スペインの自動車メーカー「セアト」は4月21日(現地時間)、スポーティブランド「クプラ」から、電動SUVクーペ「タバスカン」をワールドプレミアした。
フォルクスワーゲン・グループに属する個性派ブランド
日本には正規輸入されていないためご存じない方も多いかもしれないが、セアトはフォルクスワーゲン・グループの一員として、南欧や南米で確固たる地位を築いているブランド。そのセアトにおいて、クプラは当初、フォルクスワーゲンのゴルフ級にあたる「レオン」などのスポーツグレードに与えられるサブネームとして生まれ、フォルクスワーゲンの「R」や、アウディの「S」モデルのような位置づけだった。
ただ、2018年にスポーティモデルの独立したブランドとなってからは、SUVの「アテカ」、電動ハッチバック「ボーン」など刺激的なモデルを矢継ぎ早に送り出している。
そのクプラからこの度登場したタバスカンは、全長4,644mm×全幅1,861mm×全高1,597mm、ホイールベース2,766mmのボディサイズを持つコンパクトSUVクーペ。ボディ後端に向けてなだらかに傾斜していくルーフラインや前下がりのキャラクターラインなどがスタイリッシュなサイドビューを強調。
一方で、吊り上がったヘッドライトの造形やワイド感を強調したフロントバンパー周囲の処理は、猛獣をイメージさせるアグレッシブな雰囲気で、どちらかというと知的な印象にまとめる傾向のある他のEVとは一線を画している。
こうしたタバスカンの過激なデザインは一朝一夕に成り立ったわけではなく、初出は2019年の「タバスカン・コンセプト」。その後もクプラはショーカーで顧客の反応を窺いながら慎重にモデルの開発を進めてきた。そして、ようやく同じグループ内のフォルクスワーゲン「ID.」やアウディ「e-tron」などと被らないオリジナリティの強いモデルとして今回市販化にこぎ着けたというわけだ。
もちろん、シナジー効果を高めるため、グループ内の資産は積極的に共用される。例えば、タバスカンはフォルクスワーゲン・グループの誇る電動車専用プラットフォーム「MEB」を採用しており、車格から言っても実質的にはグループ内の電動SUVクーペ、フォルクスワーゲン「ID.5」およびアウディ「Q4 スポーツバックe-tron」の兄弟車といえる。