パッドやローターは交換せずに済むことも
電気自動車(EV)も、公道を走るクルマである以上、定期点検や車検は必要だ。
とはいえ、整備内容や交換部品など、エンジン車に比べ部品点数や消耗品の少なさもあり、整備金額はエンジン車に比べ抑えられるといわれている。
象徴的なの、エンジンオイルという定期的な交換項目がないことだ。昨今のエンジンオイルは化学合成油なので、約1万kmまで交換せずに済む。とはいえ、四季を通じて温度差が大きいと1万km未満の走行距離でも交換を勧められる場合がある。
ほかに、ブレーキパッドは、エンジン車もEVも必要だが、EVは減速に際し回生というブレーキ効果があるので、いわゆる油圧でパッドをローターに押し付けるブレーキ機構を利用する機会が減る。結果、パッドやローターの減りが抑えられる。もしかすると、買い替えまで交換せずに済む人もいるかもしれない。
一方、あまりにブレーキを使わないと、長い期間駐車したまま置かれたあとには、パッドとローターが密着し、次に走るときの動き出しで、パッドとローターがはがれるショックが出るかもしれない。いったん走り出せば、走行に支障はないと思うが、かすかな振動を感じ続けるようであれば、ローターの錆具合など点検してもらうといいかもしれない。
次に、長期間乗ったエンジン車の場合、排出ガスを浄化する触媒性能が劣化する。そこで、かなりの距離を走ったエンジン車では、触媒性能の確認が必要だ。あるいは、消音マフラーが錆などから穴が開き、音漏れすることもあり得る。そうした排気系の劣化があれば、交換することになる。
ただ、EVでも、長距離を走り込んだ場合は、駆動用のリチウムイオンバッテリーの劣化が考えられる。その際の交換費用はかなりの金額になるはずだ。しかし、中古バッテリーの再利用で高い性能を維持したものに交換することも、一部車種では不可能でない。これを利用すると、新品バッテリーの半額近くで済むのではないか。
同時にまた、近年のリチウムイオンバッテリーは劣化がそれほど進まないとされており、新車で購入した場合は、バッテリー交換の心配をほぼせずに済むのではないか。
そのためにも使い方が大切だ。可能な限り200V(ボルト)での普通充電を基本とし、高電圧での急速充電は遠出などで必要なときのみに限るとよい。