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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
日本初、EVの旅客船が大阪で就航……デイリーEVヘッドライン[2023.04.28]

EV旅客船として小型船舶の検査に初合格 350Vのシステムの採用で自動車機器との共通化にも期待 【THE 視点】EV船販売株式会社は、350Vの高電圧リチウムイオン・バッテリーを搭載したEV船が、日本小型船舶検査機構の船舶検査に合格し、大阪市内に就航したと発表した。 同社はこれまでも、EV船を検査に合格させてきた実績があるが(今回を含めて5例)、小型船舶最大級(20トン未満)の旅客船として合格をさせたのは、今回が初めての例となる。 本船は観光旅客船扱いで、大まかな仕様は全長21.38m/幅5.00m/総トン数19トン/旅客定員70名となっており、このクラスでは最大級。建造も同社が行い、すでに船主に引き渡しを終えて旅客運航が始まっている。 搭載している電動システムは、ドイツのトルキード社製の「ディープブルー」というもの。容量44kWhのリチウムイオン・バッテリーおよび最高出力50kW(68ps)のモーターを1組とし、それを2組搭載しているのが特徴だ。 EV船販売株式会社といえば、先日筆者が取材した「ジャパンインターナショナルボートショー2023」に出展しており、今回のEV船についてもレポート内で触れている[詳細はこちら]。今回は、それからの進展ということになる。 港湾をはじめ、船舶の低炭素化が急務とされているが、なかなか進んでいないのが現状である。このように小型船であっても、電池電圧により縛りがあり許認可に時間が掛かるのだと改めて実感した。 筆者もEVの開発で、新しいものを製作した際の許認可のやり取りで苦労した経験が多々ある。なかには、それだけで1年もかかったものも。とにかく基準が定まっていないものに対しては、安全性の担保が厳しく求められるのだ。 今回のように、EVでは一般的な電圧の350Vで認可されたということは、今後船においてEV(自動車)用のパワーユニットが使えることになる。これで日本でのEV船の開発も進むものと思われる。今回のEV船販売のブレークスルーは、船舶業界はもちろん自動車業界にとってもインパクトのある明るいニュースと捉えている。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★マセラティ、ブランド初のSUV型EV「フォルゴーレ」を発表……SUV型の高級EV、「上海モーターショー2023」で世界初公開 ★★トヨタ、「bZ4X」のソフトウエア・アップデートを実施……1日あたりの急速充電回数が、現状から2倍の4回程度に改善 ★三菱、「eKクロスEV」の販売台数(2023年3月)が1,544台……全体の国内販売は1万1,896台で11ヵ月連続で前年比増[詳細はこちら<click>] ★小田急電鉄、東京電力・出光興産とともに脱炭素に向けて連携……バスのEV化や充電マネジメントの導入も計画 ★TDK、高回転モーター対応の高精度角度センサー「HAL 302xセンサ」を開発……EV用モーターにも対応、強力かつ高価な磁石が不要になり柔軟なモーター設計が可能に ★ノベルクリスタルテクノロジー、次世代パワー半導体の高出力動作に成功……「酸化ガリウムショットキーバリアダイオード」を組み込んだ回路が、出力電圧390V・出力電力350Wで正常に動作 ★半導体開発のオンセミ、中国のEV企業ジーカーと長期供給契約……充電時間の短縮や航続距離の延伸が可能なシリコンカーバイド(SiC)・パワーデバイスを供給 ★テスラ、商業施設「柏の葉 T-SITE」<千葉県柏市>にて特別展示試乗会……「モデル Y」と「モデル 3」を出展、4月22日(土)〜5月18日(木)まで ★ブレイズ、茨城県のカー用品店「ケンズガレージ」の3店舗にて「ブレイズ EVトライク」などの販売を開始……カー用品店での取り扱いは全国初 ★オペル、EVのワンメイク・ラリー選手権を推進……「ADAC オペル・エレクトリック・ラリー・カップ “powered by GSe”」に改名、5月5日よりシーズン3が開始

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
クボタ、リチウムイオン・バッテリー市場に参入……デイリーEVヘッドライン[2023.04.27]

