コラム
share:

「燃料タンク=バッテリー」「エンジン=モーター」じゃない! EVの性能はバッテリー容量とモーターの出力以外に「バッテリーの出力」が重要だった


TEXT:御堀直嗣 PHOTO:トヨタ/TET 編集部
TAG:

バッテリーの性能は一充電距離や出力性能に影響

リチウムイオンバッテリーの諸元で注目されるのは、kWh(キロ・ワット・アワー)の単位で示される容量だ。この数値が大きいと、より遠くまで充電せずに走り続けられる。急速充電への不安から、バッテリー容量の大きな電気自動車(EV)を好む傾向が根強い。

このようにバッテリーは、エンジン車でいう燃料タンクのように、エネルギーを貯めておく機能がある。

リチウムイオンバッテリー

同時に、バッテリーは一度にどれほどの電力を出せるかという出力性能も備えている。

たとえば急加速する際、バッテリーに電力が残されていても、一気にその電気を使えなければ加速に不足が生じる。つまり、エンジンと燃料というこれまで慣れ親しんできたクルマの部品や要素の機能と違った側面が、EVにはある。

そしてモーターは、バッテリーから送られてきた電力で力を出すための装置という位置づけが正確なのではないだろうか。

モーターのイメージ

バッテリーの出力は、バッテリーの種類や、同じバッテリーでも性質の違いによって差が出る。

たとえば、ハイブリッド車(HV)で永年使われてきたニッケル水素バッテリーは、瞬間的に高出力を出す性能に優れている。一定の重量でどれくらい大きな出力を出せるかの指標となる、出力密度(W/kg)で、鉛酸バッテリーより優れた性能を備える。さらに高性能なのが、バッテリーではないがキャパシター(コンデンサー=蓄電器のように一時的に電気を貯める機能がある)だ。

したがって、1997年にトヨタからプリウスが発売されたあと、HV開発を模索する他メーカーのなかには、バッテリーではなくキャパシターの活用を検討していた例がある。

一方、ニッケル水素バッテリーは、電気を蓄えるためのエネルギー密度でリチウムイオンバッテリーに劣る。このことから、貯めた電気で走るEVや、PHEVでは、リチウムイオンバッテリーが使われるのである。

ニッケル水素バッテリー

また、リチウムイオンバッテリーは、ニッケル水素が得意とする出力密度においても、それ以上の性能を引き出すことができる。ただし、もしリチウムイオンバッテリーをHVで使う場合は、エネルギー密度より出力密度を重視した特性にする必要がある。EV用とHV用では、同じリチウムイオンバッテリーといっても、性質が異なるのである。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
リーフのバッテリーパックをバラして積むって意外に大変! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その5】
「58協定」未加入国のクルマを日本で売るのは難しい! なのに未加入のアメリカや中国のクルマが日本で売られるカラクリとは
20万円も高かったのに20万円安くしか売れない! EVの将来はリセールバリューの向上努力にアリ!!
more
ニュース
ホンダが2026年に発売予定の新型EVは「アシモ」も搭載! アキュラRSXプロトタイプを米国・モントレーで初披露
ファッション&アウトドア好きにも刺さるEV! ヒョンデ「インスタークロス」が先行予約開始でいまなら秋キャンプにも間に合う
一充電走行可能距離はついに1000km超え! 日本でもっとも長く走れる新型EV「Audi A6 e-tron/S6 e-tron」シリーズが登場
more
コラム
ボルボのハイパフォーマンスモデルを手がけてた「ポールスター」! EVブランドになるって話もあったけどいまどうなってる?
中国でバッテリー交換式の大型SUVがデビュー! 激安550万円でEVスタートアップが放つ「Onvo L90」の実力をライバルと比較した
想定よりは遅れているがEVシフトは着実に進む! この先5年間は新型モデルの投入が相次ぐと予想!!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択