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TEXT:小川 フミオ
BMW「5シリーズ」の電気自動車は、新時代に入った「セダンデザイン」を体現している

ポルトガルで5シリーズの初のBEV(バッテリー電気自動車)に乗った小川フミオ氏は、その内外装デザインを歴代5シリーズと重ね合わせる。共通点や時代とともに進化したポイントはあるのだろうか。Vol.1の記事はこちら。 「スポーティ・エレガンス」なプロポーション 2023年に登場した新型BMW5シリーズは、1972年の初代から数えて8世代目になる。 ドイツをはじめ、欧州で5シリーズのセールスはずっと好調に推移してきた。ひとつの理由は、カンパニーカーといって、要職にある社員に貸与される一種の社有車としてのニーズが高いこと。 もうひとつは、バランスのよさだろう。初代いらい、私はずっと5シリーズのファンだった。 これは私の個人的な感想だけれど、初代から4代目まではとくに、プロポーションがよく、絵に描いたような4ドアセダンというかんじだった。 同時に、4灯式ヘッドランプと、キドニーグリルが、個性になっていた。控えめといえば控えめだけれど、じつはドライブが好き、というドライバーのキャラクターをうまく表現していたと思う。 今回の5シリーズは、全長が5メートルを超え、5,060mmに。先代より97mm延びた。初代7シリーズですら軽く超えている。どうして、こんなにサイズアップしたんだろう。 「その理由は……」と、語ってくれたのは、8代目5シリーズのプロダクトマネージャーを務めたオリバー・ムンダー氏。 「ひとつは、クラッシュセイフティの要件で、フロント部分を伸ばす必要があったためです。そして、もうひとつ、理由があります」 ムンダー氏は付け加える。 「i5は床下にリチウムイオンのバッテリーパックを収めるため、車高が高めになりました。そこで、バランスをとるため、全長を伸ばして、美しいプロポーションを保つことを選びました」 全高は1,515mmで、先代より36mm高い。しかし、たしかにシルエットを見ても、ぼてっとしたかんじはいっさいない。 新型5シリーズのデザインをして「クリア」「削ぎ落とされた」「運動性能を感じさせるプロポーション」「スポーティ・エレガンス」「存在感」と、BMWでは言葉にしている。

TAG: #BMW #i5 #セダン
TEXT:小川 フミオ
“EVセダン”の決定版か!? 新型BMW「5シリーズ」セダンの電気自動車「i5」に試乗した

同じドイツのライバルであるメルセデスは、電気自動車の開発と生産において、専用ブランドとプラットフォームも用意している。それに対して、BMWはエンジンモデルと一緒のプラットフォームでEVを開発し、「i5」をデビューさせた。そんなi5はどんなクルマに仕上がっているのだろうか。ポルトガルでいち早く試乗した小川フミオ氏のレポートをお届けする。 BEVセダンのひとつの究極 BMWが2023年7月13日に発売した、新型5シリーズ。8代目には、最初から、ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッド、そしてBEV(バッテリー電気自動車)の「i5」がラインナップされている。 日本には、まずi5が導入され、追って、ガソリンとディーゼルが入ってくる予定。プラグインハイブリッドの設定がないのは、「電動車はi5がメインになるため」(BMWジャパン広報部)と説明される。 そのi5に、23年9月下旬に、ポルトガル・リスボンで試乗することができた。期待いじょうによく走り、ナチュラルで、BEVセダンのひとつの究極と感心した。 i5には、大きくいって、後輪駆動の「i5 eDrive 40」と、全輪駆動の「i5 M60 xDrive」が用意されている。 前者には、「i5 eDrive 40 エクセレンス」と「i5 eDrive 40 Mスポーツ」の設定がある。乗ったのは後者。サブネームのとおり、スポーティな仕上げを特徴とする仕様だ。 まずリスボンを抜けて郊外へと足を延ばしたときドライブしたのは「i5 eDrive40 Mスポーツ」。後輪を駆動するモーターは、250kWの最高出力と430Nmの最大トルクを発生。 リチウムイオン電池の総エネルギー量は 81.2kWhだそうで、一充電での走行可能距離は装備によって、477キロから582キロの幅と発表されている。 i5 eDrive 40の”電費”は100キロ走るのに18.9kWhから15.9kWh(数字が少ないほうが長い距離走る)。充電速度は最大で205kW。10分で156km充電可能という。 もうひとつの装備は、「マックス・レンジ」と呼ぶもので、電費重視のセッティングが可能になる。これを使うと、パワーを25パーセント抑制し、より長距離の走行が目指せる。

