これはまさに「走る小さな発電所」
かねてより開発中であった世界初のソーラーパネルで自車の走行電力を発電し、貯めることができる3輪モビリティが完成し、8月1日から全国30台限定で販売が開始された。
開発と販売を行なうのは東京都のEVジェネシスだ。三輪車の有用性に着目し、独自のセミオーダー方式で使用ユーザーに最適なモビリティの提案を行なっている同社だが、3輪モビリティ「スリールオータ」のルーフ部分に高効率なソーラーパネルを2枚搭載することで、太陽光による発電のみで30kmから40km程度を走行可能な車両の開発を行なってきた。
そしてこのほど完成を記念して、30台限定ながら特別な装備を施した特別仕様車の販売を開始した。
ソーラーパネル搭載型のスリールオータ特別仕様車には、先述の通り高効率ソーラーパネル2枚が装着されるほか、航続距離60kmのスタンダードモーター搭載リン酸鉄リチウムイオンバッテリーSサイズ、最大電力点追従制御装置の「MPPT」、貯めた電気を家電等に使用するための電配機能付きインバーター、スタンダード仕様のスリールオータではビニールタイプとなるドアがハードドアに変更されるなど、装備の充実化がなされている。
また、外装色はスタンダード仕様がホワイトだけなのに対し、ソーラーパネル搭載型特別仕様車は、ピンク、ペパーミント、ホワイト、バイオレットの全4色を設定した。
これだけの装備を有していながら、特別仕様車はスタンダード仕様の税抜き98万円に対し、実質12万円の追加だけに留まる税抜き115万円(モニター価格・通常は140万円)という意欲的な価格を実現した。
モニター価格との注釈はあるものの、自ら発電して走行し、貯めて外部へ給電することもできる、まさに「走る小さな発電所」たるソーラーパネル搭載型のスリールオータは、世界でも他に類を見ない3輪モビリティだから、メーカーもユーザーからのフィードバックに期待する部分があり、それが今後への試金石となることを見込んでいることだろう。
スリールオータは「側車付き軽二輪またはミニカー登録」となるから、車検はもちろん車庫証明も不要。年間の自動車税は3600円で、重量税も新規登録時にかかる,900円のみと、ランニングコストだけでなく維持コストも極めて少ない。
SDGsの観点からは自家発電型のモビリティはある種の究極系といえる。ソーラーパネル搭載型スリールオータが切り開いた新分野の発展に期待したい。