2025年2月
TEXT:TET 編集部
ヒョンデNはサーキットでも速かった! アイオニック5 N TA Specがタイムアタックの聖地・筑波で57秒台のEV最速ラップをマーク

「アイオニック5 N TA Spec」で筑波EV最速記録を樹立 チューニングカーによるタイムアタック競争は、外気温と路面温度が下がる冬がシーズン本番だ。その聖地ともされる茨城県の筑波サーキットで2月15日に行なわれた「シバタイヤ presents Attack Tsukuba 2025(Attack筑波2025)」に、ヒョンデがタイムアタックマシンであるアイオニック5 N TA Specを持ち込み、これまでのEVよりも約2秒速い1周57.446秒で最速EV記録を樹立した。 このアイオニック5 N TA Specというマシンは、ベースとなった市販車のアイオニック5 Nの主要コンポーネントを共用しながらも、タイムアタック競技に必要なEV用消化システムやレカロ製のHans対応シート、サベルト製の6点式シートベルトハーネスなどを装備したうえで、独自のハイダウンフォース空力パッケージを装着し、車名のTAが表す通り、タイムアタック仕様へと変貌を遂げたマシンだ。 モーター出力もタイムアタック向けにチューニングが施されている。量産モデルの高性能PEシステムはそのままだが、ソフトウェアチューニングにより最高出力は687馬力、リヤモーターの出力は37馬力へとそれぞれ強化されている。 もともとアイオニック5 N TA Specは、アメリカで毎年行われている世界的なヒルクライムイベント「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」の電動改造車部門制覇を目的に製作された車両だ。今回の「Attack筑波2025」への参戦にあたっては、車内に張り巡らされたロールケージはパイクスピークのレギュレーションに準じたPPIHC(Pikes Peak International Hillclimb)仕様であったものの、サーキットの舗装路に合わせてショックアブソーバーを変更、タイヤもADVANスリックタイヤを履いて臨んだ。 タイムアタックは、これまで数々のチューニングカーで筑波サーキットの記録を塗り替えてきた名手、谷口信輝選手が担当。今回ドライブしたアイオニック5 N TA Specについては、「軽量化されているとはいえ、2トンあるクルマなので絶対的に重たいです。それでも非常によく止まり、よく曲がります。パワーがあるのに制御が素晴らしく、曲がりや立ち上がりも安定しています。非常に不安感なく攻められるクルマでした」とそのポテンシャルを称賛している。 「Attack筑波2025」でのEV最速記録を自社のマシンが成し遂げたことに関し、ヒョンデのハイパフォーマンスブランド「N」の常務であるパク・ジューン氏は次のようにコメント。 「この快挙は、ヒョンデの先進的なEV技術とコミットメントを示すものです。量産車両の部品を主に使用したアイオニック5 N TA Specの新記録は、ヒョンデの技術力を証明する重要なマイルストーンであり、高性能EVを世界の自動車文化に深く浸透させたいというヒョンデ Nの想いを表しています」 ヒョンデモビリティジャパンの代表取締役社長である七五三木氏も「量産部品を主体としたアイオニック5 N TA Specによる勝利は、私たちにとって大きな節目となる成果です。この結果は、当社の技術力を証明するとともに、日本市場での存在感をさらに確かなものにしました」とコメント。 会場の筑波サーキットには先日発表されたばかりの「IONIQ 5 N DK Edition」も展示され、ヒョンデがこの「Attack筑波」に並々ならぬ意欲をもって臨んでいることをアピールした。 このEV最速記録樹立により、EVのハイパフォーマンスぶりを遺憾なく発揮するとともに、走りへの関心が高いユーザーに対して、ヒョンデ Nブランドのプレゼンスを高めることに成功したのではないだろうか。

TAG: #IONIQ 5 N #ヒョンデ #筑波サーキット
TEXT:高橋 優
BYDが全車に「神の眼」を搭載! 高度な自動運転システムを積んでも「値上げゼロ」でさらなる普及を狙う!!

