カタログ表記の電費と実走行の電費には差がある
電気自動車(EV)であるか、エンジン車やハイブリッド車(HV)などであるかを問わず、諸元表に記された電費(または燃費)が、実走行での数字と異なることはめずらしくない。
理由のひとつは、諸元表に記されるモード測定では空調を使わないからだ。これは、乗用車では極めてまれであるはずだが、空調を装備しないクルマがあった場合に、それでもすべての車両が同じ基準で性能を比較できるようにするための措置である。
空調を利用すれば、電費(または燃費)が悪化することは誰もが経験しているのではないか。そして、春や秋など、必ずしも空調を必要としない季節に運転すると、冬や夏に比べ電費が向上することも体験済みだろう。とはいえ、車内温度を自動的に調整するオートエアコンディショナーの装備が普及するに従い、空調のスイッチを入れっぱなしにして走る人もまた多いのではないか。
そうなると、諸元表に記載された電費を超えることはなおさら期待しにくくなる。
しかし、私の実体験からすると、EVでは諸元値を超えることも不可能ではないといえる。私が乗るサクラの場合、電費に相当する交流電力消費率のWLTCモード値(諸元表の値)は、124Wh/kmとある。これを1kWhあたり何km走れるかに換算すると、8.064km/kWhになる。そしてこの表記が、メーター上に表示される。
しかし、実電費で9km/kWhを比較的容易に出せるし、過去3年間使ってきた実績からすれば、10km/kWhを下まわらない状況だ。これを諸元表記になおすと、100Wh/kmとなり、1km走るのに必要な電力が20%近く改善されることになる。その分、一充電走行距離も当然延ばせる。
ただし、それにはEVの特徴を活かした運転の仕方が必要だ。
まず、モーターはエンジンに比べ低速トルクが格段に大きく、しかもそのトルク値は、ガソリンのターボエンジン車に匹敵するほどだ。そこで、走行モードの選択肢があるEVなら、エコモードでも十分な加速が得られるはずだ。
次に、回生を最大に利用するため、サクラの場合はe-Pedal(イー・ペダル)のスイッチを入れるのはもちろん、シフトレバーをDではなくBに入れて運転する。ただし、高速道路では、回生が効き過ぎないようDレンジに切り替える。
サクラは、アクセルのワンペダル運転で停止までできないけれども、上記の設定で運転すれば、停止以外はほぼアクセル操作だけで走れる。こうして走ると、夏冬を問わず10km/kWhの電費はもちろん、空調を使わない季節には12km/kWhも視野に入ってくる。






















