リチウムイオン・バッテリー用の負極材を2024年から量産 農機の電動化も見据えての事業化か 【THE 視点】クボタは4月25日、リチウムイオン二次電池の負極材料「チタンニオブ複合酸化物」の量産を2024年末に開始すると発表した。 「チタンニオブ複合酸化物」は、一般的にリチウムイオン・バッテリーの負極材料として用いられる黒鉛と比べて、電池の長寿命化や優れた急速充電性を実現しうる材料である。 クボタはこれまで、自動車用ブレーキパッドなどの摩擦材に用いられる「チタン酸カリウム<TXAX(ティーザクス)>」を開発・生産するなど、チタン酸化合物を産業向けに供給してきた。 その量産実用化で培った固有技術やノウハウを用いて、「チタンニオブ複合酸化物」の合成技術および製造技術を開発し、2024年末に量産を開始する。月間生産能力を50トンから段階的に引き上げていく予定だという。 クボタというと農業企業のイメージが強い。リチウムイオン・バッテリー材料の開発を機に、将来的には自社の農機の電動化も進めていくのだろう。自社製であればコストも抑えられ、さらに新材料を使用することで国産のバッテリー技術の進化にもつながる。 今回参入するクボタは、将来の農機の電動化を担う重要なポジションにいるのかもしれない。期待したい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ホンダ、EVモデルの日本投入時期を発表……2025年に「N-ONE」ベースのEV、2026年にSUVを含む小型EV2機種を発売[詳細はこちら<click>] ★★大阪府豊中市、「電気自動車等購入支援補助金」を新設……20万円/1台を補助、令和5年4月1日(土)から令和6年2月29日(木)までの初年度登録車両(EV・FCEV・PHEV)が対象 ★★BYDグループ、プレミアムブランド「ヤンワン」のEVモデルを発表……大型SUVの「U8」やスーパースポーツの「U9」、そのほかハイエンドブランド「デンツァ」のニューモデル「D9」なども [詳細はこちら<click>] ★ホンダ、EVスクーター「EM1 e:」を2023年中に日本で発売……着脱式バッテリー「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」を搭載 ★BYD、三重交通にEVバスを納車……小型の「J6」を2台、伊勢市から受託しているコミュニティバス「おかげバス」にて運行 ★GMとサムスン、アメリカにバッテリーセル工場を建設……30億ドル以上を投資し、2026年に操業開始予定 ★ヒョンデ、SKオンとバッテリーセル生産の合弁会社を設立……米国ジョージア州に工場を建設予定 ★BMW、「i5」のテストの進捗を公開……サスペンションコントロールと運転支援システムの開発が最終段階[詳細はこちら<click>] ★BYD、商業施設「ららぽーとEXPOCITY」<大阪府吹田市>に出店……4月26日(水)にプレオープン、「ATTO 3」を常設展示 ★EV充電トータルサービスのエネリバー、遠隔制御可能なEV充電サービスを開発……国際規格「OCPP(※)」に対応、導入・設置・運用を初期費用無料でサポート (※)「オープン・チャージ・ポイント・プロトコル」の略、欧米で一般的なEV充電器・管理システムのアプリケーション ★バッテリー開発のノースボルト、トラック大手のスカニアとバッテリーセルを共同開発……150万km分の寿命を実証 ★LGエナジーソリューション、2023年第一四半期の連結収益が8.747兆ウォン(約8,710億円)……四半期の記録で過去最高、北米でのEV需要増が影響 ★EVトラックのニコラ、カナダ・アルバータ州の自動車輸送協会からEVトラックを受注……トラクターヘッド「トレ」のBEVとFCEVモデルをともに受注 ★BYD、欧州に新規モデルを導入……セダンの「シール」とコンパクトハッチの「ドルフィン」を発売 ★ビンファスト、米国カリフォルニア州のクリーン・ビークル・リベート・プロジェクト(CVRP)の対象に……SUVモデル「VF8」が認定、最大7,500ドルのリベートを申請可能 ★シーメンス、ノルウェーのフレイヤと提携……ノルウェーと米国に建設予定のフレイヤのバッテリーセル工場にシーメンスの生産ソリューションを導入 ★電動キックボードシェアのループ、アイ・ネスト・キャピタルから資金調達……サービス拡大による車両調達や事業開発費などに拡充 ★両備ホールディングス、「コストコ群馬明和倉庫店」<群馬県明和町>に期間限定出店……自社製の小型EVトライク「ソレックス RT-01」を展示・販売(5月7日(日)まで) ★電動船が大阪で就航……EV販売株式会社が船舶検査に合格、ドイツ・トルキード製の電動システムを搭載した観光旅客船(全長21.38m)

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
横浜ゴム、EVバスでタイヤのリモート管理を実証実験……デイリーEVヘッドライン[2023.04.26]