すべてのモデルに「God’s Eye」を標準搭載 中国BYDが自動運転に関する最新テクノロジーを発表しました。最安モデルのシーガルを含めて、一切の値上げをせずに自動運転システムを搭載することで、新たな値下げ戦争の火蓋が切って落とされたという最新動向を解説します。 まず、BYDは「God’s Eye」と名付けられた独自の自動運転システムを一部モデルに搭載し、高速道路から市街地におけるハイエンドADASを展開中でした。ところがBYDは今回、優れたテクノロジーは誰もが利用できるべきだと主張して、発売するすべてのモデルに対してGod’s Eyeシステムを搭載する方針を表明。その発表会が開催された2月10日の即日中に、2025年モデルとして、God’s Eyeシステムを標準搭載するモデルチェンジを実施しました。 とくに驚くべき点が、すべてのモデルでGod’s Eyeシステムを標準装備してきているという点です。要するにGod’s Eyeシステムぶんだけ実質的な値下げが行われたといえます。 God’s Eyeシステムについて、現在日本国内で発売されているAtto 3、ドルフィン、シールに搭載されているのはDiPilotと名付けられたレベル2のADAS。つまり、アダプティブクルーズコントロールとレーンキープです。他方でGod’s Eyeシステムは、いわゆるレベル2+といわれており、3つのグレードに分類されています。 まず、God’s Eye Cについて、3眼カメラを含む12のカメラ、5つのレーダー、12の超音波センサーを含めた、合計29ものADAS用センサーとともに、プロセスノード6ナノの、演算能力84TOPSを実現するNvidia Drive Orin N、もしくは128TOPSを実現するHorizon RoboticsのJourney 6 MというADAS用プロセッサーで構成。これまでのDiPilotにおけるレベル2 ADASに加えて、高速道路や自動車専用道路上における追い越しや分岐、カラーコーンなどの障害物への回避挙動にも対応。これは一般的にHighway Navigation On Autopilot(ハイウェイNOA)と呼ばれています。 また、God’s Eye Cでは、ハイウェイNOAに加えて、そのADAS用カメラを使用してセントリーモードも実装。さらに、高度駐車機能として、たとえば駐車位置を指定したらドライバーはクルマを降りて自動で駐車してくれる機能も実装されています。 次に、これまではDiPilot 300といわれていたGod’s Eye Bについて、12のカメラ、5つのレーダー、12の超音波センサーに加えて、ひとつもしくはふたつのLiDARを搭載。さらに、Nvidia Drive Orin Xプロセッサーをひとつ搭載することで演算能力は254TOPSを実現します。よって、God’s Eye CのADAS性能に加えて、市街地における信号対応や右左折、ラウンドアバウトや横断歩道などにおける歩行者対応などという、City Navigation On Autopilot(シティNOA)に対応しています。おもにDenzaブランドの全モデルと、BYDブランドのSeal、Sea Lion 7、Han、およびTangという上級モデルに採用されます。 そして、DiPilot 600と名付けられていたGod’s Eye Aについて、God’s Eye Bと比較してさらにLiDARを追加して合計3つ搭載。さらにNvidia Drive Orin Xプロセッサーをふたつ搭載することで演算能力は508TOPSに到達。ハイエンドブランドのYangwangの全モデルで採用されています。