TAG: #BMW #i5 #セダン
TEXT:加藤 ヒロト
ホンダのEV「e:NP1」はマイルドにもスポーティにもなる走り!来年からの新型車にも注目

中国市場におけるホンダの新型EV試乗記、これまでは内外装のデザインを見てきた。いよいよ走り出してみよう。「e:NP1」はどんな走りを披露してくれるだろうか。 快適性重視のマイルドな乗り味 肝心の乗り心地だが、これも非常に上々な印象だ。もちろん元の「ヴェゼル」ですでに完成度は高いので、あとはそこからどうBEV(バッテリー電気自動車)らしく味付けをおこなうかに焦点を置いたに違いない。 アクセルペダルとブレーキペダルの踏み心地は、昨今のホンダ車らしくスコスコ踏める感覚で、これがとても気持ち良い。全高はそれなりにある車だが、実際に運転してみても不安定感はなく、堅実な足回りの設計を感じた。この点に関してはヴェゼルより少しばかり向上している印象を受けた。 運転中に触るであろうハンドルのボタン類やエアコンの操作、ドライブモードの選択などももたつく反応はなく、運転への妨げは感じられない。ここが「先進性」をうたう車において肝心な部分で、せっかく数々の先進装備を搭載していたとしても、運転中にそれらの操作がストレスなくおこなえなければ本末転倒だと私は思うのだ。 やみくもに画面を増やし、ボタン類をすべてタッチ操作にするよりも、まずは基本的な操作において使用者にストレスを感じさせないことが「日常使いの道具としてのクルマ」で大事な点だろう。 加速感は申し分なく、アクセルを踏めば踏んだ分だけマイルドに加速してくれる。突然「ズドン」と来るような不快感はない。このあたりの制御を日本車はとても得意としているのだ。 BEVをさらに普及させたいのであれば、ガソリン車のドライブフィーリングとの違いを限りなく打ち消す必要がある。この観点から考えても、「e:NP1/e:NS1」が持つ違和感のない乗り心地はとても優秀だと感じた。 「運転しやすい」という表現を「面白くない」と解釈する人もいるかもしないが、決してそういうわけではない。 ちょっとスポーティーな雰囲気を味わいたければ、ドライブモードを「SPORT」に入れることで「NORMAL」よりも締まった走りを提供してくれる。元の車体設計の優秀さが功を奏しているのか、カーブを曲がる際も踏ん張りの効いたコーナリングを感じることができる。 「スポーツBEV」とまでは行かないものの、普通の街乗りに飽きたのなら、通常よりも少しスパイスの効いた走りも選べるというわけだ。良い意味で落ち着いており、気楽に運転できるBEVであるという印象を受けた。

