メルセデス・ベンツは、プレミアムミニバンの「Tクラス(T Class)」の完全電気自動車である「EQT」を発表した。
アクティブなEV
Tクラスは、ファミリー層やレジャー志向のユーザーに向けたプレミアムなスモールバンを標榜している。プラットフォームはルノー・日産アライアンスのCMF-CDをベースとしている。また、メルセデス・ベンツの商用バンの2代目シタンおよび乗用車版のシタン・ツアラーの上級バージョンに位置する車種だ。
今回発表されたEQTは、既に販売されている内燃機関モデルのTクラスと基本骨格を共用化しており、室内の可変性と機能性は、従来のTクラスと同様に優れている。例えば、ローディングシルが561mmとなっており、重い荷物を簡単に積み込めたり、左右のスライドドアは、開口部が幅614mm、高さ1059mmと広めに設計されていたりする。これにより、リアへのアクセスが便利になり、テールゲートを含む3方向からフレキシブルに荷物を積むことができる。さらに、リアベンチシートには最大3つのチャイルドシートを搭載できるスペースがある。
もちろん、EQTは、EQシリーズとしての表情もしっかりと持ち合わせ、ブラックパネルのラジエターグリルと中央のスター、そしてダイナミックにデザインされたラジエターフィンにより、新しいEQTはEQファミリーのメンバーと一目で認識することができる。
最新鋭の電気モーター
ピーク出力90kW(122ps)、最大トルク245Nmの電気モーターを展開予定。リチウムイオン・バッテリーの使用可能容量は45kWh。
充電は、職場や自宅、公共の充電ステーションにて22 kWの交流充電が可能で、多様なニーズに応える。なお、直流(DC)の急速充電ステーションでは、SoC(State Of Charge:充電状態)と高電圧バッテリーの温度に応じて、さらに高速に処理ができる。
80kWのDC充電を行う場合、SoCが10%から80%まで38分で充電可能だ。なお、ACおよびDC充電のために、EQTはCCS充電ソケットとCCS充電ケーブルを標準装備している。
数々のアシスタンスシステムと7つのエアバッグを標準装備
衝突安全性能にも抜かりはない。重大な側面衝突の際に、運転席と助手席の間に展開するセンターエアバッグを装備し、前席の乗員同士がぶつかるリスクを軽減する。合計7つのエアバッグを標準搭載する。
また、欧州で法的に義務付けられているABSとESP®に加え、エマージェンシーコールシステムを標準装備。これは、法的に義務付けられているeCallと比較して、追加機能があり、よりオーナーに密着したサービスが提供される。例えば、通信はそれぞれの国の言語ではなく、ドライバーがインフォテインメントシステムで設定した言語で行われるため、海外で緊急事態が発生した場合に役立つ。
また、駐車時の利便性と安全性を高めるため、パークトロニックとリバースカメラを備えたアクティブパーキングアシストをオプション装備として用意している。さらに、オプションのトレーラーカップリングを組み合わせることで、車両が揺れ始めた場合にシステムがブレーキを介入させて車両を安定させる、トレーラー・スタビライゼーション・アシストの選択も可能だ。
ミニバンのEVの先駆けか
2023年4月12日に日産が欧州にて、BEVミニバンの「タウンスターEV パッセンジャー」を発売している。そのため、EQTが一番乗りではないかもしれないが、依然として先行的な立ち位置でミニバン市場のBEVの先導者となるだろう。日本への導入時期は不明だが、どのように展開がされるのかが気になるところだ。
EQT
全長:4,498mm
全幅:1,859mm
全高:1,819mm