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「EVは中古価格の落ち込みがヤバい」は過去に引き摺られすぎ! 今後はバッテリーの劣化問題もますます解消へ向かう


TEXT:山本晋也 PHOTO:WEB CARTOP/Mercedes-Benz
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EVのリセールバリューを実際の相場から考える

2025年現在、EVといえば「リセールバリューが悪い」ことがクルマ好きの間では定説となっている。たしかに、日産リーフ(初代)や三菱アイミーブといった初期国産EVのリセールバリューは良好とはいえない中古車相場で流通している。新車時400万円前後の価格設定だったリーフが、いまでは50万円以下で流通しているのは事実だ。

しかし、それをもってEV全般の評価としていいのだろうか、という疑問も湧いてくる。そこでEV黎明期に登場したモデルが、10年後にどのような中古車相場を形成しているのか見てみたいと思う。

サンプルとしてテスラのフラッグシップ「モデルS」をピックアップしてみよう。

テスラといえば、グリルレスのフロントマスクが特徴といえるが、じつは2014年に日本上陸したモデルSの初期タイプにはフロントグリル的な意匠が与えられていた。このフロントマスクで販売されていたのは初期の1~2年であったので、グリルのあるモデルSがどのくらいの価格帯で取引されているのかを調べれば、モデルSのリセールバリュー(≒残価率)が見えてくるだろう。

初期型のテスラ・モデルS

結論からいえば、初期型モデルSの中古車相場は、おおよそ200万~400万円になっている。10年以上前の中古車が数百万円で取引されているのだから、「テスラは残価率が高い!」と思ってしまいそうだが、そう単純な話でもないだろう。なぜなら、モデルSの新車時価格は1250万~1550万円だったからだ。店頭価格で計算しても残価率は20%前後となる。

それでは、同年式で高価格帯の輸入車(エンジン車、ハイブリッド車)はどうなっているのだろうか。たとえば、メルセデス・ベンツのフラッグシップである「Sクラス」は、いわずもがな新車価格が1000万円を超える高級車だが、同じく2014年式の中古車相場を見ると200万~400万円の店頭価格で流通している。

メルセデス・ベンツとテスラだけを比較して結論を出すわけにはいかないだろうし、中古車はすべてコンディションが異なるため、店頭価格だけでリセールバリューを評価することもできないのだが、2014年式のテスラ・モデルSとメルセデス・ベンツSクラスだけで比べると、ユーザーの肌感でいえば、同じような価格帯で入手でき、新車価格と比べると同じようなリセールバリューに落ち着いているといえそうだ。

2014年式のメルセデス・ベンツ Sクラス

もちろん、この2台を比較しただけで一般論にすることはできないと思う。それでも、冒頭で記したように、「EVはEVであるだけでリセールバリューが悪い」と決めつけるわけにはいかない結果といえる。エンジン車もEVも、新車から10年以上経てば、同じように価値を下げていくのだ。

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