TAG: #e:NP1 #e:NS1 #ホンダ
TEXT:加藤 ヒロト
中国でもホンダイズムは健在!電気自動車としても進化している「e:NP1」のインテリアとは

ホンダが中国で販売しているBEV(バッテリー電気自動車)の「e:NP1」。前回は外装にフォーカスをあてた。今回はインテリアに注目する。 「ヴェゼル」のボディに「ホンダe」の使い勝手を組み込む エクステリアがまさに「BEV版ヴェゼル」ならば、インテリアもその通りの印象を感じる。エアコンの吹き出し口から分かる通り、根幹をなすダッシュボード付近はヴェゼルと同一だ。 だが、車内を覗き込んで真っ先に目につく15.1インチのタテ型ディスプレイは「e:NP1/e:NS1」にしかない装備である。このディスプレイでナビ、インフォテインメント、エアコン、そして各種アプリケーションの操作を行うわけだ。 また、タテ型の特徴を活かして異なる機能を上下に同時並行で映し出せるため、例えばナビを表示しながらエアコン操作メニューを表示できるなど、実用性にあふれる設計となっているのも特徴だ。 大きめのディスプレイを採用する車種は大抵その反応速度に難があり、日頃使っているスマートフォンのようにサクサク動かない場合がほとんどだが、e:NP1/e:NS1のディスプレイはまったくストレスなく操作が可能であることも評価したい。ホンダeでも同様の印象で、インフォテインメント面におけるホンダの設計の優秀さを感じた。 また、セレクターがホンダeのようなボタン式になっているのもヴェゼルと異なる点である。ホンダのボタン式セレクターは押し心地が大変よく、またレスポンスも良いので個人的には高評価な要素だ。メーターもフル液晶となっており、まさにヴェゼルのボディにホンダeの使い勝手を押し込んだような車という印象を受けた。 室内空間はヴェゼルと変わらない印象だが、これも前回の記事で紹介したようにバッテリーの配置が関係していると思われる。フロア下に張り出す配置でキャビンを圧迫しないようにしているのだろう。 後部座席の足元は本来BEVでは不要なセンタートンネルの盛り上がりが少し確認できるが、気になるほどの高さではない。むしろ、ヴェゼルの時点でその盛り上がりはかなり抑えられており、比較してみてもその高さは両者間で同じのように見える。 これ以外にも内装パーツは多くがヴェゼルとの共通部品であるため、多少なりともコストカットに寄与していることだろう。

TAG: #e:NP1 #e:NS1 #ホンダ
TEXT:加藤 ヒロト
見た目は大事!ホンダの電気自動車「e:NP1」がスタイルキープのためにとった工夫とは

前回はe:NP1/e:NS1の成り立ちを紹介した。今回はこのクルマをより詳細に見ていく。 e:NP1は前輪駆動のみで2グレードの展開 広汽ホンダ 「e:NP1」/東風ホンダ 「e:NS1」は基本的にまったく同じ仕様、まったく同じグレードと販売価格、そして少し異なるエクステリアで展開されている。ゆえに今回試乗したのはe:NP1だが、これから書くことはすべてe:NS1と共通している。 まずはボディサイズだが、全長4,388mm x 全幅1,790mm x 全高1,560mm、ホイールベース2,610mmということなので、ヴェゼル(中国仕様)の全長4,380mm x 全幅1,790mm x 全高1,590mmとほぼ同じだ。ホイールベースももちろんまったく一緒となる。 一方、車両重量は同じベースグレード同士で1,296kgから1,652kg(68.8 kWhモデルは1,683kg)へと増加しているため、BEV(バッテリー電気自動車)特有の駆動用バッテリーを搭載する分として350~390 kgほどヴェゼルよりも重くなっている。 パワートレインはモーター出力182ps/バッテリー容量53.6 kWh、そして204ps/68.8 kWhの2種類となる。中国独自のCLTC方式で計測した航続距離は前者が420 km、後者が510 kmを誇る。ちなみにどちらも前輪駆動で、ヴェゼルに存在するような四輪駆動モデルは設定されていない。 

TAG: #e:NP1 #e:NS1 #ホンダ
TEXT:加藤 ヒロト
ホンダ「ヴェゼル」ベースのEVで中国ではすでに2世代目!「ホンダe:NP1」ってどんなクルマ?

