドライブしたときの印象を多少なりとも得ることが出来た。

TAG: #BYD #コンパクトカー #シーガル
TEXT:小川 フミオ
まだ日本に入ってこない貴重な「EX30」のツインモーターに試乗!ボルボ史上最速性能を誇るEV

10月にサブスクリプションの受付を始め、まもなく11月中旬からは通常の販売も開始予定のボルボのBEV(バッテリー電気自動車)の「EX30」。日本はシングルモーターの「エクステンデッドレンジ」から導入が始まる。しかし実はEX30にはAWDモデルも用意されている。AWDモデルはどんなクルマで、どう仕上がっているのか、バルセロナで試乗した小川フミオ氏のレポートをお届けする。 期待以上にいい出来 日本では使い勝手のいいサブスクリプションで評判がよい、ボルボの新型BEV「EX30」。日本を含む世界でのデリバリーの前に、バルセロナで試乗会が開かれた。はたして、期待以上にいい出来だった。 2030年までにグローバルで販売する新車をすべてBEVにすると宣言したボルボだけに、BEVとして専用設計されて、初めて市場に投入されるEX30の出来が気になっていた。 EX30が発表されたのは、2023年6月のミラノだった。私も世界各地から発表会に参加したジャーナリストのひとりで、そのとき、全長4,235mmと大胆なほどコンパクトな全長に、まず驚かされたものだ。 発表されたラインナップは、既報のとおり、3つのモデルで構成される。 もっともベーシックなモデルは、リン酸鉄リチウムのLFPバッテリー搭載のシングルモーター「スタンダードレンジ」。最大限の航続距離を必要としない都市生活者をターゲットにしている。 その上には、シングルモーター「エクステンデッドレンジ」。リチウム、ニッケル、マンガン、コバルトによるNMCバッテリーを使用し、スタンダードレンジが走行距離344km(WLTP)なのに対して480kmとされる。 もっともスポーティなのは、前後に1基ずつモーターを搭載したツインモーター「パフォーマンス」だ。唯一の全輪駆動で、静止から時速100km/hまでを3.6秒で加速する性能を有している。 これまでのボルボ車において最速の加速だそうだ。 3.6秒といえば、ポルシェ911カレラSの3.7秒を上回る。そこがダッシュ力にすぐれる電気自動車の強みであり、最高速度となると、時速180km/hでリミッターがかかってしまう。カレラSは308km/hだって。 私はEX30シリーズにおいて最も気に入っているのは、使い方に応じた選択肢が用意されているところだ。2種類の駆動方式と2種類のバッテリー。価格ももちろん違う。BEVも洗練されてきたなあという感ひとしお。

TAG: #EX30 #コンパクトカー #ボルボ
TEXT:生方 聡
「ボルボEX30」のツインモーターは想像を超える速さの持ち主だった! [ボルボEX30試乗記]

0-100km/h加速はなんと3.6秒! 駿足のボルボEX30 ツインモーター・パフォーマンスをスペインのバルセロナで走らせた。 ツインモーターはスポーツカー顔負けの速さが自慢 「EX30シングルモーター・エクステンデッドレンジ」に遅れて、日本導入が予定されている「EX30ツインモーター・パフォーマンス」にも試乗することができた。シングルモーター・エクステンデッドレンジが200kWのモーターで後輪を駆動するのに対して、ツインモーター・パフォーマンスは前後あわせて2基のモーターにより4WDを構成。システム最高出力は315kW(428ps)、システム最大トルクは543Nmを誇る高性能ぶりで、0-100km/h加速は3.9秒、パフォーマンスAWDモードに切り替えれば3.6秒をマークする。 シングルモーター・エクステンデッドレンジが標準で245/45R19サイズのタイヤを装着するのに対して、ツインモーター・パフォーマンスは1インチアップの245/40R20を採用。さらにツインモーター化にともなう重量増とパワーアップに対応するため、シングルモーターよりもサスペンションが強化されたこのクルマは、そのぶん少し硬めの乗り心地を示すが、それでも十分な快適さを確保している。 加速については、通常の街乗りなどではリアモーターのみを使い、思いのほか扱いやすい一方、アクセルペダルを踏み込むとシングルモーター仕様とは別次元の、過激なほどの加速が味わえる。さらに、バッテリー残量が80%以上で、パフォーマンスAWDモードを起動すると、上半身がのけ反るほどの加速に襲われる。この性能を必要とする場面がどれほどあるかは疑問だが、ツインモーター・パフォーマンスが4WDを必要とする人や、とにかく最高のEX30がほしいという人を満足させるだけの実力を持つことは確かである。

