インタビュー 記事一覧

インタビュー インタビュー
TEXT:小川フミオ
VW愛!デザイン責任者が語る「電気自動車時代に、わたしたちができること」

IAAモビリティ(ドイツ国際モーターショー)で注目を集めた「ID.GTIコンセプト」を手掛けたVWブランドのヘッド・オブ・デザインにインタビュー。 「GTIのファンのために、私たちは何が出来るかーー」 GTIファンだけでなく、フォルクスワーゲン・ファンだけでなく、世界中の自動車ファンが楽しみにしていること。それは、ひょっとしたら、「ID.GTI」の発売では? フォルクスワーゲン(VW)が、「ID.GTIコンセプト」を、2023年9月初旬のミュンヘンでの自動車ショー「IAAモビリティ」で発表したのは、既報のとおり。 「私たちは、まもなく電気自動車の時代に入ります。そのときに、GTIのファンをどうするか。そのひとたちのために、私たちは何が出来るかーー」 そう語るのは、VWブランドのヘッド・オブ・デザイン(デザインのトップ)を務めるアンドレアス・ミント氏だ。 さっとミント氏の経歴をおさらいすると、アウディ時代に数かずの”仕事”をしているのが目につく。「A1」「Q3」「Q8 e-tron」などはミント氏のチームが手がけたとされる。 1969年にドイツで生まれたミント氏は、数おおくのデザイナーを輩出しているプフォルツハイム大学デザインスクールを卒業。1996年にVWに入社したあと、ブランドをいくつも経験している。 ベントレーでは、スポーツカーというよりレースカーのような「ユノディエール Hunaudieres」(1999年)を手がけた業績で知られる。 そのあと、VWでは、精悍な顔つきが好ましかった「ゴルフ7」(2012年)を担当。 2023年1月に、VWにヘッド・オブ・デザインとして戻る前は、ベントレーのデザインディレクターとして、「ベントレー・バトゥア・バイ・マリナー Bentley Batur By Mulliner」を手がけた。 バトゥアは、じっさいはミント氏がVWに移ったあと、23年6月に正式発表されている。過去のヘリティッジにこだわりすぎた感のあったベントレー車のデザインにあたらしい風をどっと吹き込むような魅力的なスタイルのクーペだ。

TAG: #EV #ID.GTI #VW
TEXT:小川フミオ
「ボルボ史上もっとも小さな電気自動車」を上手に届けたい! ボルボ日本法人新社長インタビュー

より幅広い世代へボルボを浸透させるために、「EX30」を主にしたこれからのマーケティング施策を、不動奈緒美社長は柔らかく自信に満ちて語る。 海外ではスタンダードなサブスクリプションを広めて 日本の交通事情にマッチし、一般的な立体駐車場にも対応すると謳われる「ボルボ史上もっとも小さな電気自動車」であるボルボEX30。 都市型のボディサイズであり、それを武器に、従来以上に幅広い世代への浸透をはかりたいとされる。 ボルボ・カー・ジャパン株式会社の不動奈緒美代表取締役社長は、東京・青山の「Volvo Studio Tokyo」で、インタビューに応じて、EX30を主とした今後のマーケティング施策について語ってくれた。 −−EX30を対象にしたサブスクリプションサービスについて、改めてうかがいます。 「ヨーロッパでは、(サブスクは)スタンダードになっています。現金で買うのか、ローンなのか、リースなのか、あるいはサブスクリプションなのか。選べます。日本ではまだテストをいろいろ繰り返している段階ですので、今回EX30では台数を先に決めて導入することにしました。その先は今後の市場の反応などを見てから決めていくことになると思います」 −−EX30のサブスクのばあいは、月額9万5000円のクローズドエンド方式ですね。申込金とか頭金が不要で、かつ任意保険や諸費用が含まれているため、比較的若い層にも受けいれやすい方式かもしれません。 「2022年と23年初頭に、BEVのC40でサブスクリプションのキャンペーンを実施ずみで、市場の反応がとてもよかったため、EX30でも実施するはこびになりました。このさきも、段階的に考えていきたいと思います」 すべてのオーナーを大切にしていきます! −−むかしのボルボ車がいまも人気がありますよね。240シリーズとか700シリーズとか。昔のボルボ車が好きだというユーザーとは、これからどんなコミュニケーションをとっていきますか。 「私たちはこれからも、車種を限定せずに、ボルボのオーナーさんならどなたでも大事にします。ただ、入口として、若いかたがこれまで1980年代のボルボ車にご興味をもっていただいたとしたら、ぜひEX30を試してみていただきたいと思っています」 −−そのために、補助金をうまく受けられれば400万円台で買えるかもしれない価格設定と、サブスクなど新車購入の敷居を下げた販売方法を用意したということですね。 「EX30で私たちは、いままでボルボは知っていたけれど、乗る機会がなかったというかたに認知を拡げていこうと思っています。もちろん、ICEの生産は2030年まで続けますし、部品供給などのサービスはそのあとも継続します」 −−ボルボがいいのは、モデルごとに違う魅力をもっている点ですね。私は240の、リアシートの出来のよさに驚いています。いま乗ると、とくにびっくりするほど、作りがいい。まさに北欧のぜいたくな家具のようです。 「繰り返しになりますが、ボルボのオーナーはどなたも大切にしていきます。もし、いま古いボルボ車をお持ちで手放すのが惜しいと思っているかたがいらっしゃったら、2台目として、最新のボルボのアイディアが詰まったEX30、どうでしょうか。私たちとしてはできれば若いかたにたくさん乗っていただきたい。そういう点で今回のサブスクリプションはいい例なのかなと。モスイエローという車体色も、若々しくて魅力的だと思いませんか。男性にも女性にも乗りやすいので、これを機会にいちど試していただけたらって思います」 <了>

