メーカーの垣根を越えるNACSの輪
ジープ、アバルト、プジョー、クライスラーなど、合計14ものブランドを傘下に収めるステランティスは、北米、日本、韓国における一部のバッテリー電気自動車(BEV)に、テスラの北米充電システムである「NACS(North American Charging Standard)」を採用すると発表した。
これにより、テスラが保有し運営する急速充電器「スーパーチャージャー」を使って充電することが可能となり、将来的な数も含めて一挙に5か国で合計2万8000基以上ものスーパーチャージャーネットワークにアクセスすることができるようになる。
充電可能となる時期は地域ごとに異なり、まずは2026年初頭に北米市場のBEVモデル(ジープ・ラングラーやダッジ・チャージャーデイトナなど)から開始し、その後、2026年発売予定のジープ・リーコンや今後発表予定のモデルに順次拡大する。日本と韓国では2027年からNACSに対応したBEVモデルにより、テスラ社の充電拠点で急速充電を行なうことが可能になるのだという。
なお、北米・日本・韓国におけるステランティスの現行BEVモデルのネットワーク利用や、アダプターに関する詳細は後日発表予定とのこと。
自動車メーカーと充電規格の垣根を越え、BEVモデルの利便性を向上させるこの取り組みは、大規模な追加投資を行うことなく充電網を拡充することができる。そのうえ、NACS規格であれば、認証が充電コネクタの接続だけで済み、そのコネクタはコンパクトでコードも軽量で取りまわしが楽になるなどユーザーにとってもメリットが大きい。
すでに北米市場では、日産、ホンダなどの日系メーカーに加え、フォード、ボルボ、ヒョンデなどの海外メーカーも続々とNACS対応を進めており、ステランティスはこれに追随した形だ。北米での充電規格にはCCS1規格も存在するが、クライスラー・ダッジ・ジープを傘下に収めるステランティスが加わることでNACS規格に一本化しそうな様相だ。
しかし、日本市場に目を向けると、マツダが2027年以降に販売するEVがNACS対応になると発表した以外、現時点でほかの自動車メーカーに動きは見られない。国内のBEV普及に向けては、日本固有の急速充電規格「CHAdeMO」との共存に課題はありつつも、充電時の選択を増やしながら充電ネットワークの充実が図られるのが望ましく、今後各メーカーの対応に期待したいところだ。




















































