試乗 記事一覧

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TEXT:生方 聡
「アリア」のデザインに見る電気自動車らしさ [日産アリア試乗記:その2]

EV専用プラットフォームを用いるアリアには、これまでのクルマとは異なるデザインが採り入れられている。アリアを魅力的に彩るエクステリアとインテリアとは? クリーンさが際だつエクステリア かぎられたサイズのボディに、広い室内空間の確保と大容量バッテリーの搭載を両立させるため、EVの多くが背の高いSUVスタイルを採用している。アリアもその一例であるが、さらにEV専用プラットフォームを採用することで、パッケージの効率を高めている。 エンジンに比べてコンパクトなモーターを搭載するEVのアリアは、フロントオーバーハングを切り詰めることで、広い居住空間を確保した。また、エンジンルームの冷却が不要になるため、フロントマスクからラジエターグリルが省かれ、代わりに“シールド”と呼ばれるブラックのパネルを手に入れた。 さらに、クーペのようなルーフラインや張りのあるボディパネル、くっきりと浮かび上がるウェストラインなどにより、アリアのエクステリアは力強い印象に仕上げられている。強い個性を放ちながらクリーンさが際だつアリアは、“日産の新しい扉を開く”のにまさにふさわしいデザインの持ち主といえる。 居心地の良い室内 アリアのインテリアも実に個性的だ。運転席に座り、まず目を奪われたのがダッシュボードを横切るブラックの木目調パネル。その中央部分には空調のスイッチが浮かび上がり、面白いなと思う反面、操作性はどうなのかと少し不安になる。しかし、運転席から見やすく、手が届きやすい位置にあるため、使いにくいのではないかという心配はすぐに解消された。 ドライバーの前には2つの大型ディスプレイが配置されるが、直線的ではなく、S字状に連結されているのがユニークだ。ダッシュボード中央部のタッチパネルがドライバーに近づくぶん、操作性に優れるのがうれしいところだ。 モダンですっきりとしたデザインやソフトパッドにステッチが施されたダッシュボードなどにより、アリアのコックピットは上質さが感じられるとともに、居心地の良い空間に仕上がっている。

TAG: #アリア #デザイン
TEXT:生方 聡
「アリア」が挑むのは電気自動車の激戦区 [日産アリア試乗記:その1]

日産のクロスオーバーEV「アリア」のなかから、エントリーグレードのB6 2WDに試乗。“日産の新しい扉を開く”アリアとは、どんなEVなのだろうか。 一番ホットな市場へ いまやその姿を見ない日はないというくらい、ポピュラーなEVが日産リーフ。2010年に初代モデルが発売され、2017年には現行型の2代目に進化。このリーフが日本のEVの普及と充電インフラ整備を牽引してきたことは、誰の目にも明らかだろう。 そんなリーフの10年にわたる経験をもとに、2020年7月、“新時代の100%電気自動車”としてワールドプレミアを果たしたのが、クロスオーバーEVのアリアである。全長4,595×全幅1,850×全高1,655mmのアリアは、いわゆる“Cセグメント”のSUVであり、トヨタbZ4Xやスバル・ソルテラといった日本勢に加えて、ボルボC40/XC40リチャージ、メルセデス・ベンツEQB、アウディQ4 e-tron、フォルクスワーゲンID.4などの輸入車勢など、いま最もホットな市場に戦いを挑むことになった。 EVの激戦区に打って出るにあたり、日産はEV専用のプラットフォームを開発。2,775mmの余裕あるホイールベースと切り詰めた前後オーバーハングにより、他のライバル同様、塊感のあるフォルムを手に入れている。