TAG: #EX30 #ボルボ #戦略
TEXT:小川フミオ
「2025年にBEVの新車販売比率を50パーセントに」EX30で切り開いていくボルボ・カー・ジャパン不動社長のビジョンとは

「達成、あるいは越えることも」とBEV販売拡大に自信を深める不動奈緒美社長の言葉を聞いた小川フミオは、その理由を問いかけていく。 日本によりフィットしたEX30への期待 2023年8月に、小型ピュアEV「ボルボEX30」を日本で発表した、ボルボ・カー・ジャパン。 「欧州での発表から、間を置かず日本でEX30を発表できることを嬉しく思います。これは、日本市場に対するボルボ本社の高い期待の表れです」 そうプレスリリースで述べているのが、23年8月にボルボ・カー・ジャパン株式会社の代表取締役に就任した不動奈緒美氏だ。 容量は69kwhの高効率なNMCバッテリーを搭載し、1充電あたりの航続距離は最大480キロ(欧州参考値)という、日本導入モデル。 最大充電電力量は153kWh。日本でこのスペックの充電器の数は限られているが、仮にこれで充電した場合、26分強で、10パーセントから80パーセントまで充電が可能という。 −−日本市場向けに、たとえばボディ外寸とか、本社がさまざまな協力をしてくれたというEX30ですが、海外でのじっさいの販売状況はどうでしょうか。 「(23年6月のミラノにおける)グローバルローンチから、北米でもプリオーダーをとっているのですけれども、すでに9,000台超えてるそうです。北米はあのサイズ(全長4,235mm、全幅1,835mm、全高1,550mm)だから(ちょっとコンパクトすぎて)そんなに売れないんじゃないかっていうのが予想でした。ところが、それに反して、すごく反応がよいんですね。もちろん、ヨーロッパも反応がよいです」 −−ボルボの目標は2025年までに、新車販売におけるBEVの比率を50パーセントにすることですね。 「チャレンジかもしれません。でもいまの様子をみていると、ひょっとしたら達成、あるいはそれを超えるかもしれないと思っています」 −−それは日本法人のがんばりしだいで(笑) 「はい(笑)。日本ではどんな需要があるのか。それを実際に検証するために、本国から担当者が来日して、確認しています。我々も前から立体駐車場の問題等も提起していましたので。今回のEX30は日本のニーズがぴったり合ったと思います。意外なことに日本だけではなく、さきほど申し上げたとおり、あの北米市場でもしっかりユーザーの心をつかまえたようですし」 ニーズをあげるために −−電気自動車の利便性など、BEVのニーズをあげるために取り組んでいくことを教えていただけますか。 「いろいろなところでデジタルによるサービスを増やしていくつもりです。オンラインとオフライン、さまざまなお客様に選択していただけるようにして、オファーやサービスを提供していきたいと考えています」 −−提供される充電環境はどうでしょうか。 「ボルボのネットワークは全国に100店舗以上あります。そのうち85パーセントの店舗で急速充電器が設置されています。さらに、今年の年末までには100パーセントになります。できるところから取り組んでいきます」 −−店舗の急速充電の出力は? 「ほとんどが50キロワットです。将来的には徐々にさらに高出力のものに変えていきたいと思っています」 <Vol.3へ続く>

