軽より小さなミゼットX その狙いとは?
「わたしにダイハツメイ」という名キャッチコピーを掲げ、ジャパンモビリティショー2025に出展したダイハツ。ショー開幕前の事前CMにも登場した往年の名車「ミゼット」の現代版モデル「ミゼットX」は、その可愛らしい見た目からも注目の的であった。
展示されたミゼットXは、軽自動車規格のバッテリーEV(BEV)として設計されたコンセプトカーだが、一般的な軽自動車に比べ明らかにサイズが小さい。高度経済成長期に誕生した初代ミゼットと、平成に誕生したリメイク版「ミゼット II」がともに軽貨物車でしっかりとした荷台を備えていたのに対し、ミゼットXの荷台と呼べる場所は、コンパクトで小さな箱が乗っているのみ。むしろ人間が乗り込むキャビンの方がずっと大きい。それとて大人4人が乗れるようなものではなく、カプセルとでもいうようなコンパクトな空間だ。商用貨物の域から脱したと思しきミゼットX、そのコンセプトや狙いをダイハツの説明員に聞いた。
BEVだから実現可能なママチャリ的モビリティ
ダイハツ・ミゼットXは子どもを後ろに乗せて走る子乗せ自転車、いわゆる「ママチャリ」を目指して開発されたのだという。そのこだわりはハンパではなく、センターレイアウトの運転席に座ったときの目線の高さと、やや後方に位置するチャイルドシート形状に作られたふたつの後席の目線の高さは、いずれもママチャリに座ったときと同じ高さになるよう設計されているのだそうだ。
この特徴的な1+2レイアウトと目線の高さにこだわった理由を、ダイハツの説明員に聞いた。
「都市部で自転車に乗られているお母さんは、じつは免許をお持っていてもペーパードライバーになってしまったりするんです。(ファミリー向け軽自動車の)タントなんかでも大きいと感じられてしまって、運転に不安があるというのがその理由なのですが、そういった方に向けてなるべく普段使っているママチャリから違和感なく乗り換えてもらえるようにしたいと思ったのが、この設計の背景です」
コンセプトを実現するにあたっては、通常足元に備わるアクセル・ブレーキペダルをレイアウトすることは難しく、トヨタが開発した「ネオステア」と呼ばれるハンドドライブ機構を採用することで問題を解決している。これら着座位置やコンパクトな車体形状も相まって、必然的にミゼットXはBEVとして開発することとなったのだ。
具体的な航続性能や充電性能はこれから検討を深めていく部分であるとしながらも、片道15分ほどといわれる軽自動車の日常的な行動範囲をカバーできるバッテリー容量にして、普通充電方式を考えているという。このあたりは、電動アシスト付き自転車の航続距離や充電速度も、検討材料に入っているはずだ。
また、これだけ小さなモビリティなので、プラットフォームは専用に開発することを検討しているというが、ゆくゆくはそのプラットフォームを基点にダイハツを含むトヨタグループ全体で活用できるようにしたいという思惑だ。個人的な見解ではあると前置きはされたが、「そうでないと都市部を軽快に動きまわれるモビリティとして、気軽に買える価格にならないため」だというのが、その真意である。
続いて、この愛らしい見た目に隠された注目ポイントを見ていこう。






















