TAG: #アリア
TEXT:栁 蒼太
10代の大学自動車部員がエニカ(Anyca)でネッソ(NEXO)に乗ってみた! ─水素を追い求める一日─

EVに関して、ひときわ注目を浴びているヒョンデ。日本に導入されるのはFCEVの「NEXO(ネッソ)」とBEVの「IONIQ 5(アイオニック ファイブ)」の2機種だ。ネット広告や展示会などではBEVのアイオニック5に注目が集まっているが、ネッソはどうなのだろうか。これは簡単にいうと燃料電池車だ。おそらく燃料電池車といえばトヨタの「ミライ」(MIRAI)を思い浮かべる人がほとんどだろう。ヒョンデが生み出した燃料電池車は、いかほどの実力なのか。自動車部所属の現役大学生が実際に使ってみた模様を報告したい。 いきなり、冷や汗。WLTCモードで820kmのはずが… 「水素タンクは3本で計156.6Lの容量を持ち、WLTCモードでの航続距離は820km」 乗車前にこの情報をみた時には、どこまででも行けそうな気がした。そして、竹芝の引き取り場所から文京区にいる友人を拾い、千葉は銚子を目指す片道140kmのドライブ計画を練っていた。 しかし、思ってもいないスタートとなった。いざ借り始めると、水素残量が半分を切るか切らないかのところで使用開始となった(ちなみにエニカのルールでは、水素残量が半分以上で返却することが決められている)。この時点で航続距離は222km。残量表示では50%弱だった。実用状態により近いといわれるEPA値ではおよそ600km弱であることを踏まえると納得だが、それにしても残量が少ないことへの不安がよぎった。 水素を求めるドライブに急遽変更 水素を補給しないと銚子までもたない!と思った筆者。さすがに、日本の首都である東京なのだから水素ステーションなんて山のようにあるだろうと思って、検索をする。近くに「イワタニ水素ステーション芝公園」があるのを見つけ、ナビの経由地点に設定した。 しかし、そのステーションは工事をしており、ナビが案内してくれた道順で行くと、入ることができなかった(正確には「出来た」が、筆者がその入り口を見つけることが出来なかった。なお、同施設は、帰路の際に充填で利用した)。 そのステーションは諦め、文京区で待ち合わせをしている友人に、銚子までの道のりで水素を補給できる場所を探しておいてほしい!とお願いして、ひとまず文京区まで向かう。 そして友人を拾って、彼が探しておいてくれた「千住水素ステーション」に向かう。今度こそ安心して、水素をゲットすることができると胸を撫で下ろしていた。 ところが、またも予期していないことが発生。「予約制」だったのだ。担当の方が現地にいたので、予約なしでも入れることができないかとダメもとで聞いてみると、予約がいっぱいで利用できないと言われてしまった。 この時点で航続距離は170km。銚子までの道のりのどこかに、水素ステーションはあるだろう、とは思ったものの、未知の乗り物「燃料電池車」で旅路を進めるのには不安が募った。次こそは、「予約なし」の飛び込み来店でも受け入れてくれる場所を探さなければならないと、友人と筆者は必死に探した。念入りに電話をして、確認もした。 そして、見つけたのは約40km先の「ENEOS Dr.Driveセルフ武石インター店」だった。 無事到着し、藁をもすがる思いで水素充填をスタッフにお願いする。店名に「セルフ」が入っているが、水素充填はセルフではなく、スタッフが行ってくれる。水素が漏れ出していないかを計測器で確認しながら、充填をしていた。 これで安心。充填には、充填準備を含めて5分ほどかかった。その間にスタッフと話をした。スタッフ曰く、ステーションには毎日3、4台の燃料電池車が充填に来店し、ほとんどがトヨタ・ミライであり、ネッソは月に1度来るか来ないかだそうだ。 記念すべき、月に1台になれたのかと思うと嬉しくなったが、ネッソがまだあまり普及していないのだということも痛感した。 気になる充填料金は? 取材当時(2023年2月16日)における水素料金は1210円/kgであった。今回の充填では4kgの充填のため、4840円がかかった。なお、支払いは、車載されているカードにて行うため、ドライバーの負担はしなくて良い(エニカのオフィシャルカーを利用すると、距離料金として1km当たりの金額を支払う必要がある)。なお、水素タンクの総容量は156.6Lで、ここに70MPaの圧縮水素を蓄えることができる。0から満タンにするには、1万円ほどはかかるだろう。

TAG: #エニカ #ネッソ
TEXT:生方 聡
GTの名に恥じないスポーティな走りに興奮 [アウディe-tron GTクワトロ試乗記:その4]