TAG: #ADAS #自動運転
TEXT:山本晋也
エンジン車よりもEVが有利な点は「空気抵抗」にもある! ポイントは「顔の穴」と「平らな床下」

EVのメカニズムは空気抵抗を減らすのに有利 60kWhを超える総電力量の大きなバッテリーを積むEVが珍しくない昨今、一充電航続距離が500kmを超えるモデルも増えている。まさに力技といえるカタチで航続距離を伸ばしているともいえるが、同時に重要なのが走行抵抗を減らすことだ。 タイヤと路面の間で発生する転がり抵抗やボディと大気の間で発生する空気抵抗が、おもな走行抵抗となり、それぞれにおいて低減する工夫がなされる必要がある。もっとも、EVにおける走行抵抗への対策は重要テーマであり、つねに最新テクノロジーやデザインのアイディアが採用される傾向にあるのはいうまでもない。 とはいえ、EV専用設計ではなく、エンジン車と共通のボディをもっている場合はどうであろうか。具体的には、ミニ・カントリーマンや三菱eKクロスなど、パッと見にはエンジン車とEVの区別がつかない車種も存在している。 残念ながら、エンジン車とEVの空気抵抗の違いを明記した公式情報はほどんどなく、ミニ・カントリーマンEVの空気抵抗係数(Cd値)が0.26という優れた数値であることがわかるくらいだが、一般論として、EVの空気抵抗が小さいであろうことは容易に想像できる。 エンジン車において空気抵抗を減らすために、フラットフロアといって、床下の部分にカバーをかぶせるといった工夫がなされていることはよく知られている。また、エンジン車においては、ラジエターへ外気を導くフロント開口部は必須だが、ここは空気抵抗の大きな原因となる。そのため、必要に応じてグリルを開閉するような機構を採用していることもある。 フラットフロアやフロント開口部の最小化は、EVにおいては自然とデザインに組み込まれている要素だ。床下に大きなバッテリーを搭載するEVは、そもそもフロアの凸凹が少なくフラット気味である。フロント開口部についても、エンジンほどの冷却性能が必要ないことからグリルサイズが小さかったりグリルレスになっていたりする。エンジン車とボディが同じに見えるEVであっても開口部が閉じられていることが多い。 つまり、素性からしてEVは空気抵抗を減らすのに有利なメカニズムとなっているのだ。 さて、空気抵抗の話題になると空気抵抗係数(Cd値)に着目しがちだが、Cd値というのはあくまで係数であって、空気抵抗を計算する“いち要素”でしかない。車種ごとの空気抵抗を比較するには、「Cd値×前面投影面積」という計算をする必要がある。 Cd値が良好でなくとも前面投影面積が少なければ空気抵抗は小さくなるし、どんなに優れたCd値でも、前から見たときの車体が大きければ、それなりの空気抵抗になってしまうのだ。 その意味では、小さいクルマほど空気抵抗を減らすのには有利といえる。もっといえば、前面投影面積は小さく、屋根が長いボディのほうが空気抵抗を減らしやすい。Cd値にとらわれず、小さなクルマを選ぶことが空気抵抗減には有効ということは覚えておきたい。

TAG: #Cd値 #空力
TEXT:TET 編集部
ヒョンデ話題の新型EV「インスター」をいちはやく試せる! 東京を皮切りに全国5都市で先行体験会を開催

発売前のインスターに乗れるチャンス! 軽EVに迫る価格と、取りまわしのしやすいコンパクトなボディが魅力のヒョンデ「INSTER(インスター)」だが、今春の発売を前にヒョンデは2月14日から一般ユーザーに向けた先行体験会を開始した。ヒョンデが発表した体験会レポートをもとに、参加者が感じたインスターの魅力と、今後4都市で行われる先行体験会のスケジュールについてお知らせしたい。 初回の体験会は東京テレポートを舞台に開催。会場には発進と加速のスムーズさを体感できる直線エリアや旋回性能を試せるコーナー、インスターをじっくり眺められる展示エリアが設けられた。 参加者からは「アクセルを踏むと想像以上にパワフルに加速した」、「駐車場の凸凹した路面を走っても安定していた」といった動力性能と乗り心地の良さを評価する声が聞こえたほか、駐車体験でのサラウンドビューモニターの利便性や、コーナーで小まわりが利いて運転しやすいことなどを評価ポイントとして挙げる参加者もいたという。 先行体験会では専門スタッフが同乗し、回生ブレーキの使い方や走行モードの違いについて丁寧に説明が行われる。試乗した参加者からは「エコモードだと加速が穏やかで街乗りに良さそう」「回生ブレーキの制御が凄いですね。ここまで自然に車体が停止する感覚は初めての体験」とインスターの完成度の高さを感じる声も聞こえてきた。 このインスター先行体験会は、名前が表す通り試乗するだけでなく、クルマのさまざまな機能を体験する機会でもある。 そのため、充電性能とV2L(Vehicle to Load)機能については参加者からの興味関心が強く、とくにV2L機能を使って温められたコーヒーが参加者に振舞われた際には、各自普段の生活のなかでV2Lがもたらすメリットについて語り合う場面もあったそうだ。

TAG: #イベント #インスター #ヒョンデ
TEXT:TET 編集部
レクサスのBEVユーザーに特報! 「LEXUS Electrified Program」が急速充電サービス「PCA」と業務提携