TAG: #EX30 #ボルボ #戦略
TEXT:小川フミオ
「EX30」は日本市場への本気度が高い!BEVの販売戦略を、ボルボ・カー・ジャパン不動奈緒美代表取締役社長に訊く。

日本重視と位置づけられるボルボの新作EV、「EX30」。このモデルを機にはじまるボルボのEV拡販に対する積極攻勢について、この8月、代表取締役に就任したばかりの不動奈緒美社長に、小川フミオが聞き出していく。 コンパクト・ピュアEV、サブスクリプション…「いま」のキーワードを戦略に 400万円台で買えると話題のボルボEX30。ボルボ・カー・ジャパン株式会社の手によって、日本では2023年8月24日に発表され、11月中旬より販売開始予定という。 興味ぶかいのは、BEVとして開発されたEX30のボディ寸法。日本法人は本国に交渉して、市街地に多い機械式立体駐車場に対応するサイズに抑えてもらったそうだ。 もうひとつ、ボルボ・カー・ジャパンの”本気度”を表しているのが、23年10月2日により受付が開始されるサブスクリプション。 「車を“所有”せず“利用”したいというお客様へ、月額9万5000円(消費税込み)で利用いただける」(ボルボ・カー・ジャパン)サービス。 「申込金や頭金不要で、任意保険や諸費用が含まれ、契約期間は最長24カ月、利用者の都合に合わせ3カ月前の申し出でペナルティ無しで解約できる」(同)ことがメリットと謳われる。 EX90よりも、EX30を先行投入した理由 EX30を中心に、電気自動車の拡販に本腰を入れて取り組む、ボルボ・カー・ジャパンのビジョンとはなにか。 23年8月17日付けでボルボ・カー・ジャパンの代表取締役社長に就任した不動奈緒美氏に、EX30発表のタイミングに合わせて、一問一答のかたちでインタビューに答えてもらった。 −−一般論として新製品の市場導入にはつねに適切なタイミングが必要ですよね。今回のEX30では、導入のタイミングとして、なぜいまだったんでしょうか。 「ボルボ本社は、2025年までに、グローバル市場における新車販売の半分は電気自動車にするという目標を掲げています。いまは約10パーセントですけれども。そこで、EX30によって、その目標へと加速していきたいという気持ちがありました」 −−EX30はボルボにとってBEV拡販のための大きな武器であるということですね。 「はい。そもそも、世界的には、(2022年秋に発表された大型SUVである)EX90を先に市場に投入して、そのあとEX30という流れです。そこにあって、日本ではEX90じゃなくて、EX30を先に発表して市場に入れます。これが私たちの戦略だったんです」 −−あえて本国の決定を覆してしまったのですか。 「EX30のほうが(日本におけるボルボの)電動化をサポートしやすいと考えました。それで本国にお願いして、例外的に、EX30からの導入を認めてもらったんです。それと、なぜいまか、ということにお答えすると、時期としては出来るだけ早く入れたかったんです。ほかのマーケットよりかなり早い導入です。少なくともアジア諸国のなかで、日本がいちばん早いです」 −−日本市場においてBEVの販売を推進していくにあたって、どのような手応えを感じてらっしゃいますか。 「手応えは感じています。とくに、EX30の導入にあたり、いま述べたように、日本からのリクエストを本国が受け入れてくれて、(23年6月のミラノにおける)ワールドプレミアから2カ月で、早くも新車の発表にこぎつけることができたので、私たち、日本法人として、本国は我々に非常に真摯に向き合ってくれていることを感じています。これもひとつの大きな手応えです」 EX30発表を機に来日したコマーシャル部門責任者フランチェスコ・スペチアーレ氏(左)とインテリア部門責任者リサ・リーブス氏(右)ともにEX30の前にて撮影に応じるボルボ・カー・ジャパン代表取締役社長不動奈緒美氏。 不動奈緒美氏プロフィール ボルボ・カー・ジャパン代表取締役。 2021年5月にボルボ・カー・ジャパンに入社。デジタルトランスフォーメーションや顧客体験の向上を推進する。同社入社以前は、アクサ生命保険株式会社などの外資系企業で、事業開発、デジタルトランスフォーメーションを成功に導くなど豊富な経験と実績を持つ。ボルボ・カー・ジャパン初の女性の代表取締役。   <Vol.2へ続く>

