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国内初、機械式駐車場でEV用自動ワイヤレス充電の運用実証を開始


TEXT:烏山 大輔
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株式会社技研製作所は、株式会社ダイヘンと共同で、技研製作所 高知本社の超小型EV専用機械式駐車場「EVエコパーク」での自動ワイヤレス充電の運用実証を開始した。機械式駐車場での運用実証は国内初で、10月末まで実施後、実用化に向けて課題を洗い出し、改善につなげる。

EVエコパークでの運用実証

この運用実証では、ダイヘンが開発したワイヤレス充電システム(非接触充電)の受電装置を超小型EVに搭載し、給電装置が「EVエコパーク」に設置される。このシステムでは、従来の手動でケーブル接続を行う接触充電仕様とは異なり、車両が入庫するだけで自動的に充電が開始されるため、利便性が大幅に向上する。この実証では、技研製作所の従業員が通勤などでこのシステムを利用し、システムの連動や従来の接触充電方式との比較試験などを行う。

運用実証で得られた技術は、普通自動車や軽自動車タイプのEVにも適用できるものであり、将来的にはこれらの車両に対応した「EVエコパーク」の展開に繋げることができる。この実証を社会実装に結び付けることでEVの普及を促進し、カーボンニュートラルな社会や機能的なまちづくりに貢献していくことが期待される。

運用実証で使用される機器・車両

超小型EV専用機械式駐車場「EVエコパーク」(技研製作所製)
直径9.5m、高さ15mの円筒形で、占有面積は約80㎡と非常にコンパクトな設計だ。しかし、その小さなスペースに40台の車両を収容することができる(1層に8台、5層建て)。一般的な平置き駐車場の約5分の1の面積しか占有しないため、都市部の駐車場不足問題を解決する一助となることが期待されている。

さらにこの駐車システムの魅力は、迅速な入出庫時間にある。平均入庫時間は18.9秒(最短15.5秒)、出庫時間は平均19.7秒(最短17.2秒)だ。待ち時間を短くでき、滞留も発生しづらいため、従来の機械式駐車場では必要だった広い待合スペースの確保が不要となる。

また、「EVエコパーク」では、車両の入庫時には自動的に車両を所定の位置に搬送する。これによりワイヤレス充電システムの、車両の受電装置と充電設備の給電装置の距離が離れてしまうと充電効率が低下する課題を解決する。「EVエコパーク」では、充電に最適な位置に車両を収容することで、最大効率での充電を可能にする。

EV用ワイヤレス充電システム「D-Broad EV」(ダイヘン製)
車両が所定の位置に停められると自動的に検知され、急速充電が開始される(現在は普通充電レベルでの実証が行われているが、今後ダイヘンにより急速充電レベルのシステム開発が進められる予定)。

このシステムでは、業界最高水準の高効率給電が可能となる磁界共鳴方式が採用されている。磁界共鳴方式は、充電設備と車両の間で磁場を共鳴させることで、高効率かつ安定した給電を実現する。システム効率は90%以上で、エネルギーのロスを最小限に抑えながら効率的に充電できる。

超小型BEV「C+Pod」(トヨタ製)
全長約2.49m全幅1.29 m、全高1.55 mとコンパクトなデザインで、最高速度は60km/hの2人乗り。9.06kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載し、一度の充電で最大約150kmの走行が可能だ。100Vもしくは200Vの普通充電に対応しており、100Vだと約16時間、200Vでは約5時間で充電できる。

ガソリンスタンドに給油に行かなくていいBEVだが、唯一の手間が充電作業だ。特に雨の日に濡れながらの作業は相当なストレスだと考えられる。

自宅や会社で充電作業から解放されるこのシステムが実用化すれば、ユーザーのストレスが減り大きなメリットとなるだろう。

所定の位置に駐車したら自動で充電されるということは、カーシェアにBEVが導入された際にも、使い終わった利用者に充電作業を強いることもなく、次の利用者も充電されていなくて困るという事態を減らすことにもつながるだろう。10月の実証終了後の展開に期待したい。

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