150kW/90kWの急速充電器を全国380基以上展開するPCAと業務提携 これまで他のプレミアムブランドに比べ、バッテリー式電気自動車(BEV)のラインアップ拡充にあまり積極的ではなかったレクサス。いまのところSUVタイプのRZとUX300eの2車種を揃えるものの、ほかのブランドの充実ぶりと比べてしまうと見劣り感が否めない。 さらに、プレミアムブランドは自社のBEVユーザーの囲い込みに熱心で、市中の充電器よりも強力かつアプリを通じた利用事前予約ができるなどの利便性をアピールし、BEV購入後も積極的に自社と顧客のタッチポイントを増やす動きがみられる。 とくに顕著なのは、ポルシェ・アウディ・フォルクスワーゲンの連合体だ。グループで展開する急速充電ネットワーク「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」は、全国の大都市圏を中心に150kWの急速充電器を設置し、さらに90kWの急速充電器で周辺を固め、2025年2月16日現在は3つのブランドで計371拠点、385基もの急速充電器を設置する充実ぶりを見せている。 一方、レクサスの急速充電サービスは、出力150kW級の急速充電器を備えた「レクサス充電ステーション」が、2025年4月に福岡の「ONE FUKUOKA BLDG」に開設するステーションでようやく6拠点目となるに過ぎない。 しかし、ここにきてレクサスの急速充電環境が大きく変わろうとしている。なんとレクサスがポルシェ・アウディ・フォルクスワーゲンの急速充電サービスであるPCAと業務提携の覚書を締結したのだ。 レクサスはBEVにまつわる顧客のさまざまな不安や困りごとをサポートし、レクサスならではの提供価値を届ける「LEXUS Electrified Program(LEP)」のサービス拡充に取り組んでいるというが、今回の提携はその一環とされる。 この提携により、2025年7月からはLFPとPCAの会員が、それぞれのアプリケーションを通じて互いの急速充電設備を利用することが可能になる。これによりレクサスのBEVオーナーにとっては、経路充電の選択肢が強力かつ大幅に増えることになる。 むろん、レクサス自身もPCAの恩恵を受けるだけに留まらず、自社の「レクサス充電ステーション」の拡充を今後も進める方針である。2030年までに全国で100カ所以上のステーション開設を目指すほか、充電中の待ち時間にもBEVオーナーが有意義に過ごせるよう、近隣商業施設などとも連携し、さまざまなサービスを利用できるように整備を進めていくとしている。 なお、LFPとPCAでは月額基本料と充電に伴う従量料金に若干の差がみられるが、今回レクサス側から発表されたリリースでは、そのことについては触れられていない。ただし、メーカーの枠を超えて実現するこの急速充電ネットワークの大幅な拡充は、群雄割拠のプレミアムブランドのBEV販売にあって、今後レクサスが躍進する大きなきっかけとなるかもしれない。

TAG: #LFP #レクサス #急速充電
TEXT:桃田健史
同じ車格のハイブリッドやエンジン車に比べてEVは高い! そもそもEVが高額になるのはナゼ?

同じ車格でもガソリン車の2倍! ウチでもそろそろEVに買い替えようか。そう思って各モデルをネットでチェックすると、「やっぱりEVは、けっこう(価格が)するな」と思う人がいるだろう。 これは、同じ車格のガソリン車やハイブリッド車と比べてのことだ。 メーカーやグレードにもよるが、軽自動車や小型車で比較すると、100万円とか200万円とかいうより、ざっくり2倍といったケースも珍しくない。 そうした価格差を、国や地方自治体からの購入補助金を使って抑制している。補助金がなければ、明らかに高いと感じるだろう。 では、そもそもなぜEVの価格は高いのか。 一般論としては、いわゆる量産効果によるもの。開発や製造にかかるメーカー側のコストが高いので、その分を生産・販売量を増やすことで下げることを指す。 ただし、たとえばハイブリッド車の場合、先行導入されたトヨタ・プリウスがガソリン車と比べてかなり高い買い物というイメージはなかった。トヨタとしては、新しい領域のクルマをユーザーに少しでも早く馴染んでもらうため、いわば赤字覚悟で価格を設定したということになる。 そうならば、EVについても導入当初はメーカー側の利益を大きく抑えた価格設定をすればいい、と考える人もいるだろう。

TAG: #普及 #販売
TEXT:御堀直嗣
「燃料タンク=バッテリー」「エンジン=モーター」じゃない! EVの性能はバッテリー容量とモーターの出力以外に「バッテリーの出力」が重要だった

