EVヘッドライン 記事一覧

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ヤマト運輸など、FCEV大型トラックの実証実験を開始……デイリーEVヘッドライン[2023.05.19]

ヤマト運輸/アサヒグループ/ネクスト・ロジスティクス・ジャパン/西濃運輸の計4社が参画する大規模実証 短時間充填が可能な水素は物流に有効と判断 【THE 視点】ヤマト運輸/アサヒグループジャパン/西濃運輸/ネクスト・ロジスティクス・ジャパンの4社は5月17日、FCEV(燃料電池車)大型トラックの走行実証を開始すると発表した。FCEV大型トラックの走行は日本初だという。 本実証には、トヨタ自動車と日野自動車が共同開発した車両(「日野プロフィア」がベース)を使用する。各社の実際の輸送業務及びルートに使用し、水素燃料活用の可能性と実用性の検証を行う。 実証に用いるFCEV大型トラックの航続距離は約600km。トヨタの技術をベースに大型車用に最適化した燃料電池(FC)を2基搭載。高圧水素タンクも新開発のものを6本、さらに来年予定されている高速水素充填規格にも対応可能な水素充填口を装備している。 発表内容によれば、国内商用車全体の温室効果ガス排出量は、全体の約7割を大型トラックが占めているとのこと。特に幹線輸送に使われる大型トラックは、十分な航続距離と積載量、短時間での燃料供給が求められるため、エネルギー密度の高い水素を燃料とするFCが有効であると判断したようだ。 当初、この実証試験は2022年春に開始と発表されていたが、1年遅れての出発となった。時を合わせたかのように、いすゞとホンダもFCEV大型トラックの共同実証を先日発表している[詳細はこちら]。これで日本国内でのFCEV大型トラックの開発が一気に走り出した形だ。 今回の発表で目に止まったのは、「高速水素充填規格」に対応することだ。車両が大型になれば水素充填量も多くなり、充填に時間が掛かるようになる。どれほど高速化するかは不明だが、もしかしたら国内レースの「スーパー耐久シリーズ」に出場している水素エンジンの「GRカローラ」を通して開発された急速充填技術が応用されているのかもしれない。 FCEVに乗る筆者は水素充填の際に、先行するFCEVバスの充填完了を20分待ったことがある。それが緩和されるということで、FC界隈の技術開発の進化を実感した。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、東京都江東区に納車拠点「Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲」をオープン……「A PIT オートバックス東雲」内に開設、試乗や購入相談も可能[詳細はこちら<click>] ★★ボードリー、自動運転レベル4(運転者を必要としない自動運転)対応のEV「ミカ」を国内導入……茨城県境町が2023年度中に導入、障害物回避機能も搭載 ★★東京R&D、FCEVスポーツコンセプトを「人とくるまのテクノロジー展」にて公開……「VEMAC RD200」の次期型を想定 ★ジヤトコ、トランスミッション付きのモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)を「人とくるまのテクノロジー展」にて世界初公開……並行軸タイプのイー・アクスルも ★テラモーターズ、栃木県那須塩原市にEV充電器を大規模導入……市役所や黒磯公民館など公共施設を中心に計100基 ★ステランティス、空飛ぶクルマに出資……全電動垂直離着陸(eVTOL)機開発のアーチャー・アビエーションに最大1億5,000万ドル ★ボルボ、「EX30」の安全機能を一部公開……ドア開放時に警告音、後続の自転車とのドアの接触を防止 ★BMW、EV船「THE ICON」を「第76回カンヌ映画祭」にて発表……走行中は船体が浮き上がる水中翼船方式、最高速度は55km/h ★NITTOKU、モーター一体型駆動装置(イー・アクスル)用ヘアピンモーターの生産ラインを受注……中国のモーターメーカーより20億円分 ★ヒョンデ、「Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲」で試乗会を開催……5月20日(土)・21日(日)の2日間、「アイオニック 5 ラウンジAWD」と「同リミテッド・エディション」を用意 ★テスラ、軽井沢で試乗会を開催……5月27日(土)・28日(日)に「軽井沢・プロンスショッピングプラザ」<長野県軽井沢町>にて、「モデルY」「モデル3」を用意 ★アイシン、「イー・アクスル」や「回生協調ブレーキ」などを「人とくるまのテクノロジー展」に展示 ★ヤマハ、「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」を再現したレンタルサービスを実施……TV番組と同カラーリングの「E-ビーノ」とヘルメットを貸し出し、代官山エリアと伊豆大島で展開 ※ 「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」……パシフィコ横浜(横浜市西区)にて5月24日(水)〜26日(金)に開催

TAG: #THE視点 #商用EV #燃料電池車(FCEV)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
トヨタ/ダイハツ/スズキ、軽自動車規格の商用EVバンを共同開発……デイリーEVヘッドライン[2023.05.18]

