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BYDが発表した新技術の中身
EVを生産するBYDという中国企業をご存じだろうか。自動車メーカーとしての歩みはまだ20年、企業としても創業30年と歴史の浅いメーカーで、2次電池(携帯電話用)の生産で起業している。
現在の業務内容は自動車(EV、PHV)、バッテリー(2次電池)、エレクトロニック(スマートフォンなどの電子機器)などの生産、エネルギー産業(太陽光発電、蓄電システム)、鉄道輸送(モノレール、地下鉄)などを手掛けている。ちなみに社名のBYDは「Build Your Dream」の頭文字をとったもので、近未来に向かっての歩みを意味している。
こうした業務内容のなかで、自動車については新エネルギー車にカテゴリーわけされるEVとPHVの生産を行っている。とくに将来への可能性を大きく秘めたEVの開発、普及に関しては積極的な取り組み姿勢を見せている。そのBYD社、2025年3月に「スーパーeプラットフォーム」と名付けられた新たな充電システムを開発、発表している。
このシステム、「プラットフォーム」の名が示すように、なにかのベース、土台となる技術であることが推察できる。問題は、その前にある「スーパーe」の意味するものだが、技術の内容から考えると超急速充電システムと理解してよいだろう。メーカーの表現を借りると「油電同速」ということで、充電時間とガソリン(液体燃料)の補給時間が同じ(になる)ことを意味している。
環境性能に関しては文句なく優れるEVだが、充電設備、充電時間などが大きな問題として取り組まれてきた。解決するには、数多くの充電スタンド、短時間での充電が必要になるわけで、これが可能になれば内燃機関車(ガソリン、ディーゼル)と同等の実用性を得ることができる、というユーザーニーズに対する回答である。
BYDは、この充電時間に関して燃料補給と同等の時間で完了できる「スーパーeプラットフォーム」と名付けた超急速充電システムを開発。画期的な内容で、1秒あたり2kmの走行距離に相当する充電を行い、5分弱で400km走行に相当する充電を可能にする「フラッシュ充電」方式を開発した。
ただし、既存のEVに対応したシステムではなく、短時間による急速充電を可能にするには車両側、充電側(ステーション)の両者で専用の方式を使うことが条件となるようだ。