ニュース 記事一覧

ニュース ニュース
TEXT:曽宮 岳大
EV世界初の試み。イギリスの探検家が「日産アリア」で北極から南極まで9ヵ月の冒険へ

日産自動車は、イギリスの探検家ラムゼイ夫妻が「日産アリア」に乗り、北極から南極までの冒険「Pole to Pole」に出発したと発表した。ラムゼイ夫妻は北極〜北米〜中米〜南米〜南極とアメリカ大陸を経由しながら、北極から南極までの約27,000kmの道程を9ヵ月かけて走り切る予定。EVによる北極から南極への移動は世界初の試みとなる。   悪路走行に必要な改造が施されるもパワートレインは市販車と共通 冒険に使用される車両は、日産自動車が提供し、極地走行用チューニングのエクスパートであるArctic Trucksが悪路の走行向けに必要な改造を施したもの。道中で直面する雪や海氷といった悪条件下も走行できるように39インチの大径スノータイヤを装着し、サスペンションにも専用のチューニングが施されている。巨大タイヤを大胆なオーバーフェンダーで覆ったその佇まいはスパルタン。SNSに公開されている映像では、雪の降り積もった凹凸の激しい路面を大径タイヤで踏みしめるように突き進む姿を見ることができる。   一方、バッテリーやパワートレインは市販車と共通のものを使用しており、電動四輪制御技術「e-4ORCE」を搭載する。   なお北極や南極といった充電環境のない場所では、風力発電機とソーラーパネルを備えたポータブル充電ユニットを使用する。この発電ユニットを積んだトレーラーを牽引し、休憩時に強風や日照時間の長さを使用して発電を行う計画だ。計画が順調に進めばEVによる極地移動の可能性が広がり、今後様々なシーンで応用されるかもしれない。   また、アリアにはエスプレッソマシンや気象観測機器、撮影用のドローンなど、旅に役立つアイテムを搭載しているという。なお、ラムゼイ夫妻の旅の模様はinstagram(poletopoleev)で見ることができる。 >>>次ページ EV経験が豊富なラムゼイ夫妻にとっても最大のチャレンジ

TAG: #アリア
TEXT:烏山 大輔
デンソー、SiCパワー半導体を用いたインバーターを開発。レクサスの新型BEV「RZ」に搭載

デンソーは、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体を用いたインバーターを初めて開発したと発表。この製品は、株式会社BluE Nexusの電動駆動モジュール「eAxle(イーアクスル)」に組み込まれ、レクサス初の電気自動車(BEV)専用モデルである新型「RZ」に搭載される。 SiCパワー半導体は、シリコンと炭素で構成され、電力損失を大幅に低減する半導体の材料でつくられている。インバーターの駆動素子にSiCパワー半導体を採用することにより、従来のSiパワー半導体を用いたインバーターと比較して、特定の走行条件において電力損失を半分以下にすることができる。このため、BEVの電費が向上し、航続距離の延伸に貢献する。 この開発において、デンソーは独自のトレンチMOS構造を採用したSiCパワー半導体により、高耐圧と低オン抵抗(オン抵抗:電流の流れやすさを示す指標。値が小さいほど電力損失が少ないことを示す)を両立し、発熱による電力損失を低減することで1チップあたりの出力を向上させた。また、デンソーは株式会社豊田中央研究所との共同開発による高品質化技術をもとに、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託業務による成果を取り込んだSiCエピタキシャルウェハーを活用することで、結晶欠陥を半減させることに成功した。このため欠陥を低減することにより車載品質を確保し、安定的なSiC素子生産を実現することができた。 デンソーはこれまでも、SiC技術を「REVOSIC®(レボシック)」と名付け、ウェハーから素子、パワーカードなどのモジュールに至る総合的な技術開発に取り組んできた。そして、2022年に採択されたグリーンイノベーション基金(GI基金)の助成も活用しながら、車両のより効率的なエネルギーマネジメントを目指した開発を通して、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献することを発表した。デンソーは、環境負荷の低減に向けて積極的な取り組みを進め、今後も持続可能な社会の実現に向けた技術開発を続けていくとしている。

TAG: #エレクトロニクス #デンソー
TEXT:烏山 大輔
マツダ、発電用ロータリーエンジンを搭載した「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」を日本初披露