バッテリーの性能は一充電距離や出力性能に影響 リチウムイオンバッテリーの諸元で注目されるのは、kWh(キロ・ワット・アワー)の単位で示される容量だ。この数値が大きいと、より遠くまで充電せずに走り続けられる。急速充電への不安から、バッテリー容量の大きな電気自動車(EV)を好む傾向が根強い。 このようにバッテリーは、エンジン車でいう燃料タンクのように、エネルギーを貯めておく機能がある。 同時に、バッテリーは一度にどれほどの電力を出せるかという出力性能も備えている。 たとえば急加速する際、バッテリーに電力が残されていても、一気にその電気を使えなければ加速に不足が生じる。つまり、エンジンと燃料というこれまで慣れ親しんできたクルマの部品や要素の機能と違った側面が、EVにはある。 そしてモーターは、バッテリーから送られてきた電力で力を出すための装置という位置づけが正確なのではないだろうか。 バッテリーの出力は、バッテリーの種類や、同じバッテリーでも性質の違いによって差が出る。 たとえば、ハイブリッド車(HV)で永年使われてきたニッケル水素バッテリーは、瞬間的に高出力を出す性能に優れている。一定の重量でどれくらい大きな出力を出せるかの指標となる、出力密度(W/kg)で、鉛酸バッテリーより優れた性能を備える。さらに高性能なのが、バッテリーではないがキャパシター(コンデンサー=蓄電器のように一時的に電気を貯める機能がある)だ。 したがって、1997年にトヨタからプリウスが発売されたあと、HV開発を模索する他メーカーのなかには、バッテリーではなくキャパシターの活用を検討していた例がある。 一方、ニッケル水素バッテリーは、電気を蓄えるためのエネルギー密度でリチウムイオンバッテリーに劣る。このことから、貯めた電気で走るEVや、PHEVでは、リチウムイオンバッテリーが使われるのである。 また、リチウムイオンバッテリーは、ニッケル水素が得意とする出力密度においても、それ以上の性能を引き出すことができる。ただし、もしリチウムイオンバッテリーをHVで使う場合は、エネルギー密度より出力密度を重視した特性にする必要がある。EV用とHV用では、同じリチウムイオンバッテリーといっても、性質が異なるのである。

TAG: #バッテリー #リチウムイオンバッテリー
TEXT:琴條孝詩
首が折れるかと思うほどのロケットダッシュ! EVって軒並みもの凄い加速力だけど公道でも本当に必要?

アクセルを踏んだ瞬間に加速! 近年、電気自動車(EV)の性能のなかでもとくに注目を集めているのが、その圧倒的な加速性能である。テスラ・モデルSプレイドやポルシェ・タイカンターボSなどの高性能EVは、0-100km/h加速が2秒台という、かつてのスーパーカーも凌駕する加速性能を実現している。 しかし、この「すさまじい加速力」は、実際の日常走行においてどのような意味をもつのだろうか。追い越しや合流以外にも、EVの加速性能が真価を発揮する場面を探ってみよう。 <EVの加速力が生まれる理由> まず、EVの強烈な加速を可能にしている要因として、おもに以下の3つが挙げられる。第1に電気モーターは回転を始めた瞬間から最大トルクを発生することができる。第2に内燃機関(ICE)車のような変速機を必要としないため、トルクの伝達がダイレクト。そして第3にバッテリーを車体下部に配置することで、重心が低く加速中も安定した姿勢を保てる。 これらの特性により、アクセルを踏んだ瞬間から遅れなく加速し、しかも途切れることなく一気に加速することが可能となっている。ICE車のように、エンジン回転数が上がってから本格的な加速が始まるような特性はない。 <実用面での加速力の活用シーン> では、この強力な加速力が真価を発揮するのはどのようなときであろうか。 まず、高速道路へ合流するときだ。とくに短い合流車線の場合や本線が混雑している場合、瞬時に加速して本線の車速にマッチさせ、安全なスペースに入り込むことが可能となる。 次に、追い越しのときの安全確保。片側1車線対面通行の道路で追い越すときに、素早く加速して、前方から対向車が来る前に安全に追い越しを完了できる。 そして交差点での右折のとき。前方から来る対向車の間隙を縫って右折する際、素早い加速により安全なタイミングでの右折が可能となる。 最後に、突発的な危険を回避するときも瞬時の加速力は大きな味方になる。たとえば、交差点で信号無視の車両が突然現れた場合、通常の車両ではブレーキによる回避がおもな選択肢だが、EVの場合、強力な加速によって交差点から迅速に離脱し危険を回避できる可能性も高くなる。この瞬発力は、事故回避の新たな選択肢をドライバーに提供してくれる。

