150kW/90kWの急速充電器を全国380基以上展開するPCAと業務提携
これまで他のプレミアムブランドに比べ、バッテリー式電気自動車(BEV)のラインアップ拡充にあまり積極的ではなかったレクサス。いまのところSUVタイプのRZとUX300eの2車種を揃えるものの、ほかのブランドの充実ぶりと比べてしまうと見劣り感が否めない。
さらに、プレミアムブランドは自社のBEVユーザーの囲い込みに熱心で、市中の充電器よりも強力かつアプリを通じた利用事前予約ができるなどの利便性をアピールし、BEV購入後も積極的に自社と顧客のタッチポイントを増やす動きがみられる。
とくに顕著なのは、ポルシェ・アウディ・フォルクスワーゲンの連合体だ。グループで展開する急速充電ネットワーク「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」は、全国の大都市圏を中心に150kWの急速充電器を設置し、さらに90kWの急速充電器で周辺を固め、2025年2月16日現在は3つのブランドで計371拠点、385基もの急速充電器を設置する充実ぶりを見せている。
一方、レクサスの急速充電サービスは、出力150kW級の急速充電器を備えた「レクサス充電ステーション」が、2025年4月に福岡の「ONE FUKUOKA BLDG」に開設するステーションでようやく6拠点目となるに過ぎない。
しかし、ここにきてレクサスの急速充電環境が大きく変わろうとしている。なんとレクサスがポルシェ・アウディ・フォルクスワーゲンの急速充電サービスであるPCAと業務提携の覚書を締結したのだ。
レクサスはBEVにまつわる顧客のさまざまな不安や困りごとをサポートし、レクサスならではの提供価値を届ける「LEXUS Electrified Program(LEP)」のサービス拡充に取り組んでいるというが、今回の提携はその一環とされる。
この提携により、2025年7月からはLFPとPCAの会員が、それぞれのアプリケーションを通じて互いの急速充電設備を利用することが可能になる。これによりレクサスのBEVオーナーにとっては、経路充電の選択肢が強力かつ大幅に増えることになる。
むろん、レクサス自身もPCAの恩恵を受けるだけに留まらず、自社の「レクサス充電ステーション」の拡充を今後も進める方針である。2030年までに全国で100カ所以上のステーション開設を目指すほか、充電中の待ち時間にもBEVオーナーが有意義に過ごせるよう、近隣商業施設などとも連携し、さまざまなサービスを利用できるように整備を進めていくとしている。
なお、LFPとPCAでは月額基本料と充電に伴う従量料金に若干の差がみられるが、今回レクサス側から発表されたリリースでは、そのことについては触れられていない。ただし、メーカーの枠を超えて実現するこの急速充電ネットワークの大幅な拡充は、群雄割拠のプレミアムブランドのBEV販売にあって、今後レクサスが躍進する大きなきっかけとなるかもしれない。