e-tron GTクワトロの走りをチェック。ポルシェとアウディが誇るスポーツカーの遺伝子は、e-tron GTクワトロにもしっかりと受け継がれている。 スポーティなハンドリングはポルシェ譲り e-tron GTクワトロには自動的にダンパーの減衰力を調節するダンピングコントロールサスペンションが標準で装着されている。タイヤは、発売当初は前225/R19、後275/45R19が標準で、試乗車にはメーカーオプションの前245/45R20、後285/40R20が装着されているが、最新の仕様ではこの20インチが標準となった。 その乗り心地は少し硬めとはいえ、ラグジュアリーサルーンを名乗れるほどの快適さを誇っている。走行時の安定感も高く、高速ではグランツーリスモにふさわしいフラットライドと直進安定性を見せつける。目地段差を超えたときのショックのいなしも絶妙で、これなら数百キロのロングドライブも苦にならないだろう。 しかもこのe-tron GTクワトロは、コーナーも楽しい。ポルシェ・タイカンに比べると少し穏やかだが、それでもハンドリングは実にスポーティで、ステアリング操作にあわせて素早く向きを変え、狙いどおりのラインがトレースできる。コーナーでの安定感も高いうえに、出口に向かってアクセルペダルを踏んでいく際も、4本のタイヤがしっかりと路面を捉え、EVになってアウディのクワトロはさらに魅力を増している。

TAG: #e-tron #e-tron GT
TEXT:生方 聡
高性能を手懐けるクワトロの威力 [アウディe-tron GTクワトロ試乗記:その3]

前後2基の電気モーターにより、システム最高出力390kW、システム最大トルク640Nmを発揮するe-tron GTクワトロの加速を体験する。 踏み方次第で羊にも狼にも e-tron GTクワトロには前後1基ずつ交流同期モーターが搭載されている。最高出力はフロントモーターが175kW(238ps)、リアモーターが320kW(435ps)。システム総出力は350kW(476ps)に達し、さらにローンチコントロール使用する際のブースト時には2.5秒間だけ390kW(530ps)を発揮する。トランスミッションはフロントアクスルが1速固定であるのに対して、リアアクスルは2速。通常は2速ギアを使うが、前述のブースト時には1速を用いることで0-100km/hを4.1秒で加速して見せるのだ。 今回の試乗ではブースト時の加速を試す機会はなかったが、e-tron GTクワトロの実力は十分知ることができた。このクルマには「efficiency」「comfort」「dynamic」の3つの走行モードがあらかじめ用意されており、まずはcomfortで走り出すことにする。 センターコンソールのギアセレクターでDレンジを選び、ブレーキペダルから足を離すと、e-tron GTクワトロはゆっくりとクリープ走行を始める。ここから浅めにアクセルペダルを踏むだけで、2,290kgのボディは軽々とスピードを上げていく。その感覚は4L V8を扱うような頼もしさで、しかもEVだけに静かにスムーズに加速するのが実に爽快。走り出したあとの加速も余裕たっぷりで、アクセルペダルを穏やかに操作するかぎりはラグジュアリーサルーン顔負けの心地よさである。 一方、高速道路への流入や追い越しの場面でアクセルペダルを深く踏み込めば、e-tron GTクワトロはその本領を発揮し、鋭い加速を見せてくれる。2基のモーターによる電動“クワトロ”のおかげで、通常時でも最大630Nmに達するシステムトルクを4輪でしっかりと受け止め、安定しきったままスピードを上げていく。涼しい顔で高性能を手懐けられるのがクワトロの伝統である。

TAG: #e-tron #e-tron GT
TEXT:生方 聡
ポルシェ・タイカンとはどこが違う? [アウディe-tron GTクワトロ試乗記:その2]