マツダ株式会社は、4月14日(金)から4月16日(日)に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催される「AUTOMOBILE COUNCIL 2023(オートモビル カウンシル)」に出展すると発表した。日本初公開となる「MX-30 e-SKYACTIV R-EV(エムエックス サーティー イースカイアクティブ アールイーブイ)」を含む4台を展示する。 オートモビル カウンシルは、「日本に自動車文化の創生を図ること」を目的としたイベントで、往年の名車と最新モデルが一堂に展示される。マツダは今回で7回目の出展となり、出展テーマは「ロータリーエンジンの可能性の追求と新しい価値への挑戦」となっている。 マツダのブースでは、1967年にマツダが量産化に成功したロータリーエンジンをはじめ、排ガス規制の先陣を切って投入した「コスモAP(Anti Pollution)」や、マルチフューエルに対応可能なロータリーエンジンを搭載した「RX-8ハイドロジェンRE」などが展示される。さらに、ロータリーエンジンを発電機として使用するプラグインハイブリッドモデル「MX-30 e-SKYACTIV R-EV(欧州仕様車)」も国内初公開される。 マツダは、2030年に向けて「ひと中心」の思想のもと、人々の日常や移動することの感動体験を創造し、誰もが活き活きと暮らす「愉しさ」と「生きる歓び」を届けることを目指している。 【マツダブース展示予定車両】 ・マツダ コスモAP ・マツダ RX-8ハイドロジェンRE ・MAZDA MX-30 e-SKYACTIV R-EV(欧州仕様車)(日本初公開) ・マツダ MX-81 【オートモビル カウンシル2023開催概要】 開催日時:2023年4月14日(金)~16日(日) 会場:幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区) テーマ:CLASSIC MEETS MODERN & FUTURE イベント公式サイト:https://automobile-council.com

TAG: #レンジエクステンダー #充電
TEXT:烏山 大輔
韓国のキアがBEVのフラッグシップSUV「EV9」を発表

キアは3月29日、3列シートフラッグシップSUVであるBEVの「EV9」を世界初公開した。2023年第2四半期に韓国市場向けに予約販売を開始、2023年の後半から一部の国で発売される予定だ。キアはヒョンデ・グループ傘下にあるが、ヒョンデはBEVのアイオニック5とFCEVのネッソで日本に再上陸し、年内にBEVのコナも日本に導入することを発表済みだ。ブランドが違うためキアの日本導入は考えにくいが、BEVで3列シートSUVという特徴のあるEV9が日本に導入されれば希少なモデルとなるだろう。韓国以外の導入国の発表を待ちたい。 車両詳細については以下の通り。仕様情報はワールドプレミア時のもの。 優れたデザインと技術でSUVのユーザーエクスペリエンスを再構築する EV9は、Electric Global Modular Platform(E-GMP)をベースに、運動性能を確保しつつ、WLTPモードで541km(RWDのロングレンジモデル、19インチホイール装着車の場合)を超える航続距離を実現した。800ボルトの超高速充電機能により、約15分で239km分の充電が可能だ。 将来的にEV9 GT-lineに搭載されるハイウェイ・ドライビング・パイロット(HDP)システムは、特定の市場で条件付きレベル3の自律走行を可能にする。また、デジタル機能やサービスをオンデマンドで購入できる「キアコネクトストア」を導入し、顧客が欲しい機能を柔軟に選択できる。さらにOTA(Over the Air)アップデートでいつでもEV9の能力を継続的にアップグレードすることが可能だ。