タイヤをモニタリングしEVバスの運用効率を向上 道路を仕事場とするバス・商用車にこそ早期実用化を 【THE 視点】横浜ゴムは、EVバスを用いて「タイヤ内面貼り付け型空気圧センサー」と「タイヤ空気圧遠隔監視システム(Tire air Pressure Remote access System=TPRS)」の実証実験を開始した。同実験は、神奈川中央交通とともに平塚市で運行中のEVバスを使用して行う。 横浜ゴムは、輸送事業者向けのタイヤソリューションサービスとして、タイヤ空気圧モニタリングシステム「HiTES(ハイテス)」と、タイヤ運用を総合的にサポートするマネジメントシステム「T.M.S(ティーエムエス)」を展開している。この実証実験はすでに乗用車では実施済みだが、今回初めてEVバスを使用し、EV車両に求められるエネルギー消費の効率化と「TPRS」の精度向上の効果を検証する。 高レベルな燃費(電費)性能・耐久性・静粛性がタイヤにも求められるEVバスで実施することで、経済性や安全性の向上、効率的なタイヤ運用に貢献できるサービスの確立を目指すという。合わせてEVバス対応のタイヤ開発も実施するとのこと。 「TPRS」は、タイヤ内のセンサーが検知した車両の位置情報や空気圧・温度を、サービススタッフがリアルタイムに把握できる。タイヤの始業前点検の省力化や空気圧情報の記録、スローパンクチャーの発見、タイヤメインテナンスの適切な実施、点検のバラツキ防止、異常による事故防止、適正空気圧維持による燃費向上などに貢献できるという。 筆者もこれまでに何台ものEVバスを製作してきた。EVバスのタイヤは、電費性能・耐久性・静粛性のほか、乗用車の何倍もの荷重に耐えなければならないなど求められる性能は高く、タイヤメーカーの協力のもとEV専用品を製作してもらったことがある。 そのタイヤを履くEVバスも、空気圧などに常に気を使う必要があり、特にリアのダブル・タイヤでは内側タイヤの空気圧の点検作業が大変だったと聞いたことがある。これが運転士や整備士のほか、運行管理者からも確認できることは、点検業務の制度を向上させることにつながるだろう。 乗用車では普及が進んだ空気圧モニタリングシステムだが、商用車やバスにこそ普及を進めるべきである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、愛知県豊橋市に「PDIセンター」を開設……4月から三河港に入港、新車の陸上げから納車整備・保管が5km圏内で可能[詳細はこちら<click>] ★★ニデック(旧日本電産)、2022年度連結決算が2兆2,428億円で過去最高……ニデック製モーター一体型駆動装置(イー・アクスル)搭載車種の販売状況が続伸、23年度は第2世代型を投入し25年度に車載システムの自立成長1兆円を目指す ★ユビ電、パナソニックグループとフソウホールディングスから資金調達……パナソニックは集合住宅へのEV充電器の拡充、フソウは各自治体への脱炭素化推進などを目指す ★EVバイクのアイデア、「AAウィズ 」の先行予約を開始……配送や新聞配達など積載機能を強化したビジネス向けモデル ★ヤマハ、EVスクーター「E01」をレンタル車種として配備……北海道・愛知県・大阪府・福岡県の「ヤマハ バイクレンタル」店舗にて予約開始 ★テラモーターズ、賃貸物件・商業施設向けWi-Fiソリューション企業のファイバーゲートと提携……インフラ整備を通じてシナジーを狙う ★EVモーターズジャパン、「2023 バステクフォーラム」<舞洲スポーツアイランド 「空の広場」(大阪市此花区)/5月12日(金)>に出展……EV路線バスとEV観光バスを展示 ★ヤマト住建、ニチコン開発のトライハイブリッド蓄電システムを搭載したモデルハウスをオープン……埼玉県上尾市と奈良県奈良市にて展示、太陽光発電・バッテリー・V2H(EVの電力を家庭でも使用できるようにする機器)を装備[詳細はこちら<click>] ★住宅メーカーの北洲、HEVのバッテリーをリユースした太陽光発電システム「イーピラー」を開発……将来のEV用バッテリー大量廃棄に備え環境負荷を低減[詳細はこちら<click>] ★電動キックボードのループ、同社CEOが会長を務める「マイクロモビリティ推進協議会」が東京都と連携協定を締結……7月1日(土)からの新ルール施行に向けて安全を啓発

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
出光興産、再生可能エネルギーを活用したEV充電サービスを開始……デイリーEVヘッドライン[2023.04.25]

