EX30のシンプルなインテリアへの驚きを、小川フミオはプロダクト責任者へ話す。ユーザーエクスペリエンスを第一に考えた、と応えるヘルマンソン氏の言葉には、クルマのDX化へのコンセプトが見える。
シンプルなインテリアにある新たな体験
ボルボ・カー・ジャパンが2023年8月24日に新型BEV「EX30」を日本で発表した。BEVとして開発された車両なので、さまざまな部分でデジタライゼーションが進んでいる。
そのうちのひとつが、ユーザーエクスペリエンス。EX30の特徴として、物理的なスイッチを極力減らして、ダッシュボード中央のモニターに多くの機能を集約している。
一見、あまりにもシンプルに見えるかもしれないが、じつは使うひとのことをより深く考えた結果のデザインなのだと、EX30のプロダクト全体の責任者であるヨアキム・ヘルマンソン氏は言う。
−−今回のEX30のインテリアデザインを初めて見たとき、あまりにもシンプルなのにびっくりしました。マーケットでも、ややシンプルすぎないかという批評はありませんか。
「UX(ユーザーエクスペリエンス)については、センターディスプレイにでてくる情報を必要なものが必要なときにだけ表れるというふうにしました。そのとき必要でないと思われる情報は表示しない。駐車場にいるときは、駐車のために車両をするにあたって必要な情報だけ。ハイウェイではハイウェイ、カントリーロードではカントリーロードを走行するときに必要な情報だけが出てくるようにしています」
−−ミラノでのEX30の発表会のとき、詳しく説明してもらったことがあります。画面がいくつかに分割されますね。トップにくる情報とか、もっとも大きくモニターに表示される情報とか。そこが興味ぶかかったです。
「必要なものだけに集中できるようにデザインしています。縦型のモニターのレイアウトを活かして、表示をいくつかに分けています。もっとも眼がいきやすいところに、その時点でもっとも重要と思われる情報を出します。もちろん、情報を見るだけでなく、オーナーは、アンペア数、最大充電レベル、充電を開始するタイミングなどをモニターで設定することもできます。使いやすさこそ重要だというのが、私たちの結論でした」
オーナーとクルマがつながる
−−コネクティビティも強化しているのですね。
「アプリケーションを充実させて、EX30用に開発されたアプリケーションをダウンロードしてもらうことで、ユーザーがパーソナライゼーション、つまり自分仕様に仕立てやすいようにしています。発注の時点で、オーダーした車両にコネクトできるようになっているのです」
−−それはユニークな考えです。
「納車までにいろいろな仕様を整えることが出来ます。そして納車された時点で、クルマのセンターディスプレイにQRコードが表示されています。それを自分のスマートフォンでスキャンすれば、オーナーとクルマとがコネクトするのです。サードパーティのアプリケーションも、Google搭載の最新版のインフォテインメントシステムも使用できます。さらにオーバージエア(OTA)によるアップデートも可能です」
−−クルマを自分仕様に、というアイディアが最初から確立されているのが興味ぶかいです。ちなみにOTAでアップデートされるものは何でしょうか。
「インフォテイメント関連が中心ですが、なかにはアクティブセーフティのシステムも含まれてくると思います。あいにく現時点で詳細をお伝えすることはできません。どうぞ楽しみにしていてください」
<了>