小型車企業がタッグを組み普及を加速 軽バンは日本の商用EVの強みとなるか 【THE 視点】トヨタ/ダイハツ/スズキは、3社共同開発の軽商用EVバンのプロトタイプを発表した。「G7広島サミット(主要国首脳会議)」と並行して行われる(一社)日本自動車工業会の展示イベントで実車を公開する。 この軽商用EVバンは、スズキとダイハツの小型車開発のノウハウと、トヨタのEV技術を持ち寄り共同開発。さらに商用EVの開発団体であるコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)も企画に参画することで、ラスト・ワンマイルの輸送に最適化したという。現在発表されている仕様では、最大航続距離が200km。生産はダイハツが請け負い、トヨタ/ダイハツ/スズキの3社が2023年度中に導入を目指すとのこと。 ダイハツの車体にスズキがバッジをつけることには驚いたが、この軽商用EVバンは今後競争が激化するカテゴリーであり、技術開発の加速や普及拡大のためには、これまでの垣根を超えたアライアンスは必然なのだろう。 三菱自動車も「ミニキャブMiEV」の再生産を開始し、ホンダも今年度より配送会社と実証試験を始め、来年には「N-VAN」ベースの量産EVを販売する計画だ。価格はホンダが100万円台を目指すと言っているが、200万円前後がこのジャンルの基準価格となると予想する。 ラスト・ワンマイルの配送には軽商用バンが最適なのは間違いない。日本の商用EV普及の鍵を握る重要なカテゴリーだと認識している。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★メルセデス・ベンツ、新型EV「EQV」の登場を予告……バンモデル「Vクラス」のEVモデル、2023年夏に発表[詳細はこちら<click>] ★★日産、充電サポートサービス「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム3」の利用料金を改定……日産のEVユーザー専用のサービスへ、1分単位の課金型に ★★EV用ワイヤレス充電が国内初の実用化……技研製作所が高知本社<高知市>にある超小型EV専用機械式駐車場「EVエコパーク」にて実証実験、ダイヘンのワイヤレス充電システムとトヨタの「C+Pod」を使用[詳細はこちら<click>] ★メルセデス・ベンツ、バンモデル専用のプラットフォーム「VAN.EA」を発表……2026年以降の中型・大型バンモデル全てに採用 ★ナビゲート、EV充電スポット検索アプリ「おでかけEV」をリリース……「iOS」「Android」双方に対応、有料会員登録でポイント獲得・交換も ★武蔵精密工業、ベトナムのEVスタートアップ企業「Son Ha Group」と協業……武蔵製のEVユニットを提供、ベトナム国内でEVバイクを開発 ★国際航業、パイオニアとV2H(EVの電力を家庭で利用可能にする機構)系のサービスで連携……国際航業のEV・V2H経済効果試算ツールと、パイオニアのEV消費電力推定技術を連携させ、高精度なEVの電力管理が可能に ★ヤマハ、EVトライアルバイク「TY-E2.1」を実戦投入……「FIMトライアル世界選手権 第3戦日本グランプリ」に出場、ライダーは黒山健一選手 ★アメリカ新興のルーシッド、ローンおよびリース契約の申し込みを開始……リースの場合1,299ドル(約17万7000円)/月(エア・ツーリング)から ★東陽テクニカ、モーターエミュレーターを「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」<パシフィコ横浜(横浜市西区)/5月24日(水)〜26日(金)>に出展……インバーター開発向けのモーターのシミュレーター ★ヴァレオ、EVバイク「eMotorBike」を「人とくるまのテクノロジー展」に出展……48Vの駆動システムを搭載、最高出力は原付二種同等の9.5kW(13ps) ★ブレイズ、「憩の森マルシェ」<大高緑地公園 若草山芝生広場(名古屋市緑区)/5月21日(日)>に出展……「ブレイズ・スマートEV」など展示、試乗も可能 ★日産、千葉県とEV活用で包括連携協定を締結……「ブルー・スイッチ」施策で、災害時のEV活用など ★経済産業省、電力会社の値上げ申請を認可……北海道電力/東北電力/東京電力/北陸電力/中国電力/四国電力/沖縄電力の計7社が電気料金を値上げ

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
CJPT、東京都で500台規模の商用EV(電気自動車)・FCEV(燃料電池車)を実装へ……デイリーEVヘッドライン[2023.05.17]

