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TEXT:TET編集部
賃貸住宅大手「大東建託」が電気自動車充電設備の充実に乗り出す 独自に充電設備導入基準を策定

大東建託株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:小林克満)は、同社が提供する賃貸住宅への電気自動車(EV)充電設備導入基準を策定した。1月より全国でEV充電設備を備えた賃貸事業の提案を開始している。賃貸住宅に入居する人々に対するEV充電インフラが整うことで、車の購入時に選択肢が増え、EVの普及促進に貢献する。 賃貸住宅の入居者がEV所有を自由に選択できる住環境を目指し、EV充電インフラを整備 日本では都市部・郊外部に賃貸住宅が多く、その設備の改修が難しいことから、EV普及につながるインフラ整備の課題とされていた。 近年高まりつつある賃貸住宅オーナーからのEV充電設備導入要望に対し、大東建託ではこれまで充電設備の設置に明確な基準は持たず、個別対応をしていた。今回新たに、各住戸に連動した住戸毎のEV充電設備の導入基準を策定することで、よりスムーズにEV充電インフラが整備できるようになるという。同社では入居者のEV所有率向上に貢献することで、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速させていくとしている。 株式会社市場経済研究所「2022年版全国住宅・マンション供給調査企業別ランキング」(2021年7月発行)によれば、大東建託の賃貸住宅供給力は「住宅供給実績12回連続1位」と影響度が高く、EV充電環境の整備に取り組むことで、賃貸住宅入居者層のEV普及促進に貢献することが期待できる。 東京都では2025年4月よりEV充電設備等の設置義務化が開始 なお2030年までに乗用車の新車販売台数に占めるZEV割合を50%にする目標を掲げた東京都では、2025年4月より、大手の住宅メーカーである特定供給事業者に対し、都の基準に適合したEV充電設備・断熱・省エネ性能、再エネ設備(太陽光パネル)の設置を義務づける。 同時に2000m2未満の中小規模建物においては、充電設備の整備基準(義務)が設けられる予定。駐車場付き戸建住宅1棟ごとに充電設備用配管等を整備すること、10台以上の駐車区画を有する集合住宅やビルの場合、実装基準は1台分以上、配管等整備(先行配管)は駐車区画の20%以上となる。

TAG: #充電 #大東建託 #東京都 #集合住宅
TEXT:烏山 大輔
ID.シリーズのインテリアがさらにサステナブルに

持続可能なモビリティ社会の実現に向けて、フォルクスワーゲンは電気自動車のID.シリーズに新たなリサイクル素材を使用する。新型ID.Buzzの内装にはすでに多くの新素材が使われており、その新素材をID.シリーズの他のモデルにも順次導入する予定だ。 ID.Buzzのリサイクル・イノベーション 新型ID.Buzzの内装には海洋プラスチックや使用済みペットボトルを使ったリサイクル素材が随所に使用されている。 シートカバーには、海洋プラスチックゴミ10%とリサイクルペットボトル90%から作られる「SEAQUAL YARN」を使用。この素材を使用することにより、CO2排出量を従来のものと比較して32%削減できる。また「ArtVelours Eco」を使用したシートカバーは、リサイクル素材の割合が71%になる。さらにヘッドライナーとフロアカバーは、リサイクルポリエステル100%で作られている。カーペットの断熱材やホイールハウジングライナーなどにもリサイクルプラスチックが使用されている。 またID.Buzzではドア、インストルメントパネルやステアリングホイール・クリップのトリムパーツに環境に影響があるクロムの使用をやめた。再生可能な原料を使用した液体塗料に変更した。 これらのID.Buzzのリサイクル・イノベーションは今後ID.3、ID.4、ID.5、ID.7に導入される予定だ。

TAG: #ID.4 #ID.Buzz
TEXT:曽宮 岳大
ジープからEVが続々。ステランティス、2022年はEVを29万台弱販売。2023年に登場するSUVのニューモデル3台