TAG: #加速 #加速性能
TEXT:斎藤充生
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】

専用エアロのないレア車をスタディモデルに選んだ理由 正体不明感をまとったトヨタbZ4Xはモデリスタのスタディモデル! 五感に響く機能を目指して「新化」するブランドの概念を示す【大阪オートメッセ2025】 正体不明なbZ4Xはモデリスタの概念を示した 大阪オートメッセ2025の広い会場内のなかから、EV関連の出展を探し出すため会場をせっせと歩きまわっていたところ、ひと際輝きを放つ1台のクルマを発見。カスタムカーショーの会場ではよくあることだが、一瞬ベース車両が何なのか分からず、答えを導き出したくなり吸い込まれるようにブースを訪れた。 近づいてみて初めてベース車両の正体がわかった。トヨタのSUV型BEV「bZ4X」だ。現行車種だが街なかでの遭遇率は非常に低く、完全にレア車と化している。だからベース車自体を見慣れていないうえに、カスタマイズによって正体不明さが増したことで興味を惹かれ、つい足を止めてしまった。 この正体不明のbZ4X、オーラ満点の車両を製作したのは、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントだ。頭にトヨタと名の付く会社だけど、それってどこ? と思う方もいるだろう。だが「モデリスタ」と聞いたらどうだろうか。トヨタ車オーナーなら知っている方も多いだろう。そう、トヨタの販売店にカタログが置かれ、ディーラーでも購入できる内外装パーツとしてお馴染みのブランドだ。 しかし、なぜブース内の一等地にレア車ともいえるbZ4Xのカスタマイズ車両を展示しているのだろうか。決して売れているとはいえないbZ4X用に、新たにエアロキットをラインアップするとは思えない。 そこで、その疑問を同社用品企画部の浜崎氏にぶつけてみた。すると明快かつ「なるほど」と思える回答が返ってきた。 「モデリスタというブランドの新化を示すもののひとつとして展示しています。bZ4X用の新たなエアロパーツというわけではなく、新化・未来を表現の題材としたときに、クルマの未来を象徴するものがEVだと思いましたので、bZ4Xを選びました」 つまり、モデリスタとしての未来を表現するためには、EVがうってつけであり、それがbZ4Xだったということなのだ。だから、bZ4Xありきのディスプレイではないということに注意する必要がある。 では、このクルマが表現する新化・未来とは何か。それを知るためには、とある造形物について知っておく必要がある。

TAG: #bZ4X #スタディモデル #大阪オートメッセ2025
TEXT:渡辺陽一郎
300万円の日産サクラが場所によっては実質125万円で買えるケースも! 価格の逆転現象もあるからクルマを買う前に「補助金」の計算は必須だった

対象のクルマを買ったら必ず補助金の申請を EV(エンジンを搭載しない電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド/充電の可能なハイブリッド)、燃料電池車を新車で購入した場合、申請を行うと、国や自治体から補助金の交付を受けられる。 国の補助金は、車両の電費性能、1回の充電で走行できる距離、国内で運営している充電設備の状況、サイバーセキュリティへの対応など、EVの安全な普及に向けた貢献度も評価される。これらの評価項目をポイント化して、各車種の補助金交付額を決めている。 そして、2024年度の場合、税抜きメーカー希望小売価格が840万円以上の車両については、前述の基準で算出した補助金交付額に0.8を掛けた金額を補助金交付額としている。高価格車は補助金交付額を減らされるわけだ。 EVに交付される2024年度の補助金交付額を日産車で見ると、軽自動車のサクラが55万円、リーフは85万円、アリアも大半のグレードが85万円だ。ただし、アリア・ニスモB9・e-4ORCEは68万円に下がる。前述のとおり、税抜きメーカー希望小売価格が840万円以上になるから、交付額が80%に減額された。 プラグインハイブリッドの補助金交付額は、三菱アウトランダーPHEV、トヨタ・プリウスPHEV、マツダCX-60PHEVなど、大半の日本車が55万円だ。 燃料電池車は、価格が全般的に高いこともあって補助金交付額も多い。トヨタ・クラウンセダンZは136万3000円、トヨタMIRAIでは145万3000円に達する。

TAG: #新車購入 #補助金

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