TAG: #EX30 #コンパクトカー #ボルボ
TEXT:生方 聡
後輪駆動の「EX30」はボルボ史上もっとも運転が楽しいクルマかも! [ボルボEX30試乗記]

ボルボの最新コンパクトEV「EX30」から、まずはシングルモーターの後輪駆動仕様を、バルセロナの街中からハイウェイ、さらに、ワインディングロードで走らせた。 走り出す前に EX30を運転するための準備は簡単。センタースクリーンの下方にあるホルダーにカードキーを置き、ステアリングコラムの右にあるモードセレクターを操作すればいい。走り出す前にドアミラーを調節するが、専用のスイッチはなく、センタースクリーンの車両設定画面からミラー調節画面を呼び出し、左右を選んだらステアリングホイールの右にある矢印でミラーを動かすというやり方だ。スイッチひとつで操作ができないのもなんだが、ミラーがカクカク動くのが気になる。このあたりは、今後のアップデートで改良されるといいのだが。 一方、電動シートはシート横にある四角いスイッチひとつで簡単に調節できるのが便利。中央のスイッチを押してモードを切り替えればランバーサポートの調節も可能で、思いのほか使いやすかった。 もうひとつ、走行前に確認しておきたいのが“ワンペダルドライブ”。車両設定画面を開くと下段の中央にボタンが現れる。オンにすると回生ブレーキが利き、アクセルペダルの操作だけで車両を停止させることが可能になる。またこのモードではクリープが発生しない。一方、ワンペダルドライブをオフにするとアクセルオフで回生ブレーキは利かず、また、低速でのクリープ走行が可能になる。まずはワンペダルドライブをオンにして試乗することにする。

TAG: #EX30 #コンパクトカー #ボルボ
TEXT:生方 聡
「ボルボEX30」のインテリアはシンプルだけどこんなにユニーク! [ボルボEX30試乗記]

ボルボの最新コンパクトEV「EX30」にバルセロナで試乗。シンプルなデザインのインテリア、その使い勝手は? 操作は日本語でどうぞ! 国際試乗会の拠点となるバルセロナ空港の会場に着くと、簡単な説明のあとにカードキーが渡され、さっそく試乗に出かけることに。EX30のBピラーにある目印にカードキーを近づけるとクルマのロックが解除。今回は試すことができなかったが、EX30の発売後にはスマートフォンで解錠することも可能になるという。 ドアを開けて運転席に陣取ると、きわめてシンプルなコックピットに驚かされる。一番の特徴は、ドライバーの目の前にメーターパネルがないこと。ダッシュボードの中央に12.3インチのセンタースクリーンがひとつあるだけで、速度や走行モードといった必要な情報はセンタースクリーンの最上段に表示されるのだ。メーターパネルがあるのがあたりまえと思う私はこの状況に戸惑ったが、この日、同乗したテスラオーナーは、むしろこのほうが違和感がないというから、要は慣れの問題なのかもしれない。 センタースクリーンのまわりにスイッチ類はなく、基本的な操作はスクリーンをタッチして行うことになる。エアコンの調整や車両の設定など、多くの操作がサブメニューを呼び出す必要があるのが面倒だが、量産版ではある程度の操作が音声で可能になるはずだから、そのあたりは今後の進化に期待したいと思う。 ちなみに、EX30は他のボルボ同様、Androidベースのインフォテインメントシステムを搭載し、「Googleマップ」や「Googleアシスタント」による音声操作が利用可能。Googleマップを含め、インフォテインメントシステムはこのヨーロッパ仕様でも日本語表示が可能で、知らない土地をドライブする身にはとても心強かった。

TAG: #EX30 #ボルボ
TEXT:生方 聡
“ボルボ史上最も小さな電気自動車”「EX30」が日本を狙い撃ち!? [ボルボEX30試乗記]

