2025年2月
TEXT:御堀直嗣
ヒョンデもまた「水素」の可能性を探るメーカーのひとつ! ミライ・CR-Vと並ぶFCVの1台「NEXO」とは?

満充填からの走行可能距離は820km! 現代(ヒョンデ)自動車のNEXO(ネッソ)は、燃料電池車(FCV)である。電気自動車(EV)のIONIQ 5(アイオニック・ファイブ)とともに、日本で販売されている。 ヒョンデは、起亜(KIA=キア)を傘下に置く企業グループとして、トヨタ、フォルクスワーゲンに次いで、世界3位の自動車メーカーだ。そして、2022年に日本市場へ再参入する際、電動車両に的を絞り、EVとFCVを導入した。現在、EVではIONIQ 5に加え、KONA(コナ)を追加している。 ネッソは2018年に韓国で発売された。3本の高圧水素タンクを搭載し、満充填からの走行可能距離は820kmである。日本では、トヨタMIRAI(ミライ)がFCVの代表格といえ、その走行距離も約820kmとしている。今年発売を開始したホンダCR-V e:FCEVは、約621kmである。ただし、CR-V e:FCEVは、車載バッテリーを外部から充電でき、その一充電走行距離は約61kmなので、これを足すと合計682kmになる。 車載の高圧水素を使って燃料電池スタックで発電し、モーターを駆動して走るのがFCVだ。各車モーターの最高出力は、ネッソが120kWであるのに対し、ミライは134kW、CR-V e:FCEVは130kWと、ネッソは10kWほど低い。 一方、車両重量は、ネッソが1870kgであるのに対し、ミライが1920kg以上(グレードにより差がある)、CR-V e:FCEVは2トン以上で、ネッソは少なくとも50kgは軽い。その分、パワー・ウエイト・レシオではCR-V e:FCEVと遜色なく、ミライはより高性能となるが、優劣を問うほどの差ではない印象がある。実際、ネッソを試乗すると、走りに不満はない。 車格としては、CR-V e:FCEVの全長がネッソに比べやや長いが、車幅は同等で、同じくSUV(スポーツ多目的車)であるので、全高もほぼ差はなく、競合といえる車体寸法になる。ミライは、初代から4ドアセダンであるため、車種違いとなり、現行の2代目は、ヒョンデとホンダの2車に比べやや大柄になる。

TAG: #FCV #燃料電池車
TEXT:TET 編集部
レース中に600kWの超急速充電で使用可能なエネルギー量10%アップ! フォーミュラEに「ピットブースト」を導入

600kWの超急速充電の実現でレースはさらにエキサイティング 電気自動車の最高峰レース「ABB FIA フォーミュラE 世界選手権」が、2024年12月から2025年7月にかけて行なっているシーズン11の一部のレースにおいて、革新的な新機能「ピットブースト」を導入すると発表した。 ピットブーストは、レース中にピットレーンで600kWの高出力でマシンに超高速充電を行うものだ。各マシンはこのピットストップにより、レースで使用できる総エネルギー量の10%(3.85kWh)相当の追加エネルギーを30秒間で充電することになる。なお、マシンの充電口はドライバーの背後に備わっており、そこに充電プラグを挿入する形で充電を行う。 一般車向けの充電設備に目を向けると、日本国内では最大出力150kWクラスが最高レベルとされ、欧州ではIONITYが整備を進める超急速充電設備が最大350kWの高出力でトップレベルとされている。しかし、フォーミュラEはその2倍近い600kWである。むろん充電設備がいくら強力であっても、マシン側の受け入れ能力が伴わなければ宝の持ち腐れとなる。市販車では叶わないレベルの超急速充電をレースで先行実験するというのが、フォーミュラEとしての目的なのだ。 かの本田宗一郎が言う通り、「レースは走る実験室」なのだから、この大出力による短時間の超急速充電を、まずはレースの現場で確かめるのは、今後の市販EVの開発にあたって十分に価値があるものと思われる。 このため、超急速充電の実戦投入まではさまざまなテストが繰り返され、当初は2024年のシーズン10で導入が検討されていたものの、安全性と信頼性を確保するレベルに達するまでは投入が見送られいていた。そしてようやく目途が立ったことで、シーズン11の次戦、サウジアラビアで行われるジェッダE-Prix(2025年2月14・15日開催)で初の実戦投入が決まった。 ピットブーストの概要 以下はフォーミュラEが発表した、ピットブーストの主な特長だ。 ・34秒間の静止ピットストップを行い、その内の30秒間で600kWの急速充電を実施。レースカーに10%(3.85kWh)のエネルギーを追加 ・指定されたレースで全ドライバーに義務化 ・既存のルールである「アタックモード」とは独立して運用され、チームは両方の戦略要素を同時に管理する必要がある ※「アタックモード」とは、走行ライン外に設置されたアクティベーションゾーンを通過することで、最大出力が50kW増加し、オーバーテイクを容易にする機能。レース中に2回モードを起動し、合計8分間使用することが義務付けられている ・ピットクルーは1台につき同時に最大ふたりまで作業可能。さらにひとりが車両の停止と出発を担当 ・各チーム1台ずつのみに使用可能(同時使用不可) ・超高速充電技術を象徴し、「レースから公道へ」の革新を体現 ・FIAがピットブーストを実施するタイミングを決定し、各レースの21日前にチームに通知 フォーミュラEは、この革新的なピットブーストの導入によって「レース展開にさらなるスリルとドラマが加わり、観客に新たな興奮を提供します」とコメントしている。それは、マシンを操るドライバーとチームが、10%のエネルギー追加によるアドバンテージとピットストップによる一時的に順位を下げるリスクを見極め、最適なタイミングでピットブーストを使用する決断をレース中に行わなければならないからだとしている。 これまでも、ファン投票上位3台に対し、一時的なエクストラパワーが与えられる「ファンブースト」を導入したり、アタックモード使用時に最大50kWのパワーアップと同時に、駆動方式を後輪駆動から四輪駆動に変化させ、圧倒的な性能アップでオーバーテイクの機会を増やすなど、電気自動車による先進性と、モータースポーツが本来持つエキサイティングな面をフォーミュラEは追求してきた。 そこへ新たに加わるピットブーストで、レースにより戦略性を持たせること、そして「レースから公道へ」をテーマとして、レースから市販車に技術的なフィードバックを行なうための先行実験要素は大いに魅力的だといえる。

TAG: #フォーミュラE #モータースポーツ #超急速充電器

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