TAG: #EX30 #ボルボ #戦略
TEXT:小川フミオ
シンプルすぎる? インテリアの秘密とは。新型EV「EX30」製品責任者が語る、ボルボのDX化

EX30のシンプルなインテリアへの驚きを、小川フミオはプロダクト責任者へ話す。ユーザーエクスペリエンスを第一に考えた、と応えるヘルマンソン氏の言葉には、クルマのDX化へのコンセプトが見える。 シンプルなインテリアにある新たな体験 ボルボ・カー・ジャパンが2023年8月24日に新型BEV「EX30」を日本で発表した。BEVとして開発された車両なので、さまざまな部分でデジタライゼーションが進んでいる。 そのうちのひとつが、ユーザーエクスペリエンス。EX30の特徴として、物理的なスイッチを極力減らして、ダッシュボード中央のモニターに多くの機能を集約している。 一見、あまりにもシンプルに見えるかもしれないが、じつは使うひとのことをより深く考えた結果のデザインなのだと、EX30のプロダクト全体の責任者であるヨアキム・ヘルマンソン氏は言う。 −−今回のEX30のインテリアデザインを初めて見たとき、あまりにもシンプルなのにびっくりしました。マーケットでも、ややシンプルすぎないかという批評はありませんか。 「UX(ユーザーエクスペリエンス)については、センターディスプレイにでてくる情報を必要なものが必要なときにだけ表れるというふうにしました。そのとき必要でないと思われる情報は表示しない。駐車場にいるときは、駐車のために車両をするにあたって必要な情報だけ。ハイウェイではハイウェイ、カントリーロードではカントリーロードを走行するときに必要な情報だけが出てくるようにしています」 −−ミラノでのEX30の発表会のとき、詳しく説明してもらったことがあります。画面がいくつかに分割されますね。トップにくる情報とか、もっとも大きくモニターに表示される情報とか。そこが興味ぶかかったです。 「必要なものだけに集中できるようにデザインしています。縦型のモニターのレイアウトを活かして、表示をいくつかに分けています。もっとも眼がいきやすいところに、その時点でもっとも重要と思われる情報を出します。もちろん、情報を見るだけでなく、オーナーは、アンペア数、最大充電レベル、充電を開始するタイミングなどをモニターで設定することもできます。使いやすさこそ重要だというのが、私たちの結論でした」 オーナーとクルマがつながる −−コネクティビティも強化しているのですね。 「アプリケーションを充実させて、EX30用に開発されたアプリケーションをダウンロードしてもらうことで、ユーザーがパーソナライゼーション、つまり自分仕様に仕立てやすいようにしています。発注の時点で、オーダーした車両にコネクトできるようになっているのです」 −−それはユニークな考えです。 「納車までにいろいろな仕様を整えることが出来ます。そして納車された時点で、クルマのセンターディスプレイにQRコードが表示されています。それを自分のスマートフォンでスキャンすれば、オーナーとクルマとがコネクトするのです。サードパーティのアプリケーションも、Google搭載の最新版のインフォテインメントシステムも使用できます。さらにオーバージエア(OTA)によるアップデートも可能です」 −−クルマを自分仕様に、というアイディアが最初から確立されているのが興味ぶかいです。ちなみにOTAでアップデートされるものは何でしょうか。 「インフォテイメント関連が中心ですが、なかにはアクティブセーフティのシステムも含まれてくると思います。あいにく現時点で詳細をお伝えすることはできません。どうぞ楽しみにしていてください」 <了>