ポルシェ・タイカンと共通のプラットフォームを採用するe-tron GTだが、エクステリアもインテリアも、アウディらしさに溢れている。 ひとめでアウディとわかるエクステリア 「タイカンとプラットフォームが共通」と聞くと、つい同車との共通点を探してしまうが、エクステリアを眺めるかぎり、e-tron GTは紛う方ないアウディである。アウディのシンボルであるシングルフレームグリルは、e-tron GT用に開口部が少ないデザインにアレンジされ、エンジン車とは明らかに異なる表情を見せている。 4ドアクーペを名乗るe-tron GTでは、窓枠のないサッシュレスドアを採用。低く流れるようなルーフラインや6ライトキャビン、さらに前後のブリスターフェンダーがサイドビューを特徴づける。最新のアウディに共通するブリスターフェンダーは、アウディの代名詞である「クワトロ」の起源である伝説の「アウディ・クワトロ」(“ビッグクワトロ”、“オリジナルクワトロ”とも呼ばれる)のイメージを受け継ぐものだ 面白いのが、試乗車にはメーカーオプションの「タングステンカーバイドコーティング」ブレーキディスクが装着されていること。ブレーキダストが少ないうえに、錆が発生しないため、油圧ブレーキをあまり使用しないEVには打ってつけのアイテムといえる。 ユーザーフレンドリーなコックピット ドアを開けて運転席を覗くと、レザーではなくファブリックのスポーツシートが目に入る。環境を考慮してレザーフリー化に取り組むブランドが増えているが、アウディも例に漏れない。メーカーオプションの「レザーフリーパッケージ」が選択された試乗車には、リサイクルペットボトルからつくられた素材の「カスケード」でシートが覆われ、さらに、マイクロファイバー素材「ダイナミカ」が施されたメーターナセル、アルカンターラのステアリングホイールなどがコックピットを彩っている。ドア内側の上の部分に触れると、見た目と違ってカサカサした感触があるが、シートやステアリングホイールの触感に違和感はない。 コックピットは開放感がある一方、やや高めのセンターコンソールや、ドライバーに傾けられたダッシュパネルなどにより、運転席には適度なタイトさも感じられる。バーチャルコックピットと呼ばれるフルデジタルメーターや、ダッシュボード中央のタッチパネルなどは、デジタル化された最新のアウディに乗る人にとっては見慣れた眺めだ。その一方で、エアコンの調整パネルに物理スイッチを残すことで、直感的かつ素早く操作できるのがうれしく、こうした細かい配慮がアウディらしいところである。

TAG: #e-tron #e-tron GT
TEXT:生方 聡
最高出力390kW! 「アウディe-tron GTクワトロ」ってどんなEV? [アウディe-tron GTクワトロ試乗記:その1]

その名前が示すとおり、アウディがEVの時代を切り拓くために送り込んだGT(グランツーリスモ)がアウディe-tron GTである。ポルシェのDNAを持つこのクルマにはどんな特徴があるのか、まずはそのあたりから探っていこう。 e-tronは三車三様 プレミアムEVブランドナンバーワンを目指すアウディには、現時点で3モデルの「e-tron」、すなわち、EVが用意されている。ラグジュアリーSUVタイプのアウディe-tron/e-tronスポーツバック、コンパクトSUVタイプのQ4 e-tron/Q4スポーツバックe-tron、そして、4ドアクーペのe-tron GTだ。 面白いのが、この3モデルの成り立ちがすべて異なっていること。具体的には、アウディe-tron/e-tronスポーツバックは、同社の主力モデルのA4などにも使われている「MLB evo」プラットフォームを用いる生粋のアウディである。ちなみにアウディe-tron/e-tronスポーツバックは、マイナーチェンジを機にQ8 e-tron/Q8スポーツバックe-tronにモデル名が変更されている。今年中には日本にも導入される予定だ。 一方、Q4 e-tron/Q4スポーツバックe-tronは、フォルクスワーゲングループがEV向けに専用開発した「MEB」プラットフォームを採用。フォルクスワーゲンID.4と基本設計を共有しているのは、ご存じのとおりだ。 これに対して、e-tron GTはポルシェ・タイカンと同じJ1パフォーマンス・プラットフォームをベースとしている。911や718ケイマン/ボクスターといった2ドアモデルはいうまでもなく、マカンやカイエン、パナメーラ、そしてタイカンにいたるまで、全モデルを“スポーツカー”と位置づけるポルシェが手がけたプラットフォームだけに、e-tron GTの走りにおのずと期待が高まってしまうのは、私だけではないだろう。

TAG: #e-tron #e-tron GT
TEXT:生方 聡
[ボルボC40/XC40 Recharge試乗記]EVブランドへと向かうボルボの先鋒 その4 1モーターか2モーターか

気軽に乗れる1モーター スポーツカー顔負けのパフォーマンスを示すC40リチャージ・ツインモーターに対して、XC40リチャージ・シングルモーターは動きが軽い印象。モーターの最大トルクはツインモーターの半分だが、モーター1基ぶんとバッテリー容量を減らしたおかげで車両重量は150kg軽く、発進から余裕ある加速を見せてくれる。ツインモーターの痛快さはないが、どんな場面でもその速さに不満を覚えることはなかった。 加速だけでなく減速の印象もツインモーターとは異なる。ツインモーターの場合、One Pedal Driveがオンの状態でアクセルペダルから足を離すと強めに回生ブレーキが効くが、シングルモーターでは効きが穏やかになり、多くの人が、こちらのほうが扱いやすいと感じるだろう。ツインモーターと比べると、シングルモーターの乗り心地はマイルドで、快適性ではシングルモーターに軍配が上がりそうだ。 ただ、シングルモーターは前輪駆動ということもあり、フル加速時にステアリングが乱されることがあった。その点、ツインモーターは、4WDならではの高い接地感が確保され、さらに加減速時の安定感、フル加速時の高いトラクション性能など、ダイナミックな性能の高さは実に魅力的。私が選ぶなら、C40リチャージ、XC40リチャージともに、100万円高いツインモーターかなと思うし、その中身を考えればC40リチャージ・ツインモーターの759万円、XC40リチャージ・ツインモーターの739万円は十分に納得がいく価格といえる。