TAG: #EV9 #SUV
TEXT:烏山 大輔
レクサス「UX300e」がマイナーチェンジ、航続可能距離が512kmと約1.4倍に

レクサスは3月30日、バッテリー式電気自動車(BEV)のUX300eをマイナーチェンジした。価格は630〜685万円。新たに開発したバッテリーパックの導入により、電池容量を54.4kWhから72.8kWhに増強。これにより、航続距離を512km(従来型比約40%)伸長するなど、BEVとしての基本性能の進化を実現した。 さらに、上質ですっきりと奥深い走りの味の深化と、予防安全技術の機能拡充や最新のマルチメディアシステムを採用した先進装備の進化にも取り組んでいる。 走りの味の深化では、リアに標準装備の「パフォーマンスダンパー®」に加え、ボディのスポット溶接打点を20点追加することでボディ剛性を強化。バッテリーパックの床下配置によるBEV特有の低重心パッケージの基本性能の高さをさらに引き上げるべく、Toyota Technical Center Shimoyamaで徹底的に走り込み、EPSやダンパーの最適化を図り、すっきりと奥深い走りを実現した。 また、バッテリーパックに遮音壁としての機能を持たせたほか、エンジンやトランスミッションなど駆動系の音が少ないゆえに聞こえてしまう風切り音や小石・砂などの巻き上げ音にも配慮し、室内空間の静粛性を実現した。クルマから家へ電力を供給できるV2H(Vehicle to Home)にも対応している。 先進装備の進化では、より安全・安心に運転を楽しむことを目指し予防安全技術「Lexus Safety System +」を機能拡充。単眼カメラとミリ波レーダーの性能向上により、昼間の自転車運転者や夜間の歩行者も検知可能な「プリクラッシュセーフティ」の対応領域を拡大。交差点右折前に前方から来る対向直進車や、右左折時に前方から来る横断歩行者も検知可能になった。加えてドライバーの操舵をきっかけに車線内で操舵をアシストする緊急時操舵支援などの機能を追加した。 また、大型化/高解像度化したタッチディスプレイを搭載した最新のマルチメディアシステムを採用し、インストルメントパネルおよびコンソール周辺の形状やスイッチレイアウトを最適化。その他にも充電用USBコネクター(Type-C)をコンソール前方に2個新たに設定するなど、使い勝手を向上させた。 オーナーの使い勝手をよりよくする先進装備として、スマートフォンによりドアロック/アンロックやEVシステム始動などの操作を可能にするデジタルキーや、車両下方の路面状況やタイヤ位置などの把握を補助するパノラミックビューモニター床下透過表示機能を追加している。 レクサス UX300e version L スペック 全長:4,495mm 全幅:1,840mm 全高:1,540mm ホイールベース:2,640mm 車両重量:1,820kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:141Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:512km(WLTCモード) 最高出力:150kW(203ps) 最大トルク:300Nm(30.5kgm) バッテリー総電力量:72.8kWh モーター数:前1基 トランスミッション:1段 駆動方式:FWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:前後225/50R18 最小回転半径:5.2m 車両本体価格:685万円

TAG: #UX #充電
TEXT:烏山 大輔
レクサス初のBEV専用モデル「RZ450e」登場

レクサスが、バッテリーEV(BEV)専用モデルである新型「RZ」を発売した。発売を記念した特別仕様車“First Edition”は最初の500台限定だ。First Editionは940万円、version Lは880万円。 新型RZは、レクサス初のBEV専用モデルであり、電動化技術がもたらすレクサスらしいクルマを感性に訴えかける走りとデザインで体現し、BEVを軸とするブランドへの変革の起点となるモデルである。BEV専用プラットフォーム(e-TNGA)採用に加え、バッテリーやモーターの最適配置による理想的な慣性諸元や、軽量かつ高剛性なボディの実現により、車両の基本性能を大幅に進化させている。また、電動化技術を活用した四輪駆動力システム「DIRECT4」の採用などで、より人とクルマが一体となった気持ちの良いドライビングフィールを提供する。 新型RZのエクステリアデザインは、BEVならではのシームレスな加速感や躍動感を表現するとともに、スピンドルグリルをスピンドルボディと一体化することで、BEVの機能的な進化や空力性能の向上を図っている。また、インテリアデザインにおいては、SDGsやサステナブルなモビリティを中心に考え、洗練された空間づくりにこだわり、シンプルな設えの中にも上質さや細やかさを感じられる空間を実現。さらに、パノラマルーフや輻射熱ヒーターを含めた空調の協調制御による高効率な暖房システムなど、快適な室内空間を提供する機能も備えている。 発売にあわせ、「LEXUS Electrified Program」というサービスプログラムも提供される。このプログラムは、オーナーがRZとともに過ごす時間をより豊かにするために設けられたもの。商業施設などに設置された「レクサス充電ステーション」が同プログラム加入者は事前に予約が可能で待ち時間なく150kW以上の急速充電器が利用できるなどのサービスを受けられる。 レクサス RZ450e version L スペック 全長:4,805mm 全幅:1,895mm 全高:1.635mm ホイールベース:2,850mm 車両重量:2,100kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:147Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:494km(WLTCモード) 最高出力:150kW(203.9ps) 最大トルク:266Nm(27.1kgm) バッテリー総電力量:71.4kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:eAxle 駆動方式:AWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:前235/50R20、後255/45R20 最小回転半径:5.6m 車両本体価格:880万円