事実上の従量課金型充電システム 再生エネルギー由来の電力をユーザーが選択 【THE 視点】出光興産株式会社は、再生可能エネルギー由来の電力(再エネ電力)を引き込み可能な施設において、供給される電力を分別(再エネ電力/通常の系統電力)し、どちらを使用するのか選択できるシステム「IDEPASS(イデパス)」を開発した。 あわせて「イデパス」で分別された電力から、EVユーザーが自ら再エネでの充電を選択できるシステム「再エネチョイス」を開発し、両システムを使用した実証を2023年4月より開始する。 「イデパス」の特長は、ビル等のテナントや部屋単位でも再エネ電力を選択可能なことだ。EV充電にも再エネ電力を選択でき、使用時間も1分単位でカウントが可能(一般的なEV充電は30分単位)。短時間の電力供給においても再エネ電力の供給を選択することができる。 ちなみにこのシステムにはブロックチェーン技術が採用されているという。そのため高いトレーサビリティやデータの信頼性を確保し、従来のシステムよりも細かく供給電力の分別・可視化が可能になったとのこと。 この分別供給により、EVユーザーは電力種別(再エネ/再エネ以外)ごとの使用量に応じた支払いが可能になる。環境意識の高いEVユーザーは、再エネの活用を意識できるうえ、従量課金なのでコストの無駄も省けることになる。 少しずつではあるが、従量課金導入の充電システムの導入が進んでいることを歓迎したい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フォルクスワーゲン・グループのパワー・コー、カナダにバッテリーセルの大規模工場を建設……年間最大90GWh製造可能な最大規模のギガファクトリー[詳細はこちら<click>] ★★パナソニックエナジー、ノルウェーのヘキサゴンプルスに車載用リチウムイオン・バッテリーを提供……複数年に渡る契約、ヘキサゴンプルスの大型車両用バッテリーシステムに搭載 ★★横浜ゴム、EVバスでタイヤソリューションサービスの実証実験を開始……空気圧モニタリングシステムなどを使用し、EV車両のエネルギー消費の効率化などを検証 ★★グッドイヤー、ランチアのコンセプトEV「ピューラHPE」の専用タイヤを開発……空力性能が高くデザインも融合したサイドウォールが特徴 ★出光興産、オンサイトPPA用太陽光パネルやEV充電器等のパッケージ導入を自治体や企業に提案……「IDEPASS」「再エネチョイス」と並行し再エネ電力の利用を促進 ★三菱、電動車の使用済みバッテリーを自立型街路灯に活用……愛知県岡崎市で実証実験 ★CATL、中国EVメーカーのチェリーにバッテリーを供給……CATL初の「ナトリウムイオン電池」を提供 ★トヨタ、北米でEV充電インフラの拡充をはじめEV施策を拡充……電動モビリティの新ビジョン「エンパクト」を発表、公共団体などと協力し効率的な充電ステーションを建設するなど ★ジゴワッツのEV用普通充電器が「CEV普及充電インフラ補助金」の対象に……最高出力3.2kWの「JW-EVSE-3KI」が1基あたり20万8,000円から ★日東工業、「太陽光自家消費蓄電池システム」受注受付開始……「日産リーフ」のリユースバッテリーを使用 ★ブレイズ、正規取扱店が全国600店を突破……5月31日まで「ブレイズ スマートEV」などを対象に「ゼロ金利キャンペーン」を実施 ★ヘキサゴンプルス、カナダ・ケロウナにバッテリーと水素貯蔵システムの工場を開設……年間1,000以上の大型車用バッテリーシステムを生産 ★CATL、2035年までに全バッテリー・バリュー・チェーンでカーボン・ニュートラルの達成を目指す……リチウムイオン電池業界で最大規模と発表 ★CATL、最大500Wh/kgの凝縮バッテリーを発表……旅客機向けに新開発、EV向けも発売予定 ★フォーミュラE第8戦ベルリン、元スーパーGTドライバーのニック・キャシディ選手(エンビジョン・レーシング)が優勝……電池残量にシビアな40周のレース、8番手スタートから見事トップを奪取

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
GMC、「ハマー EV」のラインナップ拡充と航続距離を公表……デイリーEVヘッドライン[2023.04.24]

上級グレード「3X」をピックアップとSUVに追加 最大航続距離は570km(WPA)のロングレンジ 【THE 視点】GMCは4月21日、電動SUVの「ハマー EV」に新バリエーションが加わると発表した。2023年モデルの「ハマー EV SUV」と、2024年モデルの「ハマー EV ピックアップ」に、それぞれ「エディション1」と「3X」というグレードを設定する。 「ハマー EV SUV」は、「エディション1」と「3X」それぞれにオンロード志向とオフロード志向が用意され、計4つのモデルが展開される。そのうち「3X SUV 22インチホイール装着車」は、3モーターのAWD(前1基/後2基)で、最高出力620kW(842ps)/最大トルク1万5,594Nm(1,587kgm)を発生。最大航続距離は約500km(WPA)となる。 「ハマー EV ピックアップ」は、SUVと同様に「エディション1」と「3X」が用意されるが、「エディション1」はオンのみで、「3X」には両志向を設定。計3つのモデルが展開される。 そのうち「3X ピックアップ 22インチホイール装着車」は、SUV同様の3モーターAWDながら、最高出力745kW(1,014ps)/最大トルク1万5,594Nm(1,587kgm)に出力が高められている。最大航続距離も570km(WPA)とSUVよりも長い。ちなみに2021年にピックアップの限定車が発売された際には、10分で完売した人気ぶりだ。 今回はピックアップとSUV双方に上級モデル追加の発表となった。AWDで1,000ps超えという言わばスーパーピックアップ(GMCでは、スーパートラックと呼んでいる)の価格は、10万ドル程度(約1,300万円)となりそうだが、やはり即完売となるのではないだろうか。 日本においてはサイズが大きすぎて取り回しに苦戦するだろうが、購入希望者はいるだろう。国内導入はどうなるだろうか。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★CJPT、FCEVの小型トラックを東京都で展開……物流企業や東京都と連携を強化 ★★EVの2次・3次利用の可能性を探る実証実験が開始……大阪府能勢町/同豊能町/能勢・豊能まちづくり/イー・コンザル/住友三井オートサービスが官民で連携、リユースEVの公用車化など[詳細はこちら<click>] ★★クプラ、SUVの新型EV「タバスカン」を世界初公開……フォルクスワーゲンのプラットフォーム「MEB」を使用、ツインモーター式で最高出力210kW(286ps)と250kW(340ps)の2タイプを用意[詳細はこちら<click>] ★フォード、EVのピックアップトラック「F-150 ライトニング」をノルウェーで発売……グローバル販売の第一弾[詳細はこちら<click>] ★フォルクスワーゲン、第1四半期のBEVの納入が前年同時期比42%増加……14万1,000台を納入、欧州では68%増の9万8,000台 ★テスラ専門のレンタカーサービスが開始……ライトマークスが運営、「モデル3」が5台・「モデルY」が1台の計6台が稼働 ★テラモーターズ、沖縄にEV充電インフラを整備へ……沖縄県内の各施設などに導入決定、代理店も募集 ★テスラ、全国8カ所に最高出力250kWの急速充電器「スーパーチャージャー」を設置……東京・八重洲など[詳細はこちら<click>] ★テスラ、試乗キャンペーン「オートパイロット体験」を期間延長……5月31日(水)まで、東名川崎/心斎橋/福岡の3店舗で実施 ★BYDオート横浜中央(横浜市中区)が2月22日(土)にオープン……双日オートグループジャパンが運営、横浜市営地下鉄・伊勢佐木長者町駅から徒歩約5分 ★BYDオート静岡、4月28日から試乗商談開始……Cool The Earthが運営、事前予約制で「ATTO 3」に試乗可能 ★電動トゥクトゥクのエモビ、4月28日から大型連休割引を開始……レンタルステーション「えもび鎌倉」が鎌倉市民向けに提供、連休中の混雑回避手段として提案 ★フォーミュラE第7戦ベルリン、ミッチ・エバンス選手(ジャガーTCSレーシング)が優勝……9番手スタートから虎視眈々と追い上げ、40周のレースを制す