TAG: #C40 #XC40 #ボルボ #生方 聡
TEXT:生方 聡
[ボルボC40/XC40 Recharge試乗記]EVブランドへと向かうボルボの先鋒 その3 EVらしさを前面に

300kWの鋭い加速 まずはパワフルな走りが自慢のC40リチャージ・ツインモーターを試す。運転席に収まり、システムの始動ボタンを探すがどこにも見当たらない。それもそのはずで、いまどきのEVらしく、システム始動の儀式は不要で、リモコンキーが車内にあれば、あとはシートに座り、ブレーキを踏みながらシフトレバーを操作すれば、発進の準備は完了するのだ。ちなみに、フォルクスワーゲンID.4でも同様に準備は整うが、始動ボタンは見えにくい場所に備わっている。 さっそくDレンジを選んで走り出したいところだが、その前にひとつ確認しておきたいことあがる。C40/XC40リチャージでは、走行中にアクセルペダルを離したときの動きを、ドライビング設定で選ぶことができるのだ。「One Pedal Drive」の項目をオンにすれば、アクセルペダルを離したときに強めの回生ブレーキが効き、最終的にはクルマが完全停止する、いわゆる“ワンペダルドライブ”が利用可能になる。一方、One Pedal Driveをオフにすれば、アクセルペダルを離したときに回生ブレーキが効かない惰力走行になる。ワンペダルドライブが無効のときには、ブレーキペダルから足を離したときにゆっくりと動くクリープがあるので、車庫入れなどではこのモードが使いやすい。 とりあえずOne Pedal Driveをオンにして走り出すことにする。アクセルペダルを軽く踏むだけで、C40リチャージ・ツインモーターは力強く発進。カタログを見ると、前後モーターともに最大トルクの330Nmを0〜4,350rpmで発揮するとあり、動き出しの力強さはまさにEVの醍醐味といえるものだ。クルマが動き出したあとも、アクセルを軽く操作するだけで意のままに速度を上げてくれるだけに、ストレス知らずのドライブが楽しめる。

TAG: #C40 #XC40 #ボルボ #生方 聡
TEXT:生方 聡
[ボルボC40/XC40 Recharge試乗記]EVブランドへと向かうボルボの先鋒 その2 Googleを味方につけて

クールなフロントマスクがEVの証 C40リチャージとXC40リチャージは、4,440mmの全長、1,875mmの全幅、2,700mmのホイールベースがすべて共通。一方、全高はXC40リチャージが1,650mmであるのに対して、低くルーフラインが特徴のC40リチャージは55mm低い1,595mmとなる。リアのデザインも大きく異なり、スポーツモデルをイメージさせるC40リチャージのリアエンドを見ると心が躍る。 これに対して、フロントエンドのデザインは、C40リチャージとXC40リチャージで共通のイメージだ。フロントグリルにボディ同色のカバーが施されたことで、他のボルボとは異なるクールな印象を強めている。 レザーフリーを実現したインテリア C40/XC40リチャージのインテリアは、基本的にはガソリンモデルのXC40を受け継いでいて、プレミアムコンパクトSUVと呼ぶにふさわしい心地よい仕上がり。一方、ガソリンモデルと異なるのがダッシュボードとフロントドアの装飾パネル。等高線をイメージした模様の黒いパネルは、照明が灯るとバックライトで絵柄が浮き上がってくる凝ったデザインなのだ。 驚いたのはC40/XC40リチャージのインテリアには環境対策に配慮した結果、一切レザーが使われていないこと。ステアリングホイールの手触りはレザーそのものに思えるのだが、実際には人工皮革が使われているという。もちろんシートにもレザーは使われていない。ボルボが“レザーフリー”を採り入れるのはこのC40/XC40リチャージが初めてだが、その試みは成功といえる。

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