TAG: #RZ
TEXT:烏山 大輔
NEXCO、EV・PHEV向け急速充電器を1,100口へ大幅増設。充電目的の一時的退出でも高速料金据え置きを予定

高速道路の運営会社であるNEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の3社は、2025年度までにサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)におけるEV・PHEV向け急速充電器の充電口数を約1,100口に大幅に増設する計画を策定したと発表した。これは2020年度末から5年間で約2.7倍の数である。 日本政府は成長戦略会議にて、「2030年までに電動車についてガソリン車並みの経済性・利便性を実現する」(2021年6月18日閣議決定)との目標を掲げており、電動車の普及が加速することが予想される。NEXCO3社はこれに応じて、合同会社日本充電サービス、ジャパンチャージネットワーク株式会社と協力し、2021年度から株式会社e-Mobility Powerを共同事業者に加え、EV・PHEV向け急速充電器の整備・運営を進めてきた。急速充電器の新設・機器更新については、2022年度には新たに82口の充電口を増設し、2023年度には充電口155口を増設する予定である。 さらに、高速道路の路外に整備されたEV・PHEV向け急速充電器の利用についても、2024年度から順次実施できるよう、料金調整や新たな課金・決済の導入などを検討する予定だ。 NEXCO3社およびe-Mobility Powerは、これらの施策によって高速道路SA・PAの利便性を向上させ、EV・PHEV車を利用するドライバーのニーズに応えていくとしている。

TAG: #eモビリティパワー #SA・PA #充電
TEXT:烏山 大輔
普通免許で運転可能なリバーストライクを二子玉川「蔦屋家電」で展示中

岡山県の両備ホールディングス株式会社の社内カンパニーである両備テクノモビリティーカンパニーが開発した”チョイ乗り”EVトライクが、2023年3月27日(月)~5月7日(日)の間、東京都世田谷区の二子玉川にある次世代型ショールーム「蔦屋家電+」で展示される。 このEVトライクは、普通自動車免許で乗れる3輪のEVリバーストライク(前2輪、後1輪)であり、ちょっとした買い物や気分転換に最適で、女性でも気軽に乗れるEV車両である。展示特別価格での販売も実施中だ。 展示される「SOREX(ソレックス) EVリバーストライク RT-01」は、車両サイズが全長2,140mm、全幅1,070mm、全高1,240mm、1人乗りと2人乗りの2タイプがある。最高速度は50km/h、航続可能距離は約120km(30km/h 定地走行時)、充電時間は約12時間。前輪と後輪には油圧ディスクブレーキを装備している。 通常のトライクや車輪が前2輪、後1輪のリバーストライクは重心位置が高いものが多いが、同車は低重心になっているのが特徴だ。国産のEVリバーストライクの製品化・販売は初めての事例となる。 車体カラーは10種類、シートカラーも3色から選択できるため、性別年齢問わず、好みや用途に応じて選ぶことが可能だ。 同社の吉備工場(岡山県加賀郡吉備中央町)では試乗も可能、下記の問い合わせ窓口からの申し込みが必要だ。 <https://ryobi-techno.com/ev-trike/contact/> EVリバーストライク スペック 車両サイズ:全長2,140mm、全幅1,070mm、全高1,240mm タイヤサイズ:前輪・後輪 10インチ バッテリー:リチウムイオン 最高速度:50km/h 航続可能距離:約120km(30km/h 定地走行時) 充電時間:約12時間 原動機種類:インナーローターモーター 定格出力:1,000W ブレーキ: 前輪・後輪 油圧ディスク式

TAG: #EVトライク #両備テクノモビリティー
TEXT:TET編集部
LGの巨大バッテリー工場の建設がアリゾナで年内にスタート

LGの巨大バッテリー工場の建設がアリゾナで年内にスタート LGエナジーソリューション(LGES)は3月24日、アリゾナ州クイーンクリークに約7兆2000億ウォン(55億米ドル)を投資してバッテリー製造複合施設を建設すると発表した。同社によれば、北米に拠点を置く単体電池製造施設としては、過去最大規模の投資となる。 この複合工場は、電気自動車(EV)用円筒型電池と蓄電システム(ESS)用リン酸鉄リチウム(LFP)パウチ型電池の2つの製造設備で構成される。 7.2兆ウォンのうち、4.2兆ウォン(32億米ドル)を27ギガワット時(GWh)の円筒型電池製造施設に、3兆ウォン(23億米ドル)を16GWhのLFP(リン酸鉄リチウムイオン)電池施設に投資する。両施設は合計43GWhで、2023年中に着工する予定だ。 LGケムから分離独立したLGESは、電気自動車、モビリティ、IT、エネルギー貯蔵システム向けのリチウムイオン・バッテリーを製造する世界的なリーディングカンパニーである。30年にわたるバッテリー技術の経験と幅広い研究開発(R&D)により、25,000件以上のバッテリー関連特許を保有する。北米、欧州、アジア、オーストラリアにグローバルネットワークを持ち、ゼネラルモーターズ、ステランティスN.V.、現代自動車グループ、本田技研工業などの大手自動車メーカーとバッテリー製造施設を合弁で設立している。 写真はLGESのミシガン工場。 LGESは2月にも、ホンダと共同でEV用バッテリー生産合弁会社L-Hバッテリーカンパニー(仮称)を設立して年間40GWhの工場を米国オハイオ州に建設、2024年中の完成と25年末の量産開始を目指すとしている。 この投資の規模感を他社と比較すると、たとえばトヨタが昨年8月に発表したところによれば、EV向けバッテリー生産に関して、日本および米国において最大7,300億円(約56億ドル)を投資し、最大40GWhの生産能力を増強、2024~2026年の車載用電池生産開始を目指すとしている。 またパナソニックがテスラのネバダ・ギガファクトリーの敷地内で運営する工場では、年間38GWhのバッテリーが生産されている。 経済産業省の資料によれば、2015年に世界の車載用リチウムイオン・バッテリー生産の51.7%を握っていた日本のシェアは急減し、2020年には中国が37.4%、韓国が36.1%、日本は21.1%と勢力図が激変している。