“ボルボ史上最も小さな電気自動車”として、まもなく日本でもデリバリーが始まる「EX30」を、ひとあし早くスペインのバルセロナで試乗。まずはどんなクルマなのかを確認しておこう。 1,550mmの全高がうれしいコンパクトなEV 日本車、輸入車を問わず、国内で販売されているEVは、背の高いモデルが多い。バッテリーを搭載しやすいことやSUVブームもあって、SUVスタイルがもてはやされるのは理解できる。一方、日本で使うにはもう少しコンパクトで、多くの機械式駐車場に対応する1,550mm以下に全高を抑えてくれたら……と思うのは、きっと私だけではないだろう。 その点、“ボルボ史上最も小さな電気自動車”として日本での発売が迫る「EX30」は、SUVスタイルを採用しながらも、全高が1,550mmと低く、全長も4,235mmと短め。すでに日本で発売されている「C40リチャージ」や「XC40リチャージ」の高い完成度を考えると、EX30には期待が高まるばかりだった。そんな興味津々のEX30にひとあし先に試乗できるということで、10月中旬、夏の暑さが残るスペインのバルセロナに向かった。 試乗の拠点となったバルセロナ空港には、淡い青の“クラウドブルー”と、薄い灰色の“ヴァイパーグレー”のEX30が、整然と一列に並んで、われわれの到着を待ち構えていた。私自身は、オンラインのワールドプレミアでPCのモニター越しにその姿を確認済みだが、実車を見るのはこれが初めて。遠目でもはっきりとボルボとわかる特徴を備えている一方、これまでのボルボと比べてクルマっぽさが薄れ、モダンで上品に仕立てあげられたエクステリアがすぐに気に入ってしまった。最近の新型車は、前後に全幅いっぱいのLEDライトストリップを配置するのが流行だが、それとは異なる表現をしているのも、EX30のユニークなところだ。

TAG: #EX30 #コンパクトカー #ボルボ
TEXT:田中 誠司
テスラの売れ筋SUV「モデル Y」はライバルと比べてどうなの?[消費者派チェック]

モデルYはテスラの5番目の車種として、日本では2022年6月に注文受付を開始、納車は9月からだった。それからまだ1年しか経っていないが、一番街で見かけるテスラではないかと思うくらいにヒットしている。ライバルと比較しながらその要因を探った。今回の[TET消費者派チェック]の概要はこちら。リーフの回はこちら。アイオニック5の回はこちら。 乗る前に考えたこと 「餅は餅屋」という言い回しがある。誰かに何かを頼むにあたっては、その専門家を訪ねるのがベストだ、という格言だ。 もう15年近く前のこと、ロータス・エリーゼのシャシーをベースとした電気自動車「テスラ・ロードスター」を日本自動車研究所テストコース(高速周回路)に持ち込んだ時、思い出したのはまさにこの言葉だった。「自動車は自動車屋にまかせなさい」と。一般路を誰もが快適なペースで走らせる限りはそこそこ軽快でも、全開加速ではまるで小船のようにノーズが浮いてしまい、フロントタイヤの接地感のなさに恐怖を感じたことを覚えている。 けれども最近になって思うことは、「電気自動車は電気自動車屋に任せるのがいいのでは?」ということだ。毀誉褒貶あるテスラだが、なにしろ彼らはずっと電気自動車のことしか考えていない。そうだからこそ生まれ得た長所をアーリーアダプターが見出し、世界に名を轟かせる存在になったのだろう。 電費 車重がジャスト2トンとリーフよりも320kgも重いにもかかわらず、電費は80km/hが8.8km/kWh、100km/hが6.7km/kWhと、3台中最も良い値だった。前面投影面積も小さい方ではないので、Cd値(空気抵抗係数)がリーフより0.05、アイオニック5より0.09も良い0.23と最小であることが奏功しているはずだ。 パッケージング   パッケージングは、今回の3台の中では圧倒的に優れている。唯一、後席の膝前スペースだけアイオニック5(26cm、ホイールベース3,000mm)に及ばなかった(22cm、ホイールベース2,890mm)が、それはホイールベースの差によるところが大きいはずだ。ホイールベースの差が110mmあるのに対し、膝前スペースの差がわずか4cmにおさまっているのは立派だ。 荷室も854Lと圧倒的に大きい。そしてBEV専業メーカーらしく最初からエンジンのことを考える必要がないので、フランク(ボンネット下の荷室)も大きく深く、容量117Lを確保していて圧勝だ。 テスラのフランクは、最初からそのためのスペースを想定して設計されているように思える。取ってつけたような空間ではなく、とても使い勝手がいい。これはリヤエンジン車のポルシェ911に通じるところがあり、だからこそ顔つきもちょっとポルシェと似ているのではないか。車体全幅に対しちょっとグリーンハウスを絞ってスポーティーさを強調していることは、絶対的なスポーツカー・ブランドを見習った結果であるような気がする。 運転してわかったこと 外観からはそれほどがっしりした印象に思えないのだが、実際に乗ってみると各部品の建て付けや足回りの剛性感に優れていることを感じる。ボディの裏側を覗くと、他社と異なり、モーターを覆いサスペンションの付け根となっている前後のサブフレームは、巨大なアルミの鋳物でできている。コスト低減にも効果的だというこの機構が、車体剛性の面でも威力を発揮しているのだろう。 加速力もいわゆるファミリーカーの範疇を超える強烈さだが、コントロールしにくいと思わせる部分はなかった。 デザイン的には突飛とも思えるサイズのモニターに、多数の情報を高解像度で並べる。ドライバーの目の前には何も遮るものがない。最近になって多くの既存自動車メーカーは小さめのモニターを横にいくつか並べることに腐心しているが、最初からEV世代であるテスラはそうした既成概念から逃れられているのだろう。