TAG: #EX30 #SUV #ボルボ
TEXT:小川フミオ
「小さなボルボ」は本当に安全? プロダクト責任者が語るボルボ独自の取り組み

ボルボが長年培ってきた安全性を、コンパクトBEVの分野へどのように投じたのか。プロダクト責任者が語る小ささに込めた安全設計。 「安全のボルボ」を、コンパクトなBEVへ EX30とともに本社から来日した、ヨアキム・ヘルマンソン氏へのインタビュー第2弾。 2023年中に日本で発売される予定の、コンパクトサイズのバッテリー駆動のSUVであるEX30。日本でも大きな成功が期待されている。 そこで、開発の舞台裏を、プロダクト全体の責任者であるヘルマンソン氏に訊ねてみた。 −−ボルボがいかに安全性について長年の経験を謳っても、EX30と、大型SUVであるEX90は、どちらもBEVですから、従来のICE車とは違うむずかしさもあったのでは、と想像しました。 「そうです。たとえば、ボディはさまざまな高張力鋼板を使って、スチールケージ構造にしました。EX30には、従来のICEと違い、大型のバッテリーというあらたな“乗員”もいます。衝突においてはこれを守らなくてはなりません。最新のコンセプトに基づいてアルミニウムによるハニカム構造の、バッテリープロテクションも採用しています」 −−バッテリー搭載のシャシーと、ボディとは分離した設計が採用されていますか? たとえば、フォルクスワーゲンがいま使っているMEBプラットフォームのように、バッテリーを敷き詰めたシャシーのうえにキャビンを置くようなイメージのアーキテクチャーでしょうか。 「そうです。いわゆるプラットフォームというバッテリーを敷き詰めた部分と、キャビンを含めたボディとは分離したかたちの設計です。私たちはエレクトリックアーキテクチャーと呼んでいますが、いわゆるプラットフォームには、バッテリーとモーターを搭載しています」 行き交う人々へも。都市ならではのリスクを回避する −−安全性についてもういちど、教えてもらいたいことがあります。衝突時の安全性、いわゆるパッシブセーフティについて、そうとう研究を重ねた模様ですが、事故を回避するアクティブセーフティについてはどんなことを実現しましたか。 「EX30は全長4,235ミリしかない、小さなパッケージでありながら、ボルボ独自の安全基準を満たしています。とくにここで強調したいのは、都市部で走る際の安全機能です。たとえば、通行中の自転車や電動キックボードなど他の交通利用者の前でドアを開けようとすると、音と視覚で警告する『ドア・オープニング・アラート』をすべての前後左右のドアに搭載。最先端の技術により、都市部を走行する際の安全性を、さらに、次のレベルにまで引き上げています」 −−すりぬけ時に、歩行者をはじめ、自転車やバイクと接触事故が起きる、というのは、都市部でありがちな事故ですね。 「前方を他の車両が不意に横切った際、自動ブレーキで車を停止させ、衝突の回避や軽減をサポートする新たな機能が加わった「インターセクション・サポート」も搭載。ドライバーサポートの面では、DAC(ドライバー・アラート・コントロール)なる安全装備も搭載しました。ボルボ独自のアルゴリズムで作動する特別なセンサーを使い、 1 秒間に約 13 回、ドライバーの眼や顔の動きを検知し、注意散漫や眠気などが認められたばあい、それについて警告するのがDACです」 <Vol.3へ続く>

TAG: #EX30 #SUV #ボルボ
TEXT:曽宮 岳大
アイオニック5オーナー、ななみんさんにスマートハウスのコスパについて教えてもらった

ご自宅をスマートハウス化し、ヒョンデ アイオニック5を“動く蓄電池”として愛用されているななみんさん。前編では、そのお家を見せてもらったが、実際に住まわれて、どのようなメリットを感じ、コスパについてはどうなのかなど、気になる質問をぶつけてみた。ご本人いわく、「これで電力会社に依存することなく、安心して快適に過ごせる」と満足そう。詳しくうかがってみた。   電力フローの可視化により、楽しく節電 約10kW(システム容量9.5kW)の大容量な太陽光パネルを設置されたということですけど、具体的にはどれぐらい発電でき、電気代はどの程度セーブできたのでしょうか? 「季節によりますが、我が家の1ヶ月の電力消費量は600〜1,200kWh以上です。スマートハウス化してからは買電量が200kWh以下まで下がりました!特に今年の7月は猛暑にも関わらず買電電力量を100kWh未満に抑えられて感動しました。電気自動車の電力も太陽光で賄っているため、クルマの維持費がガソリン車と比較してかなり抑えられていますし、売電収入も入っています」 「買電に関して補足すると、東京電力は消費電力量に応じて第1段階、第2段階、第3段階と単価が上がっていくんです。スマートハウス化する前は、我が家は常に300kWh以上の第3段階の単価だったのですが、それが第2段階、あるいは第1段階まで下げられると、ポイ活のようにわくわく楽しくなりました」 世間一般的には電気代が上昇していますが、そういうニュースを見ても心が揺れなくなりましたか? 「以前は、今月の電気代はいくらだろう、もしかしたら10万円超えてしまうか、などと話をしていたんですけど、最近は落ち着いてニュースを見られるようになりました(笑)。やはり自給自足って大事だね、と。今後もし水道料金が高騰することになったとしたら井戸を掘ろうかとか。そんな冗談のような会話をしています(笑)」   電力会社に頼らない生活ですね。 「そうですね、天候に左右されるので、完全なオフグリッドまでは難しいとしても、なんちゃってオフグリッドというか、電力の自給自足をできる範囲の中で楽しく続けることが目標ですかね」   設備投資にも相当な費用がかかっていると想像しますが、どれぐらいの期間で元が取れそうでしょうか? 「太陽光パネル導入にかかる費用一式で、一般的に1kWあたり20万円以下だったら妥当な価格と考えて良いと思います。我が家の場合は太陽光パネルは足場の設置など含めた施工費やパワーコンディショナーなど含め、トータルで210万円ぐらい。V2Hは施工費含め160万円ぐらいでした。ただ、V2Hは工事費込みで半分ぐらい補助金が出ています。電気料金の減額分と売電収入などを計算すると約10年で元が取れ、それ以降はボーナスタイムです。なお、EVでなくてもクルマを購入すると費用が発生しますので、ここにクルマの費用は含んでいません」 費用面以外に、何かスマートハウスのメリットを感じていますか? 「災害があった場合の安心感も大きいと感じています。もし停電があったとしても、アイオニック5に蓄電しておけば数日は暮らせるだけの電力量がありますし、太陽が出てくれば昼間は勝手に発電してくれるので、スマホも家電も問題なく使えるでしょう。仮に停電しても電力が使えるという安心感は大きいですね。我が家はアクアリウムをやっていますし、年老いた猫さんも居て、電力が使えないと困るので。これはコスパでは測りきれないメリットだと思います」 「あとは私自身がガジェット好きなので、こうしてスマートフォンなどで、太陽光パネルの発電量や、消費電力量がリアルタイムで見られることにも魅力を感じています。例えば、コーヒーメーカーや電子レンジを動かすと、消費電力量が増えるのが瞬時に分かったり、電力のフローが可視化されるので、太陽の出ているうちに洗濯をしようとか、節電も楽しくできるんですよ」 >>>次ページ “自家消費率”を上げて賢くおトクに

