試乗
share:

ここ10年で最高のメルセデス・ベンツ製乗用車[メルセデス・ベンツ EQS450 4MATIC SUV試乗記]


TEXT:西川 淳 PHOTO:小河原 認
TAG:

自動車ライターの西川 淳氏によるEQS SUVの試乗記も最終回を迎えた。前回は街乗りだったが、今回はよりEQS SUVが得意とする高速道路に向かった。

極上の長距離クルーザー

高速道路ではとにかく安楽なクルマだった。長距離ドライブでラクなクルマの条件は何も直進安定性のみにあるわけじゃない。もちろんそれも重要だし、EQS SUVには尋常じゃない安定感と節度感があってとても走らせやすいのだけれど、それと同じくらい重要な要素が音だ。とにかく高速ドライブでは静かな方が精神的にも肉体的にも疲れは少ない。

ICE(内燃機関)であればディーゼルがラク、というのは低回転域でクルーズできるから。圧倒的な静粛性を誇るEQS SUVは、その重心の低さと相まって、極上の長距離クルーザーとなる。

静かさに飽きたら、サウンドエフェクトを楽しんでもいい。私が気に入ったのはロアリングパルスというサウンドで、これが電気界のAMGマルチシリンダーのような勇ましい音を奏でる。

街中でもそうだったけれど、高速でも回生はインテリジェントモードが有効だ。個人的に高速道路では回生をオフにしてできるだけ転がすのが好きだが、効率性の高いシステムを持つEQSシリーズでは機械に全てを託してみるというのも手である。実際、EQS系の電気マネージメントは回生システムに限らず優秀で、例えばエアコンのオンオフで“びっくりするくらい残走行距離が変わる”なんてこともない。

きめ細やかな制御を生かすべく設計されたシャシー系の滑らかな動きもまた特筆できる。回生オフで転がすと、路面や空気の抵抗などほとんどないと思うくらいスムーズに滑走する。それがむしろ心地よくて回生システムをオフにしたいくらいだった。

それにしてもこの圧倒的な安心感は、一体どこから来るのだろうか。前回も記したように、EQS450 SUVを試乗中に筆者は災害の現場を通りがかっている。普通ならヒヤヒヤするだけでは済まされないような場面であったけれど、なぜか安心して雨をやり過ごすことができた。

高速道路を走っていても、安定した走りというよりも、安心に包まれた走りという感覚で、どこまでもドライブしていけそうな気分になる。この安心感の源こそ、メルセデスというブランドの価値であろうと乗り終えて確信した。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ZF・AxTrax2(photo=ZF)
被けん引車を補助動力装置化し電費・燃費を向上……ZF、トレーラ用EV駆動システムを開発[2023.09.25]
ZF・CeTrax 2デュアル電動セントラルドライブ(photo=ZF)
完全低床フルフラットバスが実現へ……ZF、EVバス用の新型駆動ユニットを発表[2023.09.22]
ホンダ・モトコンパクト(photo=アメリカン・ホンダ・モーター)
「モトコンポ」がEVで復活……米ホンダ、超小型電動スクーター「モトコンパクト」を発表[2023.09.21]
more
ニュース
BYDの新型EV「ドルフィン」は363万円から。補助金で200万円台も可能
大型トラックのEV化進む。メルセデスが航続距離500kmの「eアクトロス600」を発表
新モデル「iX1 eDrive20」がBMWのEVに追加。実質500万円前後で購入可能かも?
more
コラム
元町工場で様々なモデルが混流生産される様子。出典:トヨタ
トヨタの「からくり」やカイゼンに満ちたクルマづくりを、EVも混流生産する現場で見た
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?
宇都宮駅東口の周辺を走る、宇都宮芳賀ライトレールの様子。筆者撮影
8月開業の宇都宮「LRT」が拓く電動モビリティの可能性。渋滞解消と新しい街づくりに大きく前進
more
インタビュー
電気自動車で自由に旅できる世界を目指して。シュルーターさんと「ID.BUZZ」の旅物語
ボルボ「EX30」は「脱炭素」をキーワードにインテリアの“プレミアム”を再定義する
フォルクスワーゲン「ID.BUZZ」は人や荷物だけでなく笑顔もはこぶクルマ
more
試乗
BYDドルフィンのフロントビュー
新型BYD「ドルフィン」の商品力に見る凄み。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗
BYDドルフィンのフロントビュー
BYD「ドルフィン」で感心した3つのポイントとは。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗
BYDドルフィンのフロントビュー
BYD「ドルフィン」は日本製EVの脅威となるか。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗
more
イベント
ジャパンEVラリー白馬2023(photo=日本EVクラブ)
今年の最長距離の参加者は⁉︎……「ジャパンEVラリー白馬2023」は充電計画も愉しい
ジャパンEVラリー白馬2023(photo=福田 雅敏)
ぶっちゃけトークの夜がやっぱり本番⁉︎……72台のEVが集まった「ジャパンEVラリー白馬」
ジャパンEVラリー白馬2023(photo=福田 雅敏)
「ホンダ・クラリティ FUEL CELL」でEVイベントに参加……長距離走の燃費を計測してみた
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択