FIAT600のEVとマイルドハイブリッドで比較
EVとエンジン車のランニングコストはどれほど違うのだろうか?
これまでEVを所有したことがなく、EVへの乗り換えを検討しているユーザーにとっては気になるだろう。
EVが走るために使う電気には、ガソリン税のように自動車ユーザーを狙い撃つ税金がかかっていない。そのぶんだけEVユーザーの負担が少なくなる。それに対して、エンジン推しのユーザーからは、「ハイブリッドカーの効率は優れているから、ガソリン税を抜くとエンジン車のランニングコストが低くなるはず」という批判的な意見もあるようだ。
はたして、EVとエンジン車のランニングコストはまったく違うレベルなのか、それともガソリン税を考慮するとEVが有利になるのか。同じ車体でEVとエンジン車(マイルドハイブリッド)をラインアップするFIAT600から18インチタイヤを履く「ラ プリマ」グレードをサンプルにして、カタログスペックで比べてみよう。
まずは同じ距離を走るのに必要なコストから計算してみたい。
EVであるFIAT600eのバッテリー総電力量は54.06kWhで、WLTCモードでの一充電走行距離は493km。そしてWLTCモード電費は126Wh/kmとなっている。
ご存じのようにWLTCモード電費は、バッテリーを充電するのに消費した電力をベースに計算している。充電時のロスぶんだけ消費量は大きくなるが、ランニングコストとしてはこちらで計算するのが妥当だ。
一方、FIAT600 HYBRID(マイルドハイブリッド)のWLTCモード燃費は23.2km/L。燃料タンク容量は44リットルで、使用燃料はハイオクガソリンとなっている。
126Wh/kmと23.2km/Lでは、距離と消費したエネルギー(電気やガソリン)の関係が真逆の単位となっているので、燃費のほうをkmが分母にくるような単位に変えて比べてみるとわかりやすい。そして燃費の単位を逆さにすると、23.2km/Lは0.0431L/kmとなる。
つまり、FIAT600のEVとマイルドハイブリッドで比較したとき、それぞれ1kmを走るのに必要な電力は126Wh、燃料は0.0431リッターということだ。これをベースに、それぞれ燃料単価をかければ、日常的なランニングコスト差は明らかになるわけだ。
電気料金は、契約形態などによって変わるが、平均的には1kWhで31円として計算してみよう。ハイオクガソリンの価格も地域や店舗によって異なるが、ここでは1リッター180円という全国平均に近い数値を使いたい。