インタビュー
share:

「小さなボルボ」は本当に安全? プロダクト責任者が語るボルボ独自の取り組み


TEXT:小川フミオ PHOTO:ボルボ・カー・ジャパン、小河原 認
TAG:

ボルボが長年培ってきた安全性を、コンパクトBEVの分野へどのように投じたのか。プロダクト責任者が語る小ささに込めた安全設計。

「安全のボルボ」を、コンパクトなBEV

EX30とともに本社から来日した、ヨアキム・ヘルマンソン氏へのインタビュー第2弾。

2023年中に日本で発売される予定の、コンパクトサイズのバッテリー駆動のSUVであるEX30。日本でも大きな成功が期待されている。

そこで、開発の舞台裏を、プロダクト全体の責任者であるヘルマンソン氏に訊ねてみた。

−−ボルボがいかに安全性について長年の経験を謳っても、EX30と、大型SUVであるEX90は、どちらもBEVですから、従来のICE車とは違うむずかしさもあったのでは、と想像しました。

「そうです。たとえば、ボディはさまざまな高張力鋼板を使って、スチールケージ構造にしました。EX30には、従来のICEと違い、大型のバッテリーというあらたな“乗員”もいます。衝突においてはこれを守らなくてはなりません。最新のコンセプトに基づいてアルミニウムによるハニカム構造の、バッテリープロテクションも採用しています」

−−バッテリー搭載のシャシーと、ボディとは分離した設計が採用されていますか? たとえば、フォルクスワーゲンがいま使っているMEBプラットフォームのように、バッテリーを敷き詰めたシャシーのうえにキャビンを置くようなイメージのアーキテクチャーでしょうか。

「そうです。いわゆるプラットフォームというバッテリーを敷き詰めた部分と、キャビンを含めたボディとは分離したかたちの設計です。私たちはエレクトリックアーキテクチャーと呼んでいますが、いわゆるプラットフォームには、バッテリーとモーターを搭載しています」

行き交う人々へも。都市ならではのリスクを回避する

−−安全性についてもういちど、教えてもらいたいことがあります。衝突時の安全性、いわゆるパッシブセーフティについて、そうとう研究を重ねた模様ですが、事故を回避するアクティブセーフティについてはどんなことを実現しましたか。

「EX30は全長4,235ミリしかない、小さなパッケージでありながら、ボルボ独自の安全基準を満たしています。とくにここで強調したいのは、都市部で走る際の安全機能です。たとえば、通行中の自転車や電動キックボードなど他の交通利用者の前でドアを開けようとすると、音と視覚で警告する『ドア・オープニング・アラート』をすべての前後左右のドアに搭載。最先端の技術により、都市部を走行する際の安全性を、さらに、次のレベルにまで引き上げています」

−−すりぬけ時に、歩行者をはじめ、自転車やバイクと接触事故が起きる、というのは、都市部でありがちな事故ですね。

「前方を他の車両が不意に横切った際、自動ブレーキで車を停止させ、衝突の回避や軽減をサポートする新たな機能が加わった「インターセクション・サポート」も搭載。ドライバーサポートの面では、DAC(ドライバー・アラート・コントロール)なる安全装備も搭載しました。ボルボ独自のアルゴリズムで作動する特別なセンサーを使い、 1 秒間に約 13 回、ドライバーの眼や顔の動きを検知し、注意散漫や眠気などが認められたばあい、それについて警告するのがDACです」

<Vol.3へ続く>

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
more
ニュース
ヒョンデ新型EVは第4の刺客にして真打ち登場か? サイズも価格も軽EVを徹底的にマークした「インスター」
EVとしては使えなくなってもまだまだ再利用できる! 日産リーフのバッテリーを再利用したポータブル電源が「JIDAデザインミュージアムセレクションVol.26」に選定
ジープ初の電気自動車「アベンジャー」に限定色「レイク」をまとった100台の特別限定車が登場
more
コラム
「30分で80%」って聞いてたのに半分しか充電されない……は普通に起こりうる! EVの急速充電の真実とは
EVの先行きはわからないが気がつけば選び放題! いまの日本は輸入車だけで7ブランド136車種ものEVが買える!!
クルマの屋根をソーラーパネルにしたらタダでずっと走れるEVができるんじゃ……が現実的じゃない理由
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
EVのチューニングカーに新車とトピックが目白押し! 東京オートサロン2025を彩ったEVたちを一挙公開
東京オートサロンに現れた異色のアリアはなんと学生ひとりで作った力作! ここまで仕上がっててじつはまだ進化途中だったってマジか
免許を返納した高齢者も祖父母の手伝いに来た高校生の孫も乗れる! バッテリー交換式を採用したヤマハ「ディアパソン C580」が描く明るい未来
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択