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ランドローバー、EVの「レンジローバー」が2023年後半に予約開始……デイリーEVヘッドライン[2023.04.21]

ラグジュアリーSUVにも電動化の波 グループのジャガーもEVを投入へ 【THE 視点】ジャガーランドローバー(JLR)は4月19日、ラグジュアリーSUV「レンジローバー」に初のEVモデルを設定し、今年後半に予約受注を開始すると発表した。 「次世代のミッドサイズ・モダンラグジュアリーSUV」をうたうブランド初のEVモデルとなり、2025年に発売予定だという。マージーサイドのヘイルウッド工場で生産。「エレクトリファイド・モジュラー・アーキテクチャー(EMA)」を初採用する。 またJLRは、モダンラグジュアリーEVモデルの展開を推進するために、今後5年間で150億ポンド(約2兆4,900億円)を投資する。その一環として、英国マージーサイドのヘイルウッド工場を、EV専用工場に改装し、JLRが掲げる目標(2039年までに排出ガス量実質ゼロ)の達成を目指す。 ランドローバーと合わせて、グループのジャガーもラインナップを見直し、モダンラグジュアリー系のEVを3車種投入する。その初のモデルは4ドアのGTで、航続距離は最大700km。価格は10万ポンドを超える見込みだという。 高級SUVの代名詞でもある「レンジローバー」もこうしてEV化された。先日もメルセデス・ベンツが「メルセデス・マイバッハ EQS SUV」を発表しており[詳細はこちら]、高級SUV市場にもEVの波が押し寄せている。「レンジローバーEV」の性能もさることながら、価格の面でも驚かされそうだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ジャガー、EVの4ドアGTモデルを2023年後半に発表……専用アーキテクチャー「JEA」を使用、2024年に販売開始[詳細はこちら<click>] ★★出光、種子島空港でEVの充電実証実験を開始……太陽光発電で空港への電力供給とEVへの充電を実施、充電器は6kWの普通充電器3基[詳細はこちら<click>] ★出光、廃棄物由来のクリーン水素製造の事業化を検討……一般ごみなどから製造、燃料電池車などさまざまな需要を想定 ★日産、八王子市とEVを活用した地域づくりで連携……EV推進施策「ブルー・スイッチ」の一環、災害時にEVを電源として活用するなど ★ブレイズ、グルメ・フードフェス「アッシュフェス」(ナゴヤ セントラルガーデン ポケットパーク:名古屋市千種区/4月23日(日))に出展……「ブレイズ スマートEV」など5車種を展示 ★フォーミュラE第7・8戦ベルリン、今週末の4月22日(土)〜23日(日)に連戦で開催……現在のランキングトップはパスカル・ウェーレイン選手(タグホイヤー・ポルシェ)

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
MG、オープンスポーツEV「サイバースター」を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.04.20]

