試乗 記事一覧

試乗 試乗
TEXT:田中 誠司
あらためて、一泊二日の小旅行で学んだこと:フォルクスワーゲン「ID.4 Pro Launch Edition」

EVにちょうどいい距離を旅する フォルクスワーゲン「ID.4 Pro Launch Edition」で都内から銚子まで、一泊二日の小旅行をしませんか? という誘いがTET編集部に舞い込んだ。EV(電気自動車)専門媒体を対象にした小規模なイベントであるという。 銚子は昔から僕が気に入っている街だ。太平洋を一望できる展望公園、犬吠埼灯台、古めかしい町並み、銚子電鉄、醤油工場といった数々の観光名所にくわえて、いくつかの魅力的な寿司屋とカフェがある。 出発地から宿泊先まで単純な往復距離は260kmと、メーカーが公称する一充電走行距離が613kmにおよぶID.4 Pro Launch Editionにとっては造作ない範囲だ。 最近、長距離移動の際に意図してBEV(バッテリーEV)を利用させてもらうようにしているのだが、現地での寄り道や渋滞、途中での人の乗せ下ろし等、一充電走行距離が目的地までの往復距離より100kmくらい多くないと余裕を持って旅を楽しめない気がしている。 最近では道の駅や高速道路のSA・PAに急速充電器が増えたとはいえ、多くの場合30分に限られる充電時間では“注ぎ足し”程度の効果しかない。朝までに回復できるよう、普通充電器を用意してくれている宿泊施設も最近増えてはきたものの、それが備わるホテルはまだまだ数が限られる印象だ。 VWグループ車両ならPCAを利用できる! 旅の途中での充電に関して、もうひとつの選択肢が各メーカーが自動車ディーラーに用意する急速充電器だ。VWグループではPCA(プレミアム・チャージング・アライアンス)と称して、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの各ディーラーが連携してそれぞれの充電器を共通で利用できる試みが2022年から始まった。このPCAの傘のもと、全国で急速充電器を利用できるディーラーは207拠点(2022年末時点)におよび、充電器総数は218であるという。 VWグループに属する車両のオーナーは、スマートフォンにPCAアプリをインストールし、月額会員か都度会員かを選んで利用者登録を行う。月額会員は月会費が1,800円、登録に2,000円を要するものの、150kWの急速充電が都度会員では1分あたり200円であるところを、1分あたり75円で利用できる。 われわれが立ち寄ったフォルクスワーゲン江戸川の急速充電器は90kWスペックだったので、月額会員は1分あたり45円、都度会員は1分あたり120円の利用費になる。充電の開始はアプリで充電器のQRコードを読み込んでケーブルを指すだけと簡単だ。個別に専用のカード等を用意しなくてもいい手軽さと安心感も好ましい。時間の都合からほんの少しだけ充電した際のペースは71kW。仮に30分充電したとすれば36kWを補充でき、今回の総電費が6.2km/kWhであったことから計算すると約226km分を蓄電できたことになる。 ひとくちに急速充電器と言っても、充電速度が思いのほか伸びないケースは多々あるし、そもそも充電器とクルマの相性か、まったく充電が始まらなかったり、途中で終わってしまうこともある。そこへ行くと、確実に90または150kWの充電器を用意してくれているPCAの取り組みはオーナーにとって大きな安心要素になるだろう。

TAG: #ID.4 #VW #試乗
フォルクスワーゲン ID. Buzzロングホイールベースモデルのフロントビュー
TEXT:小川フミオ
フォルクスワーゲンがID. Buzzに3列仕様を加えたワケ。電気で走る現代のワーゲンバスに試乗

