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日産の起死回生の一撃がスゴイ! 「この中身でこんな安いの?」驚きしかない最新EVセダン「N7」


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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日産が中国でEVセダン「N7」を発売

日産が中国市場で最新EVセダン「N7」の発売をスタートさせました。日本円で236万円からという値段設定を実現することで、中国EVメーカーを凌ぐコスト競争力を実現。崖っぷちである中国市場の反転攻勢を分析します。

まず、日産の中国市場における現状について、2025年3月単体の販売台数は約3万8000台と、前年同月比−28.6%という販売台数の落ち込みを記録。2021年3月単体の販売台数は9.3万台を超えており、4年前と比較すると−59.4%、つまり4年前と比較すると販売規模が5分の2にまで落ち込んでしまっているのです。

グラフ

また、中国国内の小売台数を競合と比較すると、日産は2025年Q1単体で10.9万台を発売したものの、これは前年同期比で−26.3%という落ち込み具合です。

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そして、中国市場における日産の問題点は2点存在します。まず、販売構成がシルフィに依存してしまっている点です。大衆セダンのシルフィは、BYDが発売するQin LやQin PlusなどというPHEVのセダンと比較しても、燃費や装備内容で負け越しており、よってシルフィの販売台数急減少に応じて日産全体の販売ボリュームも低下しているのです。このシルフィ一本足打法ともいえる販売構成をどのように改善していくかが喫緊の課題なのです。

もう一点の課題がEVの販売不振という点です。日産は現在、Dongfengとの合弁ブランド「Venucia」も含めて、これまで4車種のBEVを展開していたものの、販売台数は低迷し続けています。とくに世界戦略車「アリア」は、2月から2カ月連続で1台も販売することができておらず、日産としては中国市場の競合EVに対抗できる次世代EVの開発に迫られていたのです。

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そして、日産が4月27日に正式発売をスタートしたのがミッドサイズセダン「N7」です。N7は2種類の電池容量を搭載して、装備内容によって全部で5つのグレードを設定。

日産N7

ちなみにN7について、以前に私自身も推測していた、合弁体制を構築しているDongfengのミッドサイズセダン「eπ007」の兄弟車であるという見立ては誤りです。じつはこの新規プラットフォーム「Tianyan Architecture」は、Dongfeng日産の独自開発プラットフォームです。Tianyan Architectureは電動車専用のプラットフォームであり、BEVだけではなくEREVやPHEVも採用可能です。実際に2025年後半にN7に対してEREVグレードを追加する方針を表明済みです。

いずれにしても、合弁企業のDongfengから、インテリアのパーツをはじめとする部品共有などは積極的に行っているはずであるものの、プラットフォームはDongfengとは関係がなく、たとえばマツダEZ-6におけるSL03のリバッジモデルというような認識は誤りなのです。

N7は新規プラットフォーム採用のおかげもあって3C充電に対応。電池はCTP採用のLFPが搭載されており、最大12kWの電池冷却能力とともに、電池セル間の温度差を4℃以上に広げない均一冷却を実現することで、SOC10%から80%まで19分で充電可能。最大240kWという充電出力に対応することで400km分の航続距離を17分で回復可能です。また、全長4930mm、全幅1895mm、ホイールベース2915mmながら、最小回転半径は5.8mと、FWDとしては十分な取りまわしを実現しています。

表

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