TAG: #アイオニック5 #オーナーインタビュー #ヒョンデ
TEXT:小川フミオ
ボルボEX30がついに上陸!日本を意識したコンパクト・モデルへの思いをプロダクト責任者に訊く

ボルボEX30の発表にはスウェーデン本社からプロダクトに関わる人物たちが出席。様々な部門からインタビューをとおして、コンパクトBEVを創り上げたスカンジナビアン流儀を深掘りしていく。 日本重視のEX30 ボルボ・カー・ジャパンが2023年8月24日に新型BEV「EX30」を日本で発表した。 東京・青山の「Volvo Studio Tokyo」にジャーナリストを集めて行われた発表会には、スウェーデン本社からも重要な関係者が何人も出席。 ボルボ本社が日本市場をいかに重要視しているか。それが、開発やデザインやマーケティングといった部門で重要なポジションに就くひとたちの顔ぶれからも知れる気がした。 日本でまず発表されたのが、NMCバッテリー+シングルモーターで、最大480kmの航続距離を持つ中間グレード。「Ultra Single Motor Extended Range」などとも呼ばれる。 本国のラインナップでは加えて、やや性能は劣るが廉価のLFPバッテリー+シングルモーター(リアモーターで後輪駆動)の「市街地向け」仕様がその下に。 上には、315kW(428ps)のハイパワーを持つNMCバッテリー+ツインモーターによる全輪駆動仕様で、スポーツカーなみに静止から時速100kmまで3.6秒しかかからない高性能仕様もある。 ボルボ・カー・ジャパンによると、2023年の導入にあたっては、NMCバッテリーとシングルモーターの中間グレード(サブスクキャンペーン対象車でもある)のみ展開。 「追って、ほかのモデルの導入も計画しています」(広報担当者)とのこと。導入モデルを決定した背景は、「とりあえず日本でもっともニーズが高そうなスペックスなので」(同氏)と説明された。 標準的な機械式立体駐車場に対応するサイズに加え、ボルボ車に期待される安全性、サステナビリティ、最先端のテクノロジー、さらに、こだわりのスカンジナビアンデザインなどが、ボルボ・カー・ジャパンが挙げるEX30の特徴。 NMCバッテリーとシングルモーター車のベース価格は559万円。「プレミアムな電気自動車のSUVを、内燃エンジン搭載車両とほぼ同等の価格帯でご購入いただけます」(ボルボ・カー・ジャパン)とのこと。 じっさいに自治体の補助金を受けられれば、400万円台で購入できる可能性もあり、競争力の高いモデルといえる。 ヘルマンソン氏が語るコンパクト・ボルボへの哲学 冒頭で触れたとおり、EX30とともに本社から来日したひとりが、ヨアキム・ヘルマンソン氏。EX30プロダクト全体の責任者である。 「小さいことには大きな哲学があると私たちは信じています」とするのは、ボルボカーズのジム・ローワンCEO。 はたして、EX30には、どんな開発哲学が背景にあったのか、ヘルマンソン氏に、一問一答形式のインタビューで語ってもらった。 −−プロダクトの開発において、もっともたいへんだったのはどんなところですか。 「すぐに思いつくのは、安全設計です。EX30は、いちばん小さなボルボのSUVですが、これまでのプロダクトで重視してきた安全性を、ここでも、妥協せず最適化していくことに努力しました。小さいからといって、何かが簡単になるわけではないのです。なにしろボルボ車といえば安全性というイメージが強いので、それを裏切ってはいけません」 ヨアキム・ヘルマンソン(Joachim Hermannsson)プロフィール ボルボ・カーズEX30プロダクト全体責任者。ボルボでインテリア・ビジネス、製品定義など、複数分野でのマネージャーやマテリアル・エキスパートとして23年の経験を持つ。ボルボが手がけるEX30のプロダクト全体責任者として、技術面、デザイン、品質、コストを総合的に優れた製品へと導く役職を担っている。 <Vol.2へ続く>