フォルクスワーゲン「ID. Buzz」に3列シート7人乗り仕様が加わった。そのターゲットは、ずばり北米およびカナダ。最新の電動ミニバンは、かの地でかつて多くの若者に愛されたワーゲンバスの再来となるか。 全輪駆動の高性能バージョンも追加予定 いま世界でもっとも人気があるEV、といってもいいのではないか。フォルクスワーゲンの電動ミニバン「ID. Buzz(アイディーバズ)」だ。2023年6月2日に、待望の3列シート7人乗りが追加された。 「ID. Buzz with long wheelbase」とプレスリリースでは書かれているこの最新モデル。ちょっとそっけないネーミングだけれど、成功への期待は大きいようだ。 特徴はモデル名のとおり、2022年に発表された標準モデルよりホイールベースを250mm延長している。そこに3列シートを並べた7人乗りだ。 バッテリー容量は、85kWh。それに従い最高出力は標準モデルの150kWから210kWに、電気的リミッターによる最高速の設定も、145km/hから160km/hへと引き上げられた。 プラットフォームはID.シリーズ共通の「MEB」を使う。現時点ではリアモーターの後輪駆動に限られる。ただし、2024年には250kWの全輪駆動であるID.Buzz GTXも予定されている。 「このクルマで私たちは本当のラブ ブランド(愛されるブランド)へと一歩近づきました」 ID.Buzz ロングホイールベースの発表が行なわれた北米において、フォルクスワーゲン グループ アメリカのパブロ・ディ・シ(Pablo Di Si)CEOは上記のように語っている。 1960年代の雰囲気をまとった電動ミニバン フォルクスワーゲンでは、このモデルの主市場を北米およびカナダと位置づけているようだ。7人乗りのSUVが売れている地域である。いっぽう、欧州仕様は、6月下旬に発表と、欧米には“時差”があった。 発表時のプレスリリースでは、カリフォルニア州ホーソン(ロサンジェルス近郊)出身のザ・ビーチボーイズの大ヒット曲のタイトル「グッド バイブレーション」を引用。ビーチボーイズの出身地は関係ないけれど。 北米のひとたちにとって、ID.Buzzがイメージソースとしたタイプ2は、まさに(「ペットサウンズ」以前の)明るいいっぽうのビーチボーイズに代表される、“よき1960年代”の象徴とか(北米では「サンバ」というちょっと豪華な仕様が人気だったとか)。 いまも、気持にグッド バイブレーションを与えてくれるのが、今回のID.Buzz ロングホイールベースだと、フォルクスワーゲンでは強調している。 全長は4,962mmで、ホイールベースは3,238mm。荷室容量は、標準モデルの2,205Lに対して、2,469Lに拡大されている。

TAG: #EV #ID.Buzz #フォルクスワーゲン #電気自動車
TEXT:生方 聡
コンパクトSUVセグメントをリードするのは「iX1」かもしれない [BMW iX1試乗記]

強豪揃いのコンパクトSUVセグメントに戦いを挑む「BMW iX1」。走らせてわかったのは、その高い完成度。このセグメントのベンチマークといえる出来映えである。 車重を感じさせない軽快な走り エンジン車の「X1」とEVの「iX1」は、いずれも前:ストラット式、後:マルチリンク式のサスペンションが採用されている。このうち、X1のM Sportと、iX1の全グレードに「アダプティブMサスペンション」が搭載されている。標準に対して車高が20mm下がるとともに、長距離ドライブでの快適性やスポーティなハンドリングに貢献するという。 iX1のアダプティブMサスペンションは、電子制御ではなく、機械的にダンピングを変化させるため、走行モードを切り替えてもその特性は変わらない。標準サイズの18インチアルミホイールと225/55R18タイヤが装着される試乗車は、やや硬めの乗り心地に躾けられるぶん、高速走行時の姿勢変化は少なく、安定感はバッチリ。一方、一般道を比較的低い速度で走行する場面では軽いショックを伝えてきたり、目地段差を通過した際のハーシュネスをいなしきれなかったりすることも。それでも、街乗りで十分許容できるレベルの快適さを確保している。 前1,030kg、後1,000kgとほぼ均等な前後重量バランスと、床下にバッテリーを積む低重心の設計のiX1は、車両重量や背の高さを感じさせない軽快感あるハンドリングを示す。このあたりのスポーティな味付けは、さすがBMWと感心させられるところだ。