BEV・FCEVを大規模投入し課題を洗い出し 流通大手15社が参画しノウハウを蓄積 【THE 視点】トヨタやいすゞなどが参画する次世代エネルギー商用車の開発団体「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)」は5月15日、東京都内において商用EV普及に向けた大規模な社会実装を実施すると発表した。この施策に投入される商用のEVおよびFCEVは500台以上を予定している。 カーボンニュートラル社会の実現に向け、東京都や荷主・物流事業者とともに、CO2排出量が多い商用分野において、EVの普及に向けた社会実装を開始する。運行管理と一体となったエネルギーマネジメントによって社会コストの低減を目指すという。 商用EVの導入にあたっては、車両購入に加え充電および水素充填などによる荷物・クルマの停滞(ダウンタイム)や、充電タイミングの偏りによる事業所電力ピークの増加など、社会全般の負担が増大するという課題がある。 今回の「東京プロジェクト」では、国内最大規模の社会実装として、都内に順次500台以上の電動車を導入。事業者の充電・水素充填タイミングと配送計画を最適化することで、稼働の穴を作らない効率的な運行を目指し、多数のパートナーと共に課題解決を目指す。また、持続可能な商用EVの実装モデルをつくり、全国への展開も進めていくという。 今回発表された国内最大規模の電動商用車による社会実装は、導入車両が500台以上と筆者の想像以上の規模だ。具体的には、FCEV大型トラックが約50台、FCEV小型トラックが約190台、EV小型トラックが約210台、EV商用軽バンが約70台と発表されている。この実証には運送業者をはじめ、コンビニ・通販・飲料メーカーなど15社あまりの大手企業が参画している。 商用EVの運用にあたっては、インフラに依存するところが大きく、今回はそれを見据えての実証なので相当な運用ノウハウが得られることになるだろう。実証の規模は非常に大きいので、この取り組みにより日本でもようやく商用EVの普及につながる予感がする。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、「アイオニック5」のアップデートモデルを発売……100台限定の「アイオニック5・ラウンジAWDリミテッド・エディション」も登場[詳細はこちら<click>] ★★コマツ、FCEVの中型油圧ショベルを開発……トヨタの燃料電池システムを搭載、5月よりコンセプトマシンにて実証実験を開始 ★★パワー・エックス、最大120台のEVを同時充電可能なシステム「ハイパーチャージャー・フォー・フリート」を発表……商用EV向けに展開、運行計画に基づく充電計画なども自動生成 ★★カワサキ、小型電動モビリティ「noslisu(ノスリス)」シリーズを発売……前二輪の三輪車、電動アシスト自転車タイプから原付一種扱いのフル電動タイプも用意 ★★アークエルテクノロジーズとニチコン、V2H(EVの電力を家庭でも使用可能にする機器)システムで協業……ハードウェアの「EVパワー・ステーション®」とソフトウェアの「AAKEL eFleet」を連携、EVの充放電を遠隔で操作可能 ★★グリーンチャージ、従量課金型EV用急速充電器を発売……非会員制でkWh単位に課金、最高出力50kWh[詳細はこちら<click>] ★ヒョンデ、車両点検プログラム「ヒョンデ・アシュアランス・プログラム」を日本で開始……新車登録から3年間の車検と点検等をサポート[詳細はこちら<click>] ★ボルボ、EVトラック向けのARアプリをリリース……トラブル時の緊急対応をアプリがガイド、ルノー・トラックやマック・トラックなどグループ内にも展開 ★新生ランチア、ヨーロッパで最初の小売業者を任命……2024年上半期までにイタリア国外で70都市70業者を指名予定 ★三ッ輪ビジネスソリューションズ、ポータブル電源から電動ランドカーに充電可能なケーブルを開発……ヤマハの電動カートとエコフローの大型ポータブルバッテリーを使用し実証実験 ★ヤマハ、電動モビリティ向けレンジエクステンダーを開発……最高出力88kW(120ps)の直列3気筒エンジン、次世代燃料にも対応 ★オンセミ、フィンランドのKempowerと提携……オンセミのパワー半導体を供給 ★ドイツ連邦政府、ノースボルトのバッテリー工場建設を支援……ドイツ・ハイデにギガファクトリーを建設、年間生産量は60GWh ★南海電設、「第71回電設工業展 JECA FAIR 2023 」<インテックス大阪(大阪市住之江区)/5月24日(水)〜26日(金)>に出展……日東工業ブース内においてEV充電サービス「チャージコネクト」など展示 ★ブレイズ、「FIELDSTYLE JAPAN 2023」<AICHI SKY EXPO 愛知県国際展示場(愛知県常滑市)/5月20日(土)・21日(日)>に出展……「ブレイズ・スマートEV」「ネクストクルーザーEV」など展示 ★伊予鉄グループ、EVバスの運転体験会を開催……「伊予鉄グループ職場見学ツアー」<伊予鉄バス 松山斎院営業所(愛媛県松山市)/5月30日(火)・6月11日(日)>にて、普通自動車第一種免許保持が条件 ★旭化成、EV関連品を「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」<パシフィコ横浜(横浜市西区)/5月24日(水)〜26日(金)>に出展……新素材を用いた多機能バッテリーカバー部品等を展示

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
いすゞ、ホンダとともにFCEV大型トラックを開発……デイリーEVヘッドライン[2023.05.16]