米ジープや伊フィアット、仏プジョーなど15のブランドを展開する自動車大手ステランティス・グループ。2022年には、前年比26%増の168億ユーロ(約2兆4175億円)の純利益をあげた。拡大市場の電気自動車(EV)は、2022年に前年比41%増の28万8000台を販売し、台数を急増させた。2023年はさらに9車種のEVを投入すると意気込む。なかでも注目はジープ。2023年には3モデルが登場する予定だ。 次なる狙いは米市場 ステランティスの発表によると、2022年の自動車販売は純利益と調整後営業利益で過去最高を達成した。同グループは、2030年までに純利益を2021年比で倍増させ、10年間連続で2桁台の利益率を上げるという野心的な戦略を掲げているが、2022年はその目標をクリアした格好だ。 成長市場のEVについては、現在23台をラインナップしており、グローバルで28万8000台を販売した。EU加盟国内で商用車のEV販売で首位、EV全体では2位となったほか、イタリアでは「フィアット ニュー500(日本名:500e)」が首位、フランスでは「プジョー e-208」が販売ナンバー1を獲得している。ステランティスは2030年までにCO2排出量を半減(2021年比)させる目標を掲げており、2022年は11%の削減を達成した。 ステランティス・グループのEV攻勢は今後も続く。現在23台のEVラインナップを2024年末までには47台に増やす計画だ。その勢いを強力に加速させるのがジープ。2022年末に欧州で披露された「アベンジャー(Avenger)」のほか、北米では2023年中に「リーコン(Recon)」と「ワゴニアS(Wagoneer S)」の発表が予定されている。 ジープが海外向けに展開するコンパクトSUV「アベンジャー」 ジープ初のバッテリーEV(BEV)として登場したアベンジャーは、Bセグメントに位置する全長4.08mのコンパクトSUV。欧州をはじめとする海外市場向けに用意するモデルだ。航続距離は400km(WLTPモード)を達成し、急速充電を使用すれば3分の充電で30kmの走行が可能という。アベンジャーは日本にも導入される見通しだ。 ルビコントレイルを横断できる走破性と航続距離「リーコン」 アベンジャーが欧州など海外向けであるのに対し、リーコンは、北米を主戦場とするEV。完全新設計となるEV専用モデルで、4×4モデルが展開される。ジープでは、過酷なオフロードコース「ルビコントレイル」を走破した、卓越したオフロード性能を持つモデルに「Trail Rated」という特別な称号を与えているが、リーコンはルビコントレイルを横断し、街まで戻ってこられるだけの航続距離を確保するとのこと。2023年前半に北米で受注が開始され、2024年に北米での生産開始が予定されている。 航続距離640km級のプレミアムSUV「 ワゴニアS」  ジープが2021年に発表した大型SUV「ワゴニア」にもEVの設定が計画されている。コードネーム「ワゴニアS」と呼ばれるそのモデルは、1充電あたりの航続距離は640km、最高出力は440kW(600ps)、0-96km/h加速は3.5秒を誇る、高性能プレミアムSUVだ。先進技術と充実した豪華装備が与えられる模様で、ラインナップの中でも存在感を放つモデルとなりそう。こちらも2023年前半に受注が開始され、2024年の生産開始が計画されている。 EV化の波は欧州で急速に進んでいるが、北米市場でも電動モデルの発表が相次いでいる。ステランティスのような大手が人気ブランドからEVを発表すると、その勢いにさらに弾みがつくだろう。 ジープでは2030年までにEVのフルラインナップを完成させ、モデル数や販売台数の面でSUVナンバーワンを目指すとしている。今後の動向を楽しみに見守りたい。