TAG: #LG #バッテリー #工場
TEXT:曽宮 岳大
やはり新型「ストラトス」なのか。ランチアが新型車を予告するチョイ見せ第二弾を展開

伊ランチアは、2023年4月15日に予定している新型コンセプトカーの公開に先立ち、その登場を予告するティザー第二弾を展開した。それによると4月15日に予定される発表イベントと並行して、ランチアは3月28日から31日に開催される「メタバース・ファッションウィーク」に出展し、そのバーチャルイベント内において、新型「イプシロン」と「新たなコンセプトカー」の2台を出展すると明らかにした。先の報告からアップデイトされた最新情報に注目していきたい。   ロングノーズ&ショートデッキのスポーツカー然としたフォルム ティザー第1弾で、コンセプトカーのリアビューの画像を披露したランチア。画像以外にはコンセプトカーの内容を示すものは明らかにされておらず、それが一体、何の車種なのかは想像を膨らますほかなかった。ただ画像で明らかにされた丸型のテールランプや、“コーダトロンカ”と呼ばれるリアエンドを切り落としたようなデザイン、ふくよかなリアフェンダーの形状などが、70年代〜80年代前半に一世を風靡した「ストラトス」を思わせるデザインであることから、伝説のスポーツカーの復活を期待させた。 そしてこの度、追加公開されたのがタイトル画像である。おしゃれなショールームの中にスポーツカーと思われるモデルがベールを被った状態で佇んでいる。まずはクルマの方に注目しよう。前回の画像では車体のリアビューのみしか写っていなかったが、今回のイメージではベールを被った状態とはいえコンセプトカーのシルエットが明かされた。   ここからわかるのは、コンセプトカーがロングノーズ・フォルムを持ち、運転席が車体の中央付近に位置するということ。またリアが大きくスラントしたクーペフォルムに仕上げられたことが見て取れる。もちろん画像から車種までを特定することはできないが、やはり新型ストラトスである可能性は十分にあるだろう。 なお、コンセプトカーが新型ストラトスだとしても、そうでない場合でも、パワートレインはモーター、すなわちEVである可能性が高い。というのも前回報告したようにランチアは2022年春に発表したその先10年の中長期プランの計画で、2026年以降に登場するモデルはすべてEVとなり、2028年以降はEVしか販売しないことを明らかにしている。   さらに2024年にEVの新型「イプシロン」を、2026年に全長4.6m前後の新しいフラッグシップを、2028年に全長4.4m前後の新型「デルタ」を投入するとしており、その計画によると、真っ先に登場するのは次期イプシロンであり、それ以降登場するモデルも実質、すべてEVになる可能性が高い。

TAG: #イプシロン #ストラトス #デルタ
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
横浜みなとみらい地区でユニークな実証実験を3月まで開催中! 多種多様なモビリティを大量投入した新たな実験とは
BYDが次世代エンジニアを目指す若者たちを支援! EV教材として「アット3」を寄贈
これでBYDのディーラーは全国36店舗! 東北初の正規ディーラー「BYD AUTO 仙台あおば」がオープン
more
コラム
CHAdeMO規格なのにコレじゃメリットないじゃん! 同じCHAdeMOでも外部給電できないEVがある理由
日産がけん引するも日本のEV販売台数全体は失速! 2025年に各メーカーから登場が予想される新モデルに期待しかない
EVにはこれまでのタイヤじゃ厳しい事情がある! 最近増えている「EV専用タイヤ」は何が違うのか?
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択