日本でも人気のあった「MGF」の実質後継 2024年夏に欧州発売を明言 【THE 視点】MGは、「上海モーターショー」にてEVのスポーツカー「Cyberster(サイバースター)」を発表した。2024年の夏に英国とヨーロッパで発売される予定。MGの新たな時代の幕開けとなる重要モデルだ。 「サイバースター」は、2シーターのオープンカーで、強力なパワートレインと最先端のテクノロジーを備えている。上方に開くシザーズドアを備えているのも特徴。スポーツカーブランドとして名を馳せたMGブランドのイメージを再定義するモデルになる。 MGは1924年創業と歴史が古いイギリスのスポーツカーメーカー。日本においても古くから知名度の高いメーカーであったが、2005年に当時のMGローバー社が経営破綻し、その後中国メーカーの資本となり再建した。 今回発表された「サイバースター」は、MGでも後期に販売され日本でも人気を得ていた「MGF」のEV版ともいえる。 今回の発表では、英国を含むヨーロッパで発売とだけ発表されたが、日本にもMGファンは多い。「サイバースター」の日本導入を望む声も多いはずだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★日本自動車車体補修協会とナルネットコミュニケーションズ、協働で「EV整備ネットワーク」の構築へ……新興EVメーカーをフォロー、EV特化型のメンテナンスパックも開発[詳細はこちら<click>] ★★兵庫県加古川市、EV用充電ステーションの設置費用を助成……急速充電器1基あたり最大200万円 ★★フォード、プロトタイプEVの「マスタング・スーパー・コブラジェット1800」を開発……1800馬力の電動パワートレインを積みアメリカのドラッグレース「NHRA」に挑む[詳細はこちら<click>] ★兵庫県加古川市、公共施設「かこてらす」にEV用急速充電器を設置……e-モビリティ・パワーのシステムを使用 ★テラモーターズ、マイステイズ・ホテル・グループにEV充電器を設置……「亀の井ホテル」はじめグループ内の90施設に計156基[詳細はこちら<click>] ★テラモーターズ、アコーディア・ゴルフにEV充電器を導入……2023年度中全国151ヵ所に[詳細はこちら<click>] ★BMW、中国での雇用が過去3年で3倍に……EVエンジニア等3,200人以上が地元のテクノロジー企業などと協力 ★フォルクスワーゲン、中国での事業を加速……中国合肥に10億ユーロを投資して開発センターを設立、新会社「100%TechCo」(プロジェクト名)にて開発時間を30%短縮 ★BYD、新エネルギー車(NEV)向けのアクティブサスペンションを開発……油圧や空気圧を利用し瞬時に車体の姿勢を制御[詳細はこちら<click>] ★中国吉利ホールディングス、 新型SUV「ジーカー X」を「上海モーターショー2023」に出展……「ポールスター4」などと共通のプラットフォーム「SEAアーキテクチャ」を使用 ★ジェネシス、アメリカで「ジェネシスホーム」を展開……V2H機能や太陽光発電をパッケージ化 ★ボルボ、コカ・コーラ・カナダにEVのトラクターヘッド「VNR エレクトリック」を納入……カナダの飲料メーカーとしては初 ★ランチア、「ピューラHPE」を「ミラノ・デザイン・ウィーク2023」に出展……4月23日(日)まで実車を展示 ★シトロエン、新コンセプトの小型電動自律移動モビリティを発表……板状の電動シャシーにカプセルやベンチなどを搭載可能な都市型モビリティ ★EVモーターズジャパン、「第4回 関西物流展」(インテックス大阪:4月12日〜14日 ※終了)に出展……2023年の本格的な市場導入を見すえ1トン・2トンのEVトラックを展示 ★ボグゾール、商用車のCO2排出量について独自調査を発表……「英国内の商用バンをEVに置き換えると年間1,950万トン以上のCO2を削減可能」 ⚫︎リコール、「アウディRS e-tron GT」……エアスプリングがストラットから分離のおそれ ⚫︎リコール、「シトロエン e-C4エレクトリック」……バッテリーマネジメントユニットの不具合で電源遮断・走行不能になるおそれ

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
BMW、新型EVセダン「i7 M70 xDrive」を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.04.19]