TEXT:烏山 大輔
BYDのEVバスの部品が製造段階で六価クロムを使用、人体への影響はないと発表

BYDジャパン株式会社は2月23日、日本で販売しているBYD製EVバスのボルトやナット類の防錆剤として、六価クロムが含まれた溶剤を一部使用していることを明らかにした。 BYDジャパンはバスの運行中などにおける乗員・ 乗客の人体への影響はないとしている。またバス廃車時においては、BYDジャパン指定のリサイクル事業者によって六価クロムの無害化処理を行い処分しているので、環境への影響もないとしている。 2023年末に日本国内で発売を予定している新型EVバスには、六価クロムを使用せずに製造した車両を販売する。 六価クロムは、金属元素であるクロムの化合物のうち、酸化数が +6 の Cr(VI) を含むものの総称である。従来、部品の錆を防ぐ用途などで自動車部品製造に用いられてきたが、毒性が強く人体や自然環境などへ有害な影響があるとされている。2008年から日本自動車工業会が業界の自主規制として使用を禁止しており、同年以降の新型車では原則的に使用されていない。 欧州連合(EU)でも原則、乗用車への使用を禁止している。日本に輸入する欧米や韓国メーカーの車両には六価クロムが使用されていないことを日本自動車輸入組合が確認済みだ。 BYDオートジャパンが1月から販売しているBYD製の乗用車については、六価クロムが使用されているかどうか、BYD本社が現在調査中である。

TAG: #BYD #EVバス
TEXT:烏山 大輔
西武バス、国内初EV路線バスとオンサイトPPAを導入

西武バス株式会社は関西電力株式会社の支援を得て、2月27日(月)から西武バス新座営業所(埼玉県新座市)にて「100%電気で走る大型路線バス」の運行を開始する。 再生可能エネルギーで走るバス この運行に合わせて新座営業所施設の屋根に太陽光パネルを設置し、発電される電気をこの営業所施設に供給して自家消費する「オンサイトPPA」を導入する。路線バスなどの事業を行う、一般乗合旅客自動車運送事業者が EVバスとオンサイト PPA をあわせて導入する取り組みは、 国内で初めての事例となる。 西武バスが運行するEVバスは、BYDジャパンが販売する「K8(ケーエイト)」である。営業所敷地内に急速充電器を設置し、動力となる電気をここから充電する。 またオンサイトPPAの導入により、日中はバスの運行管理システムの運用から空調・ 照明まで、営業所内で使用する電気の一部を再生可能エネルギーでまかなうことが可能となる。 また非化石証付電力供給の実現を目指し、実質再生可能エネルギー由来の電力のみを使用することで、100%カーボンニュートラルな営業所運営を実現する。 さらに災害時に停電した場合でも、設置した太陽光パネルから発電される電気により、営業所の運行管理機能が維持されることでバス運行が継続でき流。そして充電されたEVバスを一時避難施設などに派遣して電力供給を行い、地域住民のライフライン確保だけでなく、地域レジリエンス(地域が災害等の危機的状況を乗り越える能力)強化にも大きく貢献することも可能である。 以前から西武バスは、より安全・安心を第一として、環境や社会情勢が抱える課題解決に向けた取り組みを推進している。エクドライブの実施や、ハイブリッドバスや燃料電池バス、バイオディーゼル燃料、 リニューアルディーゼル燃料の導入などが評価され、「令和4年度 彩の国埼玉環境大賞 1 優秀賞」を受賞している。このEVバスとオンサイトPPAの導入により、これからも脱炭素社会の実現に貢献するために、環境にやさしく、地域と調和する公共交通機関を目指していくとしている。 ■運行概要 運行営業所:西武バス新座営業所
運行台数:一般乗合バス(大型路線バス)2台 運行時期(予定):2023 年2月 27 日(月)から 主な運行系統(予定): [清63] 清瀬駅北口~けやき通り~旭が丘団地 ■EVバスについて 大型EVバス:BYD K8 乗車定員:最大81人 車長:10,500mm、車幅:2,500mm、車高:3,360mm、ホイールベース:5,500mm バッテリー容量:287kWh(リン酸鉄リチウムイオンバッテリー) 航続距離:220km(乗車率 65%、エアコンなしの場合) 充電時間:約6時間 充電方式;CHAdeMO ■EV バスからの給電、災害時の対応について EVバスから電気を取り出す外部給電器を導入する。EVバスから外部給電器を介して電気を取り出し、様々な用途で電気を使用することが可能である。EVバス1台から取り出せる電気量の目安は287kWhとなる。これはスマートフォン約26,747台の充電分に相当する。 ■太陽光発電オンサイトPPA について オンサイトPPAとは、PPA事業者が所有する太陽光発電設備を、電気を使用する企業の敷地や施設に設置。その企業が PPA事業者から発電した電気を購入して自家消費する契約形態である。今回西武バスが導入する関西電力の「太陽光発電オンサイトサービス」では、関西電力が PPA事業者となり、太陽光発電設備の設置から運用・メンテナンスまでワンストップで提供している。

