日本で電気自動車と言ったらこの日産「リーフ」を外す訳にはいかない。伝統あるこのクルマは最新の海外ライバル、ヒョンデ「アイオニック5」とテスラ「モデルY」に対してどんな得手・不得手があるのだろうか。今回の[TET消費者派チェック]の概要はこちら。アイオニック5の回はこちら。モデルYの回はこちら。 乗る前に考えたこと EVに求めるものというのは人それぞれで、先進的なデザインやパッケージングを求める人もいれば、親しみのある従来のエンジン車に近いカタチを求める人もいると思う。リーフは後者の最右翼で、目を見張るような新しさはないが、反対に、長く親しんできたモノに宿る安心感のようなものがある。この安心感、親しみ、ホッとする感じ。これはひとつの大きな魅力として挙げられるだろう。なんでも尖っていればいいというわけではないと思うのだ。 電費 あくまでも今回我々が設定した区間での計測という前提だが、事前の予想では車重が一番軽いこと(モデルYとは320kg差、アイオニック5とは420kg差)かつ、全高と全幅も一番小さいこと(=前面投影面積が小さい)、2輪駆動のFWDであることから、電費はリーフが圧倒的な大差をつけるかと予想していた。 ※電費比較表:単位はkm/kWh、1kWhでどれほど走行できるか。数字が大きいほど電費が良い。 しかし結果は80km/h巡航が3位、100km/h巡航は2位だった。Cd値(空気抵抗係数)は2番目であることも考えあわせると、ともに2022年登場のライバルとはやはり基本設計の差が出たのだと考えられる。実際に交流電力消費率はリーフが一番大きい(=電費が悪い)ので、不利だった面は否めない。3代目リーフに期待したい。 Cd値:リーフ 0.28、アイオニック5 0.32、モデルY 0.23 交流電力消費率:リーフ 161、アイオニック5 142.4、モデルY 150(単位はWh/km、1km走るのにどれだけ電力を消費するか) パッケージング 全高とホイールベースが最小のリーフには分が悪かった。前席ヘッドクリアランスは5cmを確保できたが、後席は天井に頭がつっかえてしまった。後席膝前は19cmと足を組めるほどの余裕はある。 全長が一番短いこともあり荷室も一番小さかった。そして土手(荷室とバンパーの高さの差)が22cmもあるので、荷物の積み降ろしも一番しづらいが、あくまでも今回のライバルと比較したからの結果だ。容量自体は435Lを確保している。なおフランク(ボンネット下の荷室)は用意されていない。 運転してわかったこと 乗る前に感じた印象は、運転した感想と重なる。新世代感の漂う他2台は、乗ると確かにワクワクする。リーフにはそのワクワク感は薄いが、乗り込んだ途端、そして走らせても、“いつも通りの雰囲気”というか、家に戻ってきた時のようなホッとする安心感がある。この安心感は嫌いじゃない。いつも自分の側にあって、道具のように当たり前に使える感覚。そのうえ進化を重ねた機械としての信頼感もある。例えば毎日の移動や、仕事の足として使うような用途には向いていると思う。
メーカー別インタビュー記事