コラム
share:

日本のEVは世界でどのぐらい売れてる? 販売動向の現在を探ってみた


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
TAG:

2025年の日本メーカーのEVシフト動向を調査

日本メーカーの2025年上半期の最新EV販売動向が判明しました。EVシフトで遅れているといわれている日本メーカーの立ち位置と下半期以降の注目EV動向を含めて解説します。

まず、トヨタの最新EVシフト動向を確認します。このグラフはBEVとPHEVの月間販売台数の変遷を示したものです。2022年5月からbZ4X(ハブボルト問題による長期販売停止によって実際の大規模納車開始は2022年10月以降)、2023年3月からbZ3、2025年3月からbZ3X、そして2025年6月からbZ5がそれぞれ発売され、販売台数が大きく伸びています。

トヨタのBEVとPHEVの月間販売台数のグラフ

他方で、2025年6月度のBEV販売台数は1万7014台と、前年同月比+23.7%の成長を実現しているものの、この1〜2年ほどの販売の伸びと比較すると鈍化しているように見えます。これは、bZ3Xの販売が伸びたもののbZ3の販売が低迷していることが要因でしょう。

さらに、トヨタのEVシフトで気になるのが、BEV販売台数がヨタの想定よりも順調ではないという点です。トヨタは年度初めにBEVやPHEVの年度販売台数予測を発表し、たとえば2023年度のBEV販売台数目標を、年度当初は20.2万台と予測。ところが年度途中から、その目標達成は不可能として12.3万台まで大幅に下方修正し、結局2023年度のBEV販売台数は11.66万台と、その大幅下方修正後の目標値にすら届いていなかったのです。

トヨタのBEVとPHEVの販売台数のグラフ

さらに2024年度のBEV販売台数目標を、年度当初は17.1万台と発表していたものの、2024年度第二四半期決算で16万台へと下方修正。そのうえ第三四半期決算内で14.2万台にさらに下方修正し、結局2024年度は14万4513台と、最新の下方修正後の目標値をギリギリ達成してきた格好です。

トヨタは、すでに2025年度のBEV販売目標をとして31万台という挑戦的な販売目標を提示しているものの、過去2〜3年のEVシフト達成率を踏まえると、目標達成を懸念せざるを得ないのです。

とはいえトヨタは2025年にEVのラインアップを大幅に拡充する予定です。まず、中国市場について、すでに3月中にbZ3Xの発売をスタートし、6月単体の販売台数は6030台と好調です。また、bZ5が6月から発売開始、2025年度末までに中大型セダンのbZ7も投入予定です。次に欧州市場では、新型bZ4XとともにCH-RのEVバージョンであるCH-R+、またスズキe VITARAの兄弟車となるアーバンクルーザーの発売を予定しています。さらに、欧州と東南アジア向けとしてタイでハイラックスのEVバージョンも生産予定ですし、レクサス2車種目のEVとして、ESのEVバージョンもグローバルに投入予定です。

トヨタが市場につ入予定のEVのティザー

次はEVのパイオニアである日産のEVシフト動向です。このグラフは日産のモデル別BEV販売台数と、新車販売全体に占めるBEVの販売シェア率の変遷を示したものです。日産は、2022年末にBEV販売シェア率が6%を突破するなど順調でしたが、2023年以降、EV販売シェア率は減少トレンドに。実際に2025年2月単体のシェア率は2.56%と最低水準のシェア率に留まってしまっていました。とくにアリアの販売台数が思ったほど伸びず、モデル末期のリーフの販売失速も重なったことが要因でしょう。

日産のBEV販売台数のグラフ

その一方で、現在日産でもっとも売れているEVがN7です。4月末にローンチしてから急速に販売台数を増加させ、最新データが判明している7月単体では6455台と絶好調です。8月は生産体制を増強して1万台の生産台数を計画するほどです。新車販売全体に占めるBEVシェア率も4.63%と、2023年1月以来となる高水準を記録しています。

とくにN7は、海外へ展開する方針も表明しながら、さらに欧州市場にはマイクラEVを投入。そしてグローバル全体では新型リーフも投入されます。もしかしたら2026年3月単体で、史上最高の10%近いBEVシェア率を達成するかもしれません。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
20万円も高かったのに20万円安くしか売れない! EVの将来はリセールバリューの向上努力にアリ!!
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
more
ニュース
ファッション&アウトドア好きにも刺さるEV! ヒョンデ「インスタークロス」が先行予約開始でいまなら秋キャンプにも間に合う
一充電走行可能距離はついに1000km超え! 日本でもっとも長く走れる新型EV「Audi A6 e-tron/S6 e-tron」シリーズが登場
走るために必要な電力は太陽光発電で自給する! ソーラーパネルを装備した3輪モビリティ「スリールオータ」の特別仕様車を限定30台発売
more
コラム
日本のEVは世界でどのぐらい売れてる? 販売動向の現在を探ってみた
EVの修理は町の修理工場でもできるの? そもそもエンジン車のように機関が不調になることがほぼない、が答えだった
三菱の新EVはピニンファリーナデザインの「モデルB」が濃厚! 自社製EVもあったのに台湾企業からのOEMを選んだ理由とは?
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択