BMWの新世代のフラッグシップ登場 従来のV12エンジンに代わりEVが頂点に 【THE 視点】BMWは4月17日、「i7 M70 xDrive」を発表した。BMWで最もパワフルなEVモデルで、中国で開催される「上海モーターショー2023」(4月18日~27日)でデビューした。 「i7 M70 xDrive」はフロントとリアの両方にモーターを搭載する全輪駆動で、システムの最高出力は 485kW(659ps)、最大トルクは1,100Nm(112.2kgm)。0ー100km/h加速は3.7秒で、BMWの全電動モデルの中で最速だという(最高速度は250km/hでリミット作動)。M専用のシャシーを備え、ラグジュアリーセグメントならではのドライビング体験や、BMWらしい電動モビリティとパフォーマンスの完璧な組み合わせを実現したとのこと。 これまで、「7シリーズ」すなわちBMWのフラッグシップモデルと言えば、ガソリンエンジンでV型12気筒を積んだ「760i」だった。この新型ではV型12気筒エンジンはモデルから外れている。しかし今回、それに代わるフラッグシップモデルとして、「M」を冠した「M70 xDrive」が登場した。これは、BMWのフラッグシップモデルがEVに代わったことになる。 今回の上海モーターショーでは、世界最大のEV大国である中国での開催だけに、他社からもEVモデルの発表が相次いでいる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ボルボ、首都圏でEVカーシェアリングを開始……DeNAソンポ・モビリティ運営の「エニカ」にて「C40リチャージ」「XC40リチャージ」を導入 ★★ヒョンデ、「アイオニック5」ベースのサービスカーを導入……出張サービス専用車両「Hyundai Qちゃん」が稼働開始、整備工具一式を車載[詳細はこちら<click>] ★★「上海モーターショー2023」開幕、新型EV発表ラッシュ……欧州勢は中国市場向けの高級路線、日本勢はコンセプトカー多数 ※以下発表の新型車  ・メルセデス・マイバッハ、「EQS 680 SUV」を発表……最上級のショーファー・ドリブンEV、最高出力484kW(658ps)[詳細はこちら<click>]  ・トヨタ、2台のSUV型EV「bZスポーツ・クロスオーバー・コンセプト」「bZフレックス・スペース・コンセプト」を発表……2024年に中国に導入[詳細はこちら<click>]  ・フォルクスワーゲン、「ID.7」を発表……マッサージシートなどを備えた快適志向のEVセダン  ・ボルボ、「EX90エクセレンス」を発表……リクライニングシートや冷蔵庫等を備えたショーファードリブン志向のSUV型EV  ・ポールスター、「ポールスター4」を発表……SUVクーペスタイルのEV、吉利ホールディング開発のプラットフォームがベース  ・日産、EVコンセプトカー「アリゾン」を公開……CMF-EVプラットフォームによる低重心化や自動調光のサンルーフなどが特徴、「マックス・アウト」も中国初公開  ・ホンダ、「e:N」シリーズの新コンセプトカーを公開……「e:NP2 Prototype・e:NS2 Prototype」と「e:N SUV 序」[詳細はこちら<click>]  ・レクサス、「RZ450e」ベースの「RZアウトドア・コンセプト」を「上海モーターショー2023」に出展……EVハイパーカーのコンセプト「レクサス・エレクトリファイド・スポーツ」も展示 ★富士急行、EVバスを導入……EVモーターズ・ジャパン製の大型4台・小型2台の計6台、富士急グループ5社の路線バスにて稼働 ★「G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合」が開催、ZEVなどに対する共同声明を発表……「2035年までに乗用車の新車販売の100%を電動車とすること、関連するインフラ及び持続可能なバイオ燃料や合成燃料を含む持続可能なカーボンニュートラル燃料を促進すること(※)」などを強調 ※声明文より一部抜粋

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ジープ初のEV「アベンジャー」が欧州でデビュー……デイリーEVヘッドライン[2023.04.18]

パワーユニットはニデック(旧日本電産)との共同開発 日本発売も予定だが納期は最大1年の見通し 【THE 視点】ステランティス傘下のジープは4月17日、ブランド初のEV「アベンジャー」をヨーロッパで公開した。 「アベンジャー」の外見はコンパクトだが、室内空間はできる限り広く仕上げ、乗員はもちろん様々なものを積み込めるようにスペースを確保し、ダイナミックさと扱いやすさを持つSUVに仕上げられているという。 大きなトピックのひとつは、ニデック(旧社名:日本電産)とステランティスとの合弁会社である 「eMotors」が開発したパワーユニットが初搭載されていることだろう。最高出力115kW (156ps)/最大トルク260Nm(26.5kgm)を発生する。 搭載されるリチウムイオン・バッテリーは、ニッケル/マンガン/コバルトが主成分の正極材(NMC)を採用したもので、最大容量は54kWh(使用可能容量51kWh)。400Vの電動パワートレインと組み合わされ、最大航続距離はWLTP値で400km、市街地走行で最大550kmだという。 「アベンジャー」は、2023年の「欧州カー・オブ・ザ・イヤー」とともに、同年の「ウィメンズ・ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(WWCOTY)」の「カー・オブ・ザ・イヤー2023」および「ベスト・ファミリーSUV」を受賞した期待のEVである。 全長4m程度のコンパクトなSUV型EV「アベンジャー」は欧州での発売は既にアナウンスされ、日本でも今年の2月にメディア向けに公開されている。発売は来年になるようだが、半導体問題などがあり納車は半年〜1年ほどの見通しだ。購入希望者はディーラーへの問い合わせを急ぐことをお勧めしたい。そうすれば無駄な遅延がなく「アベンジャー」に乗ることができるだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★EVモーターズジャパン、シダックスグループの大新東に大型EV路線バスを納車……金沢文庫駅〜大規模分譲マンション「レイディアントシティ横濱ル・グランブルー」間にて4月19日(水)より運行 ★★フォルクスワーゲン・グループのElli、欧州での充電ポイントが50万ヵ所に……直近4ヵ月で10万ヵ所を追加[詳細はこちら<click>] ★フィアット、「500e」をパリのカーシェアリングに提供……「Free2move」のサービスで利用可能 ★エマルションフローテクノロジーズと大平洋金属、リチウムイオン・バッテリーのリサイクル技術を共同開発へ……レアメタル回収技術の確立を目指す ★EVバイクシェアリングサービスのシェアロ、ステーション設置数が500ヵ所……4月30日(日)に東京プリンスホテル屋外駐車場(東京都港区)にて安全講習会を開催(参加費無料) ★フォード、「マスタング・マッハE」をオーストラリアと台湾でも発売……世界39ヵ国での販売車種に、生産台数が2年で15万台目前 ★BYD、試乗企画「eモビリティ パートナープログラム」体験者による「アット3」の感想を公開……「運転がしやすい」との声多数