TAG: #BMW #iX1 #SUV
TEXT:生方 聡
「BMW iX1」に“駆けぬける歓び”はあるか? [BMW iX1試乗記]

BMWなら、どんなモデルであってもスポーティな走りを期待する人は多いはずだ。EVの「iX1」でも“駆けぬける歓び”を感じ取ることはできるだろうか? 乗り手次第でジェントルにもスポーティにも “ドライバーオリエンテッド”なコクピットに収まり、さっそくブレーキを踏みながらスタートボタンを押すと、iX1は“走行スタンバイ”、すなわち走行可能な状態に。まずは基本のパーソナルモードのままDレンジにシフトし、ブレーキペダルから足を離すと、クルマはいわゆる“クリープ”の状態でゆっくりと動き出した。 軽くアクセルペダルを踏むぶんには穏やかな動きを見せるiX1だが、さらに右足に力をこめると、2,030kgのボディを軽々と加速させる頼もしさで、この時点でiX1のスポーティな性格が予感できる。ここからアクセルペダルを深く踏み込むと、iX1は期待以上に勢いよく加速し、“駆けぬける歓び”がこのクルマにも標準装備されていることが確認できた。 ここでステアリングホイールの左にあるパドルを手前に引くと、“スポーツ・ブースト”機能が起動し、10秒のカウントダウンが始まった。すぐにアクセルペダルを奥まで踏み切ると、より伸びのある加速が味わえる。 「My Mode」でパーソナルモードからスポーツモードに切り替えると、パーソナルよりもアクセル操作に素早く、かつ、力強く反応。一方、エフィシェントモードではより穏やかな反応を示す。いろいろ切り替えてみたが、最終的には扱いやすさと加速を両立するパーソナルモードに落ち着いた。

TAG: #BMW #iX1 #SUV
TEXT:生方 聡
コンパクトなボディに最新のBMWを凝縮 [BMW iX1試乗記]

フルモデルチェンジにより、精悍さが際だつフロントマスクを手に入れたX1とiX1。BMWカーブド・ディスプレイを採用するコクピットも、iX1の先進性を象徴している。 キドニーグリルの大型化だけじゃない! BMWのデザインを特徴づけるアイテムといえば、フロントマスクに佇む“キドニーグリル”。最近ではキドニーグリルの大型化が進められ、最新のX1(とiX1)も先代に比べるとより存在を主張するデザインへと変化している。それでも、フラッグシップSUVの「iX」のような“やりすぎ感”がないのがいい。特徴的な形状のLEDデイタイムランニングライトや大型のロワーエアインテークなど、先代から大きく様変わりしているにもかかわらず、ひと目でBMWとわかるのは、伝統のキドニーグリルのおかげである。 キドニーグリルの大型化とともに、ドアハンドルのデザイン変更も、最近のBMWの特徴である。従来のグリップタイプを改め、ドアパネルと一体化したフラッシュハンドルは、見た目のエレガントさに加えて、空力特性の向上に貢献しているのはいうまでもない。 エクステリア以上に進化を感じるのが、「BMWカーブド・ディスプレイ」を採用するコクピット。デジタルメーターがあたりまえのいまの時代、メーターパネルとセンターディスプレイをどう融合するかを各メーカーが模索しているが、BMWはこのふたつを単に一体化させるだけでなく、曲面にしてドライバーに向けることで、見やすさと操作性を向上させている。もともとBMWのコクピットはセンタークラスターを少しドライバー側に傾けた“ドライバーオリエンテッド(ドライバー指向)”のデザインを特徴としており、BMWカーブド・ディスプレイもまたそのコンセプトに基づいているのだ。