ホンダの燃料電池をいすゞの大型トラックに搭載 大型車対応の水素ステーションの整備にも期待 【THE 視点】いすゞ自動車は5月15日、大型のFCEV(燃料電池車)トラックの燃料電子システムの開発・供給パートナーを本田技研工業(ホンダ)に決定し、両社で基本合意書を締結したと発表した。このFCEV大型トラックは、2027年をめどに市場に導入予定だという。 両社は、2020年1月にFCEV大型トラックの共同研究契約を締結し、燃料電池の大型トラックへの適合性や車両制御など基礎技術基盤の構築を進めている。 モニター車を使った公道での実証実験を2023年度中に開始予定で、共同研究で得られた経験や知見を市販車へとフィードバックし、FCEV大型トラックの実用性を高めていくという。 実は今年3月に行われた「FC-EXPO」のホンダのブースでは、既にこの写真の大型トラックの走行シーンがムービーで流れていた。 筆者もFCEVに乗るが、FCEVは何といっても充填時間の短さが大きなメリットだ。EVの急速充電と比較して単純計算で1/10程度の時間で済むだろう。特に大型トラックになれば、大容量の電池を搭載するEVに比べればはるかに短い時間で水素を充填できる。そのため物流業界では、FCEVとの相性が良いと思われる。 トヨタは先日、アメリカやオランダの大型トラックメーカーとFCEVトラック開発で提携を発表したばかりだが、日本国内ではホンダがいすゞをパートナーにした。燃料電池の業界では、アライアンスが欠かせないようである。あとは、大型車に対応した水素ステーションの整備が課題となるだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★アウディ、全国のホテル・旅館にEV充電器(アウディ純正の最高出力8kWタイプ)を設置へ……「全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会」とパートナー契約、2023年末までに50ヶ所計100基のEV充電器を無償で導入[詳細はこちら<click>] ★★DMM、EV充電事業に参入……「DMM EV CHARGE」を開始、商業施設・宿泊施設・公共施設・マンション等で開始、設置費用無料のプランや売電プランも用意 ★CJPT、東京都で商用電動車普及に向けて大規模な社会実装……EVやFCEVの商用車を500台導入、充電タイミングなども検証 ★BMW、製造設備に電気加熱硬化炉を導入……従来のガスから置き換えCO2を削減、EVの需要と製造規模の拡大にも対応 ★リョービ、「人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA」に出展……EV向けのイー・アクスル・ケース/バッテリー・ケース/モーター・ケースなど展示 ★ユビ電、東急不動産の新築分譲マンション「ブランズ千代田富士見」<東京都千代田区>のEV充電サービスに「WeCharge」が採用……38%の区画にEV用充電器を実装 ★パナソニック、パワー半導体の発熱影響を緩和する部品を発表……高熱伝導性多層基板用フィルム「R-2400」を開発、電源部・駆動部の小型・軽量化にも寄与

TAG: #THE視点 #商用EV #燃料電池車(FCEV)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
国土交通省、道路上のEV充電器設置に関するガイドラインを公表……デイリーEVヘッドライン[2023.05.15]

道路へのEV用充電器設置の基準を明記 充電器設置の加速につながるか 【THE 視点】国土交通省道路局は5月12日、「電気自動車等用充電機器の道路上での設置に関するガイドライン」を公表した。 道路上に急速充電機器が設置される場合に、道路管理者が道路占用許可申請等の審査の参考とするために策定した。 本ガイドラインでは、電気自動車等用充電機器(充電機器)の道路区域内での設置のうち、一般交通に対する影響に留意が必要な車道に近接した場所に充電機器を設置する場合において、道路占用許可申請等を審査する際の参考とする事項などが明記されている。 設置にあたっては、自動車・自転車・歩行者等の安全かつ円滑な交通を確保することを前提とし、道路上の長時間の駐停車を避けるために急速充電機器を対象としている。 これまでも、横浜市などでは公道に急速充電器を設置して実証試験を行ってきたが、期間が限定されていた。今回のガイドラインの公表により、今後公道での急速充電器の設置が加速すると思われる。 海外では、既に公道のスペースを活用して、EV用充電器の設置が進んでいる国もある。ようやく日本も追いついた形だ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★テスラ、「モデルS」「モデルX」を受注再開……2023年8月末に納車予定[詳細はこちら<click>] ★★ホンダ、SUVの新型EV「e:Ny1」を発表……2023年秋に欧州で発売[詳細はこちら<click>] ★★クプラ、新型EV「ラヴァル」を発表……都市型のコンパクトSUV、2025年から生産開始 ★日産、EV戦略のシニアディレクターを任命……女性のトリシャ・ユング氏が就任、インフィニティUSAのモデルライン・プライシング&インセンティブのディレクターを経験 ★BMW、「i7 M70 xDrive」がスクリーンデビュー……短編映画「The Calm」の劇中でアクションを披露、「第76回 カンヌ映画祭」で公開 ★経済産業省、レベル4の自動運転を国内初認可……福井県永平寺町にて実証実験、ヤマハの電動カートをベースに電磁誘導方式を採用 ★飛鳥交通、EVタクシーを180台導入……東京都多摩地区・神奈川地区・埼玉地区に配備、災害時には電源供給も視野 ★ボルボ、「EX90」の生産開始時期を調整……2024年上半期開始の予定 ★メルセデス・ベンツ、ドイツ・フランクフルトの清掃業者にEVトラックの収集車「eエコニック」を引き渡し……8台の契約中6台を納入、最大容量112kWhのバッテリーを3つ搭載 ★メルセデス・ベンツ、ドイツ・ボンの物流業者にEVトラック「eアクトロス」を納入……水冷のモーターを2基搭載、最高出力は400kW(544ps) ★メルセデス・ベンツ、ドイツ・ブレーメンの交通機関とEVの連接バス「eシターロ」を35台を納入契約……バッテリーの総容量は686kWh[詳細はこちら<click>] ★ホンハイ・テクノロジーズ、インフィニオン・テクノロジーズとEV開発で協業……台湾に開発センターを設立、炭化ケイ素(SiC)などの開発を加速 ★双日、ノルウェーのEVマルチ・ブランド・ディストリビューターへ出資参画……「ポンゴAS」の株式49%を取得 ★鉄道メーカーの総合車両製作所、EVの車両輸送用牽引車を2台導入……経年50年のディーゼル機関車を置き換え、新造列車出荷に使用

