ボルボEX30の発表にはスウェーデン本社からプロダクトに関わる人物たちが出席。様々な部門からインタビューをとおして、コンパクトBEVを創り上げたスカンジナビアン流儀を深掘りしていく。
日本重視のEX30
ボルボ・カー・ジャパンが2023年8月24日に新型BEV「EX30」を日本で発表した。
東京・青山の「Volvo Studio Tokyo」にジャーナリストを集めて行われた発表会には、スウェーデン本社からも重要な関係者が何人も出席。
ボルボ本社が日本市場をいかに重要視しているか。それが、開発やデザインやマーケティングといった部門で重要なポジションに就くひとたちの顔ぶれからも知れる気がした。
日本でまず発表されたのが、NMCバッテリー+シングルモーターで、最大480kmの航続距離を持つ中間グレード。「Ultra Single Motor Extended Range」などとも呼ばれる。
本国のラインナップでは加えて、やや性能は劣るが廉価のLFPバッテリー+シングルモーター(リアモーターで後輪駆動)の「市街地向け」仕様がその下に。
上には、315kW(428ps)のハイパワーを持つNMCバッテリー+ツインモーターによる全輪駆動仕様で、スポーツカーなみに静止から時速100kmまで3.6秒しかかからない高性能仕様もある。
ボルボ・カー・ジャパンによると、2023年の導入にあたっては、NMCバッテリーとシングルモーターの中間グレード(サブスクキャンペーン対象車でもある)のみ展開。
「追って、ほかのモデルの導入も計画しています」(広報担当者)とのこと。導入モデルを決定した背景は、「とりあえず日本でもっともニーズが高そうなスペックスなので」(同氏)と説明された。
標準的な機械式立体駐車場に対応するサイズに加え、ボルボ車に期待される安全性、サステナビリティ、最先端のテクノロジー、さらに、こだわりのスカンジナビアンデザインなどが、ボルボ・カー・ジャパンが挙げるEX30の特徴。
NMCバッテリーとシングルモーター車のベース価格は559万円。「プレミアムな電気自動車のSUVを、内燃エンジン搭載車両とほぼ同等の価格帯でご購入いただけます」(ボルボ・カー・ジャパン)とのこと。
じっさいに自治体の補助金を受けられれば、400万円台で購入できる可能性もあり、競争力の高いモデルといえる。
ヘルマンソン氏が語るコンパクト・ボルボへの哲学
冒頭で触れたとおり、EX30とともに本社から来日したひとりが、ヨアキム・ヘルマンソン氏。EX30プロダクト全体の責任者である。
「小さいことには大きな哲学があると私たちは信じています」とするのは、ボルボカーズのジム・ローワンCEO。
はたして、EX30には、どんな開発哲学が背景にあったのか、ヘルマンソン氏に、一問一答形式のインタビューで語ってもらった。
−−プロダクトの開発において、もっともたいへんだったのはどんなところですか。
「すぐに思いつくのは、安全設計です。EX30は、いちばん小さなボルボのSUVですが、これまでのプロダクトで重視してきた安全性を、ここでも、妥協せず最適化していくことに努力しました。小さいからといって、何かが簡単になるわけではないのです。なにしろボルボ車といえば安全性というイメージが強いので、それを裏切ってはいけません」
ヨアキム・ヘルマンソン(Joachim Hermannsson)プロフィール
ボルボ・カーズEX30プロダクト全体責任者。ボルボでインテリア・ビジネス、製品定義など、複数分野でのマネージャーやマテリアル・エキスパートとして23年の経験を持つ。ボルボが手がけるEX30のプロダクト全体責任者として、技術面、デザイン、品質、コストを総合的に優れた製品へと導く役職を担っている。
<Vol.2へ続く>