TAG: #BYD #EVバス
TEXT:烏山 大輔
完全自動運転EVを開発のTURING、自社車両生産拠点を建設

完全自動運転車両の開発・販売に取り組むTURING株式会社(チューリング)は、同社初の車両生産拠点「TURING Kashiwa Nova Factory(チューリング・カシワ・ノバ・ファクトリー)」を新設した。この拠点は2025年に予定している同社製造の自動運転EV100台の生産及び研究開発拠点として活用される。 2023年1月に1台限定で販売した初のエンドユーザー向け製品である「THE FIRST TURING CAR」は、発表から約2週間で成約した。この拠点を5月初旬の操業開始に向けて整備し、自動運転EVの量産に向けた取組みをより一層加速していく。 チューリングはこれまで、柏の葉スマートシティ・イノベーションキャンパス地区(千葉県柏市)のKOIL MOBILITY FIELDにて実際に開発車両を走らせてデータを取得し、車両の開発・実証を進めてきた。 「TURING Kashiwa Nova Factory」は同社製造の自動運転EV車両100台の生産拠点となる。同時に車両の製造能力を獲得していくために、安全に車を分解し、車の構造を理解し、組み立てることができる研究開発拠点としても活用する予定だ。このファクトリーはチューリング本社と同じ千葉県柏市内にあり、アクセスの良い常磐自動車道柏インターチェンジ付近に位置している。 2025年中に100台、2030年中に10,000台の自動運転EV車両の製造・販売に向け、研究開発に取り組んでいく。 ■チューリングについて 世界で初めて名人を倒した将棋AI「Ponanza」の開発者である⼭本⼀成氏と、カーネギーメロン⼤学で自動運転を研究し、Ph.D.(博士号)を取得した⻘⽊俊介氏が2021年に共同創業した。AI深層学習技術を⽤いた限定領域に留まらない、完全⾃動運転EVの量産を⽬指すスタートアップである。 社名:TURING株式会社 代表者:代表取締役 ⼭本⼀成 設⽴:2021年8⽉ 資本⾦:3,000万円(2022年9⽉末現在) 事業:完全自動運転EVの開発・製造 本社:千葉県柏市若柴226番地44中央141街区1 URL:https://www.turing-motors.com