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ファミリーマート、配送用FCEVトラックを30台導入へ……デイリーEVヘッドライン[2023.05.12]

FCEVトラックによるコンビニ配送が拡大 6年の継続運用を実施する大規模実証 【THE 視点】ファミリーマートは、小型FCEV(燃料電池車)トラックを使用した配送の実証実験を、5月15日から福島県郡山市にて、同16日から東京都府中市・調布市を中心とした店舗で実施する。 6月以降は、東京都八王子市/日野市/江戸川区葛西を中心とした店舗配送でも開始する。さらに、2025年度までに東京都と福島県にて、FCEVトラックを約30台に拡大する予定だ。 実証に使われるトラックは、ローソンも導入した「いすゞ・エルフ」をベースにしたFCEV小型トラック(最大積載量3トン)で、航続可能距離は約260km(JE05モード相当)。 今回の走行実証は、お弁当やおむすび、サンドイッチなどの中食を中心とした1日3便の店舗配送コースで実施するという。 先日の5月09日付けのEVヘッドライン内、ローソンのFCEVトラックの記事[詳細はこちら]でも触れたが、コンビニ配送は1日3便が平均的な回数だという。 決められた配送に間に合わせるためには、バッテリー式のEVトラックでは、十分な充電時間が取れないケースもある。それを見越してのFCEVの導入実験であると推測されるが、30台という数は、実験の範疇を超える規模だ。 走行実証は、各車両とも実運用開始から6年間継続して実施する予定。プロの現場で長期間使用することで、耐久性などの課題が洗い出せ、国産FCの技術力の底上げにつながるのではないだろうか。 またファミリーマートは、すでにEVトラックの実証を昨年から行っていたり、敷地内への充電器の設置も最大700店舗まで拡大するなど、電動化に非常に積極的である。 今回のFCEVトラックの取り組みは、コンビニ業界のみならず、小売業全体の配送に好影響を与えることができると非常に期待している。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ホンダとGSユアサ、合弁契約の締結で新会社「株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&D」を設立……リチウムイオン・バッテリーの開発と生産を推進 ★ボルボ、EVの高級SUV「EX90」にバウアー&ウィルキンスの高品質オーディオを採用……オーディオ専門のエンジニアが車両に最適化、25個のスピーカーによる3Dサラウンド ★HIOKIとマクニカ、自動運転EVバスの実証実験……HIOKI本社工場(長野県上田市)にて運行準備を開始、上田市ほか上田バスなどの交通機関も協力 ★モーション、EV導入計画を支援する自治体・法人向け「EVシフトシミュレーションサービス」を開始……車種とバッテリーのサイズについても指南 ★テスラ・オーナーズ・クラブ・ジャパン(TOCJ)、全国ミーティングを開催……5月28日(日)、「かずさアカデミアホール」 <千葉県木更津市>にて ★日産、北海道登別市や東京都武蔵村山市とEVの活用で連携……災害時発生時に避難所にてEVを無料貸与するなど ★秋田県内にて水素などのサプライチェーンを構築へ……「あきた次世代エネルギーコンソーシアム」設立、秋田大学理工学部/秋田いすゞ/大日本コンサルタントなど計7社が参画 ★小型近距離電動モビリティのウィール、全国の「WHILL」取り扱いディーラー100社とアライアンスを締結……統一の手引を設けて免許返納の高齢者をサポート、元プロレスラーの武藤敬司さんと長州力さんも愛用をアピール

TAG: #THE視点 #エルフ #燃料電池車(FCEV)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
アルピーヌ、EVのホットハッチ「A290_β」を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.05.11]

