アクセルを踏んだ瞬間に加速!
近年、電気自動車(EV)の性能のなかでもとくに注目を集めているのが、その圧倒的な加速性能である。テスラ・モデルSプレイドやポルシェ・タイカンターボSなどの高性能EVは、0-100km/h加速が2秒台という、かつてのスーパーカーも凌駕する加速性能を実現している。
しかし、この「すさまじい加速力」は、実際の日常走行においてどのような意味をもつのだろうか。追い越しや合流以外にも、EVの加速性能が真価を発揮する場面を探ってみよう。
<EVの加速力が生まれる理由>
まず、EVの強烈な加速を可能にしている要因として、おもに以下の3つが挙げられる。第1に電気モーターは回転を始めた瞬間から最大トルクを発生することができる。第2に内燃機関(ICE)車のような変速機を必要としないため、トルクの伝達がダイレクト。そして第3にバッテリーを車体下部に配置することで、重心が低く加速中も安定した姿勢を保てる。
これらの特性により、アクセルを踏んだ瞬間から遅れなく加速し、しかも途切れることなく一気に加速することが可能となっている。ICE車のように、エンジン回転数が上がってから本格的な加速が始まるような特性はない。
<実用面での加速力の活用シーン>
では、この強力な加速力が真価を発揮するのはどのようなときであろうか。
まず、高速道路へ合流するときだ。とくに短い合流車線の場合や本線が混雑している場合、瞬時に加速して本線の車速にマッチさせ、安全なスペースに入り込むことが可能となる。
次に、追い越しのときの安全確保。片側1車線対面通行の道路で追い越すときに、素早く加速して、前方から対向車が来る前に安全に追い越しを完了できる。
そして交差点での右折のとき。前方から来る対向車の間隙を縫って右折する際、素早い加速により安全なタイミングでの右折が可能となる。
最後に、突発的な危険を回避するときも瞬時の加速力は大きな味方になる。たとえば、交差点で信号無視の車両が突然現れた場合、通常の車両ではブレーキによる回避がおもな選択肢だが、EVの場合、強力な加速によって交差点から迅速に離脱し危険を回避できる可能性も高くなる。この瞬発力は、事故回避の新たな選択肢をドライバーに提供してくれる。