TAG: #EX30 #SUV #ボルボ
TEXT:小川フミオ
「EタイプのインパクトをEVで再現したい」ジャガー・マネージング・ディレクターが語る電動化への姿勢

フォーミュラEから次世代ジャガーBEVを語ってきたグローバー氏は、ジャガーEタイプの存在を話しはじめる。それは、既存にとらわれない新しい価値観の創造だった、と。 Eタイプが示してくれたこと −−フォーミュラEの話から、2025年という新世代のジャガーBEVにまで話題が飛びました。つまり、ジャガーにとっての電動化をいうときに、活動はみな有機的につながっているのですね。あたらしいBEVの話をもうすこし聞かせてください。 「私たちは、他のコピーをしない、他とちがっていることを敢えて厭わない、という創業者のスピリットを大事にしながら、次世代車の開発に取り組んでいます。過去の例でいうと、やはり、1961年のジャガーEタイプです」 −−ジャガーの名声を不動のものにしたスポーツGTですね。 「このクルマが発表された時点で、世界中のひとは、それまで同じようなクルマを観たことがなかったはずです。あのカタチもコンセプトも、世のなかにそれまで存在していませんでした。それと同じようなインパクトを、新世代BEVで提供したいと私たちは意気込んでいます。過去をこのように振り返りながら、いままで存在しなかったクルマを未来に出す。これが私たちの考えなのです」 ジャガーを顧客とともに全く新しいものへ −−新世代のBEVはかなり上のマーケットを狙うものになると聞いていますが、どうなのでしょうか。 「なぜ、私たちがさらに上級マーケットへ移行しようとしているのか、ということですね。これまでセールスが好調だったジャガーの製品を振り返ってみると、そこに答えがあるのです。私たちがもっとも成功を収めた製品と同じようなところを狙うべきだというのが、私たちの結論なのです。これから、市場動向がどう変わっていくか、みていくと、生産台数をしぼって、高価格政策を採っていくのが、もっともジャガーというブランドにふさわしいと結論づけています」 −−高価格政策なのですね。 「おおざっぱですが、いまの2倍以上の価格です。高価格は、ジャガーというブランドにそぐわないものではありません。大事なことは、高価格の正当化です。そのために、いまのジャガーのプロダクトとはまったくちがったものを作らなくてはなりません。ほんとうにちがったプロダクトになるので、ユーザーエクスペリエンスとか、マーケティング戦略も、とうぜん、従来と同じというわけにはいきません」 −−具体的に教えてもらえるものがありますか。 「かんたんにいうと、顧客とダイレクトにつながりたいと考えています。オンライン販売の可能性もそのうちのひとつだし、逆にオンラインからオフラインへと、顧客が簡単に移れるようにするのも重要だと考えています。ブランドブティックを開くこともあるでしょうし、ポップアップにも取り組んでいきたいです。まだ計画段階ですが、かりにいうなら、ロンドンやパリや東京といった都市にブランドストアを直営で開き、顧客とのつながりをこれまで以上にしっかり持っていきたいと思っています。つまり、BEVを機会に、プロダクトを新開発するだけでなく、ジャガーをまったく新しいものにしたいのです。私たちは、既存の価値観にとらわれず、大胆で、恐れず新しいことを実行するブランドなのです。それをわかってくれるひとと価値観を共有したい思いです」 <了>