「グループB」のマシンを彷彿とさせるデザイン サーキット走行をこなせるホットなEVを目指す 【THE 視点】アルピーヌは5月9日、EVのホットハッチモデル「A290_β」のコンセプトモデルを発表した。アルピーヌ新時代の最初のクルマと位置付ける。 「A290_β」にて、モータースポーツの伝統と本質を見直し、新たなセグメントに挑戦するという。モータースポーツに適したデザインと技術を用いることで、サーキット走行にも適するエキサイティングなEVを目指す。 ちなみにこのモデル名もアルピーヌの戦略が反映されている。特に「2」はBセグメントであること、「β(ベータ)」は、2024年の正式発売までの中間段階の意味があるという。 公開された写真では、ハンドルがセンターに配置されていることが確認できる。先に発表されている「ルノー5」のプロトタイプでは左ハンドルの前輪駆動だった。 2024年の量産モデルでは、センターハンドルが採用されるか、張り出したリアフェンダーが物語るように後輪駆動となるかはクエスチョンマークだ。しかしボディデザインは、古の「ルノー5 グループB」のマシンを彷彿させる。デザインだけでもこのままデビューして欲しいものである。いずれにせよとてもエキサイティングなEVの登場に胸が躍る。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★トヨタ、EV専門の組織「BEVファクトリー」を新設……「ワンリーダーの下、『開発・生産・事業』全てのプロセスを一気通貫で行うことで、スピーディーな意思決定と実行を実現」と発表、従来の「トヨタZEVファクトリー」は廃止 ★★トヨタ、今年秋に開催予定の「ジャパン・モビリティ・ショー2023」にてBEV専用の新型車両パッケージを発表すると予告 ★★メルセデス・ベンツ、EVの小型バン「EQT」を本国で発表……最高出力90kW(122ps)のモーターを搭載、価格は4万9,000ユーロ(約726万円)から[詳細はこちら<click>] ★★ブラバス、「メルセデスAMG EQS 53」のカスタマイズカーを本国で発表……22インチの専用鍛造ホイールなど装備 ★★トヨタ、トラックのFCEV化を欧州でも推進……トヨタ・モーター・ヨーロッパとオランダのVDL Groepが提携、2023年夏までに初号機を生産 ★★メルセデス・ベンツ、小型バンタイプの商用EV「eシタン」を本国で発表……最高出力90kW(122ps)、旅客輸送対応のモデル「eシタン・ツアラー」も用意 ★MINI、新型「エースマン」と「クーパー・エレクトリック」のデザインを一部公開……完全新設計のホイールや持続可能な素材を使用したステアリングなど[詳細はこちら<click>] ★メルセデス・ベンツ、約70%のCO2を削減できるアルミニウムの生産を推進……「EQS」と「EQE」に採用済み、次世代のEV用プラット・フォーム「メルセデス・モジュラー・アーキテクチャー」にも脱炭素アルミを採用予定 ★EVトラックのニコラ、イタリアのトラックメーカー「イヴェコ」と提携を強化……イヴェコがニコラの株を取得、イヴェコのパワートレイン技術を使用可能に ★「オールドMINI」のEVコンバージョンキットが登場……「ポルシェ911」などの電動化キットを手がける英国「エレクトロジェニック」が開発 ★テスラ、リチウムを自社生産へ……アメリカ・テキサス州に精製所を着工 ★テラモーターズ、埼玉県川島町にEV充電器「テラチャージ」を導入……川島町役場はじめ町内の公共施設9ヶ所に ★東京ガス、法人・自治体向けのEV導入支援サービス「チャージ・プランナー」を開始……関東エリアから順次サービスを拡大、太陽光発電や停電時の事業継続計画対応についてもサポート ★住友金属鉱山、車載バッテリー向け正極材を増産……別子地区と播磨事業所にて総額470億円の設備投資 ★ISレンタリース、「レクサスRZ」のレンタカーを導入……「RZファースト・エディション」を採用、2023年夏ごろから稼働予定 ★NECネッツアイなど、EV充電器の定額サービス「フューチャー・ステーション」を開始……NECネッツエスアイ/エレマテック/新電元工業/東京センチュリーの4社が提携、2023年までに1,500ヶ所へのEV充電器の設置を目指す ★BYD・フォークリフト・ジャパン、大型EVフォークリフトを発売……6t〜8t積みのモデルを3機種、5時間の連続稼働性能を実現 ★オートバイ用品店のナップス、イタリアのEV バイクメーカー「エネルジカ」の日本総代理店のエスターと提携……NAPS主催のツーリングイベント『Naps +E MOTO FES IN FUJI 2023』<5月13日(土)/富士北麓駐車場(山梨県富士吉田市)>にてエネルジカの最新モデルを展示・試乗 ★オンセミ、新型パワー半導体「1200V EliteSiC M3Sデバイス」を発表……高いスイッチング速度を実現、800VのEV向けオン・ボード・チャージなどのアプリケーションに対応

TAG: #THE視点 #アルピーヌ #コンセプトモデル
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ジェイテクト、遊星減速キャリア一体のイー・アクスル用小型デフを開発……デイリーEVヘッドライン[2023.05.10]

