日本上陸間近のアイオニック5Nに乗った
2022年に日本に再上陸し、ネッソとアイオニック5を皮切りに、2023年下半期にはKONAの導入を開始した韓国自動車メーカーのヒョンデ。そんな同メーカーが、次に導入を控えているのが「N」の名が付くアイオニック5Nだ。そもそも「N」というブランドは、ヒョンデが参戦中のWRCなどにおける、モータースポーツの分野で培った要素や技術を、量産車に反映させている。BMWの「M」やメルセデス・ベンツの「AMG」のような立ち位置と考えてもらえると、イメージがわきやすいだろう。
今回試乗したアイオニック5Nは、「Nブランドとしては初となるBEVモデルで、ベースモデルより全高を20mm下げ、全幅は50mm拡大している。フロントに166kW、リヤには282kWのモーターを搭載し、システム最高出力は609馬力。さらに、ブーストモードが備わっているのも特徴で、使用時の最高出力は650馬力を発揮するため、じつに驚異のスペックの持ち主なのだ。
試乗会場は愛知県にあるスパ西浦モーターパーク。まずはノーマルモードで数周走行を行った。正直なところ、ノーマルでも十分すぎるくらい速い。“新世代の電動ホットハッチ”。そんなキャッチがふさわしいモデルであることを実感した。
だが、驚くのはまだ早い。なんとステアリングホイールの下にある「N」ボタンを押すことで、車内には勇ましいエンジンサウンドが響き渡り、キャラクターが激変したのだ。なぜBEVなのにサウンドが出るのか。その答えは「Nアクティブサウンド」と呼ばれるシステムによるもので、車内に6個、車外に2個のスピーカーが備わっており、そこから出た音だったのだ。せっかくのBEVなのにわざわざ音を出す必要があるのか。そんな意見があるかもしれないが、車内に響きわたるサウンドは極めて自然。好みはあるかもしれないけれど、間違いなく気分は上がる。
さらに、ステアリングにはパドルシフトが装着されているのだが、使用することでサウンドとともに変速を行ってくれる。これはサウンドと同様に、8速DCTをシミュレートしたシステムが搭載されているからで、その完成度の高さには驚きを隠せなかった。
結果、アイオニック5Nは、いままで試乗したBEVモデルとはまったくキャラクターが異なっている。BEVモデルの運転なんてつまらないと思っているドライバーの方にはぜひ一度試乗していただいて、アイオニック5Nの刺激的な走りを味わってみてほしいと思う。
なお、アイオニック5Nは、1月12日 (金)から開幕する東京オートサロンのヒョンデブースにも展示される予定。気になる方は、ヒョンデブースに足を運んでみてほしい!