出光興産、種子島石油、種子島空港の3社は4月10日、種子島空港内の小規模オンサイトPPA(※)による空港ターミナルビルへの電力供給と、EV充電の共同実証を開始した。
※オンサイトPPA:Power Purchase Agreement(電力販売契約)の一種で、PPA事業者所有の太陽光発電設備を使用者の敷地や事務所・工場などの屋根に設置し、電力を供給するもの。
3社のコラボで達成
3社は、空港におけるカーボンニュートラル実現のための施策として、空港敷地内に太陽光発電パネルを設置し、ターミナルビルにて太陽光由来の電力を活用することによるCO2の排出削減を実証するとともに、再エネ電力のさらなる普及を促進する。
実証にあたっては、2023年3月29日に出光興産が発表した再エネ電力分別供給システム「IDEPASS」を活用し、空港敷地内で発電した再エネ電力を空港ターミナルビルのテナントへ選択的に供給する。あわせて、種子島石油が空港敷地内で管理・運用するEV用普通充電器で、再エネ電力および系統から送電された再エネ以外の電力を公用EVなどに充電する。
なお、出光興産と種子島石油はこれまで、西之表市の公共交通車両のEV化・充電を含めたEV関連事業実証や、南種子町役場庁舎への再エネ電力の供給・EV充電等の実証等を通じ、各市町と協働して種子島における低炭素エネルギーの地産地消の推進に取り組んできた。
充電に多様な選択肢を
今回設置した普通充電器は、従量課金制(充電量に比例して課金)を採用する。さらに、出光興産が開発したEV充電システム「再エネチョイス」を活用しており、EVユーザーが自ら再エネでの充電を選択することが可能だ。
従量課金制による普通充電、そしてユーザーが再エネを選択できる充電は、本年4月3日に南種子町役場で開始した実証とともに、国内における先行事例となる。充電する電力種別や、必要充電量・金額をユーザーが選択することが可能であり、ユーザーニーズに合致した充電が可能となる。なお、当該充電器は一般の人も利用することができる。
どうなる、コラボの行く末
種子島空港は、島外との往来の空の玄関口であり、ビジネスや観光などの活動の起点となる場所だ。実証は4年間の予定で行い、小規模オンサイトPPAの事業性、再エネ電力活用によるCO2の排出削減、従量課金制充電の顧客満足・事業性等について検証する。これらの検証を通じ、出光興産、種子島石油、種子島空港は、空港における低炭素エネルギーの地産地消推進と、EVユーザーと地域の充電事業運営者にとって最適なサービスの構築を目指す。
なお、政府の第6次エネルギー基本計画(2021年10月)では、空港施設・空港車両のCO2排出削減を含む航空分野の脱炭素化の推進と同時に、「空港を再エネ拠点化する方策を検討・始動し、官民連携の取り組みを推進する」ことが盛り込まれている。この実証実験が全国展開への足がかりとなるか、期待したいものだ。