TAG: #EV #ジャガー #戦略
TEXT:小川フミオ
「フォーミュラEのおかげでI-PACEの航続距離が伸びました」マネージング・ディレクターが語るジャガーの電動化

フォーミュラEを傍らにして「私たちはこれからBEVのメーカーになる」と明言するグローバー氏に、小川フミオはジャガーの未来像を聞き出す。それは同社の電動化における存在価値への言及だった。 レースからロード、ロードからレース −−フォーミュラEでの活動は、ジャガーの未来と密接に関係しているということですね。 「フォーミュラEはよくご存知のとおり、完全なBEVのレースです。私たちはこれからBEVのメーカーになるので、相性がいいんです。いままで以上に結びつきを強めていくつもりです。いま、私たちがフォーミュラEの活動から得られるものはたくさんあると思っています。それを私たちは、”Race To Road”、レースカーからロードカーへ、と呼んでます」 −−興味ぶかいです。レースからロード、ロードからレースっていう、ジャガーのスローガンですね。 「たとえば、フォーミュラEマシンの技術を応用して、I-PACE(アイペース=ジャガーが2018年から作っているBEV)の航続距離を30マイル、延長することができました。なので、このレースはとてもいい結果をもたらしてくれているんです」 −−つまりフォーミュラEへの参戦は、技術的も、そしておそらくイメージ的にも、ジャガーにとっておおいにプラスになると。 「いまのところ、技術的な恩恵が大きいです。電動化することで、いままでより若い世代の興味を惹きつけることができると思っています。フォーミュラEが、そもそも、そういう側面を強くもったレースですし。なので、信じている方向へと進む先にあるのが、私たちにとって、よいかたちの未来なのです」 −−それと同時に、モータースポーツ活動における存在感ですね。たんにBEVのブランドでなく、レースでちゃんと速い、というのはイメージ的にも重要なはずです。 「そうです、モータースポーツで強い、という私たちの強みを知らしめていくことも、同時に重要です。これまで私たちが積みかさねてきたモータースポーツにおける栄光が、これからも目標になっています。ただしそれをサステナブルなやりかたで追求する。そこに、今後のジャガーの存在価値があります」 電動化における存在価値は、サー・ウイリアム・ライオンズが導いている −−プロダクションについての質問です。ジャガーはどうやって、電動化の時代に存在価値を高めていこうと考えていますか。 「ブランドはたいへん重要だし、守っていく価値のあるものだと理解しています。90年におよぶ、たいへん豊かな内容の歴史です。そもそもジャガーが大きく評価されたのは、世界でもっとも美しいクルマを作ったからです。ジャガーの前身であるSSカーズの創設者サー・ウイリアム・ライオンズは、こう言っています。ジャガーの名声は、既存のクルマのコピーでないところから発したのだと」 −−それはたいへん興味ぶかい発言だし、ジャガーがその言葉を少なくとも1960年代までは忠実に守ってきたのは、歴史を振り返るとよくわかります。 「そうなのです。それを守ってきたのです。というか、これからもういちど、創設者によるクルマづくりの精神を考え、ジャガーの最高の時代に立ちかえるべきだと考えています。ジャガーは、ほかと違っていることを厭わなかった。なにかをやるにしても、ほかのメーカーとは、違うようにやろうとしました」 <Vol.3へ続く>

TAG: #ジャガー #フォーミュラE #戦略

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コラム
爆速充電と超豪華な内装を引っ提げたミニバン「MEGA」が爆誕! 驚きの中身とひしめくライバルとの比較
テスラが日本で全車30万円一律値下げ! 補助金が制限されるもお買い得度ではモデルYが圧倒!!
イケイケだったテスラに何があった? イーロンマスクが1.5万人規模のリストラを発表!
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インタビュー
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
災害に強いクルマは「PHEV+SUV+4WD」! 特務機関NERVがアウトランダーPHEVを選ぶ当然の理由
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試乗
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
誰もが感じる「ポルシェに乗っている」という感覚! ポルシェはBEVでもやっぱりスポーツカーだった
佐川急便とASFが共同開発した軽商用EV「ASF2.0」に乗った! 走りは要改善も将来性を感じる中身
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イベント
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた
日産がフォーミュラE「Tokyo E-Prix」開催前スペシャルイベントを開催! 六本木ヒルズアリーナに1夜限りのサーキットが出現
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