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
JR西日本、水素燃料電池列車を開発へ……デイリーEVヘッドライン[2023.04.17]

鉄道アセットを総合水素ステーションに活用 社会インフラにこそ燃料電池式のEVは有用 【THE 視点】西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)は4月12日、燃料電池を搭載した鉄道車両を開発することを発表した。合わせて水素ステーションの整備も進め、鉄道ほかトラックなどの物流関係に水素を提供する計画だ。 JR西日本は、2050年にグループ全体の CO2 排出量を「実質ゼロ」とすることをめざしている。その一環として、水素利活用に関して2つのテーマをあげた。 1つ目は、水素利活用計画の検討である。駅などの鉄道アセットを活用した「総合水素ステーション」を設置し、燃料電池列車やバス・トラック・乗用車に対する水素供給および日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)の貨物列車による水素輸送の拠点としての活用を検討するという。 2つ目は、燃料電池列車導入に向けた開発である。気動車(ディーゼルエンジン車両)の将来の置換えをめざす。 今回のJR西日本の水素の利活用計画において、「総合水素ステーション」という発想は非常に良い取り組みであり、まさに「ステーション(駅)」と言える。 自動車と鉄道とはこれまで別なものとして考えられてきたが、自動車共用の水素ステーションが出来れば、建設費の大幅なコストダウンにもつながり、遅々として進まない水素ステーションの整備が改善されるのではないだろうか。もちろん水素ステーション側の稼働も増えるため収益率の改善にもつながる。 筆者は、普段の移動の足としてFCEVに乗るが、東京23区内にある水素ステーションでも、1日10台程度の利用しかないという。湾岸部に行けば、東京都交通局のFCEVバス「トヨタ・ソラ」が多く走っているので稼働は多いだろうが、1日10台程度では人件費さえ稼げない状況ではないかと思われる。 また、気動車に代わる列車として燃料電池列車というのも良い選択と考える。EVと同じバッテリー式では、恐らく膨大な量の電池を搭載しなければならず、その充電にも相当の時間が掛かる。 燃料電池の良いところは充填時間の短さで、電車の折り返し時間などに水素が補給できれば、現在のダイヤと列車の運用に大幅な変更を必要としない。 この「総合水素ステーション」事業と燃料電池列車、是非とも実現してほしいものである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ランチア、ブランドビジョンを反映したコンセプトEV「Lancia Pu+Ra HPE」を発表……航続距離700km以上、充電時間は10分強[詳細はこちら<click>] ★★ホンダ、ヤマト運輸にEVの「N-VAN」を提供……来年春発売予定の新型軽商用EVのテスト[詳細はこちら<click>] ★MG、新型オープンカーのティザー映像をSNSに公開……「The MG sports car returns ……」と予告 ★日産、「R32 EV」の開発進捗第4弾をツイッターに公開……車体の内外をマーカーを用いて計測、エンジンルーム内にはRB26DETTがまだある模様 ★ボッシュ、欧州初のバッテリー放電プラントを開発……バッテリーリサイクル需要の高まりに対応[詳細はこちら<click>] ★MG、2023年第1四半期の販売台数は2万679台……EVのシェアは9.4%に成長 ★九州大学でEV三輪バイクシェアリングが開始……次世代モビリティのフューチャー・九州大学・QTnetが実証実験、広大なキャンパス内などの移動に

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
BEV大国の中国で販売が失速! ここ数年でPHEVのシェアが伸びていた
中国市場でファーウェイのEVが爆発的人気! ライバルを凌ぐ激安っぷりと超豪華内装のAITO M9とは
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ニュース
スーパーオートバックスに新たなブランド施設「ヒョンデコーナー」誕生! カー用品店の一角でありながら他ショールームと同じサービスを受けることが可能
Audi charging hubが東京都・紀尾井町にオープン! いまなら無料で急速充電を体験できる
チェ・ジョンヒョプ主演ムービーにキュン死寸前!? ヒョンデ「コナ」のキャンペーンが見逃せない
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コラム
中国市場はまだまだEV化の流れが止まらなかった! 内燃機関からPHEVを介してEVシフトするシナリオの中身
やっぱり日本でEVは需要薄か!? 国産で好調なのは軽EVだけという現実
数字だけ高スペックでも実際の充電は遅い! EVの進化についていけない急速充電器の現状
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インタビュー
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
災害に強いクルマは「PHEV+SUV+4WD」! 特務機関NERVがアウトランダーPHEVを選ぶ当然の理由
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試乗
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
誰もが感じる「ポルシェに乗っている」という感覚! ポルシェはBEVでもやっぱりスポーツカーだった
佐川急便とASFが共同開発した軽商用EV「ASF2.0」に乗った! 走りは要改善も将来性を感じる中身
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イベント
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた
日産がフォーミュラE「Tokyo E-Prix」開催前スペシャルイベントを開催! 六本木ヒルズアリーナに1夜限りのサーキットが出現
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