イー・アクスルの小型化・軽量化に貢献 前後2モーター式AWDでシェア拡大の可能性 【THE 視点】ジェイテクトは5月9日、モーター一体型駆動装置(イー・アクスル)に対応したディファレンシャル・ギア装置「遊星減速キャリア一体ジェイテクト・ウルトラ・コンパクト・デフ(JUCD)」を発表した。EV市場、とりわけイー・アクスルの需要拡大を見据えて開発された製品である。 「遊星減速キャリア一体JUCD」は、「遊星減速ピニオンギヤ」と「遊星減速キャリア」「超小型デフ(JUCD)」を一体化したもの。イー・アクスルの小型軽量化をはじめ、EVの航続距離の延伸にも貢献できるという。 本製品を使用することで、よりコンパクトなイー・アクスルが設計できるという。現在は、モーターとデフがオフセットしている「3軸式」が一般的だが、コンパクトな「遊星減速キャリア一体JUCD」を組み込むことで、それらを同軸上に配置でき装置全体を小型化できるとのこと。 具体的には、出力150kW級のイー・アクスル向けデフ単体としては、「JUCD」により約25mmのデフ幅の短縮効果がある。さらに遊星減速キャリアと「JUCD」を融合させることで、通常のデフと組み合わせた遊星減速キャリアに対して、約50mmの幅寸法の短縮と全体の小型化・軽量化を可能とした。 また、デフ・ハウジングを円筒形としてキャリア部と一体化し、トルク伝達時のハウジングの変形とバラツキを抑制することで、複数ある遊星減速ギアの歯当たりのバラツキをも改善し、減速機のノイズや振動の低減の面でも有利だという。 世界でEV化が進むと同時に、イー・アクスルのシェアも急拡大している。より優れたEVを開発するためには、優れたイー・アクスルが必要であろう。装置を小型・軽量化できる「遊星減速キャリア一体JUCD」は、激化するイー・アクスル市場において存在感を出せるはず。特に前後2モーター式のAWDでは、イー・アクスルの小型化は必須で、シェアは確実に拡大すると思われる。 ちなみにジェイテクトグループは、2021年にギアイノベーションセンターを開設している。今回の発表は、その成果のひとつと思われる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★イオンでEV電力買取サービス「V2AEONMALL」が開始……家庭で充電したEVを持ち込みイオンモールにて放電することでポイントを還元、「イオンモールアプリ」の標準追加機能としてリリース[詳細はこちら<click>] ★★ボルボ、新型EVが6月7日にデビューと予告……コンパクトSUV「EX30」が登場、同日から予約注文も可能に(本国発表)[詳細はこちら<click>] ★パワーエックス、完全子会社「PowerX Manufacturing(PXM)」を設立……バッテリー組み立て工場「パワーベース」のある岡山県玉野市にて設立、バッテリー製造事業の拡大と地元採用を加速 ★フィスカー、新型EV「オーシャンSUV」の量産第1号車を引き渡し……デンマークの顧客に、最大航続距離707km(WLTP)のSUV

TAG: #THE視点 #イー・アクスル #ジェイテクト
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ローソン、配送トラックに「いすゞ・エルフ」のFCEVを導入……デイリーEVヘッドライン[2023.05.09]

10分でBEVの充電1時間相当以上のエネルギーを充填 配送間隔の調整の必要がないFCEVはトラックにこそ有用か 【THE 視点】ローソンは5月2日、トヨタといすゞが共同開発した燃料電池車(FCEV)の小型トラックを、福島県本宮市と東京都大田区の配送センターに導入すると発表した。今回は各地区1台ずつの導入となる。 福島県の配送センターに、FCEVの小型トラックを導入するのは今回が初。ローソンは今後、FCEVによる配送エリアを順次拡大していくという。 車両は、いすゞの「エルフ」がベース。全長6.92mのボディに、最大積載量2,850kgを確保。航続距離は約260kmになるという。ローソンから直接の言及はなかったが、トヨタといすゞなどが参画する商用FCEVの開発団体「CJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」のロゴが車体側面に描かれている。 水素搭載量は約10kgということで、筆者が乗る「ホンダ・クラリティFUEL CELL」のちょうど2倍。充填時間は10分ぐらいと推定できる。この航続距離分をBEVの充電で考えると、おそらく急速充電を用いても1時間では終わらないはずだ。 FCEVの最大の特徴は充填時間の短さ。コンビニは1日3回配送を基本としているので、バッテリー式EV(BEV)ではまとまった充電時間を確保するのが難しい。トラックとともに配送の現場からFCEVの良さが見直され、普及につながることを期待したい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★日産、3車種のEVが東京都のZEV車両購入補助金「自動車メーカー別の上乗せ補助対象」に……「アリア」「リーフ」「サクラ」が10万円の上乗せ補助に[詳細はこちら<click>] ★★HWエレクトロ、お台場にショールームを開設……the SOHO(東京都江東区)の1階にて「エレモ-K」「エレモ-L」を展示[詳細はこちら<click>] ★ダイムラー・トラック、メルセデス・ベンツのEVトラクターヘッドをドイツの公道でテスト……ドイツの配送企業DHLとともに350km/日の輸送テスト、2023年秋に販売開始 ★ボルボ・トラック、FCEVトラックの公道テストを実施……極寒の北極圏でもテスト、ダイムラーと共同開発のFCを搭載 ★伊丹市交通局、EVバス導入イベントを開催……5月13日(土)にイオンモール伊丹昆陽・駐車場(同市内)にて、車両電源を使用したステップライトの展示など ★小型EVメーカーのイコマ、折りたたみEVバイク「タタメルバイク」の先行オーダーメイド販売を開始……「ホンダ・モトコンポ」似のモデル、ボディのサイドパネルのデザインをオーダー可能