TAG: #テスラ #モデルY #消費者派チェック
TEXT:烏山 大輔
カクカクデザインと大きなボディ、ヒョンデ「アイオニック5」はどんなクルマ?[TET消費者派チェック]

2022年5月に販売を開始したアイオニック5は、年末に「2022-2023インポートカーオブザイヤー受賞」と最高のスタートをきった。流行りのSUVスタイルではなくハッチバックなのに、モデルYよりも2cmほど背が高いという、マジックのようなボディを持つアイオニック5はどんなクルマなのだろうか。今回の[TET消費者派チェック]の概要はこちら。リーフの回はこちら。モデルYの回はこちら。 乗る前に考えたこと 13年ぶりに日本市場に参入し、Hyundaiの読み方もヒュンダイからヒョンデに変わった。取り扱い車種も大変革しICE(内燃機関)やHEV(ハイブリッド)、PHEV(プラグインハイブリッド)ではなく、BEV(電気自動車)とFCEV(燃料電池車)のみ、それぞれ「アイオニック5」と「ネッソ」の2車種でスタートした。 長らく日本から遠ざかっていたブランド、かつ完全なBEVとしての新型車のアイオニック5には、事前に全くイメージを持っていなかった。だからこそ特別な先入観もなく試乗に臨めた。 BEVのパイオニアたる日産・リーフとBEV専業メーカーのテスラ・モデルYとの対峙で、アイオニック5にはどんな特徴が見えてくるのかが楽しみだった。 電費 80km/h巡航ではわずか0.2だけモデルYにおよばす8.6km/kWhだった。100km/h巡航はモデルYと0.7差、リーフとも0.4の差をつけられ6.0km/kWhと最も悪い結果に終わった。速度が上がるともちろん電費は悪くなるのだが、車重が一番重い(2,100kg)こととCd値も最も大きい(0.32)ことがこの結果になった要因だと考えられる。 ※電費比較表:単位はkm/kWh、1kWhでどれほど走行できるか。数字が大きいほど電費が良い。 Cd値:リーフ 0.28、アイオニック5 0.32、モデルY 0.23 パッケージング アイオニック5だけを写真で見ると背が低めのハッチバックのように見えるのだが、実は全高は1,645mmとSUVのモデルYより21mm高い。ハッチバックのように見えるのは全幅と全高の比率からくるものだと考えられる。試しにリーフとその比率を比較してみると、下記のようにほぼ同値だ。 アイオニック5:1.148(全幅1,890÷全高1,645) リーフ:1.143(全幅1,790÷全高1,565) アイオニック5はこの全高を活かして、前後ヘッドクリアランスを確保した。後席膝前スペースに至っては、一番長いホイールベースのおかげで26cmと3台の中で最も余裕があった。 荷室は幅と奥行きがほぼスクエア、かつ土手(荷室とバンパーの高さの差)も2cmとわずかで荷物を載せやすい。一方、トノカバーまでの高さは36cmしかない。これは地面からバンパーまでの高さが77cmと一番高かったことも原因だ。フランク(ボンネット下の荷室)はボンネットを開けて、カバーを開ける2回の操作が必要だが、24L(RWDは57L)の容量が確保されている。 運転してわかったこと 今回試乗したグレードは、Lounge AWDとその名の通りAWD(全輪駆動)なので前後にモーターを搭載し、305ps/605Nmのパワーとトルクを発揮する。0-100km/h加速は5.2秒と十分な速さだ。特に発進加速では0-100km/h加速が3.7秒のモデルYと遜色ない瞬発力をみせる。そんなモデルYと決定的に違うのは、アイオニック5は快適な乗り心地を有していることだ。これまでのICE(内燃機関)からの乗り換えも全幅の大きさをのぞけば多くの人にお勧めできるBEVだと思う。

TAG: #アイオニック5 #ヒョンデ #消費者派チェック

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