TEXT:曽宮 岳大
MINI初のオープンEV「クーパーSEコンバーチブル」製品詳報

BMWは電気自動車の「クーパーSEコンバーチブル」を欧州において999台限定で発売することを発表した。現在欧州におけるMINIの電動モデルのラインナップは、ハッチバックの「クーパーSE」と、プラグインハイブリッドの「クロスオーバーPHEV」(現地名カントリーマンPHEV)の2種類で、これに限定モデルとしてオープン版の「SEコンバーチブル」が加わる格好だ。さらに2023年中に新たなEVが披露される予定もある。 クルマ好きを刺激する4シーターオープンEV ミニがEVの「ミニクーパーSE」を発表したのは2020年。クーパーSのEV版ということで「SE」の呼称が与えられた3ドアハッチバックは、欧州で堅調に台数を伸ばし2022年には2万7000台を販売。ミニ全体の22%を占めた。 今回の「クーパーSEコンバーチブル」の設定は、こうした欧州におけるEVの需要の高まりに応えるもの。オープン+EVというニッチな仕様を仕向地のニーズに応じて展開できるのは、生産ラインが柔軟な生産体制に対応できることを示している。なおクーパーSEコンバーチブルはオランダの工場においてミニコンバーチブルと同じ生産ラインで組み立てが行われる。 クーパーSEコンバーチブルは、ブラックとシルバーの2種類のボディカラーが設定され、ドアハンドルやサイドガーニッシュ、ライト周りにはブロンズの装飾が施される。また、ドアシルのトリムとサイドガーニッシュには限定車であることを示す「1 of 999」の文字が入る。 ホイールは、「エレクトリックパワースポーク」と呼ばれる2トーン仕様の17インチ専用アルミホイールが採用される。こちらは循環素材を用いるとともに、製造時にグリーン電力を用い環境に配慮したものとなっている。 インテリアは、ヒーター機能付きのナッパレザー製スポーツステアリングホイールや、シートヒーター付きのスポーツシートなど、スポーティ感と快適性を共に高めた仕様となる。他にもピアノブラックの加飾やアンビエントライト、EVのみのイエローのカラーアクセントにより、特別感が高められているのが特徴。また、ストップ&ゴー機能付きのアダプティブクルーズコントロールや、ミニドライビングアシストなど運転支援機能も備えている。

TAG: #BMW #MINI
TEXT:烏山 大輔
相模原市、休日に市民が利用できるEVカーシェアリングを開始

神奈川県相模原市とカーシェアプラットフォーム「Anyca(エニカ)」を運営する株式会社DeNA SOMPO Mobilityは、2月18日より「Anyca Official シェアカー」を活用したEVカーシェアリングサービスを開始した。この取り組みは脱炭素社会の推進と公用車の維持管理にかかる財政負担軽減を図る目的がある。 相模原市が南区合同庁舎の駐車場1台分をエニカに有償で貸し出す。その駐車場に停めているEVを、平日の月~金曜日は市職員が公用車として、区役所の閉庁日(土・日・祝日及び年末年始)は市民が移動手段として利用することができる。 この取り組によって、相模原市はエニカから駐車場の賃料を得ることができる。車両購入費用や維持費の負担も無く、市の公用車として職員が平日に利用できる。エニカは車両使用料が入るとともに、エニカユーザーの新規獲得に繋がる。市民は週末のお出かけに利用でき、EVを気軽に体感できる。この「三方よし」なサービスが他の自治体や企業にも広がり、EVの認知度向上、新規EVユーザーが増えることを期待したい。 ■カーシェアリングサービスの概要 利用開始日:2023年2月18日(土) 利用可能日:土・日・祝日、年末年始(12月29日~翌年1月3日)の終日 貸出・返却場所:相模原市南区合同庁舎 第1駐車場 (神奈川県相模原市南区相模大野5-31-1) 車種及び台数:日産リーフ 1台 料金:800円/時間 6、12時間パックなど長時間利用のお得なプランも有り 利用方法: (1)カーシェアアプリ「Anyca」をダウンロードし、会員登録 (2)アプリから車を予約 ※アプリでの予約後、最短15分で乗車可能 (3)リアウィンドウのカードリーダーに自分の運転免許証をタッチし解錠 ※利用者の運転免許証が鍵になる ■Anyca Official シェアカーサイト https://anyca.net/contents/official_share_car

TAG: #エニカ #リーフ
TEXT:TET編集部
米テスラが「モデルS」「モデルX」「モデル3」「モデルY」362,758 台のリコールを発表:米国道路交通安全局(NHTSA)