TAG: #BMW #iX1 #SUV
TEXT:生方 聡
BMWから待望のコンパクトSUVスタイルの電気自動車が登場! [BMW iX1試乗記]

いまもっともホットなコンパクトSUVセグメントに、BMWが投入したEVのニューモデル「iX1」に試乗。走り出す前に、まずはこのクルマの特徴をチェックしておこう。 3代目「X1」とともに日本上陸 BMWのSUVである「Xモデル」のなかで、もっともサイズが小さいのが、プレミアムコンパクトSUVの「X1」だ。日本でも人気のこのモデルがフルモデルチェンジにより3代目に進化したのを機に、新たに追加されたEV仕様が「iX1」である。 同じセグメントの「日産アリア」や「フォルクスワーゲンID.4」が、EV専用プラットフォームを採用するのに対し、iX1はエンジン車のX1と共通の「UKL2プラットフォーム」をもとに成り立っている。ちなみに、コンパクトなFWDモデル向けのこのプラットフォームは、同社の「2シリーズアクティブツアラー」や「ミニ・クロスオーバー」、「ミニ・クラブマン」でも使われている。 X1のいちバリエーションであるiX1は、4,500mmの全長、1,835mmの全幅、そして、2,690mmのホイールベースはX1と共通。見た目もX1と区別がつきにくいが、フロントグリルの「i」のバッジや、各所に配されるブルーのアクセントにより、かろうじてEVのiX1であることがわかる。 驚いたのはボンネットを開けたときの眺め。何も知らされずに、エンジン車のような立派なカバーを見せられたら、多くの人はEVとは気づかないだろう。「Bayerische Motoren Werke(バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ)」、すなわち、ドイツ語で“バイエルン州のエンジン工場”という名の自動車メーカーだけに、こうした演出にも納得がいく。

TAG: #BMW #iX1 #SUV
TEXT:西川 淳
ここ10年で最高のメルセデス・ベンツ製乗用車[メルセデス・ベンツ EQS450 4MATIC SUV試乗記]

自動車ライターの西川 淳氏によるEQS SUVの試乗記も最終回を迎えた。前回は街乗りだったが、今回はよりEQS SUVが得意とする高速道路に向かった。 極上の長距離クルーザー 高速道路ではとにかく安楽なクルマだった。長距離ドライブでラクなクルマの条件は何も直進安定性のみにあるわけじゃない。もちろんそれも重要だし、EQS SUVには尋常じゃない安定感と節度感があってとても走らせやすいのだけれど、それと同じくらい重要な要素が音だ。とにかく高速ドライブでは静かな方が精神的にも肉体的にも疲れは少ない。 ICE(内燃機関)であればディーゼルがラク、というのは低回転域でクルーズできるから。圧倒的な静粛性を誇るEQS SUVは、その重心の低さと相まって、極上の長距離クルーザーとなる。 静かさに飽きたら、サウンドエフェクトを楽しんでもいい。私が気に入ったのはロアリングパルスというサウンドで、これが電気界のAMGマルチシリンダーのような勇ましい音を奏でる。 街中でもそうだったけれど、高速でも回生はインテリジェントモードが有効だ。個人的に高速道路では回生をオフにしてできるだけ転がすのが好きだが、効率性の高いシステムを持つEQSシリーズでは機械に全てを託してみるというのも手である。実際、EQS系の電気マネージメントは回生システムに限らず優秀で、例えばエアコンのオンオフで“びっくりするくらい残走行距離が変わる”なんてこともない。 きめ細やかな制御を生かすべく設計されたシャシー系の滑らかな動きもまた特筆できる。回生オフで転がすと、路面や空気の抵抗などほとんどないと思うくらいスムーズに滑走する。それがむしろ心地よくて回生システムをオフにしたいくらいだった。 それにしてもこの圧倒的な安心感は、一体どこから来るのだろうか。前回も記したように、EQS450 SUVを試乗中に筆者は災害の現場を通りがかっている。普通ならヒヤヒヤするだけでは済まされないような場面であったけれど、なぜか安心して雨をやり過ごすことができた。 高速道路を走っていても、安定した走りというよりも、安心に包まれた走りという感覚で、どこまでもドライブしていけそうな気分になる。この安心感の源こそ、メルセデスというブランドの価値であろうと乗り終えて確信した。

