ポルシェ・タイカンと共通のプラットフォームを採用するe-tron GTだが、エクステリアもインテリアも、アウディらしさに溢れている。
ひとめでアウディとわかるエクステリア
「タイカンとプラットフォームが共通」と聞くと、つい同車との共通点を探してしまうが、エクステリアを眺めるかぎり、e-tron GTは紛う方ないアウディである。アウディのシンボルであるシングルフレームグリルは、e-tron GT用に開口部が少ないデザインにアレンジされ、エンジン車とは明らかに異なる表情を見せている。
4ドアクーペを名乗るe-tron GTでは、窓枠のないサッシュレスドアを採用。低く流れるようなルーフラインや6ライトキャビン、さらに前後のブリスターフェンダーがサイドビューを特徴づける。最新のアウディに共通するブリスターフェンダーは、アウディの代名詞である「クワトロ」の起源である伝説の「アウディ・クワトロ」(“ビッグクワトロ”、“オリジナルクワトロ”とも呼ばれる)のイメージを受け継ぐものだ
面白いのが、試乗車にはメーカーオプションの「タングステンカーバイドコーティング」ブレーキディスクが装着されていること。ブレーキダストが少ないうえに、錆が発生しないため、油圧ブレーキをあまり使用しないEVには打ってつけのアイテムといえる。
ユーザーフレンドリーなコックピット
ドアを開けて運転席を覗くと、レザーではなくファブリックのスポーツシートが目に入る。環境を考慮してレザーフリー化に取り組むブランドが増えているが、アウディも例に漏れない。メーカーオプションの「レザーフリーパッケージ」が選択された試乗車には、リサイクルペットボトルからつくられた素材の「カスケード」でシートが覆われ、さらに、マイクロファイバー素材「ダイナミカ」が施されたメーターナセル、アルカンターラのステアリングホイールなどがコックピットを彩っている。ドア内側の上の部分に触れると、見た目と違ってカサカサした感触があるが、シートやステアリングホイールの触感に違和感はない。
コックピットは開放感がある一方、やや高めのセンターコンソールや、ドライバーに傾けられたダッシュパネルなどにより、運転席には適度なタイトさも感じられる。バーチャルコックピットと呼ばれるフルデジタルメーターや、ダッシュボード中央のタッチパネルなどは、デジタル化された最新のアウディに乗る人にとっては見慣れた眺めだ。その一方で、エアコンの調整パネルに物理スイッチを残すことで、直感的かつ素早く操作できるのがうれしく、こうした細かい配慮がアウディらしいところである。