TAG: #THE視点 #エルフ #燃料電池車(FCEV)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
トヨタの燃料電池を搭載したトラクターヘッドを米老舗のケンワースなどが量産へ……デイリーEVヘッドライン[2023.05.08]

トヨタは2023年後半からモジュールの生産を開始し量産化 筆者もトヨタのモジュールを使用した商用FCEVを計画中 【THE 視点】トヨタ・モーター・ノース・アメリカ(トヨタ)とパッカー(米国の商用車メーカー)は5月2日、燃料電池(FC)モジュールの供給に関する提携を発表した。 パッカー傘下の老舗トラック・ブランド「ケンワース」と「ピータービルト」にFCモジュールを供給し、トレーラーを牽引するトラクターヘッド「ケンワース T680」と「ピータービルト 579」に搭載。両車は量産モデルで、2024年から納入開始となる。 トヨタとパッカーは、FCEVトラックの開発で数年にわたり協力関係を築いてきた。今回の発表以前に「ケンワース T680 FCEV」10台をロサンゼルス港にテスト導入していた。今回の発表は、その成功を受けてのもの。もちろんテストのフィードバックにより、量産車の性能は強化されているという。 このトヨタ製の大型車用FCパワートレインは、カリフォルニア州大気資源委員会 (CARB)から、ゼロ・エミッション・パワートレインの認証を取得した。トヨタは2023年後半から、アメリカ国内にてモジュールの生産を開始する。 港湾のゼロ・エミッション化が急務とされるなか、アメリカの老舗のトラックメーカーは、トレーラー・トラックのFCEV化という答えを出した。大型車のFCEV化は、ゼロ・エミッションに大きく貢献できるに違いないだろうし、その中核技術をトヨタが担う意味は大変に大きい。 実は筆者も、トヨタから最新のFCモジュールを購入し、現在それを用いてFCEVバスかトラックの開発を計画している。商用車のFCEV化は、日本のゼロ・エミッション化にとっても重要な役割を担うと確信している。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★アバルト、「500e」と「500e ツーリズモ」を欧州で正式発売……新世代のホットハッチEV、パワーモード選択などユニークな機能を装備[詳細はこちら<click>] ★★MINI、次世代EVモデル「クーパー・エレクトリック」プロトタイプの画像を公開……オーソドックスな3ドアタイプ[詳細はこちら<click>] ★★シトロエン、新型SUVクーペ「ë-C4 X」を欧州で発表……最高出力115kW(156ps)・最大航続距離420km(WLTP)[詳細はこちら<click>] ★ボルボ、「C40リチャージ」と「XC40リチャージ」をアメリカで発売……2024年モデルとしてラインナップ ★GM、「ハマーEV」に限定車「オメガ・エディション」を設定……特別色「ネプチューン・ブルー・マット」などを採用 ★ゴールドウイン、EVバイク専門のポップアップ店舗「CAKE Tokyo」をオープン(東京都千代田区)……スウェーデンのブランド「CAKE」の展示・試乗を実施、8月下旬までの期間限定オープン ★ZF、STマイクロエレクトロニクスからSiC(炭化ケイ素)製品を調達……複数年契約、2025年量産開始のインバーター・プラットフォームに採用 ★BMW、家庭用のEV充電エコシステム事業に参画……ドイツのエネルギー企業「E.ON」と協業、2023年後半からヨーロッパ域内で「コネクテッドホーム充電」を開始 ★フォード、「マスタング・マッハ-E」の受注を再開……生産体制の強化で低価格化、リン酸鉄リチウムイオン・バッテリーの採用で航続距離を延伸 ★ステランティス、2023年第1四半期のEVの売り上げ高が前年同時期比22%増加……2023年中に9機種のEVを追加、2024年末には合計47機種に ★ボルボ、2023年1月〜4月のEVの販売台数は3万8,899台……前年同時期比137%増、4月だけで8,830台を販売[詳細はこちら<click>] ★BMW、2023年第1四半期のEVの販売台数は5万5,979台……前年同時期比112%増、総納入量に占めるEVの割合は11% ★アウディ、2023年第1四半期のEVの納入台数は3万4,584台……前年同時期比43%増、シェアは8.2% ★フェラーリ、フィオラノ・サーキット隣接の自社所有の土地に太陽光発電所を建設……フィオラノとマラネッロに設立する再生可能エネルギー共同体(REC)に電力を供給 ★キントーン、公道走行可能な電動キックボード「モデル・ワンS」を発売……純国産が特徴、2023年7月の道路交通法改正に対応 ★旭タンカー、EVタンカー「あかり」が商業運行を開始……「あさひ」とともに2隻体制、川崎港(川崎市川崎区)内に給電ステーションを設置 ★フォーミュラE第9戦モナコ、ニック・キャシディ選手(エンヴィジョン・レーシング)が優勝……キャシディ選手は2連勝でポイント・リーダーに、日産のサッシャ・フェネストラズ選手は2番手スタートも4位でチェッカー

TAG: #THE視点 #商用EV #燃料電池(FC)
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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