日本でホンダの電気自動車といえば「ホンダe」のみだが、中国ではすでにヴェゼルベースの「2代目」の電気自動車が販売されている。この事実からも中国のBEV(バッテリー電気自動車)の普及の早さを感じる。中国でホンダ製EVはどんなクルマに仕上がっているのだろうか。 中国におけるホンダの立ち位置 ホンダは2023年4月、自社が掲げるEV政策のアップデートを発表した。以前は「2040年までにEV・FCEV(燃料電池車)の販売比率100%」としていたのを、「2035年までにEVの販売比率100%」へと変更、実質的な前倒しとなったことになる。 これには中国市場において急速的に拡大する電動化需要が裏にあり、そこで培った経験を世界中の市場へ広げる狙いがある。なので、中国市場はホンダのBEV(バッテリー電気自動車)事業にとって起死回生のチャンスを図る存在と言っていいだろう。 ホンダのBEVと聞くと、日本では2020年に発売されたコンパクトカーの「ホンダe」が真っ先に思い浮かぶだろう。実際のボディサイズはコンパクト感があまりないが、それでもパッケージングや乗り味、そして実際に走る際の制御はとても完成度が高い。 日本であまり売れている印象がないのは、まだ多くの人がBEVの価値は「航続距離」にあることを重視しているからかもしれない。その観点から考えるとホンダeの航続距離259km(WLTC)で495万円とは「コスパがいまいち」と考えてしまうのだろう。 初代「ヴェゼル」ベースのBEVは評価いま一歩だった 一方、中国では2018年より小型SUV「ヴェゼル」をベースとしたBEVを数モデル発売している。ここで軽く、中国独特の販売スタイルをご紹介しておきたい。 ホンダは中国において広州汽車との「広汽ホンダ」、そして東風汽車との「東風ホンダ」の2つの合弁会社を通じてホンダ車の生産と販売を中国国内でおこなっている。トヨタやフォルクスワーゲンなどと同様、ひとつの車種をデザインと車名を変更した姉妹車としてそれぞれの合弁会社から販売する形態だ。例えば、広汽ホンダの「フィット」は東風ホンダの「ライフ」、「インテグラ」は「シビック」、「アコード」は「インスパイア」、「ヴェゼル」は「X-RV」となる。 ホンダは今まで広汽ホンダの「理念」ブランドより「VE-1」、東風ホンダの「思銘」ブランドより「X-NV」「M-NV」といったBEVをリリースしてきており、そのどれもが初代ヴェゼルをベースとしている。だが、初代ヴェゼルの登場は2013年、そしてこれらのBEVの登場は2018~2020年となるため、設計がやや古いことは否めないだろう。 それもあってか初代ヴェゼルベースのBEVたちは市場においてそこまでプレゼンスを発揮できずにいた。今でも廉価モデルのBEVとしてひっそりと販売されているが、爆発的に売れているわけでもない。

TAG: #e:NP1 #e:NS1 #ホンダ
BYDドルフィンのフロントビュー
TEXT:小川フミオ
新型BYD「ドルフィン」の商品力に見る凄み。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗

BYDのエントリーモデル、ドルフィンがいよいよ日本で発売される。フォルクスワーゲン ゴルフに近いサイズ感のコンパクトEVだが、充実した装備や乗り心地、空間の巧みな使い方には高い商品力が感じられる。果たして、ドルフィンはEVのコンパクトハッチ界を掻き回すキープレイヤーとなれるのか。自動車ジャーナリスト・小川フミオが解説する。 兄貴分に負けないドライバビリティ BYDは、2022年にワールドワイドで約180万台のBEVを販売。2021年は60万4000台だったのに対して、ものすごい、とつけたくなる飛躍的な数字だ。 実際、2023年9月のドイツ・ミュンヘンの「IAAモビリティ」自動車ショーでも、大きなブース面積を専有。さらに、アウトバーンのチャージャーの前にいると、BYDモデルでやってくるドイツ人ドライバーたちにも出会った。 欧州人は実務的なひとも多く、バリューフォーマネーだから選んでいるのか。と、知らなかったら、私は思っていたかもしれない。 実際は、ドルフィンに乗ると、たいへんよく出来ているのに感心するほどだ。 ATTO 3も、ドライバビリティが高いクルマで、動力性能と操縦性がともにいい感じのレベルに達していた印象だが、ひとつ下のドルフィンも負けていないと思う。 BEVの多くにみられるように、重量物を床下に搭載しているので、重心髙が低く、ハンドルを動かしたときの車体の追従性はよく、カーブを曲がるときも安定している。 310Nmのトルクがアクセルペダルと踏み込むとすぐに出るため、加速の“つき”がよくって、さっと曲がるし、さっと加速するので、ドライブしている自分との一体感がある。 といっても、足まわりの設定は硬いいっぽうでない。ふわりふわりといえばいいのか、路面への追従性は高いうえに、凹凸は丁寧に吸収。高速道路でもしなやかに感じられて、気分がよい。 ゴルフクラスのハッチバックで、比較的コンパクトだけれど、乗り心地のよさは印象的だ。車重は1680kgと軽くないが、重さを活かして、重厚な雰囲気すらあるのだ。設定がうまい。 加速はがんっと車両が飛び出していくような暴力性は抑えられていて、最新のBEVらしく、うまくしつけてある。つまり、ICE(エンジン車)から乗り換えても、違和感はおそらくまったくないだろう。 ADAS類は積極的に全車へ搭載 装備の豊かさも、ドルフィンの大きな魅力になるだろう。安全および運転支援システムの充実ぶりにもぬかりはない。 アダプティブクルーズコントロール、レーンキープ、レーンサポート、車線変更アシスト、ブレーキの効き具合を設定できるコンフォートブレーキ、前後のクロストラフィックアラートおよびブレーキ、交通標識認識システムなどが標準装備。 加えて、感心したのは、ミリ波レーダーを使った幼児置き去り検知システム(ライトの点滅とホーンによる警報)や、ドアを開けるとき自転車や歩行者を検知して警告するドアオープン警報も標準で搭載されること。 ドアオープン警報は、車内から外に出るときばかりか、車外から乗りこもうとドアを開けるときも作動する。事故自動緊急通報装置も装備される。 ロングレンジモデルと標準モデルで、安全装備に差をつけていないのも褒めるべきところ。 ちなみに、フロントクロストラフィックアラートとクロストラフィックブレーキ、ドライバー注意喚起機能、幼児置き去り検知システム、ペダル踏み間違い時加速抑制装置は、ATTO 3には搭載されていない。 日常的に使っていて、かなり頼れちゃいそうだ。むしろ頼りすぎた結果、同等の装備レベルにないクルマだと乗る気がおきなくなってしまうかもしれない。そこまで感じさせる。 価格は、2023年9月20日に明らかにされる。かなり競争力のある価格設定になると聞く。 BYD DOLPHIN Long Range 全長:4,290mm 全幅:1,770mm 全高:1,550mm ホイールベース:2,700mm 車両重量:1,680kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:138Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:476km(WLTCモード) 最高出力:150kW(204ps)/5,000-9,000rpm 最大トルク:310Nm(31.6kgm)/0-4,433rpm バッテリー総電力量:58.56kWh モーター数:前1基 トランスミッション:1速固定式 駆動方式:FWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット リアサスペンション:マルチリンク フロントブレーキ:ベンチレーテッド・ディスク リアブレーキ:ソリッド・ディスク タイヤサイズ:前後 205/55R16 最小回転半径:5.2 荷室容量:345-1,310

TAG: #BYD #コンパクトカー #ドルフィン
BYDドルフィンのフロントビュー
TEXT:小川フミオ
BYD「ドルフィン」で感心した3つのポイントとは。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗

日本への本格進出をスタートしたBYDが、「ATTO 3」に続いて導入するのがコンパクトEVの「ドルフィン」。エントリーモデルとなるハッチバックモデルには、電気自動車ならではの魅力と、BYDらしい独創性が見られるようだ。プロトタイプに国内試乗する機会を得た自動車ジャーナリスト・小川フミオが、感心させられたポイントを解説する。前回記事はこちら。価格に関する記事はこちら。 期待以上に広い室内空間 BYDが2023年9月20日に日本へ導入するドルフィン。車名はイルカだけれど、クロスオーバーのボディスタイルに、あまり関連はなさそう。 でも、インテリアでは“海”のモチーフが何ヵ所も、とBYD。内側のドアオープナーハンドルはイルカのヒレとか、ダッシュボード両端のエアアウトレットは“青海波”のような形状。 外観は開口部こそないけれど、ブラックアウトしたパネルがヘッドランプのあいだに設けられていることもあり、知らなければBEVとはわからないかも。 車体側面のリアフェンダーにかけての三角を橫にしたようなふくらみが独特で、これをおぼえていると、街中で見かけたときすぐ、ドルフィンだと気づくだろう。 Aピラーの付け根が前のほうに出ているのは、エンジンなどのマスをもたないと、ファイアウォールを前へ出せるため。その結果の、BEVならではのデザインだ。フォルクスワーゲンのID.シリーズとも通じる。 室内スペースは期待以上に広い。2,700mmのロングホイールベースで、しかも床面はフラット。後席にいても、かなりくつろげる。コンパクトな外寸ながら、4人で楽に使える利便性をもつ。 内装品質が高く、装備も充実 じつは、運転席で、もうひとつ印象深いことがある。作りの品質だ。合成樹脂の部品の品質感が高い。さらに、内装色に3つのバリエーションがあるのだが、小さなパーツまでカラーキー(色合わせ)されているのだ。 なかでも「コーラルピンク」というキラキラした薄いピンク色の車体色をもつ車両は、ピンク基調の内装色。シートは紫がかったピンクと、オフホワイトの組合せ。スイッチ類は少し黄味がかったシルバーだ。ブラックの内装だとここはブラック。 この徹底ぶりには感心。内装は、コストを反映する部分で、日本車だと特にこのところ、ちょっと手を抜いてるかなーと思うケースもあった。それがこのコンパクトなハッチバックで、というのに私は感心したのだ。 しかもというべきか、よくわからないけれど、シート材質は「ビーガンレザー」。ビーガン内装とは最近欧米で使われる用語で、意味するところは、本当の動物の皮革の不使用。 疑似レザーのほうがコストが高い場合もあって、メーカーによってはビーガン内装だと、プラスアルファのオプション料金を支払う必要がある。ちゃんとトレンドも押さえているのだ。 前席左右は電動調節式。シートヒーターもついている。エアコンのフィルターはPM2.5対応と、まるでたとえばボルボ車の解説を書いているような気になる装備の充実ぶりではないか。 ダッシュボード中央の12.8インチの液晶モニターは、ふだんは橫でも、スイッチで90度回転させればiPadのように縦で使える。ATTO 3でも導入されていた装備だ。小細工だということも出来るけれど、ユーザーはこういうところもなんとなく嬉しいだろう。 もし自分がドルフィンを買うときはどんな仕様にするだろう……と考えると、たしかにブラックとかブルーは無難だけれど、ピンクっていっそのこといいかもしれない、と思ったりする。 Vol. 3へ続く BYD DOLPHIN Long Range 全長:4,290mm 全幅:1,770mm 全高:1,550mm ホイールベース:2,700mm 車両重量:1,680kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:138Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:476km(WLTCモード) 最高出力:150kW(204ps)/5,000-9,000rpm 最大トルク:310Nm(31.6kgm)/0-4,433rpm バッテリー総電力量:58.56kWh モーター数:前1基 トランスミッション:1速固定式 駆動方式:FWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット リアサスペンション:マルチリンク フロントブレーキ:ベンチレーテッド・ディスク リアブレーキ:ソリッドディスク タイヤサイズ:前後 205/55R16 最小回転半径:5.2m 荷室容量:345-1,310L

TAG: #BYD #コンパクトカー #ドルフィン
BYDドルフィンのフロントビュー
TEXT:小川フミオ
BYD「ドルフィン」は日本製EVの脅威となるか。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗

コンパクトSUV「ATTO 3」を携えて、いよいよ本年日本での本格展開をスタートしたBYD。彼らが送り込む第2のモデルが、コンパクトハッチバックタイプの「ドルフィン」だ。2023年9月20日より販売を開始する小さな“刺客”は、いかなる実力を備えているのか。自動車ジャーナリスト・小川フミオがいち早くプロトタイプに試乗した。価格に関する記事はこちら。 フォルクスワーゲン ゴルフに近いサイズ感 BYDが「ドルフィン」なるBEVハッチバックを、2023年9月20日から日本で発売する。このリポートはひと足先に「プロトタイプ」(発売前のモデルをそう呼ぶこともある)に試乗してのものだ。 ひとことで乗った感想を書くと、驚いた。驚いただけでは、やっぱり、短すぎる。驚いた理由は、期待以上によく出来ていたからだ。快適で、操縦性が高く、利便性も高そうだ。 ドルフィンは、全長4290mm、全幅1770mm、全高1550mm。近い数値のクルマを探すと、フォルクスワーゲン・ゴルフが全長4295mm、全幅1790mm、全高1475mmだ。 ゴルフと比較すると明確にわかるのは、ドルフィンは全高が高く、ハッチバックというよりSUV的な、いわゆるクロスオーバー車型であることだ。 電気モーターをフロントに搭載した前輪駆動方式で、ドライブトレインがコンパクトにできるBEVゆえパッケージングに秀でており、ホイールベースはゴルフより80mm長く2700mmもある。 BYD車は、駆動モーター、トランスミッション、DC-DCコンバーター、モーターコントロールユニット、車両コントロールユニット、オンボードチャージャー、バッテリーマネージメントシステム、高圧配電モジュールをまとめた「8-in-1電動パワートレインシステム」を採用。そのメリットとして、メーカーでは「重量は15%、体積は20%低減し、空間効率の最大化を実現」したとしている。 「e-プラットフォーム3.0」と呼ばれるシャシーに、BYDが独自開発したブレードバッテリーという薄いセルを集めたバッテリーパックを敷き詰めるようにして搭載。 ブレードバッテリーは、熱安定性の高いリン酸鉄リチウムを使っていて、「熱安定性の問題を解決している」と、BYD。 ちなみに、2023年1月に日本導入された初のBYDモデルである「ATTO 3」は、全長が4455mm、全高が1615mm、ホイールベースが2720mmと、ドルフィンより大きい。 ドルフィンのメリットは、数値からわかるとおり、よりパッケージングの効率がいいことと、立体式駐車場にも入れられるところにある。シャークアンテナの形状を変更して、1550mmに全高を抑えているそうだ。

TAG: #BYD #SUV #コンパクトカー
TEXT:西川 淳
「EQE SUV」を含むEQシリーズは現時点で最も秀逸で“ベンツらしい”モデル[メルセデス・ベンツEQE SUV試乗記]

西川淳氏による「EQE SUV」のインプレッションも最終回を迎えた。前回に続き高速道路を試乗した。走り終えた西川氏は、クルマ選びのポイントやメーカーの在り方についても想いを馳せる。   “最上級ステータス”以外は全てある  要するに「最上級でなければ嫌だ!」という見栄を張らずともいいという方であれば、セダンにしろSUVにしろ、EQEを選んで間違いはないということ。ステータス性以外、全ての面でそれはEQSに等しいと言っても過言ではないから。昔からEクラス級がメルセデスの乗用車ラインナップにおいて中核であることのそれは証でもあった。 そのことは「EQE 350 SUV」を高速道路へと導くといっそうよく理解できることだろう。力強さと心地よさを高いレベルで両立した走りは「EQS SUV」に比べてなんら劣らない。特にドライバーにとっては、流れる景色と身体に感じるテイストにほとんど違いはない。首都高速の継ぎ目を心地よくいなしつつ、カーヴにおいては些かの不満も感じさせず、リア操舵によって直進安定性は極めて高く、もちろんここイッパツのスムースな加速に不満もない(EVらしい爆発的な加速を望む向きには「AMG53」がオススメ、というのもこれまでと同様だ)。 道中に充電不安の尽きないBEV(バッテリー電気自動車)でありながら、従来のエンジン付きメルセデスと同じくきっと長距離ドライブに最適という予感が生じるのは、これまで試乗した上級のEQシリーズ全てに共通する魅力である。 結局のところ、ICE(内燃機関)だからBEVだから、ではなくて、クルマそのものの魅力がユーザーの期待にどれだけ応えることができるか、どれだけ不安を超える魅力を提案できるか、がクルマ選びの本当のポイントである。筆者のガレージには未だ200V口すらなくてBEVを持つ環境ではないし、またインフラへの不安もまだまだあると思っている方だけれど、それでも欲しいと思えるBEVが昨今ちらほら現れ始めた。クラシックカーやスーパーカーと同様に、買うためのハードルは一般的な乗用車に比べると(個人的には)高いと言わざるを得ないけれど、それを超える魅力が新しいBEVモデルの中に出始めたというわけだ。EQEシリーズなどはその一つである。

TAG: #EQE SUV #メルセデス・ベンツ

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