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中国でバカ売れの「N7」は日産の救世主となるか? 日本メーカーが苦しむ中国市場で人気車を生み出せたワケ


TEXT:桃田健史 PHOTO:TET 編集部
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中国市場で売れる日本のEVは?

中国市場はもう、日本メーカーにとって手が付けられない存在なのか? あれよあれよという間に世界最大の自動車生産および消費国となった中国。

中国・北京市街

中国の本格的な経済成長が始まったのは2000年代に入ってからだ。当時は、BRICs (ブリックス)と呼ばれ、ブラジル、ロシア、インド、中国、さらには南アフリカなどが経済新興国の最前線だといわれた。

そうしたなか、筆者も2000年代に入ってから中国現地で取材する機会が1990年代に比べると一気に増えた。EVについては、2000年代後半に中国政府がバスやタクシーなど公共交通機関向けで普及を進めたことをきっかけに、2010年代には新エネルギー車(NEV)政策を乗用車向けに強化していったという社会の流れがある。

かつての中国のEVタクシー

NEVの切り札であるEVは、中国地場メーカーが独自開発したり、また日本、欧州、韓国などとの中国地場メーカーの共同出資会社が中国市場向けEVの研究開発を進めていった。これを合わせて、自動車メーカーには製造の設備投資に関する補助金を、またユーザーには購入補助金を拡充したことが奏功し、中国でのEV普及率は上昇。2024年実績ではNEVのシェアが約25%に達している。

こうした中国EV市場拡大において、日本メーカーを苦しめたのが中国メーカーによる価格破壊だ。日系メーカーとしては、EVのグローバル展開を睨みつつ、中国市場での価格の適正化を実現してきたのだが、シェア拡大を第一とする中国メーカー勢が仕掛けた低価格戦略に日本メーカーは太刀打ちできず、ガソリン車やハイブリッド車を含めて販売実績を大きく落としてしまった。

そうしたなかで近年、販売好調なのが日産の「N7」だ。特徴は中国主導で企画開発したこと。日産は、中国事業を展開する上で、中国地場大手の東風汽車と連携してきた。トヨタやホンダが中国地場大手2社と連携して、ある意味でリスク分散するなかで、日産は一極集中の戦術を進めた。

日産N7のフロントスタイリング

ここ数年のNEV市場の拡大と、乗用車全体の価格破壊が起こるなかで、日系メーカーとしてはグローバル全体で見て中国市場への依存度が高かった日産の業績は大きく低下した。そんな苦悩のなかで考案されたのが「N7」である。

中国のユーザーと販売店がEVに求める価格、動力性能、充電性能、車内エンターテインメントなどを的確に踏まえて商品化した結果、N7は日産における新たな成功事例となっている。現時点で、N7の日本導入予定はない。

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