TAG: #EQS SUV #EQS450 #メルセデスEQ #メルセデスベンツ
TEXT:西川 淳
乗り心地はマイバッハ超えかも[メルセデス・ベンツ EQS450 4MATIC SUV試乗記]

自動車ライターの西川 淳氏によるEQS SUVの試乗記。前回は室内空間やパッケージングについて語ってもらった。今回は充電性能や街乗りした印象についてを綴ってもらった。 30分で最大300km分の充電が可能 周辺のソフトウェアも含めて自社で開発したというリチウムイオン・バッテリー。コバルトの使用量を10%以下に減らしたニュータイプで、メルセデスとしては今後レアメタルの使用をさらに削減する考えだ。 そんな新型バッテリーを搭載したEQS SUVの気になる外出先での急速充電性能(CHAdeMO規格、残量10%からの充電目安)は、ごく標準的な50kW器を半時間繋いで30%、90kW器で49%、そして最近、東名阪の高速道路SAでも設置の進む150kW器なら58%まで充電できる。 満充電スタートにおけるEQS450 SUVの航続距離はおよそ600kmだ。実際には500km弱として、150kW器であれば半時間で300km分、ということは15分の充電でも150km分近くを新たに確保できる計算だ。たとえば東京から大阪への移動(500km)でも、満充電スタートならギリギリ到達できるとはいうものの目的地での移動が制限される。 普段でもSAでトイレに行き、コーヒーを買って、土産物を物色してガソリンを補給すれば15分や20分などラクにかかってしまうから、その間だけでも充電しておけば随分と余裕ができるというわけだ。目的地でも移動余裕分として150kmもあれば十分だろう。 実際、筆者はEQS450 SUVで京都から走ったが、浜松サービスエリアで15分休憩したのみで、いつものガソリン車と変わらない所要時間で東京へたどり着いた。今までのBEV(バッテリー電気自動車)ではなかったことで、それこそテスラのスーパーチャージャーに匹敵する便利さだ。150kW器の登場で長距離移動は随分とストレスフリーになったと思う(一箇所に一機のみだから混み出したら元も子もないけれど)。 余談だが150kW器に受け入れ性能の高くない国産BEVを繋いでいるユーザーをたまに見かけることがある。充電を受ける側の性能も車種によって違いのあることをもっと周知しなければならない。

TAG: #EQS SUV #EQS450 #メルセデスEQ #メルセデスベンツ
TEXT:西川 淳
3列シート7人乗りの快速電気自動車[メルセデス・ベンツ EQS450 4MATIC SUV試乗記]

前回に続いて自動車評論家の西川淳氏によるEQS SUVの試乗記をお届けする。車名の通りSUVにもかかわらず余裕ある車体を活かして3列シート7人乗りとなる同車。3列シートの使い勝手やパワートレインについて語ってもらった。 3列目はサッカーマム用 BEV(バッテリー電気自動車)の利点を生かしつつ動的パフォーマンスを考慮したパッケージング。新型「EQS SUV」の内(うち)的な魅力を語るとそうなるだろう。3列目のシートが存在する7人乗りがセールスポイントだが、大型SUVであっても3列目の居住性は必要最小限であると考えるべきで、「サッカーマム」カーとしてギリギリのサイズ感だ。 とはいえホイールベースが3.2mを超えてくるだけあって、1、2列目のスペースはやっぱり相当に広い。 身長170cmの筆者を基準にすると、共にヘッドクリアランスは15cm以上あったし、2列目の膝下スペースも座席を後ろに下げた状態であれば余裕で30cm近くあった。 もっともその際は3列目への乗車は事実上できない。2列目を最も前まで出してはじめて7cmほどのスペースが3列目にもできる。3列目の頭上スペースは身長170cmでもほとんど0に近いから、緊急用か子供用として割り切って使うほかない。 実際には3列目を畳んでしまい、ラゲッジスペースとして使うことが多くなるだろう。その状態で約800Lの容量を確保するというから十分だ。 2列目シートは前後130mmの電動スライド式で、3列目へのイージーエントリー機能も備わっている。全席シートヒーター付きは暖房を極力抑えたくなるBEVの場合、とてもありがたい。たとえ高効率設計のエアコンを装備していたとしても!