米国道路交通安全局(NHTSA)の公式発表によると、テスラが開発中である完全自動運転ソフトウェア「FSDベータ」に衝突を引き起こす可能性があるとして、362,758 台のリコールを発表した。 制限速度を超過したり、違法または予測不可能な方法で交差点を通過することで、事故のリスクを増加させる可能性が指摘された。 テスラ社は、アメリカ国内で販売された完全自動運転ベータ版(FSD Beta:Full Self-Drivingベータ版)ソフトウェアが搭載された、または搭載が保留されている特定の2016-2023年型「モデルS」および「モデルX」、2017-2023年型「モデル3」、2020-2023年型「モデルY」車両をリコールする。 FSDベータ版システムでは、交差点付近において、右折/左折専用レーンを走行中に交差点を直進したり、一時停止標識のある交差点に完全停止せずに進入したり、黄色信号点灯中に十分な注意を払わず交差点に進入するなど、安全でない行動をとる可能性があるという。また、制限速度の変化への対応が不十分であったり、ドライバーが制限速度を超えるような速度調整を行った場合に、システムが適切に対応できない場合があると指摘する。 改善策としてテスラ社は、無線(OTA)ソフトウェア・アップデートを無償でリリースする予定だ。 オーナーへの通知書は、2023年4月15日までに郵送される。

TAG: #テスラ #リコール #自動運転
TEXT:曽宮 岳大
トヨタ、「次世代のBEV」をレクサスブランドで展開。2026年を目処にEVに最適化したクルマづくりを展開

トヨタ自動車は4月1日からの新体制を明らかにすると共に、新体制下で進めるクルマづくりの方向性について発表を行った。会見では、4月1日付で新たに社長に就任する佐藤恒治執行役員が自らの想いを口にした。そのスピーチの中からEV目線で重要なポイントをご紹介したい。 “豊田章男経営”を継承 「もっといいクルマづくり」という掛け声を発し、自らマスターテストドライバーを務めながら、トヨタ車の基本性能の向上や“味”のあるクルマづくりを推進してきた豊田章男社長。彼が旗を振った13年間でトヨタ車には味の濃いモデルが増え、GR系モデルの展開など、趣味性の深いモデルも数多く登場した。クルマ好き社長の真骨頂を見せてくれた格好だ。 そして4月1日付で社長に就任する佐藤恒治次期社長は、1992年入社。技術畑の出身で、シャシー設計、レクサスGS開発担当主査、レクサスLC開発責任者などを経て2020年に執行役員に。豊田社長からの指名により新社長に就任することになった。会見では、「4月からは“豊田章男経営”を新体制で実践していく」と意欲を述べた。 “豊田章男経営”とは、もっといいクルマづくりや、議論よりも現場でまず行動する、といった豊田社長が育んだクルマづくりの思想だ。 「電動化」「知能化」「多様化」を3本柱に 3本柱を立てて説明する欧米式のプレゼンテーションスタイルも豊田社長譲り。佐藤次期社長率いる新体制でのクルマづくりのテーマは、「電動化」「知能化」「多様化」の3本。 「電動化」については、「マルチパスウェイをブラさず、全方位で取り組んでいく」と述べた。これは2021年12月のEV戦略の説明会で豊田社長が語った、電動化を推進しつつ、社会の変化に柔軟に対応できるよう多様なパワートレインの可能性を模索していくというスタンスと同様の内容だ。マルチパスウェイとは、複数のアプローチをとっていくという意味。例えば自然エネルギーが豊富な地域ではEVを、南米ではバイオエタノールをエネルギーとするという具合に各地の市場で適材適所のパワートレインを提供する方針だ。 ただ今回のプレゼンではEVについて、もう一歩踏み込んだ内容が語られた。それは2026年を目標に電池やプラットフォーム、クルマづくりなどを、EV向けに最適化した「次世代のEV」をレクサスから送り出すということ。 バッテリーについては、トヨタでは全固体電池や次世代リチウムイオン・バッテリーなど複数の商品開発を進めていることを明らかにしているが、今回はこの点については触れられていない。

TAG: #トヨタ #レクサス
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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