TAG: #EQS SUV #EQS450 #メルセデスEQ
TEXT:西川 淳
メルセデスの最上級SUVに対する本気度が伝わる[メルセデス・ベンツ EQS450 4MATIC SUV試乗記]

日本国内で5月29日に発売が開始されたメルセデス・ベンツの電動ブランド「EQ」の最上級SUVにあたるのが「EQS SUV」だ。日本導入直後のこのクルマにいち早く試乗した自動車評論家の西川淳氏に同車を語ってもらった。 急拡大しているEQのラインナップ メルセデス・ベンツおよび同AMGのフル電動化への本気度は電気自動車「EQ」シリーズの充実ぶりをみれば明らかだ。すでにAからSクラス相当まで、内燃機関シリーズと同様の基本ラインナップ(一部を除いたセダンとSUV)が出揃っている。欧州ではすでに「EQV」や「EQT」も存在するし、電動Gクラス「EQG」の登場ももうすぐだ。 このままの勢いが続けばスポーツカー版(EQSL?)のデビューもそう遠くないだろう。日本でもEQシリーズをメインに扱うディーラーができるなど、BEV(バッテリー電気自動車)がより親しみやすい状況になりつつある。商品ラインナップと充電インフラの拡充がまさに同時並行的に起きているというわけだ。 そんななか、EQシリーズにおけるフラッグシップモデル、「EQS SUV」がついに日本上陸をはたした。メルセデスのEV専用プラットフォームであるEVA2をSUVとして初めて採用し、3列シート7人乗りとした。 日本仕様として「EQS450 4MATIC SUV」と「EQS580 4MATIC SUVスポーツ」というモーター性能スペック違いの2グレードを設定。実はさらに上級の「メルセデス・マイバッハEQS680SUV」も存在する。SUVがマイバッハブランドで初のBEVとなったことからも分かるように、今やSUVスタイルが事実上のフラッグシップモデルということになるだろう。

TAG: #EQS SUV #EQS450 #メルセデスEQ

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
リーフのバッテリーパックをバラして積むって意外に大変! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その5】
「58協定」未加入国のクルマを日本で売るのは難しい! なのに未加入のアメリカや中国のクルマが日本で売られるカラクリとは
20万円も高かったのに20万円安くしか売れない! EVの将来はリセールバリューの向上努力にアリ!!
more
ニュース
これまでに40万人が参加したeモータースポーツイベント! 「Honda Racing eMS 2025」の開催が決定
ついに「コルベットがEV」に!? 2種類のコンセプトカーでシボレーが未来のハイパフォーマンスカー像を描く
ホンダが2026年に発売予定の新型EVは「アシモ」も搭載! アキュラRSXプロトタイプを米国・モントレーで初披露
more
コラム
トランプとマスクの仲違いでどうなる? 普通の自動車メーカーとは違う「政治」に左右されやすいテスラの立ち位置
「EVは中古価格の落ち込みがヤバい」は過去に引き摺られすぎ! 今後はバッテリーの劣化問題もますます解消へ向かう
「EVが燃えた」はなぜ刺激的なニュースになるのか? 「だからEVは危険」は偏りすぎた思考
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択